変形性股関節症と漢方・鍼灸

変形性股関節症とは|診断基準・原因・治療の全体像と漢方・鍼灸によるサポート|相模原 タナココ
変形性股関節症 × 漢方・鍼灸 / 相模原 タナココ

変形性股関節症とは──
診断・原因・治療の全体像と、体質から整えるアプローチ

脚のつけ根の痛み、歩き始めのこわばり、靴下のはきにくさが続いている方に向けて、変形性股関節症の診断基準、原因、現在の治療とその限界を整理しました。

すり減った軟骨や変形した骨を元に戻す治療は、現時点では確立していません。一方で、痛みや動きにくさの程度は、治療や体の使い方、生活の整え方によって変わる余地があります。

整形外科での診断と治療を土台に、漢方・鍼灸で痛みが出やすい体質と股関節まわりの状態を整える方法を、タナココの薬剤師・鍼灸師が説明します。

最終更新日:2026年11月3日

変形性股関節症の理解と体質へのアプローチ

この記事の要点

病気の定義:変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、骨の変形や滑膜の炎症を伴って、痛みと動きの制限が生じる慢性の関節疾患です。

日本の特徴:寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全)に続発する二次性が大半を占めます。受診する患者は女性が大多数で、重度の股関節症と股関節痛も女性に多いと報告されています。

診断:症状・身体所見・X線所見を総合して診断します。世界的に合意された単一の診断基準はなく、国際的にはACR分類基準、日本では日本整形外科学会の病期分類(前股関節症・初期・進行期・末期の4段階)が使われています。

治療:患者教育・体重管理・運動療法・薬物療法が基本で、進行期以降は関節温存手術や人工股関節全置換術が検討されます。

限界:すり減った軟骨を元に戻す治療は確立しておらず、運動療法の平均的な効果も大きくないことが2026年のコクランレビューで示されています。

漢方・鍼灸:鍼治療は米国のガイドラインで条件付きの推奨とされていますが、股関節症に限った質の高い研究は限られ、効果が確立している段階ではありません。整形外科の治療と並行する補完的な選択肢として、体質面から支えます。

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変形性股関節症とは何か

変形性股関節症(Hip Osteoarthritis、以下股OA)とは、股関節の関節軟骨が長い時間をかけてすり減り、その周囲の骨や滑膜にも変化が及ぶことで、痛み・動きの制限・歩行の障害が生じる慢性の関節疾患です。X線では、関節の隙間(関節裂隙)の狭小化、骨のとげ(骨棘)、骨の硬化、骨の中の空洞(骨嚢胞)などが見られます。

原因が明らかでない「一次性」と、股関節の形の異常や先行する病気に続いて起こる「二次性」に分けられます。二次性の原因には、寛骨臼形成不全、先天性股関節脱臼、大腿骨頭壊死、ペルテス病などがあります。欧米では一次性が多い一方、日本では寛骨臼形成不全に続発する二次性が大半を占め、国内の解説では80〜90%以上とされています。

加齢だけで起こる病気ではなく、生まれつきの股関節の形が関わることから、中年期に症状が出始める方も少なくありません。「年のせい」と受け止められて受診が遅れたり、痛みを我慢して生活が狭まったりするケースがあります。

「前股関節症」とは:

股関節の形の異常(寛骨臼形成不全など)はあるものの、関節裂隙が保たれていて、まだ明らかな関節症の変化が見られない段階を指します。日本整形外科学会の病期分類では、変形性股関節症の最初の段階に位置づけられます。この段階で股関節の状態を把握しておくと、体重管理や筋力の維持、動作の工夫を早めに始めやすくなります。
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診断基準と病期分類

変形性股関節症の診断は、問診、股関節の身体診察、X線検査を総合して行います。世界的に合意された単一の診断基準はありません。国際的にはACR(米国リウマチ学会)の分類基準が用いられ、日本ではX線所見に基づく日本整形外科学会の病期分類が広く使われています。必要に応じてMRIやCTで、関節唇・軟骨・骨の状態を確認します。

1)ACR(米国リウマチ学会)分類基準(1991年)

臨床+X線による基準

  • 股関節痛があり、次の3項目のうち 2つ以上 を満たす
  • ① 赤沈(ESR)が20mm/時未満
  • ② X線で大腿骨または寛骨臼の骨棘がある
  • ③ X線で関節裂隙の狭小化(上方・軸方向・内側のいずれか)がある
  • 感度89%、特異度91%と報告されている

臨床所見のみによる基準

  • 股関節痛があり、次の①または②を満たす
  • ① 内旋が15°以上で、内旋時に痛みがあり、朝のこわばりが60分以内で、50歳を超えている
  • ② 内旋が15°未満で、赤沈が45mm/時以下(赤沈がない場合は屈曲115°以下で代用)
  • 感度86%、特異度75%と報告されている
分類基準の位置づけ:

これらは研究や診断の目安として作られた分類基準です。実際の診療では、症状の経過、X線などの画像所見、他の疾患との区別を合わせて判断します。前股関節症のように、X線上の変化がまだ軽い段階はこの基準では捉えにくいため、股関節の形(次項)の評価を併せて行います。

2)日本整形外科学会の病期分類

X線所見のうち、関節裂隙の状態、骨構造の変化、臼蓋と骨頭の変化をもとに、前股関節症・初期・進行期・末期の4段階に分けます。治療方針や手術を検討する時期を考える際の基本になります。

病期 X線所見の目安 治療方針の一般的な目安
前股関節症 関節裂隙は保たれている。寛骨臼形成不全など股関節の形の異常がある 経過観察、生活指導、筋力維持。症状や形態により関節温存手術を検討する場合がある
初期 関節裂隙のわずかな狭小化、荷重部の骨硬化など 保存療法が中心。関節温存手術を検討する場合がある
進行期 関節裂隙の明らかな(広範な)狭小化、骨嚢胞・骨棘の形成などが見られる 保存療法を続けながら、症状・年齢・生活に応じて関節温存手術または人工股関節全置換術を検討
末期 関節裂隙が消失し、骨硬化・骨棘形成が著明になる 痛みや生活の支障に応じて、人工股関節全置換術を検討

これらの病期は、一時的に進行が遅れたり止まったりすることもありますが、一般には年齢とともに慢性的に進行すると考えられています。

国際的な疫学研究では、Kellgren-Lawrence(K/L)分類(0〜4の5段階)が用いられます。日本のROAD研究では、K/L 2以上を「X線上の股関節症」、K/L 3以上を「重度」としています。

3)寛骨臼形成不全の評価指標

日本では寛骨臼形成不全が二次性の背景として多いため、X線の正面像で次の指標を測定します。

指標 内容 目安
CE角 大腿骨頭の中心と寛骨臼の外側縁がつくる角度。骨頭がどれだけ外側まで覆われているかを示す 20°未満(20°以下とする基準もある)で寛骨臼形成不全とされる
Sharp角 寛骨臼の傾きを示す角度。大きいほど寛骨臼が浅く、傾いている 45°超で寛骨臼形成不全とされる(40°超とする文献もある)
AHI 骨頭が寛骨臼に覆われている割合 値が小さいほど、骨頭の被覆が不足している

基準値は測定方法や対象により文献ごとに異なるため、最終的な判断は、整形外科医が画像全体を見て行います。

4)鑑別が必要な疾患

股関節痛の原因として区別が必要な主な疾患

大腿骨頭壊死症:大腿骨頭への血流が障害されて骨が壊死し、潰れることで痛みと機能障害が生じる病気です。

大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)・股関節唇損傷:骨の形の違いにより、股関節を深く曲げたときに骨同士がぶつかる状態です。若年から中年の股関節痛の原因となり、将来の股OAの危険因子にもなります。

関節リウマチなどの炎症性関節炎:複数の関節の腫れや、長く続く朝のこわばりを伴うことがあります。血液検査で区別します。

大腿骨頸部の疲労骨折・骨粗鬆症に伴う骨折、感染、腫瘍:安静時や夜間の強い痛み、発熱を伴う場合があります。

腰椎疾患・仙腸関節や筋・腱の痛み:腰部脊柱管狭窄症などで、殿部から脚にかけての痛みが生じることがあります。股関節と腰椎の病気が併存する場合もあります。

早めに整形外科を受診していただきたい症状:

短期間で急に痛みが強くなった、安静にしていても夜間も痛む、発熱を伴う、体重をかけられないほど痛い、転倒後から痛みが続いている、といった場合は、変形性股関節症以外の病気の可能性もあるため、早めに整形外科で診察を受けてください。
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症状:痛み・動き・歩行・生活への影響

初期は、歩き始めや長く歩いたあと、階段の昇り降りで、脚のつけ根に痛みや重さを感じることから始まります。進行すると、痛みの出る場面が増え、動きの制限や歩き方の変化が加わります。症状の重さには個人差があり、同じ病期でも感じ方は異なります。

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痛み・こわばり

脚のつけ根(鼠径部)の痛みが典型的です。殿部、大腿の前面、膝の上のほうに痛みを感じることもあります。歩き始め、長く歩いたあと、階段、立ち上がりで出やすく、進行すると安静時や夜間にも痛むことがあります。

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動きの制限・歩行の変化

股関節の曲げ伸ばし、内旋、開排(脚を横に開く動き)が制限されます。靴下をはく、足の爪を切る、和式トイレや床からの立ち上がり、車の乗り降りが難しくなります。足を引きずる歩き方(跛行)や、脚の長さの差が見られることもあります。

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生活・全身への影響

長い距離を歩けない、立ち仕事や家事・育児が続けにくい、夜間の痛みで眠れない、転倒への不安、といった形で生活に影響します。股関節をかばうことで、腰や膝の痛みが二次的に出ることもあります。

X線所見と痛みの強さは、必ずしも一致しません:

日本の地域住民を対象としたROAD研究では、股関節痛はK/L 3以上の変化と有意に関連しましたが、K/L 2の変化とは有意な関連が見られませんでした。X線で変化があっても痛みが軽い方がいる一方、X線所見が軽くても痛みが強い方もいます。痛みは、骨や軟骨の状態だけでなく、滑膜の炎症、周囲の筋肉の緊張、睡眠や心理面の状態にも影響されると考えられています。
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有病率と日本の現状

日本の地域住民を対象にしたROAD(Research on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability)研究では、X線上の股関節症は決して少なくない一方で、痛みを伴うものはその一部であることが示されています。

対象・指標 数値の目安 特記事項
X線診断による有病率 1.0〜4.3%(男性0〜2.0%、女性2.0〜7.5%) 日本整形外科学会の診療ガイドラインに基づく解説で示された値。前股関節症を含む調査と含まない調査が混在し、診断基準の異なる研究をあわせた結果
X線上の股関節症(K/L 2以上) 男性18.2%、女性14.3% ROAD研究(Iidaka 2016)。平均年齢約70歳の地域住民で、痛みの有無は問わない
重度のX線所見(K/L 3以上) 男性1.34%、女性2.54% 女性は重度の股関節症と股関節痛の危険因子
症状を伴うX線上の股関節症 男性0.29%、女性0.99% X線上の変化があっても、痛みを伴う方は一部
10年間の推移 男性18.4%→16.0%、女性14.4%→10.7% ROAD研究(Iidaka 2022)。2005〜2007年と2015〜2016年の比較で低下傾向。解析対象が異なるため、上記の数値と一部異なる
発生率・進行率 発生率:男性5.6、女性8.4(1,000人年あたり)
進行率:男性2.2、女性6.0(同)
ROAD研究の10年追跡(Iidaka 2020)。進行の危険因子は、ベースラインの股関節痛と寛骨臼形成不全(ハザード比 5.68、14.78)
受診患者の背景 寛骨臼形成不全に続発する二次性が多数 2010年の多施設調査(Jingushi)では、受診患者は女性が大多数。2022年の12施設調査(Sato 2024、1,095例)では、全股関節の73.8%が寛骨臼形成不全に続発する二次性で、青年期・成人の新規患者の大部分を占めた

日本では、1972〜1973年ごろから乳児の先天性股関節脱臼の予防活動が行われてきました。Sato らの研究(J Bone Joint Surg Am 2024)では、1973年以降に生まれた患者で、重度の亜脱臼(Crowe II〜IV型)の割合が2.4%と、1972年以前生まれの11.1%より有意に低く、重度の脱臼性股関節症が減っていることが示されました。一方で、寛骨臼形成不全に続発する二次性の股OAは、現在も新規患者の大部分を占めています。

痛みのないX線上の変化について:

ROAD研究では、X線上の股関節症は住民の14〜18%にみられた一方、痛みを伴うものは0.3〜1%程度でした。変形があることと、日常生活に支障が出ることは同じではなく、痛みや動きにくさへの対応は、変形の有無とは別に考えることができます。
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発症のメカニズム

変形性股関節症は、股関節の形、力学的な負荷、軟骨・滑膜・骨の変化、体重や性別などの要因が重なって進む多因子疾患です。かつては軟骨が摩耗する病気と考えられていましたが、現在は関節全体の病気として理解されています。

1)股関節の形と力学的負荷

股関節は、骨盤側の寛骨臼に大腿骨頭がはまり込む関節です。寛骨臼が浅い寛骨臼形成不全では、骨頭を覆う面積が小さくなり、体重を支える面が狭くなります。そのため軟骨や関節唇に荷重が集中し、長い年月をかけて軟骨の変性が進みやすくなると考えられています。

疫学研究でも関連が示されています。World COACHコンソーシアムの個別参加者データメタ解析(Osteoarthritis and Cartilage 2025、9研究・18,807股関節)では、寛骨臼形成不全があると、4〜8年以内にX線上の股関節症が発生するオッズが1.8倍でした(調整後オッズ比1.80)。日本のROAD研究では、寛骨臼形成不全が股関節症の進行の強い危険因子でした(ハザード比14.78)。

大腿骨頭と寛骨臼の縁が運動中にぶつかる大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)も要因です。CHECKコホート(股関節症のない1,002人)の研究では、FAI症候群がある方は、X線上の股関節症を発症した割合は81%対36%と高く、調整後オッズ比は6.85でした。

2)軟骨・滑膜・骨を含む関節全体の変化

関節軟骨は血管に乏しく、一度傷つくと自然には修復されにくい組織です。負荷が続くと、軟骨の表面に亀裂やすり減りが生じ、軟骨の細胞が基質を分解する酵素や炎症に関わる物質を出しやすくなります。

それに伴って、関節を包む滑膜に炎症が起こり、関節液がたまることがあります。軟骨の下の骨(軟骨下骨)では、骨の硬化、骨嚢胞の形成、血管の増加などのリモデリングが起こり、関節の縁には骨棘ができます。こうした変化に、周囲の筋力低下や関節包の硬さが加わり、動きの制限につながります。軟骨・滑膜・軟骨下骨・周囲の組織が互いに影響し合いながら進むため、近年は「関節全体の病気」として捉えられています。

3)痛みが生じる仕組み

軟骨自体には神経が分布していないため、痛みは主に、滑膜・関節包・軟骨下骨・周囲の筋や靭帯などから生じると考えられています。炎症が強い時期には関節液の増加や熱感を伴い、安静時や夜間にも痛みが出ることがあります。

痛みの強さは、X線所見の重さとは必ずしも比例しません。睡眠の質、不安や気分の落ち込み、周囲の筋肉の緊張なども、痛みの感じ方に影響します。米国のガイドラインでは、認知行動療法も条件付きで推奨されています。

4)主なリスク要因

要因 内容
寛骨臼形成不全 日本の二次性股OAの主な背景。4〜8年以内のX線上の股関節症の発生オッズが1.8倍(World COACHメタ解析)
FAI X線上の股関節症の発症オッズ比6.85(CHECKコホート)
性別 女性は重度の股関節症と股関節痛の危険因子(ROAD研究)。日本の受診患者は女性が大多数
体重 肥満は股関節にかかる負荷を増やす要因。米国のガイドラインでは、過体重・肥満の方の体重減少が強く推奨されている
過去の股関節疾患・外傷 先天性股関節脱臼、ペルテス病、大腿骨頭壊死、骨折などの既往
加齢・遺伝・関節への繰り返しの負荷 年齢、家族歴、重い物の持ち運びなどの負荷が関わると考えられている
股関節症が進む流れ(寛骨臼形成不全に続発する場合)

① 形の異常と負荷の集中:寛骨臼が浅く、荷重を受ける面が狭いため、軟骨と関節唇に負担が集中する。

② 軟骨・関節唇の変性:軟骨の表面に亀裂やすり減りが生じ、関節唇の損傷も起こる。

③ 滑膜炎・関節液の増加:関節内に炎症が起こり、痛みや熱感、動かしにくさが出る。

④ 骨の変化:軟骨下骨の硬化、骨嚢胞、骨棘が形成され、関節裂隙が狭くなる。

⑤ 機能の低下:可動域制限、筋力低下、歩き方の変化が生じ、股関節への負荷がさらに増える。

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現在の治療とその課題

治療は、保存療法と手術療法に大別されます。日本では、日本整形外科学会・日本股関節学会による「変形性股関節症診療ガイドライン2024(改訂第3版)」が2024年5月に発行されています。海外では、米国リウマチ学会/関節炎財団(ACR/AF)の2019年ガイドラインなどが参照されています。

保存療法

治療 位置づけ 課題・限界
患者教育・生活指導 病気の理解、痛みの出る動作の工夫、杖の使用。ACR/AFでは、自己管理プログラムと杖の使用が強く推奨されている 継続して取り組む必要がある。関節の構造そのものを変える治療ではない
体重管理 過体重・肥満の方の体重減少が、ACR/AFで強く推奨されている 痛みで活動量が減ると、体重管理が難しくなることがある
運動療法・理学療法 運動はACR/AFで強く推奨されている。股関節まわりの筋力、可動域、有酸素運動、水中運動などを組み合わせる 2026年のコクランレビュー(Hall ら、18試験・1,368人)では、無治療・通常ケア・簡単な指導と比べて、痛みが約7点、機能が約9点(いずれも100点満点)良くなる程度で、実感できる変化の目安とされる12〜13点には届かなかった。偽の治療と比べると痛みへの効果はほとんどなく、他の治療に運動を加えても上乗せ効果はほとんどなかった。有害事象については確かなことが言えない
温熱療法・鍼治療 ACR/AFで、温熱療法と鍼治療は条件付きで推奨されている 推奨の強さは運動や体重管理より弱く、効果の大きさには個人差がある

薬物療法・注射

治療 ACR/AF 2019での位置づけ 課題・限界
NSAIDs(内服) 強く推奨 胃腸障害、腎機能、心血管系への配慮が必要で、長期使用は慎重に行う
アセトアミノフェン 条件付き推奨 肝機能や1日の総量に注意が必要
トラマドール・デュロキセチン 条件付き推奨 眠気・ふらつき・吐き気などがあり、転倒に注意が必要
関節内ステロイド注射 股関節・膝関節で強く推奨 効果は短期的。膝・股関節の関節内注射を比較した57試験(22,795人)のネットワークメタ解析では、2週時点で痛みの軽減がプラセボより有意だったのはトリアムシノロンのみだった
PRP・幹細胞注射 股関節・膝関節で行わないことを強く推奨 有効性を示す十分な根拠がない

手術療法

手術 内容 主な対象
関節温存手術 寛骨臼回転骨切り術、キアリ骨盤骨切り術、大腿骨骨切り術など。骨の位置を変えて荷重のかかり方を改善し、自分の関節を残す 主に前股関節症・初期で、40〜50歳ごろまでの方。長期の症状改善と進行の抑制が期待される。進行期・末期でも、年齢や希望により大腿骨外反骨切り術とキアリ骨盤骨切り術の併用などを検討する場合がある
股関節鏡手術 内視鏡で関節唇の損傷や骨の出っ張り(FAI)を処置する FAIや関節唇損傷が痛みの主な原因と考えられる方
人工股関節全置換術(THA) 傷んだ関節を人工関節に置き換える 進行期から末期で、痛みや生活の支障が強い方

人工股関節の耐久性については、2019年のLancet(Evans ら)のメタ解析で、各国の登録データでは15年生存率が約89%、20年で約70%、25年で約58%と報告されています(旧世代のインプラントを含み、臨床研究では25年で約78%)。2026年のLancet(Pentland ら、約190万件)では、現在使われている摺動面の人工股関節について、登録データで20年時点の生存率が約94%、外挿による推定で30年時点が約92%とされています。30年の値は推定であり、個別の見通しは年齢や活動量によって異なります。

現在の治療の限界

構造を元に戻す治療は未確立:すり減った軟骨や変形した骨を元に戻す治療や、病気の進行そのものを止める薬(疾患修飾薬)は、現時点では確立していません。

運動療法の平均的な効果は大きくない:2026年のコクランレビューでは、運動による痛みの軽減は平均で小さく、日常で実感しにくい可能性が示されています。

薬・注射は症状を抑える治療:NSAIDsには副作用への配慮が必要で、ステロイド注射の効果は短期間です。

手術までの期間の課題:手術の適応になる前の時期、手術を希望しない方や難しい方、手術を待つ間の痛み・睡眠・筋肉の緊張への対応は、保存療法の中でも課題として残ります。

全身の状態への対応:冷え、睡眠、疲労、筋肉の緊張といった痛みに関わる全身の状態は、標準的な保存療法の中心には含まれていません。

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西洋医学 vs 中医学 アプローチ比較

変形性股関節症に対する西洋医学と中医学のアプローチの違いを整理します。両者は対立するものではなく、それぞれの強みを活かして組み合わせることで、より包括的なサポートが可能です。

観点 西洋医学的アプローチ 中医学的アプローチ
病態の捉え方 寛骨臼形成不全などの形の異常、軟骨の変性、滑膜炎、軟骨下骨の変化を、X線・MRIなどの画像と身体所見で評価する 「骨痹(こつひ)」「痹証」として、骨を養う腎と筋を養う肝の不足に、冷え・水の滞り・血の滞りが重なった状態として、体質を包括的に把握する
治療の目標 痛みの軽減、機能の維持、手術を行う時期の見極め 痛みが出にくい体質づくり、股関節まわりの筋肉と血流の状態、睡眠・冷え・疲労など全身状態の調整
主な手段 患者教育、体重管理、運動療法、NSAIDsなどの薬物療法、関節内注射、関節温存手術、人工股関節全置換術 弁証(脈診・舌診・腹診・問診)に基づく漢方薬、鍼灸(環跳・居髎・秩辺・承扶など)
強み 診断基準と病期分類が整っており、手術という確立した治療手段がある。構造の評価ができる 冷え・むくみ・睡眠・疲労など全身の状態にも対応できる。整形外科の治療と並行しやすい
限界・課題 構造を元に戻す治療は未確立。運動療法の平均的な効果は大きくない。手術までの期間の症状への対応が課題 股関節症に限った質の高い比較試験は限られている。骨の変形そのものを元に戻すものではない。効果には個人差がある
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中医学からの変形性股関節症の病態分析

中医学では、変形性股関節症を「骨痹」「痹証」の範疇として捉えます。骨を主る「腎」と、筋を主る「肝」の不足を根本(本)とし、そこに「風・寒・湿」の邪が関節に入り込んで気血の巡りを妨げた状態(標)が重なったものと分析します。

脈診・舌診・腹診・問診の総合分析(弁証〔べんしょう〕)によって体質の偏りを把握し、処方や鍼灸の方針を決めます。変形性股関節症でよく見られる証(体質のパターン)は次のとおりです。

かんじんぶそく
肝腎不足(腎虚)

骨と筋を養う肝腎の力が低下した状態。股関節や腰のだるい痛みがあり、歩行や疲れで悪化して、休むと軽くなる。足腰の弱り、夜間頻尿、耳鳴りを伴うことがある。冷えが強い腎陽虚には八味地黄丸・牛車腎気丸、ほてりが目立つ腎陰虚には六味丸などが検討される。肝腎を補い風湿を除く独活寄生湯や大防風湯も用いられる。

かんしつひそ
寒湿痹阻

冷えと湿気が関節に入り、気血の巡りを妨げた状態。寒さや雨の日に悪化し、重だるい痛みやこわばりがあり、温めると楽になる。桂枝加朮附湯や薏苡仁湯などが検討される。

きたいけつお
気滞血瘀

気血の流れが滞り、血の停滞(瘀血)が生じた状態。刺すような固定した痛み、夜間や動き始めの痛みが特徴で、過去の外傷や手術歴、舌の暗紫色が参考になる。疎経活血湯や桂枝茯苓丸などが検討される。

ひきょしつせい
脾虚湿盛・水滞

消化とエネルギー生成を担う脾が弱り、余分な水分が溜まった状態。むくみやすい、汗が多い、疲れやすい、関節に重さや腫れを感じる。防已黄耆湯などが検討される。

ききりょうきょ
気血両虚

気と血の不足により、体を養う力が低下した状態。疲れやすい、顔色がすぐれない、痛みが慢性化して筋力も落ちている、術後や病後で体力が戻りにくい。補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯などが検討される。

しつねつひそ
湿熱痹阻

湿と熱が関節にこもった状態。関節の熱感・腫れ・重だるさがあり、炎症が強い時期に見られる。越婢加朮湯などが検討される。炎症の強い時期は、整形外科での評価を優先する。

独活寄生湯(どっかつきせいとう)について:

唐代の医書『備急千金要方』にさかのぼる処方で、独活・桑寄生・杜仲・牛膝・当帰・芍薬・川芎・地黄・人参・茯苓・防風・秦艽・細辛・桂心・甘草の15味から成ります。風湿を除いて痹痛を止め、肝腎を補い、気血を養う処方として、慢性の関節痛に古くから用いられてきました。膝関節症を対象とした系統的レビューもありますが、試験の質は十分ではなく、効果が確立しているとは言えません(第9章)。

実際の体質は、これらが単独で現れることは少なく、肝腎不足に寒湿が重なる、気血両虚に水滞が加わる、といった形で複合します。同じ病期でも、証が異なれば処方も鍼灸の方針も異なります。

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漢方・鍼灸に関する研究報告の現状

研究の現状:

股関節症に限った質の高い大規模比較試験は、鍼灸・漢方ともに多くありません。鍼治療は米国のガイドラインで条件付きの推奨とされていますが、「確実に効く」と言い切れる段階ではありません。以下に、確認できた主な研究を、結果の限界も含めて示します。

鍼灸

研究 対象 結果
ACR/AFガイドライン(2019年、Kolasinski ら) 手・股関節・膝関節の変形性関節症の治療指針 鍼治療は条件付きで推奨。強く推奨されたのは運動、体重管理、自己管理プログラム、太極拳など
コクランレビュー(2018年、Manheimer ら) 股関節症に対する鍼治療。6試験・413人 偽鍼との比較(2試験)では、痛み・機能の差は小さかった。通常の診療に鍼を加えた非盲検の試験では、痛みと機能の改善が報告された(エビデンスの確実性は低い)。重い有害事象の報告はなく、軽い内出血や刺入部の痛みがあった
Park ら(2023年、Healthcare) 股関節痛に対する鍼治療のメタ解析。12試験・806人 研究の質が低く症例数も少ないため、エビデンスは弱いと結論。重篤な有害事象の報告はなかった
Chen ら(2024年、Curr Pain Headache Rep) 膝関節症に対する鍼治療の持続効果。10試験・3,221人 偽鍼との比較で、治療終了後も約4.5か月、痛みや機能の改善が続く可能性が示された。一方、運動中心の理学療法への上乗せ効果は示されなかった。対象は膝関節であり、股関節にそのまま当てはまるとは限らない

漢方

研究 対象 結果
Lechner ら(2011年、J Altern Complement Med) 股関節・膝関節症の102人。個別処方の中薬と対照処方の二重盲検比較 両群とも20週でWOMAC(症状・機能の指標)が改善したが、群間に有意差は認められなかった
Zhang ら(2016年、BMJ Open) 膝関節症に対する独活寄生湯の系統的レビュー。12試験 西洋薬などとの併用で効果が示唆されたが、試験数が少なく質も低いため、有効性・安全性は不確実で、慎重に用いるべきと結論
Kogure ら(2011年、Integr Med Insights) 寛骨臼形成不全に伴う末期股関節症の52歳女性1例(症例報告) 桂枝加苓朮附湯と防已黄耆湯の服用で、痛みと日常生活動作が改善した。1例の報告であり、一般化はできない
防已黄耆湯の基礎研究(2015年ほか) 膝関節症モデルのラット 関節水症の改善を示した動物実験があり、骨棘形成を抑える可能性を示す報告もある。ヒトでの効果を示すものではない
中国骨関節炎診療指南(2021年版) 中国の診療ガイドライン 中医薬による治療方案が体系的に盛り込まれた(2023年の解説論文による)
ここまでの整理

鍼灸:偽鍼との差は小さいとされる一方、通常の治療に加えることで痛みや機能が改善したという報告があり、重い副作用の報告は少ないことから、米国のガイドラインでも条件付きで推奨されています。整形外科の治療を置き換えるものではなく、並行して用いる補完的な選択肢として位置づけられます。

漢方:股関節症に限った質の高い比較試験は限られており、効果が確立しているとは言えません。体質に合わせて個別に処方する医療の特性上、定型化した試験では評価しにくい面もあります。

タナココの考え方:分かっていることと、分かっていないことを先にお伝えしたうえで、ご本人が納得して選べる形で提案します。

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タナココにおける漢方・鍼灸のサポート

整形外科での診断・病期の確認・手術の判断を土台にして、痛みが出やすい体質と、股関節まわりの状態を漢方と鍼灸で整えます。画像検査の結果(X線やMRIの所見、CE角など)をお持ちいただければ、弁証と合わせて方針を考えます。

漢方薬による体質へのアプローチ

肝腎の状態、冷え、水の滞り、血の巡り、気血の不足を整えることで、痛みが出にくい体質と、股関節まわりの動きやすさを支えることを目的にします。弁証に基づき、次のような方向性から処方を検討します。

独活寄生湯・大防風湯:肝腎の不足に、風寒湿の邪や気血の不足が重なる慢性の関節痛に。

八味地黄丸・牛車腎気丸:冷え、夜間頻尿、足腰の弱りなど、腎陽の不足が目立つ体質に。牛車腎気丸はむくみがある場合にも検討されます。

疎経活血湯:血の滞りや水の滞りがあり、夜間や動き始めに痛みが出る体質に。

桂枝加朮附湯:冷えや寒さで痛みが強まるタイプに。附子を含み、体を温めて痛みを和らげる方向で用います。

防已黄耆湯:水ぶとり傾向で汗が多く、むくみや関節の腫れを伴う体質に。

補中益気湯・十全大補湯:疲れやすく筋力が落ちている、術後や病後で体力が戻りにくい場合に。

処方は、単独ではなく弁証に基づいて組み合わせます。甘草を含む処方が重なる場合の血圧・カリウム値への影響、附子を含む処方での動悸やのぼせ、麻黄を含む処方での動悸や血圧への影響、NSAIDsや降圧薬、利尿薬などの現在の処方薬との相互作用は、薬剤師が確認します。剤形はご相談のうえで決めます。

鍼灸による股関節まわりへのアプローチ

股関節まわりの筋肉の緊張、局所の循環、痛みの感じ方、睡眠や自律神経の状態に働きかけることを目的にします。鍼刺激は中枢神経に作用して、内因性のオピオイドペプチドの分泌を促し、鎮痛に関わると説明されています。

股関節周囲の経穴:環跳(かんちょう)、居髎(きょりょう)、秩辺(ちっぺん)、承扶(しょうふ)、髀関(ひかん)、風市(ふうし)など。

全身の状態を整える経穴:腎兪(じんゆ)、大腸兪(だいちょうゆ)、足三里(あしさんり)、三陰交(さんいんこう)、陽陵泉(ようりょうせん)、太渓(たいけい)など。

灸:冷えると痛みが強まる寒湿型や腎陽虚型に、温めることを目的に用います。皮膚の状態、感覚の低下、糖尿病や血流障害の有無を確認し、低温やけどに注意して行います。

鍼灸は、症状の出方と反応を見ながら、刺激量と頻度を調整します。

ご相談の際にお聞きすること

痛みの場所と出る動作、X線・MRIの結果(病期、CE角など)、寛骨臼形成不全や手術歴の有無、現在の治療と服薬、冷え・むくみ・睡眠・体重の状態、仕事や家事での股関節の使い方、歩ける距離や階段の状況をお聞きします。

手術を検討中の方、手術を勧められて迷っている方、術後の回復期の方も、主治医の方針に沿う形でご相談ください。漢方・鍼灸が手術の代わりになると言える根拠はありませんが、手術の時期を見極めるまでの期間や、術後の体力の回復を支える選択肢として取り入れることができます。

変形性股関節症の痛みや動きにくさの改善に向けて、できる限りのことをいたします。経過を定期的に確認し、症状と体質の変化に応じて、処方と施術を調整します。

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よくある質問(FAQ)

変形性股関節症は自然に治りますか?すり減った軟骨は元に戻りますか?
すり減った軟骨や変形した骨が自然に元の状態へ戻ることは、現在の医療では期待しにくいとされています。一方で、症状の強さと進行の速さには個人差が大きく、X線で変化があっても痛みが軽い方がいます。日本の地域住民を対象としたROAD研究では、X線上の股関節症は男性18.2%・女性14.3%にみられましたが、痛みを伴うものは男性0.29%・女性0.99%でした。進行の危険因子としては、股関節痛の既往と寛骨臼形成不全が報告されています。整形外科での診断と治療を土台に、体重管理、運動、動作の工夫を続けながら、体質面を支える漢方・鍼灸を併用する方法があります。
漢方・鍼灸は変形性股関節症に有効ですか?
「確実に効く」と言い切れる段階ではありません。鍼治療は、米国リウマチ学会/関節炎財団の2019年ガイドラインで、股関節・膝関節・手の変形性関節症に対して条件付きで推奨されています。股関節症に対する鍼治療のコクランレビュー(2018年、6試験・413人)では、偽鍼との差は小さい一方、通常の診療に鍼を加えた試験では痛みと機能の改善が報告され、重い有害事象の報告はありませんでした。漢方は、膝関節症を中心とした小規模な研究、症例報告、基礎研究が主で、股関節症に限った質の高い比較試験は限られています。タナココでは、弁証に基づき、年齢・体質・症状・服薬状況に合わせて、整形外科の治療と並行できる形を提案します。
手術を勧められています。その前に漢方や鍼灸を試すことはできますか?
手術が必要かどうかは、病期、痛みの程度、生活への支障、年齢などをもとに、整形外科医と相談して決めることが基本です。漢方・鍼灸で手術を避けられると言える根拠はありません。そのうえで、手術の時期を見極めるまでの間の痛みや筋肉の緊張、冷え、睡眠への対応や、術後の体力の回復を支える目的で、主治医の方針に沿う形で併用する方法があります。手術を予定している場合は、あらかじめお知らせください。
臼蓋形成不全と言われましたが、痛みがありません。何をすればよいですか?
寛骨臼形成不全は、日本の変形性股関節症の主な背景です。寛骨臼形成不全があると、4〜8年以内にX線上の股関節症が発生するオッズが1.8倍になるとしたメタ解析(World COACH、2025年)があります。痛みがなくても、整形外科でX線による経過観察を受け、体重管理と股関節まわりの筋力維持、負担の大きい動作の工夫を続けることが基本です。現在の画像所見(CE角など)を把握しておくと、症状が出始めたときに早めに相談できます。漢方・鍼灸では、冷え・疲労・筋肉の緊張など体質面の整え方を相談できます。
股関節が痛いときに運動してもよいですか?
運動療法は、米国リウマチ学会/関節炎財団のガイドラインで強く推奨されている治療の一つです。一方、2026年のコクランレビュー(18試験・1,368人)では、運動は無治療や通常ケアと比べて痛みを約7点(100点満点)軽くする程度で、日常で実感しにくい可能性があるとされています。有害事象については確かなことが言えないとされています。平均的な効果は大きくありませんが、運動には全身の健康面の利点もあります。痛みを強めない範囲で、理学療法士や整形外科医の指導のもと、水中運動や股関節まわりの筋力練習を選ぶ方法があります。痛みが強い日は無理をせず、痛みが強まる動作は避けてください。
人工股関節置換術(THA)はどれくらいもちますか?
2019年のLancet(Evans ら)のメタ解析では、各国の登録データで人工股関節の15年生存率は約89%、20年で約70%、25年で約58%でした(旧世代のインプラントを含みます)。2026年のLancet(Pentland ら)では、現在使われている摺動面の人工股関節について、登録データで20年時点の生存率が約94%、外挿による推定で30年時点が約92%とされています。30年の値は推定です。若い方ほど、将来の再手術の可能性を個別に考える必要があるため、見通しは主治医にご確認ください。
痛み止め(NSAIDs)や注射を使っていますが、漢方と併用できますか?
併用されることはありますが、組み合わせの確認が必要です。甘草を含む漢方薬は血圧やカリウム値に影響することがあり、複数の漢方薬で甘草が重なる場合は注意が必要です。附子を含む処方や麻黄を含む処方にも、動悸などへの配慮が必要です。タナココでは、薬剤師の資格を持つ担当者が、現在の処方薬(NSAIDs、降圧薬、利尿薬など)との相互作用を確認したうえで処方を考えます。現在の薬を自己判断で中止することは勧められません。漢方・鍼灸を併用していることは、整形外科の主治医にもお伝えください。
鍼灸は痛いですか?どのくらいで変化がありますか?
鍼は非常に細く、刺すときにチクッとする程度のことが多いですが、感じ方には個人差があります。刺激量は反応を見ながら調整します。変化の現れ方には個人差が大きいため、痛みの程度、歩ける距離、夜間の痛み、睡眠、階段の状況などを、数か月単位で確認しながら、鍼灸と漢方の内容を調整していきます。鍼治療では、軽い内出血や刺入部の痛みが起こることがあります。
変形性股関節症が疑われるとき、何科を受診すればよいですか?
まず整形外科(できれば股関節を専門とする医師のいる施設)で、X線検査などによる診断と病期の確認を受けてください。股関節以外(腰椎、大腿骨頸部の骨折、炎症性の関節炎など)が痛みの原因となっている場合もあるためです。診断がついたあと、体質面の相談や、整形外科の治療と並行したサポートをご希望の場合に、タナココでご相談いただけます。画像検査の結果をお持ちいただくと、方針を考えやすくなります。

変形性股関節症──「年齢のせい」「いずれ手術」で終わらせない選択肢があります

脚のつけ根の痛み、歩き始めのこわばり、靴下のはきにくさ。変形性股関節症は、股関節の形、体の使い方、体質などが重なって進む病気で、痛みや動きにくさの程度は、治療や生活の整え方によって変わる余地があります。

整形外科での診断と治療を土台にしながら、冷え・むくみ・筋肉の緊張・睡眠・疲労といった体質面を漢方と鍼灸で整え、痛みが出にくく、動きやすい状態を目指します。そのために、できる限りのことをしたいと考えています。

「痛み止めを続けているが、このままでよいのか不安」「手術を勧められたが、その前にできることを知りたい」「臼蓋形成不全と言われて将来が心配」「術後の回復を支えたい」——どのような状況でも、現状をお聞きすることから始めます。薬剤師・鍼灸師・心理士の資格を持つ担当者が、西洋医学と中医学の両面から、一人ひとりに合った提案をいたします。

まずは、現在の状態と、受けている治療をお聞かせください。

〒252-0244 神奈川県相模原市中央区田名2126-1

TEL: 042-813-3444 受付 9:00〜19:00(火〜土)