チック(トゥレット症候群)と漢方と心理療法

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

漢方の相談では、お子さんの「チック」についても相談もあります。

 

チックは小児に最も多くみられる「運動過多症」です。

 

チックとは

チックは、本人の意思とは関係なく、体の一部が突発的に、急速に、繰り返して、非律動的な筋肉の運動 or 発声することを言います。チックには、運動性チックと音声チックがあります。

症状としては

まばたき
鼻にしわを寄せる
顔をしかめる
頭を小刻みに振る
頭を激しく動かす
指を鳴らす
咳をする
うなる
鼻を鳴らす
音やフレーズを繰り返す

などがあります。

このほか

顔の表情を変える
跳ねる
人やものに触る
匂いを嗅ぐ
状況に合わない言葉
汚言(社会的に受け入れられない言葉)を発する

などの症状が見られることもあります。

チックは他の神経学的症状とは異なり、完全に我慢ができないわけではなく、中にはある程度我慢できる方もいます。また、チックが起こる直前に体の部位に「ムズムズ感」「掻痒感」を感じたり、チックが起こった後に「スッキリ感」などの「開放感」を感じる方もいます。

 

チックの経過

チックの男女比は4:1で、数週間〜数ヵ月で自然に消失する一過性チック、約1%で慢性化(1年以上持続する)する慢性チック、2つ以上の運動チックと1つ以上の音声チックが慢性的に認められるトゥレット症候群があります。

慢性チック、トゥレット症候群であっても多くは徐々に症状が軽くなり、生活に支障のないごく軽いチック(軽い咳払いなど)や症状が消失することもあります。

チックの自然経過として、部位、種類、頻度が変動したり、 軽快や増悪を繰り返し一進一退することがありますが、長期的な経過としては、10歳〜15歳くらいに最悪時を迎えて、成人期初めまでに消失や軽快に転じる場合が 80~90%とされています。

チックは心理的要因、疲労などによっても変動することがあります。不安や緊張の大きな変化、興奮、疲労、月経前に悪化したり、気持ちが落ち着いている時や、集中時、睡眠時は軽快します。

トゥレット症候群の場合、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、強迫性障害(OCD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)などが合わせてみられていることもあります。家族内発症も見られ遺伝的要因もありますが、それ以外の発症例もあります。現時点では遺伝子検査はありません。症状増悪のきっかけには心理社会的ストレスが影響することもあります。

感染症がチックを増悪させるとする報告もありますが、可能性としてはおそらく限定的であり、その後の研究では症状の増悪や発症との間に関連性は見出されなかったとしています。

 

チックの対処法

チックの大半は1年未満で症状が見られなくなる一過性チックです。
チックを理解・対処する上での大切なポイントとして

・10人に1〜2人に見られる発達期によくある問題であるということを知ること
・チックは脳機能の発達の問題であり、保護者の育て方などの環境要因の問題から生じるわけではないこと
・「発達期によく起こる問題」であって過剰に不安にならず様子を見守ること
・チックは子どもの意思とは関係なく生じるものなので、チックが出たことを叱ったり、チックが出ないように注意したりしないこと
・緊張したとき、緊張が解けたとき、ストレスがかかったときに起こりやすいということを理解すること
・症状は増えたり減ったり、種類が変わったりすることも多いので、症状の変化に過度に反応しないこと
・チックの症状を本人の特徴の一つとして受け入れた上で、長所を含めた本人全体を考えて対応すること

などが挙げられます。

先に述べた様に、自然軽快することも多いので、生活に大きな支障がなければ、周囲の理解とともに環境整備を行い経過観察するのも1つの方法です。

生活への影響が大きい場合は、西洋薬での薬物療法、認知行動療法など心理療法、漢方薬などの中医学的アプローチで症状をある程度コントロールできる可能性があります。

*トゥレット症候群は吃音と同様に「発達障害者支援法」の対象です。症状の軽快が見られない場合は専門家のいる医療機関を受診してください(日本トゥレット協会ホームページに専門家のいる主な医療機関が掲載されています)。

*チックに対する認知行動療法として、ハビットリバーサルを中心とするチックのための包括的行動的介入(CBIT:シービット)が効果的なこともあります。

 

チックの漢方治療

チックは、本人の意思とは関係なく、体の一部が突発的に、急速に、繰り返して、非律動的な筋肉の運動 or 発声し、ストレスで悪化することから、中医学的には「肝」と「腎」そして「血」へのアプローチが有効と考えられます。

これらを基本に考え、主訴や体質、症状の変化にあわせて処方を調整します。経過を見なが組み合わせる漢方薬は変わっていきます。

丁寧な調整をすることで良くなることもありますが、漢方だけでなく、関わり合い方、環境調整、心理療法などと組み合わせるとより効果的です。

 

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