てんかんと漢方・鍼灸

てんかんとは|診断・メカニズム・治療の限界と漢方・鍼灸アプローチ|相模原 タナココ
てんかん × 漢方・鍼灸 / 相模原 タナココ

てんかんとは──
そのメカニズムと、体質から整えるアプローチ

てんかんとともに生きることは、発作そのものと向き合うだけではありません。「いつ起きるかわからない」という緊張が、毎日の暮らしの中に静かにのしかかっています。薬を続けていても思うようにコントロールできない——そんな状況の中で、体質から整える別のアプローチを探して、ここにたどり着いた方もいるかもしれません。

てんかんは、脳の過剰な電気的興奮によって起きる発作が繰り返される慢性の神経疾患です。適切な薬物治療で約70%の方は発作をコントロールできます。一方で、約30%の方は複数の薬剤を試みても十分に抑えられない「難治性」の状態にあります。

タナココでは、西洋医学の病態理解を踏まえながら、漢方・鍼灸を通じ体質の側から整えるアプローチで、一人ひとりに向き合います。

最終更新日:2026年5月30日

てんかんの理解と体質へのアプローチ

てんかんとは何か

てんかんは、脳の神経細胞が突然・異常に同期して放電することで、繰り返し発作を起こす慢性の神経疾患です。「けいれんする病気」というイメージが強いですが、実際には意識が数秒だけ途絶える「欠神発作」、体の一部がピクっとする「ミオクロニー発作」、体の力が急に抜ける「脱力発作」など、発作の形は非常に多様です。

てんかんは、発作を直接引き起こす脳の問題であると同時に、「発作がいつ起きるかわからない」という慢性的な緊張が、患者さんの日常生活・就労・社会参加・心理状態に重くのしかかる疾患でもあります。

日本国内のてんかん患者数は60万〜100万人程度と推計されており(有病率:人口の0.6〜0.8%前後)、決してまれな疾患ではありません。小児から高齢者まですべての年齢層で発症しうること、また高齢化社会を背景に65歳以上での新規発症も増加していることが、近年の特徴として挙げられます。

診断基準と発作の分類

1)ILAE診断基準(2014年)

てんかんの診断は、国際抗てんかん連盟(ILAE)が2014年に改訂した基準に基づいて行われます。この基準は日本のてんかん診療ガイドラインにも採用されています。次のいずれかに該当する場合に「てんかん」と診断されます。

① 2回以上の非誘発性発作

  • 24時間以上の間隔を置いて
  • 2回以上の非誘発性(または反射性)発作が生じた

② 再発リスクが高い1回発作

  • 1回の非誘発性発作が生じ
  • 今後10年間の再発リスクが60%以上と判断された(脳構造異常・脳波異常が根拠となる)

③ てんかん症候群の診断

  • ウエスト症候群、Dravet症候群など
  • 特定のてんかん症候群と診断された場合

「非誘発性発作」とは

  • 外傷・発熱・低血糖・アルコール離脱など
  • 明確な誘発要因がない状況で起きる発作
  • 原因が特定できる「急性症候性発作」とは区別される
診断に用いられる主な検査:

脳波検査(EEG)は、発作が起きていないときでも脳の異常な電気活動を調べることができる基本検査です。MRI検査では脳の構造的な異常(海馬の傷・脳の形成異常・腫瘍など)を確認します。近年は遺伝子検査などの先端技術を活用した詳細な原因究明も進んでおり、ILAEは2022〜2024年にかけててんかん症候群の分類を大幅に更新しています。

2)発作型・てんかん病型の分類

ILAEの2017年分類では、てんかんの診断は「発作型」→「てんかん病型」→「てんかん症候群」の3段階で行われます。各段階で「病因」(構造性・遺伝性・感染性・代謝性・免疫性・原因不明)も同時に検討することが求められています。

発作型 代表例 特徴
焦点起始発作 焦点意識保持発作、焦点意識減損発作、焦点起始両側強直間代発作 脳の一部から発作が始まる。焦点が明確な場合、外科的治療の検討対象になりやすい
全般起始発作 全般強直間代発作(大発作)、欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作
※てんかん性スパズムは全般・焦点・起始不明のいずれにもなりうるため、独立して評価する
左右両側の脳から同時に発作が始まる。遺伝的素因を持つ場合が多い
起始不明発作 強直間代発作(起始不明) 始まり方が判断できないもの。診断の進行に伴い再分類されることが多い

また、てんかん病型は「焦点てんかん」「全般てんかん」「全般焦点合併てんかん」「病型不明てんかん」の4つに大別されます。病型と病因の組み合わせによって、適切な薬剤の選択や予後の予測が大きく変わります。

てんかんが患者と家族に与える影響

てんかんの影響は、発作そのものにとどまりません。「いつ発作が起きるかわからない」という不確実性が、患者さんの日常のあらゆる場面に影響を及ぼします。

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社会生活への制限

道路交通法により、一定期間発作がない状態でなければ自動車運転が認められません。就労・通学・宿泊行事・旅行など、生活の場面ごとに制限が生じます。

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認知機能・精神面

繰り返す発作や、抗てんかん薬の副作用(眠気・注意力低下・気分障害)によって認知機能が影響を受けることがあります。うつ・不安の合併も少なくありません。

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家族・周囲への影響

発作が起きたときの対処や見守りに、家族が長期的なエネルギーを使います。介護負担・精神的疲弊・きょうだいへの影響など、家族全体の問題でもあります。

発作が完全にコントロールされている時期でも、「再発するかもしれない」という不安から解放されることは容易ではありません。てんかんの治療目標は単に「発作を止めること」ではなく、「患者さんが望む日常生活を取り戻すこと」であると、近年の診療ガイドラインでは強調されています。

有病率と日本の現状

てんかんは世界で5,000万人以上が罹患する(推計約6,500万人)、最も一般的な慢性神経疾患の一つです。有病率は人口の0.6〜0.8%程度と推定されており、日本では60万〜100万人の患者さんがいるとされています。

指標 数値・概要
日本の患者数(推計) 60万〜100万人程度(有病率:人口の0.6〜0.8%前後)※推計値に幅あり(厚生労働省患者調査・疫学研究による)
適切な治療で発作が抑制される割合 約70%(WHO)
難治性てんかん(薬剤抵抗性)の割合 約30%
新薬(ブリーバラセタム)国内発売 2024年6月承認・8月発売(ブリィビアクト®)※適応:部分発作(二次性全般化発作を含む)
難治性てんかんの定義 適切に選択・使用された2種類以上の抗てんかん薬(単剤または多剤)による十分な治療を試みても、持続的な発作消失が得られない状態(ILAE 2010定義)

高齢化に伴い65歳以上での新規発症が増加しており、脳血管障害や神経変性疾患を背景としたてんかんが問題になっています。また、遺伝子検査・マルチオミックス解析など最新技術を活用した個別化医療への取り組みが、東京大学・東北大学など国内の研究機関でも進んでいます。 医学界新聞 2025↗

発症のメカニズム

てんかん発作が起きるのは、脳内で 「興奮」と「抑制」のバランスが崩れた瞬間 です。脳の神経細胞は、アクセル役の物質(グルタミン酸)とブレーキ役の物質(GABA)によってつねにバランスを保っています。このバランスが何らかの理由で崩れると、神経細胞がいっせいに誤作動を起こし、発作が生じます。現在の研究で明らかになっている主なしくみを以下に解説します。

1)イオンチャネルの異常

神経細胞が「興奮する・しない」は、細胞の膜にある小さな扉のようなしくみ(イオンチャネル)で制御されています。この扉を通じて、ナトリウム・カリウム・カルシウムなどが細胞の内外を行き来することで、電気信号が生まれます。遺伝的な要因や後天的な障害でこの扉に不具合が生じると、神経細胞が過剰に興奮しやすくなります。バルプロ酸・ラモトリギン・カルバマゼピンなど多くの抗てんかん薬は、このイオンチャネルを安定させることで発作を抑えるよう設計されています。

2)神経伝達物質のアンバランス

ブレーキ役のGABAが減る、またはアクセル役のグルタミン酸が増えると、発作が起きやすいしきい値を超えやすくなります。GABAの働きが弱まっている状態は多くのてんかんで見られ、ジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬やフェノバルビタールなどのバルビツレート系薬は、GABAの受容体を強化することで脳のブレーキを助ける作用があります。また、脳の神経細胞間の情報伝達に関わるタンパク質(SV2A)に作用して発作を抑えるレベチラセタム・ブリーバラセタムといった薬剤も広く使われています。

3)脳内の炎症と酸化ストレス

慢性的な脳内の炎症(神経炎症)や細胞のダメージ(酸化ストレス)が、神経回路を変化させ、発作が繰り返されやすい状態をつくることが近年の研究で示されています。炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)や、脳内の免疫細胞であるミクログリアが過剰に活性化することが発作の誘発・維持に関わっていることが、動物実験と臨床研究の両面で確認されています。この観点は、抗炎症作用が期待される漢方薬の研究とも接点があります。

4)脳の神経回路が変わっていく(てんかん原性)

発作が繰り返されるうちに、脳の神経回路そのものが変化していきます。神経の接続が組み替えられたり(苔状線維の発芽)、海馬などの記憶に関わる部分が傷つくこと(海馬硬化症)が難治化につながる一因とされています。「発作が新たな変化を生み、その変化がさらに発作を起こしやすくする」という悪循環が形成されるため、最初の発作後の早めの対応が重要とされています。

病因の6分類(ILAE 2017)

てんかんの病因は「構造性・遺伝性・感染性・代謝性・免疫性・原因不明」の6つに分類されます。同じ「てんかん」という診断名でも、病因によって治療方針・使用薬剤・予後は大きく異なります。たとえば自己免疫性てんかんでは免疫療法が有効な場合があり、代謝性てんかんでは代謝疾患の治療が優先されます。病因を特定することが、適切な治療につながります。

現在の治療とその限界

てんかん治療の基本は 抗てんかん薬による薬物療法 です。適切な薬剤が選ばれれば、約70%の患者さんで発作を完全にコントロールできるとされています。一方で、残りの約30%は複数の薬剤を試みても発作が止まらない「難治性てんかん(薬剤抵抗性てんかん)」に分類されます。

主な治療法

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薬物療法

第一選択。バルプロ酸・レベチラセタム・ラモトリギンをはじめ20種類以上の薬剤が使用可能。2024年には「ブリーバラセタム(ブリィビアクト®)」が部分発作を適応として国内で承認・発売となり、選択肢が広がっている。

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外科的治療

発作の起点が明確な場合、脳外科手術による切除・離断を検討。難治例の一部で高い有効性。術前評価には時間と設備を要する。

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神経刺激・食事療法

迷走神経刺激(VNS)・脳深部刺激(DBS)などの神経刺激療法、および小児の難治例に適応されるケトン食療法が選択肢に含まれる。

薬物療法が抱える課題

薬物療法はてんかん治療の要ですが、以下のような課題もあります。

課題 内容
副作用 眠気・ふらつき・認知機能低下・体重変化・気分障害・肝機能障害など。長期服用が必要なため、副作用との折り合いに苦慮する患者さんが少なくない
難治例の存在 患者さんの約30%は、2種類以上の適切な薬剤を十分量・十分期間試みても発作が止まらない「薬剤抵抗性てんかん」に該当する(ILAE 2010定義)
長期服薬の問題 多くの場合、数年以上〜生涯にわたる服薬が必要。骨代謝への影響・薬剤相互作用・薬を飲み続けることの難しさ(服薬継続率の低下)などが長期的な課題となる
生活の質への影響 発作の不安・運転制限・就労制限に加え、薬の副作用が重なることで生活の質が低下しやすい。治療の継続意欲にも影響する
重要なご注意:

抗てんかん薬は、医師の指示なく自己判断で減量・中断することは大変危険です。国際ガイドライン(ILAE 2015)に基づき、強直間代発作では 5分以上 続いた時点で「てんかん重積状態」として緊急対応が推奨されます。さらに 30分以上 続くと、脳に回復できないダメージが残るリスクが著しく高まります。急に薬をやめることはこうした重篤な発作を招きかねないため、漢方・鍼灸を取り入れる際も、必ず主治医に相談しながら進めることが大前提です。

西洋医学 vs 中医学 アプローチ比較

西洋医学と中医学は、てんかんに対して異なる視点からアプローチします。どちらが「正しい」ではなく、それぞれの強みを組み合わせることで、より多くの選択肢が生まれます。

視点 西洋医学(薬物療法) 中医学(漢方・鍼灸)
病態の捉え方 イオンチャネル異常・神経伝達物質アンバランスなど、神経生理学的な機序として理解する 痰濁・肝風・腎虚・瘀血など、気血津液の失調として体全体から捉える
治療の主目的 発作の直接的な抑制 体質の改善・発作頻度の軽減・生活の質の向上
難治例への対応 薬剤の追加・変更・外科的治療に限られる 弁証に基づく個別化アプローチとして補完的役割を担い得る
個人差への対応 発作型・病因分類に応じた薬剤選択が基本 同じ「てんかん」でも証(体質)によって処方が異なる個別対応が基本
副作用 眠気・認知機能への影響・長期使用による骨代謝への影響などが課題 証に合った処方であれば比較的穏やか。ただし相互作用の確認は必要
エビデンスの質 大規模・長期のRCT多数あり 研究数は増加中。規模・方法論にばらつきがあり、継続的な評価が必要

中医学から見たてんかん——「体質」という視点

ここまで、西洋医学の視点からてんかんを「脳の神経細胞の電気的な乱れ」として見てきました。中医学では、同じ発作を少し違う角度から捉えます。

中医学の基本的な考え方では、体を動かすエネルギーを 「気(き)」 、全身に栄養を届けるものを 「血(けつ)」 、体を潤す水分を 「津液(しんえき)」 という3つの要素で捉えています。これらのバランスが崩れると、脳や神経系にも影響が及び、発作が起きやすい状態が生まれると考えます。つまり中医学では、てんかんは「脳だけの問題」ではなく、 体全体の状態が脳神経系に表れたもの として見るわけです。

てんかんは中医学でも古くから「癲癇(てんかん)」「癇症(かんしょう)」として記録が残されており、2,000年以上前の古典医書『黄帝内経』にも関連する記述が見られます。その後、隋代の『諸病源候論』などでより体系的な整理が進んできた長い歴史があります。

体質によって4つのパターンがある

中医学では、同じ「てんかん」でも、その人の体質や症状のあらわれ方によって原因の捉え方が変わります。代表的な4つのパターンを、症状のイメージとともにご紹介します。

たんだくじょうじょう
痰濁上擾

こんな方に多い: 発作が激しい、頭が重い・ぼんやりする、めまいがある、体がだるく胃腸が弱い。

中医学では「体内に余分な「痰(たん)」が溜まり、上昇して脳に影響している状態」と捉えます。この「痰」は口から出る痰とは少し異なり、体内の水分代謝が滞って生じる余分な産物のイメージです。アプローチは痰を取り除き、脳の働きを開くことを中心に行います。

かんふうないどう
肝風内動

こんな方に多い: ストレスや感情の波で発作が誘発されやすい、顔が赤い、イライラしやすい、怒りっぽい。

中医学では「肝(かん)」は感情のコントロールにも関わります。肝の機能が乱れると体の内側で「風」が動き、けいれんを引き起こすと考えます。アプローチは、肝を落ち着かせて「風」を鎮めることを中心に行います。

しんじんふこう
心腎不交

こんな方に多い: 眠りが浅い・夢が多い、動悸や不安感がある、発作の後の回復が遅い、疲れやすい。

中医学では「心(しん)」は精神・意識、「腎(じん)」は生命エネルギーの根本を担います。この2つの連携が崩れると、意識や精神が安定しにくくなると考えます。アプローチは、心と腎のバランスを整え、精神を落ち着かせることを中心に行います。

おけつそらく
瘀血阻絡

こんな方に多い: てんかんが長期化している、頭部への外傷や手術歴がある、顔色が暗い、痛みが出やすい。

中医学では「瘀血(おけつ)」は血の流れが滞った状態を指します。脳への血流が十分に届かず、神経への栄養が障害されると考えます。アプローチは、血の流れを改善して経絡(けいらく:気血の通り道)の詰まりを解消することを中心に行います。

一人ひとりの「証(しょう)」に合わせた治療

中医学の最大の特徴は、「同じ病名でも、人によって原因と治療が異なる」という考え方にあります。これを 「弁証論治(べんしょうろんち)」 といいます。上の4つのパターンも、1人の方に複数が重なることがあり、体質は固定されたものではなく、季節・年齢・生活状況によって変化します。

STEP 1|じっくりお話を聞く(問診)

発作の頻度・何がきっかけになりやすいか・発作後の体の状態・睡眠・消化・精神状態などを丁寧に確認します。脈の状態や舌の色・形からも体質の傾向を読み取ります。

STEP 2|体質のパターンを見極める(弁証)

上の4つのパターンのどれが主体かを判断します。「余分なものが溜まっている状態(実証)」か「必要なものが不足している状態(虚証)」かによっても、アプローチが変わります。

STEP 3|漢方処方を決める

体質のパターンに合わせた漢方薬を選びます。たとえば「痰が主な原因」なら痰を取り除く処方を、「肝の乱れが主」なら肝を落ち着かせる処方を組みます。複数の要因が重なる場合は組み合わせて対応します。

STEP 4|鍼灸でツボから整える

漢方薬による内側からのアプローチに加え、鍼灸でツボを刺激することで気血の流れを整え、神経系のバランスをサポートします。漢方薬と鍼灸を組み合わせることで、より相乗的な効果が期待できます。

漢方・鍼灸に関する研究でわかってきたこと

「漢方や鍼灸には、どんな根拠があるの?」——正直にお伝えします。中医学的なアプローチに関する研究は近年急速に増えており、西洋薬と組み合わせることで 発作の改善・副作用の軽減・生活の質の向上 に寄与する可能性を示すデータが、世界中で積み重なってきています。

鍼灸+西洋薬の組み合わせに関する研究まとめ(2023年)

Xue H.らは17件の比較試験・計1,389人を対象とした研究まとめを発表しました(Frontiers in Neuroscience, 2023)。 PMC10397512↗

Xue H. et al., Front Neurosci. 2023 ─ 主な結果

治療の改善率: 鍼灸+西洋薬のグループは、西洋薬だけのグループと比べて、治療有効率が統計的に有意に高い結果となりました。

発作の頻度: 鍼灸を加えたグループで、発作の頻度が統計的に有意に減少しました。今後さらに精度の高い研究による検証も期待されており、「補完的なアプローチとしての可能性を示す内容」となっています。

著者の結論: 鍼灸を西洋薬に加えることで、てんかんの治療成績が改善する可能性がある。

漢方(風を鎮め痰を取り除くアプローチ)に関する研究まとめ(2024年)

「息風化痰(風を鎮め痰を化す)」と呼ばれる漢方アプローチを検討した研究まとめでは、19件の比較試験・計1,475人が対象とされました。 PMC11521077↗

Medicine誌 2024 ─ 主な結果

発作の改善: 西洋薬との組み合わせで、発作頻度の有意な減少が確認されました。

生活の質: 漢方を加えたグループで、日常生活の質(QOL)の有意な改善が認められました。

副作用の少なさ: 漢方を併用したグループでは副作用の発生が有意に少なく、西洋薬単独と比べて約半分程度という結果でした。

著者の結論: このアプローチは発作の改善・生活の質の向上・副作用の軽減において、有効かつ安全な選択肢になり得ると考えられる。

日本における70年の実績

日本でも、相見三郎による「癲癇の小柴胡湯療法」(1956年)をはじめ、昭和中期から柴胡桂枝湯・柴胡加竜骨牡蛎湯などによる漢方とてんかんの研究が積み重ねられてきました。抑肝散・甘麦大棗湯なども加わり、西洋薬だけでは十分な効果が得られなかった症例での改善報告も複数存在します。長い臨床の歴史が、今の実践を支えています。

研究からわかってきたこと:

漢方・鍼灸は「発作を完全になくす」というよりも、 今の治療を底上げし、生活の質を高める可能性を持つ選択肢 として研究が進んでいます。既存の薬物療法と組み合わせることで、発作頻度の減少・つらい副作用の軽減・日常のしんどさの改善という3つの面から、てんかんと向き合う力を補ってくれる可能性があります。

タナココでできること——あなたの体質に合わせた漢方・鍼灸

タナココには、薬剤師・鍼灸師・心理士の資格を持つ担当者がいます。西洋薬の知識と中医学の視点を両方持ちながら、あなたの現在の治療内容をお聞きして、安全に組み合わせられるアプローチをご提案します。

漢方薬——体質を内側から整える

漢方では、前の章でご紹介した「体質のパターン(証)」に合わせて処方を決めます。同じてんかんでも、その方の体質によって選ぶ薬が変わるのが漢方の大きな特徴です。

たとえば、ストレスで発作が誘発されやすくイライラしやすい方には、肝の興奮を静める 柴胡加竜骨牡蛎湯柴胡桂枝湯 を。焦燥感や手足のふるえが気になる方には、肝風を鎮める 抑肝散 を。疲れやすく発作後の回復が遅い方には、心と体を補う 甘麦大棗湯 などを組み合わせます。

漢方薬は継続しやすい穏やかさが特徴です。今飲んでいる抗てんかん薬と並行して使えるかどうかも、薬剤師が相互作用をひとつひとつ確認しながらご提案しますので、安心してご相談ください。

鍼灸——ツボへの刺激で神経のバランスを整える

鍼灸では、体質のパターンに対応するツボへの刺激を通じて、脳神経系のバランス・自律神経の安定・睡眠の質の改善を目指します。「痛そう」と思われがちですが、鍼は髪の毛ほどの細さで、多くの方が「思ったより気持ちいい」とおっしゃいます。

てんかんによく用いるツボは、頭のてっぺんの 百会(GV20) 、首の付け根の 大椎(GV14) 、足の甲の 太衝(LR3) 、すねの 豊隆(ST40) など。体質に応じてこれらを組み合わせ、気血の流れを整えながら発作が起きにくい状態を目指していきます。

鍼灸施術は心身がほぐれるリラックス効果もあり、「発作のことを考えると緊張してしまう」という方にとっても、ゆっくりと体を整える時間になれるかと思います。

「今の病院の治療はしっかり続けながら、体質の側からも整えたい」という方はもちろん、「まず話だけ聞いてほしい」——そんな方も歓迎します。今の治療内容・発作の頻度・体の状態をお聞きしながら、あなたに合った関わり方を一緒に考えます。

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よくある質問(FAQ)

てんかんに漢方や鍼灸を試す意味はありますか?
はい、試す意味は十分にあると考えています。複数の研究まとめ(2023〜2024年)で、鍼灸や漢方薬を西洋薬に加えることで発作頻度の減少・副作用の軽減・生活の質の向上が報告されています。「発作をゼロにする」というよりも、 今の治療を体質の側から補い、毎日をより楽にする ためのアプローチとして、多くの方に可能性のある選択肢です。特に現在の治療だけでは限界を感じている方にとって、新たな一歩になることがあります。
抗てんかん薬を飲みながら漢方を使えますか?
多くの場合、並行してお使いいただけます。タナココには薬剤師が常駐しており、現在飲んでいるお薬との組み合わせを確認したうえで、安心して使える処方をご提案します。抗てんかん薬と相性の良い生薬・注意が必要な生薬をきちんと確認しますので、「飲み合わせが心配」という方もまずはご相談ください。主治医の先生との連携も大切にしながら進めます。
難治性てんかんでも漢方・鍼灸を試す意味はありますか?
難治性てんかんの方にこそ、体質から整えるアプローチが力になれる可能性があります。複数の薬を試みても発作が十分に抑えられない場合、西洋薬のアプローチだけでは行き詰まりを感じやすいですが、漢方・鍼灸は「同じ体の問題を別の角度から整える」視点を持っています。発作が完全になくならなくても、頻度が減る・副作用がやわらぐ・日常が少し楽になる——そうした変化を目指して、一緒に取り組めると考えています。
中医学でのてんかんへのアプローチとはどのようなものですか?
脈・舌・体の状態などから「あなたの体質のパターン(証)」を見極め、それに合った漢方薬と鍼灸を組み合わせます。柴胡加竜骨牡蛎湯・抑肝散・甘麦大棗湯などの処方と、百会・大椎・太衝・豊隆などのツボへのアプローチが中心です。「同じてんかんでも、人によって処方が違う」のが中医学の特徴で、あなたの体にとって何が足りていて何が余っているかを丁寧に読み解きながら進めていきます。
発作がしばらく出ていません。漢方・鍼灸に意味はありますか?
発作が落ち着いている今こそ、体質を整える絶好のタイミングです。「再発しにくい体をつくる」という長期的な視点で、漢方・鍼灸はとても力を発揮します。薬の効果を安定させながら、副作用との付き合い方・体力の維持・睡眠や自律神経のバランスを整えることで、今の安定した状態をより確かなものにしていくことができます。
どのくらいの期間、続ければいいですか?
体質の変化は人それぞれですが、数週間で「なんとなく体が楽になった」と感じる方もいれば、数ヶ月かけてじっくり整っていく方もいます。最初から「長く続けなければ」と構える必要はなく、まずは体がどう反応するかを一緒に確かめながら進めます。てんかんは長くお付き合いしていく疾患だからこそ、無理なく続けられるペースで関わっていくことを大切にしています。

体質から整えることで、てんかんと向き合う選択肢が広がります

西洋医学の治療はしっかり続けながら、漢方・鍼灸で体質の側からも整えていく——この2つを組み合わせることで、今より少し楽な毎日を取り戻せる可能性があります。

「発作の頻度を減らしたい」「薬の副作用とうまく付き合いたい」「てんかんがあっても、もっと自分らしく生きたい」——どんな思いでも、まずそのままお聞かせください。タナココには薬剤師・鍼灸師・心理士の資格を持つ担当者がいます。あなたの今の治療・体の状態・生活の様子を丁寧にお聞きしながら、何ができるかを一緒に考えます。

「まず話だけ聞いてほしい」——そんな方も、もちろん大丈夫です。あなたのペースで、できることから始めましょう。

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