変形性膝関節症とは──
痛みの仕組みと、膝と体質の両面から整えるアプローチ
「歳だから仕方ない」「軟骨がすり減っていると言われた」。そう説明されて、膝の痛みを抱えたまま過ごしている方は少なくありません。
変形性膝関節症は、痛みの強さが画像上の変形の程度とは必ずしも一致しない病気です。運動や体重管理といった土台に加えて、中医学の漢方・鍼灸で膝まわりの状態と体質を整えることで、痛みや動きにくさを軽くできる余地があります。
タナココは、膝の痛みを「年齢のせい」で終わらせず、歩ける日々を取り戻すために、できることを一つずつ探していきます。
最終更新日:2026年10月31日
変形性膝関節症の理解と膝・体質へのアプローチ
変形性膝関節症とは何か
変形性膝関節症(膝OA)は、膝の関節軟骨がすり減り、軟骨の下の骨・滑膜・半月板などにも変化が及ぶことで、痛み・腫れ・動かしにくさが生じる病気です。中高年の膝の痛みの代表的な原因で、日本整形外科学会は「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」(2023年5月発行)を公表しています。
かつては軟骨が使い減りする「摩耗」の病気と考えられていましたが、現在は、軟骨に加えて、軟骨下骨、滑膜、靱帯、周囲の筋肉まで含む「関節全体の病気」として理解されています。軟骨の状態だけでなく、炎症、筋力、体重、膝への負担のかかり方を含めて見ることが、治療の基本的な考え方です。
加齢は大きな危険因子ですが、それだけではありません。女性であること、肥満、太ももの筋力低下、O脚などの下肢の変形、膝のけがや半月板・靱帯の損傷、膝への負担の大きいスポーツなども発症に関わるとされています。体重・筋力・動き方のように、働きかけられる要素が複数ある病気です。
診断基準とX線による進行度の分類
診断は、問診・診察とX線(レントゲン)検査を組み合わせて行います。X線では、関節の隙間(関節裂隙)の狭さ、骨のとげ(骨棘)、軟骨下骨の硬化などを確認し、Kellgren-Lawrence(KL)分類で重症度を0〜4の5段階に分けます。
KL分類とACR分類基準
KL分類(X線所見)
グレード0:正常
グレード1:疑わしい変化
グレード2:骨棘がある(膝OAの診断の目安)
グレード3:骨棘に加えて、関節裂隙の狭小化がある
グレード4:関節裂隙が著しく狭くなり、骨の変形が高度
米国リウマチ学会(ACR)の分類基準(1986年)
膝の痛みがあり、次の6項目のうち3項目以上に当てはまる場合に、膝OAと分類します(臨床基準)。
50歳を超える/朝のこわばりが30分未満/膝を動かすと軋轢音(ゴリゴリという音)がある/骨の部分に圧痛がある/骨の腫大(ふくらみ)がある/触れて熱感がない。
X線を併用する基準では、膝の痛みと骨棘があり、50歳超・朝のこわばり30分未満・軋轢音のうち1項目以上で該当します。
痛みの強さと画像の変形は一致しない
X線で変形が進んでいても痛みの強くない方もいれば、変形が軽くても強い痛みを訴える方もいます。痛みには、滑膜の炎症、関節液の貯留、軟骨下骨の変化(骨髄病変)、半月板の損傷、痛みを感じやすくなる神経の過敏化など、X線に写らない要素が関わるためです。画像の変形は元に戻りにくくても、痛みや動きにくさは軽くできる余地があります。
急に痛みが強くなった場合は、半月板の損傷や軟骨下の骨折など、別の病態が加わっていることもあります。腫れや熱感が強い場合は痛風・偽痛風・感染などとの区別も必要になるため、まず整形外科での確認が大切です。
症状:動き始めの痛みから日常生活への影響まで
症状の出方には個人差がありますが、多くの方は動き始めの痛みから気づきます。内側が傷みやすい「内側型」が多く、進行するとO脚の変形が目立ってきます。
初期の症状
立ち上がりや歩き始めなど、動作の開始時の痛み。正座がしにくい。階段の上り下りで膝が痛む。朝のこわばり(30分未満)。
進行したときの症状
膝に水がたまる(関節水腫)ことによる腫れ・重だるさ。膝の曲げ伸ばしの制限。膝を動かすときの軋轢音。O脚変形。
日常生活への影響
長く歩けない。階段や外出を避けるようになる。進行すると、夜間や安静時にも痛む方がいます。活動量が減って筋力が落ちる。
初期は、動き始めに痛み、しばらく動くと軽くなる経過をとることが多くあります。痛みを避けて膝を使わない時間が長くなると、太ももの筋力が落ちて膝への負担がさらに増えるため、痛みと活動量のバランスを調整することが大切になります。
有病率と日本の現状
膝OAは、日本のような高齢化の進んだ国で、罹患率のもっとも高い慢性疾患の一つとされています。関節疾患は、介護保険の要支援となる原因の第1位とされています。
| 対象・指標 | 数値の目安 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 国内の膝OA(X線所見あり) | 約2,530万人(推計) | 東京大学の大規模住民コホート「ROAD研究」に基づく推計 |
| うち症状のある方 | 約800万人(推計) | 痛みなどの症状を伴う方。X線所見があっても症状のない方も多い |
| 性差 | 女性に多い | ROAD研究の解析では、60歳以上での膝OA(X線所見)の有病率は男性47.0%、女性70.2% |
| 世界の患者数 | 約6億人(2023年)→ 2050年に約10億人の予測 | 2026年のThe Lancetの論文(Briggsら)。肥満・関節のけが・高齢化が増加の背景 |
膝OAは「年齢とともに誰にでも起こる変化」と受け止められがちで、痛みがあっても我慢して過ごしている方が少なくありません。痛みで活動量が減ると、筋力低下や体重増加につながり、膝への負担がさらに増すため、早い段階で相談することが重要です。
発症のメカニズム
膝OAは、軟骨・滑膜・軟骨下骨・筋肉などが関わる多因子の病気です。主なメカニズムは次のとおりです。
1)軟骨への力学的ストレス
歩行や階段のたびに、軟骨と半月板が体重の衝撃を受け止めています。加齢、肥満、O脚、半月板・靱帯の損傷などで負荷が一部に偏ると、軟骨の表面が傷み、すり減った軟骨の分解産物が関節内に出て滑膜を刺激するとされています。
2)滑膜の炎症と関節液の貯留
刺激を受けた滑膜に炎症が起こると、関節液が増え、膝が腫れて痛みが強くなります(いわゆる「膝に水がたまる」状態)。2024年にThe Lancet Regional Health – Western Pacificに報告された一般住民対象の研究では、超音波で確認される滑膜炎と膝OAの間に、互いに関連し合う関係があることが示されました。
3)軟骨下骨の変化と骨棘
軟骨の下の骨では、骨の入れ替わりが活発になり、骨が硬くなったり、骨棘ができたりします。MRIで見られる軟骨下骨の骨髄病変は、膝の痛みと関連することが報告されています。
4)筋力低下・体重・活動量の悪循環
太ももの筋肉は膝への衝撃を和らげる役割を持ちます。痛みで動かなくなると筋力が落ち、体重も増えやすくなり、膝への負担が増して痛みが強くなります。この悪循環が、症状の長引く一因になります。
① 負荷の偏り:加齢・体重・O脚・外傷などで、膝の一部に負荷が集中する。
② 軟骨の傷み:軟骨の表面が傷み、分解産物が関節内に出る。
③ 滑膜の炎症:滑膜が刺激され、関節液が増えて腫れ・痛みが生じる。
④ 骨の変化:軟骨下骨が硬くなり、骨棘ができる。
⑤ 悪循環:痛みで活動が減り、筋力低下・体重増加が起こり、①の負荷がさらに増える。
現在の治療とその限界
治療は、まず保存的治療から始め、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)が低下する場合に外科的治療を検討するのが基本です。治療の目標は、痛みの緩和、関節機能の維持、ADLとQOLの改善です。
非薬物療法(治療の土台)
患者教育、体重管理(体重が多い場合は減量)、痛みを誘発しない範囲での定期的な有酸素運動と太ももの筋力訓練、椅子とベッドを使う生活様式への変更が基本です。必要に応じて、杖や膝の装具も使われます。米国リウマチ学会・関節炎財団の2019年のガイドラインでも、運動、体重減少、自己管理プログラムが強く推奨されています。
薬物療法
| 薬の種類 | 目的・位置づけ | 課題・注意点 |
|---|---|---|
| アセトアミノフェン | 痛みを和らげる。第一選択薬のひとつ | 効果は軽度にとどまることがある |
| NSAIDs(内服・外用) | 炎症と痛みを抑える。第一選択薬のひとつ | 内服では胃腸障害・腎機能・心血管への影響が課題。外用は全身への影響が少ない |
| デュロキセチンなど | 痛みの伝わり方に働く。米国リウマチ学会のガイドラインで条件付き推奨 | 吐き気・眠気などの副作用に注意 |
| 関節内注射(ヒアルロン酸・ステロイド) | 膝の局所の症状を和らげる | ステロイドの効果は短期的とされる。ヒアルロン酸は、ガイドラインにより評価が分かれる |
手術療法
保存的治療で十分な改善が得られない場合に、高位脛骨骨切り術(HTO)や人工膝関節置換術などが検討されます。手術に絶対的な適応はほぼなく、日常生活への影響の程度で適応を決めるとされています(総合診療 2024年)。
現在の治療の限界
疾患の進行を止める薬は、まだありません:2026年のThe Lancetの論文の筆頭著者であるBriggs教授は、現時点で疾患修飾薬はなく、治療の中心は体重管理や運動などの非薬物療法であると述べています。薬物療法は、症状を和らげることが中心です。
土台となる運動・体重管理が続けにくいこと:痛みが強いと運動ができず、体重も減らしにくくなります。運動を続けられる状態をつくるために、痛みを和らげる手段が必要になります。
薬の長期使用への配慮:NSAIDsは、胃腸・腎臓・心血管への影響があり、高齢の方や他の薬を服用している方では使い方に配慮が必要です。
注射の効果は限られること:ステロイド注射の効果は短期的とされ、繰り返し使うことには慎重さが求められます。
体重管理の新しい選択肢:2024年のSTEP 9試験(NEJM)では、肥満のある膝OAの方407人に、セマグルチド(週1回注射)を68週間投与しました。体重は13.7%減少(プラセボ群3.2%減)、膝の痛みの評価点(WOMAC疼痛、100点満点)は41.7点低下(プラセボ群27.5点低下)し、体重の減少が痛みの軽減に大きく関わることを示唆する結果です。一方で、プラセボ群でも痛みは軽くなっており、肥満のない方への効果は、この試験からは分かりません。
日々の困りごとに届きにくいこと:朝の動き出し、冷えや天候での悪化、むくみ、膝に水がたまりやすい体質などは、画像や薬の効果だけでは対応しにくい部分です。
西洋医学 vs 中医学 アプローチ比較
膝OAに対する西洋医学と中医学のアプローチを整理します。両者は対立するものではなく、組み合わせることで、より幅広いサポートが可能になります。
| 観点 | 西洋医学的アプローチ | 中医学的アプローチ |
|---|---|---|
| 病態の捉え方 | 軟骨・滑膜・軟骨下骨・筋肉の変化と、炎症・力学的負荷を画像や症状で評価する | 肝腎の不足を土台に、風寒湿の邪・痰湿・瘀血が加わった状態(本虚標実)として、体質ごとに把握する |
| 治療の目標 | 痛みの緩和、関節機能の維持、ADL・QOLの改善 | 痛みを和らげるとともに、膝を支える土台(筋骨・気血・水の巡り・冷え)を整え、動きやすさを取り戻す |
| 主な治療手段 | 運動療法・体重管理・NSAIDs・関節内注射・手術 | 弁証に基づく漢方処方、鍼灸(膝周囲と全身の経穴)、養生指導 |
| 長所 | 診断基準が明確。手術を含め、構造そのものに介入できる | 体質全体に働きかけられる。冷え・むくみ・疲れなど、膝以外の不調も含めて診られる |
| 限界・課題 | 症状緩和が中心。疾患の進行を止める薬は未確立 | 研究の確実性は高くない。軟骨を再生させたという確立したデータはない。個人差が大きい |
中医学からの膝OA病態分析
中医学では、膝OAを「膝痹(しっぴ)」「骨痹(こつひ)」などの範疇として捉えます。『黄帝内経・素問』の痺論には、風・寒・湿の三つの気が合わさって痺(痛みやしびれを生じる病態)になるとあり、風が勝てば行痺、寒が勝てば痛痺、湿が勝てば着痺と分類されます。
また、脈要精微論には「膝は筋の府」「骨は髄の府」とあり、宣明五気には「肝は筋を主り、腎は骨を主る」とあります。清代の『張氏医通』には、「膝痛は肝腎の虚によらないものはなく、虚すれば風寒湿がこれを襲う」という趣旨の記載があります。
現代の中医学でも、根本に肝腎の不足(本虚)があり、そこに風寒湿の邪・痰湿・瘀血などが加わって痛みが生じる「本虚標実」として整理されます。脈診・舌診・腹診・問診による弁証(べんしょう)で体質のパターンを見極め、処方と鍼灸の方針を決めます。膝OAでよく見られる証は次のとおりです。
肝(筋を主る)と腎(骨を主る)の精血が不足し、筋骨が養われにくい状態。腰や膝がだるく、鈍い痛みが繰り返し、動いたあとに悪化しやすい。舌が淡く、脈が沈む傾向がある。牛車腎気丸・八味地黄丸・独活寄生湯などが検討される。
冷えや雨天・湿気で痛みが増し、温めると楽になる。膝が重だるく、こわばる。桂枝加朮附湯・薏苡仁湯などが検討される。
膝が腫れて熱感があり、触れると熱い。痛みが強く、急に悪化したときに多い。熱感の強い時期には越婢加朮湯などが検討される。
膝に水がたまりやすく、むくみ・疲れやすさ・汗の多さを伴う。脾の運化(飲食物から気血や津液をつくり、水分を巡らせる働き)が低下し、余分な水が滞った状態。防已黄耆湯などが検討される。
刺すような痛みが同じ場所に続き、夜間に悪化しやすい。過去の膝のけがや半月板損傷があることも多い。疎経活血湯・桂枝茯苓丸などが検討される。
全身のだるさがあり、筋力が落ちやすく、歩くと疲れる。顔色がさえない。十全大補湯・補中益気湯などが検討される。
防已黄耆湯は、色白で筋肉が柔らかく水太りの体質で疲れやすく、汗が多く、下肢にむくみがあり、膝関節が腫れて痛むものに用いると、医療用製剤の添付文書に記載されています。中医学的には、気を補い、風湿を除き、脾を助けて水をさばく(益気祛風・健脾利水)働きを持つとされ、「痰湿・水滞」の型に対応する処方として位置づけられます。甘草を含むため、血圧や血清カリウム値に留意しながら用います。
漢方・鍼灸に関する研究報告の現状
膝OAに対する鍼灸は、国際的にも多くの臨床試験が行われており、漢方については日本で臨床研究が報告されています。ただし、結果には幅があり、「確実に効く」と言い切れる段階ではありません。
鍼灸では、偽鍼(効果のない鍼)を使った比較の設計が難しく、どちらの施術を受けたか分からないようにする盲検化が困難です。漢方では、体質に合わせて処方を変えるため、同じ処方を一律に比べる試験とは相性がよくありません。こうした研究方法上の課題があり、エビデンスの確実性は低い、または非常に低いと評価されることが少なくありません。
鍼灸に関する研究
2024年にBMJ Evidence-Based Medicineに発表された、80件のランダム化比較試験(9,933人)の統合解析(Liuら)では、鍼は偽鍼に比べて痛みを軽減する可能性が示されました。ただし、エビデンスの確実性は「非常に低い」と評価されています。また、電気鍼が手による鍼より痛みの軽減が大きい傾向が示され、偽鍼との比較では、ランダム化から26週・52週時点の差は検出されませんでした。
2026年にEClinicalMedicineに報告された、上海の6病院による480人の試験(Hangら)では、電気鍼を週3回・6週間行った群で、6週時点のWOMAC総合スコアの改善が偽鍼群より大きく(調整後の平均変化は65.35対24.76)、効果は30週まで続きました。重篤な有害事象はありませんでした。2021年にArthritis & Rheumatologyに発表されたTuらの試験でも、電気鍼を週3回・8週間行うことで、偽鍼より痛みと機能が改善し、26週まで続いたと報告されています。
一方で、偽鍼との差が示されなかった試験(2006年のScharfら、2014年のHinmanら)もあります。また、運動療法を中心とした理学療法に鍼を加えても、上乗せの効果は示されなかったとする報告があります。米国リウマチ学会・関節炎財団の2019年のガイドラインは、鍼治療を膝OAに対して条件付きで推奨しています。これらを総合すると、鍼灸は運動を置き換えるものではなく、痛みを和らげて運動や日常の活動を続けやすくする位置づけで考えるのが現実的です。
漢方に関する研究
防已黄耆湯については、北海道大学のグループが、関節水腫を伴う原発性の膝OAの患者50人を対象に、ロキソプロフェン単独群と、ロキソプロフェンに防已黄耆湯(1日7.5g)を併用する群を12週間比較しています(Majimaら、2012年)。膝の評価点は両群で改善し、階段の昇り降りの能力は、単独群に比べて併用群で有意に改善しました。関節液の量も、併用群で4週・8週・12週時点で減少していました。副作用は口渇が1例でした。症例数の少ない試験であり、効果を確立するものではありませんが、水がたまる膝OAに対する漢方の臨床的な手がかりとして参考になります。
ラットを用いた基礎研究でも、防已黄耆湯が関節の腫れ・痛み・骨棘の形成を抑える可能性が報告されていますが、人での確認は今後の課題です。中国では、独活寄生湯とヒアルロン酸の関節内注射を併用する小規模な臨床研究が報告されています。体質(証)に合わせた漢方の質の高い比較試験は少なく、今後の研究が待たれる分野です。
タナココにおける漢方・鍼灸のサポート
タナココの漢方では、肝腎の不足・水の巡り・冷え・血の滞りといった体質の偏りを整えることで、膝を支える力を高め、痛みや腫れを起こしにくい状態を目指します。膝OAでは、主に次のような方向性で、弁証に基づいて処方を選びます。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):膝に水がたまりやすく、むくみ・汗の多さ・疲れやすさのある体質に。気を補い、水をさばく。膝OAに用いられる代表的な処方のひとつ。
薏苡仁湯(よくいにんとう):膝が重だるく、天候や湿気で痛みが強まるタイプに。湿を除き、関節の動きを助ける。
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう):冷えると痛みが強まり、温めると楽になるタイプに。体を温めて、関節の痛みを和らげる。附子を含む。
疎経活血湯(そけいかっけつとう):過去のけがの影響や、夜間・動き始めの強い痛み、筋肉のこわばりを伴うタイプに。血の巡りを整え、風湿を除く。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん):腰や膝のだるさに、下肢のしびれ・むくみ・夜間の頻尿を伴うタイプに。腎を補い、水の巡りを整える。附子を含む。
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう):膝の腫れと熱感が強い時期に。余分な水と熱をさばく。麻黄・石膏を含み、胃腸が弱い方や血圧・心臓に不安のある方は慎重に用いる。
これらは単独ではなく、弁証に基づいて組み合わせます。甘草・麻黄・附子を含む処方では、血圧、血清カリウム値、心臓への影響を確認します。現在服用している鎮痛薬・降圧薬などとの重複や相互作用は、薬剤師が確認したうえで、並行できる形で提案します。
鍼灸では、膝まわりの経穴と全身の経穴を組み合わせ、痛みを和らげるとともに、膝を支える筋肉・血流・体質を整えます。冷えのタイプには、お灸で温める施術も取り入れます。膝OAでよく用いられる経穴の例は次のとおりです。
内膝眼・外膝眼(ないしつがん・がいしつがん):膝のお皿の下の両側にあるくぼみ。膝関節の痛み・腫れに用いられる代表的な経穴。
梁丘(りょうきゅう)・血海(けっかい):太ももの前面、お皿の外上方と内上方。膝を支える太ももの筋肉の緊張をゆるめ、血の巡りを整える。
陽陵泉(ようりょうせん)・陰陵泉(いんりょうせん):膝の外下方と内下方。陽陵泉は筋に関わる病に、陰陵泉は余分な水(湿)をさばく目的で用いる。
足三里(あしさんり):脾胃の働きを助け、全身の気血を補う。体力や筋力を支える目的で用いる。
太谿(たいけい):腎の経絡の経穴。腎を補い、土台の弱りに対応する。
鍼の刺激の方法や強さ、施術の間隔は、膝の状態・体質・ご希望に合わせて相談しながら決めます。「鍼灸ははじめて」という方も、まずご相談ください。
タナココでは、整形外科での診断や、現在受けている治療(痛み止め・注射・リハビリなど)の内容をお聞きし、それと組み合わせる形で漢方・鍼灸を考えます。運動や体重管理についても、膝の状態に合わせた進め方を一緒に考えます。「手術を勧められているが、その前にできることを試したい」という段階でのご相談も歓迎します。
「痛み止めが手放せない」「注射を続けているが変わらない」「階段や外出を避けるようになった」「膝に水がたまりやすい」——どのような状況でも、現状をお聞きすることから始めます。薬剤師・鍼灸師・心理士の資格を持つ担当者が、西洋医学と中医学の両面から、一人ひとりに合った提案をいたします。
よくある質問(FAQ)
変形性膝関節症は、漢方や鍼灸で治りますか?
軟骨がすり減ったら、もう戻らないのですか?
レントゲンで「骨と骨が近づいている」と言われました。手術以外に方法はありますか?
痛み止めやヒアルロン酸注射を受けています。漢方・鍼灸と併用できますか?
膝に水がたまります。漢方で対応できますか?
鍼灸は何回くらい通うと、変化を感じますか?
運動や体重管理は、何から始めればよいですか?
どのような場合は、先に整形外科を受診すべきですか?
変形性膝関節症──「年齢のせい」で終わらせない選択肢があります
膝の痛みは、レントゲンの変形だけで決まるものではありません。滑膜の炎症、水のたまり、筋力、体重、冷えや天候への反応、体質など、働きかけられる要素が複数あります。
変形した軟骨を元に戻すことが確立していない以上、目標は、痛みを軽くし、膝を動かしやすくして、行きたい場所へ歩ける日々を取り戻すことです。その目標に向けて、漢方と鍼灸でできることを、最後まで手を尽くして考えます。
「痛み止めが手放せない」「注射を続けているが変わらない」「手術と言われたが、その前にできることを試したい」「階段や外出を避けるようになった」——どのような状況でも、現在の膝の状態と治療の経過をお聞きすることから始めます。薬剤師・鍼灸師・心理士の資格を持つ担当者が、西洋医学と中医学の両面から、一人ひとりに合った提案をいたします。
痛みが軽くなる道筋は、一つではありません。今の膝の状態を、まずお聞かせください。
