心因性非てんかん性発作と漢方・鍼灸

心因性非てんかん性発作(PNES)とは|診断・発症の仕組み・治療の現状と漢方・鍼灸によるサポート|相模原 タナココ
心因性非てんかん性発作(PNES)・機能性発作 × 漢方・鍼灸 / 相模原 タナココ

心因性非てんかん性発作(PNES)とは──
診断・発症の仕組み・治療の現状と、体質から整えるアプローチ

「てんかんではないと言われたが、発作は続いている」——診断がついても、その後に何をすればよいか分かりにくい病気です。

PNESの発作は、本人が意図して起こしているものではありません。脳の異常放電ではなく、脳と体の情報処理や自律神経の反応が関わる、実際に起こる神経症状です。

2025年12月には米国神経学会が、機能性神経障害として同学会初のガイドライン(機能性発作の管理)を公表し、適切な治療による改善の可能性が示されました。タナココは、その治療を土台に、漢方・鍼灸で体質面から回復を支えます。

最終更新日:2026年11月6日

心因性非てんかん性発作(PNES)の理解と体質へのアプローチ

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心因性非てんかん性発作(PNES)とは何か

心因性非てんかん性発作(Psychogenic Nonepileptic Seizures、以下PNES)とは、てんかん発作に似た意識・運動・感覚の変化が突然起こるものの、てんかんに特徴的な脳の異常放電(てんかん性の脳波異常)を伴わない発作の総称です。近年は、心理的な要因だけに原因を限定しない呼び方として「機能性発作(functional seizures)」「解離性発作(dissociative seizures)」とも呼ばれます。

診断名としては、ICD-11では「解離性神経学的症状症、非てんかん性発作を伴うもの(6B60.4)」、ICD-10では「解離性けいれん(F44.5)」に分類されます。DSM-5-TRでは、変換症/機能性神経症状症(転換性障害)の「発作またはけいれんを伴うもの」にあたります。

頻度は低くありません。日本神経学会のてんかん診療ガイドライン2018によると、てんかんを疑って初めて受診した方の5〜20%、難治性てんかんとして手術適応を検討された方の15〜30%がPNESとされています。一般人口では、年間発症が10万人あたり1.4〜4.9人、有病率が10万人あたり2〜33人と推定されています(Sammarraら, 2024年の系統的レビュー)。2023年には、診断までの期間や予後を踏まえた推計研究で、米国の有病率が10万人あたり約108人と、従来の推定を上回る可能性も示されています(ただし他の地域にそのまま当てはめることはできません)。

「心因性」という言葉について:

PNESは、本人が意図して起こしているものではなく、仮病や演技でもありません。また、はっきりした心理的な出来事が見つからない方もいるため、現在の診療では「機能性発作」という呼び方が広く使われています。本ページでは、検索で使われることの多い「PNES」を主な呼称として用います。
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PNESの診断基準と診断の進め方

PNESの診断は、発作の見た目だけでは確定できません。てんかんとの鑑別が前提となり、日本のガイドラインでも、症状だけではPNESと診断できないとされています。国際抗てんかん連盟(ILAE)の作業部会(LaFranceら, 2013年)は、利用できる検査に応じた4段階の診断確実性を示しています。

診断レベル必要な情報脳波所見
可能性あり(possible)本人・目撃者による発作の説明発作間欠期の脳波にてんかん性異常がない
可能性が高い(probable)医師が実際の発作または動画でPNESに典型的な症状を確認同上
臨床的に確立(clinically established)てんかん診療に習熟した医師が、実際の発作または動画で確認発作時の(動画なしの)脳波にてんかん性異常がない
確定(documented)てんかん診療に習熟した医師が、発作時ビデオ脳波で確認発作の直前・最中・直後にてんかん性異常がない

1)PNESに多いとされる発作の特徴(参考所見)

日本のガイドラインは、次の特徴をPNESを疑う参考所見として挙げています。いずれも単独では診断の根拠にならず、総合的に判断されます。

  • 発作の持続が長い/発作中に症状の強弱が変動する
  • 左右非対称・非同期な体の動き/骨盤を突き出す動き/頭や体を左右に振る動き
  • 発作中に目を閉じている/泣く/発作の内容を覚えている
  • 発作後のもうろう状態がない/睡眠中のようにみえて脳波では覚醒している

なお、尿失禁や舌かみはPNESでも起こり得るため、これらがあってもPNESは否定されません。発作後10〜20分以内の血中プロラクチンの著しい上昇は、PNESの可能性を低くする所見とされています。

2)てんかんの併存と心の状態の評価

米国神経学会(AAN)のガイドライン(2025年12月公表、Neurology誌)は、発作の詳細な聴取、目撃者への聞き取り、スマートフォンで撮影した動画の確認、必要に応じたビデオ脳波を勧めています。また、PNESと診断された方に対して、てんかんの併存と精神疾患の併存を評価することも推奨しています。

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症状:発作とその前後、生活への影響

PNESの症状は多様です。同じ方でも、発作の型が複数あることがあります。

発作中にみられる症状

  • 全身や手足のふるえ、ひきつけのような動き
  • 脱力して倒れる、反応が乏しくなる
  • 数分以上続く/強さが途中で変わる
  • 目を閉じている、泣く

発作の前後

  • 動悸や息苦しさなど、自律神経の高ぶりが先行することがある
  • 発作後は比較的早く回復し、もうろう状態が少ないことが多い
  • 本人が前ぶれを自覚しないまま起こることもある

併存しやすい症状

  • 不安、抑うつ、トラウマ関連の症状、解離症状
  • 睡眠の問題、頭痛(片頭痛)、痛み、認知面の不調
  • てんかんの併存(一部の方)

生活への影響

  • 救急受診や入院を繰り返す
  • 就学・就労に影響が出る、発作への不安から外出を控える方もいる
  • 診断前に抗てんかん薬を長期間服用していることがある

PNESは女性に多いことが知られています(英国のCODES試験の参加者368人では72%が女性)。ただし、男性や子どもにも起こります。

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発症のメカニズム

PNESは、単一の原因では説明できず、複数の要因が重なって起こると考えられています。脳に構造的な損傷があるわけではなく、脳のネットワークの働き方が変わることで生じる「機能性」の症状です。

1)統合認知モデル:発作の「型」が自動的に起動する

Brown と Reuber(2016年、Clinical Psychology Review)の統合認知モデルでは、強い脅威の知覚、自律神経の高ぶり、慢性的なストレス、過去の発作の記憶と結びついた刺激などが引き金となり、脳の中に形成された「発作の型(seizure scaffold)」が自動的に起動すると考えます。その背景には、高次の抑制機能の働きにくさがあるとされます。起動した発作は、本人が自覚する感情や自律神経の反応とは切り離されて起こることもあります。日本のガイドラインも、発症直前の生活環境の変化や、家族関係などの生活史を丁寧に聞き取る重要性を述べています。

2)解離と、体からの信号の受け取り方

Korekiら(2020年、Epilepsia)の研究では、機能性発作の方で、体の内側の感覚(内受容感覚)の処理に特徴がみられ、解離の傾向や発作の頻度と関連することが報告されました。機能性神経障害のメカニズムに関する最近の総説でも、注意・感情の処理・運動制御・内受容を担う脳ネットワークの変化と、脳が過去の経験に基づく予測を優先しやすくなる「予測符号化」の観点から整理されています。これらは「気のせい」ではなく、脳と体の情報処理の変化として研究が進んでいる分野です。

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現在の治療とその限界

PNESの治療は、まず診断を明確に伝えるところから始まります。日本のガイドラインは、診断を、非難のニュアンスなしに、「良い知らせ」として明確に伝えることを勧めています。AANのガイドラインも、診断は明確で共感的に伝え、必要に応じて家族も治療の話し合いに加わることを推奨しています。診断の説明を受けただけで発作が消失した方が多かったとする小規模な報告もあります(2014年の後方視的研究、27例)。

抗てんかん薬の扱い

PNESのみの場合、抗てんかん薬は効果が期待できません。AANガイドライン(2025年)は、てんかんの併存などの理由がなければ、ベンゾジアゼピン系を含む抗てんかん薬を処方せず、服用中の場合は減らしていくよう勧めています。減量には、てんかんが隠れていた場合の発作や、離脱症状のリスクがあるため、主治医の管理下で慎重に行われます。

心理的な治療

研究・指針内容と結果注意点
大規模RCT(Goldstein ら, 2020年, Lancet Psychiatry、CODES試験)月2回を超える発作があるPNES成人にCBTを4か月実施。発作頻度が有意に減少小規模な研究
CODES試験(Goldsteinら, 2020年, Lancet Psychiatry)英国の368人。標準的な医療にCBTを追加した群では、発作がない期間が長く、発作の煩わしさが少なく、生活の質も良好主要評価項目である12か月時点の月間発作回数では、有意差なし
AANガイドライン(2025年12月)心理的介入は、発作の消失、頻度の減少、不安の軽減、生活の質の改善に「有効の可能性あり」。発作に特化したCBT、ニューロビヘイビアル療法、逆説療法、動機づけ面接を併用した心理療法などが対象エビデンスが限られる領域が多く、診断技術の向上も課題とされる

薬物療法については、抗うつ薬セルトラリンの小規模な二重盲検比較試験では、実薬群で治療前後の減少はみられたものの、プラセボ群との間に発作頻度の有意な差は示されませんでした(Baslet, 2012年の総説)。併存するうつや不安には、症状に応じた薬物療法が検討されます。

現在の治療の限界

治療を受けても残りやすい課題

治療につながりにくい:AANは、機能性発作の多くの方が、的を絞ったエビデンスのある治療を受けられていないと指摘しています。機能性発作を扱える心理職や精神科医が少ないこと、通院が続かないことも、治療の障壁として報告されています。診断までに平均約7年かかるとの報告もあります(Baslet, 2012年の総説)。

発作が残る方がいる:予後に関する系統的レビュー(Durrantら, 2011年)では、成人の予後は良くないとされ、てんかんや精神疾患の併存、激しい発作、依存的な生活、人間関係の困難が不良因子として挙げられています。一方、小児では予後が良いと報告されています。

発作以外の困りごと:不安や睡眠の問題などは、発作の治療とは別に残ることがあり、日常生活や治療の継続に影響します。体質面(睡眠、疲労、冷え、胃腸の状態など)への働きかけは、現在の治療の中心には含まれていません。

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西洋医学 vs 中医学 アプローチ比較

西洋医学中医学(漢方・鍼灸)
病態の捉え方脳・自律神経・感情処理の機能的な変化と、心理社会的要因気・血・津液の巡りと、心・肝・脾・腎の働きの偏り(証)
診断の手がかり病歴、目撃情報、動画、ビデオ脳波、心理評価脈診・舌診・腹診・問診による弁証
主な手段診断の説明、心理療法、環境調整、併存症の治療漢方薬、鍼灸、生活養生
得意な点てんかんとの鑑別、安全の確保、発作への直接的な介入不安・不眠・疲労・冷え・胃腸・月経など体質面の症状への対応
課題治療を担える専門家が少ない。体質面の症状が残りやすいPNES自体への比較試験が乏しい。診断・心理治療の代わりにはならない

両者は対立するものではなく、診断と心理的な治療を土台に、体質面を中医学で支える、という役割分担が現実的です。

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中医学からのPNES病態分析

中医学には、PNESに一対一で対応する病名はありません。発作的な意識の変化や手足のひきつけ・脱力は、古くから「癇証」「厥証」などの類似した症状として、感情の失調に伴う不調は「鬱証」「臓躁(ぞうそう)」として論じられてきました。てんかんとPNESの鑑別は西洋医学で行い、中医学では「今のこの方の体の状態」を、脈・舌・腹・問診から読み取る弁証によって把握します。PNESの方でみられることのある証の例は次のとおりです。

かんきうっけつ
肝気鬱結(緊張・ストレス型)

緊張や抑え込んだ感情で気の巡りが滞る状態。いらだち、ため息、胸や脇の張り、発作前の強い緊張がみられる。柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散、加味逍遙散などが検討される。

たんきうっけつ
痰気鬱結(のどの詰まり・めまい型)

気の滞りに余分な水分(痰湿)が絡む状態。のどの詰まり感、胸のつかえ、吐き気、めまい、頭重を伴う。半夏厚朴湯、温胆湯などが検討される。

しんぴりょうきょ
心脾両虚(疲労・不眠型)

思い悩みや消耗で、心(精神活動)と脾(消化・気血の産生)が弱った状態。不眠、動悸、食欲不振、倦怠感、驚きやすさが目立つ。帰脾湯、加味帰脾湯、桂枝加竜骨牡蛎湯などが検討される。

ぞうそう
臓躁(感情の波が大きい型)

体を潤す血や陰が不足し、感情が揺れやすい状態。理由なく涙が出る、あくびが多い、眠りが浅いなどがみられる。古典『金匱要略』の臓躁に用いられる甘麦大棗湯、不眠が強ければ酸棗仁湯などが検討される。

ご注意:

上記の処方名は考え方の例であり、特定の処方をお勧めするものではありません。同じPNESでも証は一人ひとり異なり、複数の証が重なることもあります。処方は、年齢・体質・服薬状況を確認して決めます。抗てんかん薬や向精神薬を服用中の方は、薬剤師が併用の可否を確認します。
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漢方・鍼灸に関する研究報告の現状

研究の現状と限界:PNESを対象とした漢方の比較試験は、今回の調査では確認できませんでした。鍼灸については、小規模な予備的研究が1件あります。「確実に効く」と言える段階ではなく、今後の研究が待たれる分野です。

耳鍼灸の予備的研究(Maaら, 2020年, Epilepsy & Behavior)

米国のてんかんセンターで、PNESと診断された方に、週2回・8週間の耳鍼(耳のツボに鍼を刺す方法)を行った単一施設の予備的研究です。29人が登録し、基準を満たした22人が参加しました。91%が16回中12回以上の治療を完了し、有害事象は軽度で、発作頻度の増加により中止した方は2人でした。治療を1回以上受けた21人のうち、11人(52%)で発作頻度が50%以上減少し、3人(14%)は研究終了時に発作がありませんでした。著者らは、鍼灸は忍容性が高く、発作頻度の減少の程度はCBTの予備的研究と同程度と述べています。

ただし、対照群のない単群の研究で、自然経過やプラセボ効果と区別できません。休薬期間後に8人(38%)で50%減少が維持された一方、6人(29%)は元の頻度に戻っています。

漢方の症例報告

国内では、心因性発作に半夏厚朴湯が著効した1例の報告があります(山下ら, 『漢方と診療』24巻6号, 2016年)。症例報告であり、効果を確立するものではありません。

現時点での位置づけ

PNESの治療の中心は、診断の確定と心理的な介入です。漢方・鍼灸は、不安・不眠・疲労・冷え・胃腸の不調など体質面の症状を支え、治療を続けやすい状態を整える補完的な選択肢として位置づけられます。発作そのものへの効果は、今後検証されるべき課題です。

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タナココにおける漢方・鍼灸のサポート

漢方薬による体質へのアプローチ

タナココでは、気・血・津液の巡りを整え、緊張と消耗が重なりにくい体の状態をつくることを目的に、弁証に基づいて処方を選びます。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):緊張・動悸・不眠・いらだちが重なり、気の滞りが目立つ場合に。

抑肝散(よくかんさん):いらだち、筋肉のこわばり、寝つきの悪さがある場合に。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):のどの詰まり感、不安、吐き気を伴う場合に。

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう):感情の波が大きく、涙もろさや眠りの浅さがある場合に。

帰脾湯(きひとう):疲労、不眠、動悸、食欲不振が重なる場合に。

甘草を含む処方の重複や、服用中のお薬との相互作用は、薬剤師が確認します。

鍼灸施術によるアプローチ

鍼灸では、自律神経の緊張をゆるめ、眠りや消化を整えることを目的に、体質に合わせて経穴を選びます。

百会(ひゃくえ)・神門(しんもん)・内関(ないかん):不安、動悸、不眠など、心の落ち着きに関わる症状に。

太衝(たいしょう)・合谷(ごうこく):緊張やいらだち、肩や首のこわばりに。

足三里(あしさんり)・三陰交(さんいんこう):疲労、冷え、胃腸の弱さ、月経の乱れに。

必要に応じて、研究が行われている耳のツボ(耳鍼)も検討します。細い鍼を使い、刺激の弱い方法から始めますので、鍼灸がはじめての方やお子さんも、まずご相談ください。

ご来院にあたって

タナココでは、主治医による診断と、心理的な治療を優先していただいたうえで、それと並行する形で漢方・鍼灸を考えます。次の点をお伝えいただくと、より的確なご提案ができます。

  • 診断の経過(どの検査で、どの診断を受けたか)と、服用中のお薬
  • 発作の記録(日時、状況、前ぶれ、持続時間、回復までの時間)。動画があれば診療にも役立ちます
  • 睡眠、食事、冷え、疲れやすさ、月経などの体の状態

抗てんかん薬など処方薬の自己中止はお勧めしません。漢方・鍼灸を併用していることは、主治医にもお伝えください。

PNESは、診断を受けたあとに、何をすればよいのか分からなくなりやすい病気です。「てんかんではないと言われたが、発作は続いている」「薬をやめて大丈夫なのか不安」「発作が怖くて外に出られない」——どのような状況でも、これまでの経過をうかがうことから始めます。

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よくある質問(FAQ)

心因性非てんかん性発作(PNES)は治りますか?
PNESは、診断を正しく理解し、適切な治療につながることで、発作の頻度が減る方や、発作がなくなる方がいます。2025年の米国神経学会ガイドラインでも、適切な治療により発作の頻度の減少、不安の軽減、生活の質の改善につながる可能性があるとされています。一方で、経過には個人差があり、成人では回復に時間がかかる例も報告されています。診断の確定、心理的な治療、生活環境の調整を土台に、漢方・鍼灸で体質面を支えながら、段階的に回復を目指すことが大切です。
PNESの発作は、わざと起こしているのですか?
いいえ。PNESの発作は、本人が意図的に起こしているものではありません。日本神経学会のてんかん診療ガイドライン2018でも、多くは詐病ではなく、内的な葛藤などを背景に生じる発作と説明されています。発作中の本人にとっては、止めたくても止められない、実際に起こっている症状です。
抗てんかん薬は、自分の判断でやめてもよいですか?
自己判断での中止は避けてください。PNESのみの場合、抗てんかん薬の効果は期待できず、米国神経学会ガイドライン(2025年)は、てんかんの併存などの理由がなければ処方せず、服用中であれば減らしていくことを勧めています。ただし、てんかんが併存している場合や、薬を急にやめることで離脱症状が出る場合があるため、減量は必ず主治医の管理のもとで進めてください。
漢方や鍼灸はPNESに有効ですか?
PNESを対象とした漢方の比較試験は、今回の調査では確認できませんでした。鍼灸では、耳鍼(耳のツボへの鍼)の小規模な予備的研究(2020年)が1件あり、安全性と実施可能性が示され、一部の方で発作頻度の減少がみられましたが、対照群のない研究のため、効果を確定するものではありません。タナココでは、診断と心理的な治療を土台にしたうえで、不安・不眠・疲労・冷え・胃腸の不調といった体質面の症状を支える目的で、漢方・鍼灸をご提案しています。
子どものPNESでも漢方・鍼灸を受けられますか?
受けられます。小児のPNESは、成人より経過が良いとする報告があり(Irwinら, 2000年:小児35例中66%で発作が消失)、原因となる要因を見つけて早めに対応することが大切です。タナココでは、小児科・神経内科・児童精神科での診断と治療を優先していただき、そのうえで、お子さんの年齢と体質に合わせて、用量を調整した漢方や、刺激の少ない鍼灸(小児鍼など)をご提案します。
発作が起きたとき、家族はどう対応すればよいですか?
落ち着いて、周囲の危険なものを取り除き、頭部を守ってください。無理に体を押さえたり、口に物を入れたりしないでください。初めての発作、けがをした場合、発作後に呼吸や意識が戻らない場合、てんかんとの区別がつかない場合は、救急要請(119番)をしてください。発作の様子はスマートフォンで動画を撮影しておくと、診断の助けになります(米国神経学会ガイドライン, 2025年)。
PNESとてんかんが、両方あることもありますか?
あります。PNESとてんかんが併存する方がいることが知られており、日本のガイドラインも、一つの発作がPNESと確認されても、すべての発作がPNESとは限らないとしています。どの発作がどちらなのかを、主治医と確認しておくことが重要です。

心因性非てんかん性発作(PNES)──「原因不明」「気持ちの問題」で終わらせない選択肢があります

発作は、意志の弱さや演技ではなく、脳と体の働き方の変化によって起こる実際の症状です。診断がついたことは、治療に進むための出発点になります。

診断の確定と心理的な治療を土台に、体質の面からできることがあります。気・血の巡りを整え、緊張と消耗が重なりにくい状態をつくること。眠りと食事、冷えと疲れを立て直すこと。発作への不安を和らげ、安心して外出できる日常に近づくこと。私たちは、そのために漢方と鍼灸でできることを、最後まで考え続けます。

「てんかんではないと言われたが、発作が続いている」「薬をやめることが不安」「子どもの発作でどうすればよいか分からない」——どのような状況でも、これまでの経過をうかがうことから始めます。薬剤師・鍼灸師・心理士の資格を持つ担当者が、西洋医学と中医学、心理的な側面から、一人ひとりに合った提案をいたします。

回復には時間がかかることもありますが、経過を確認しながら、一緒に取り組んでいきます。まずは、ご相談ください。

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