高齢者の不眠の中医学的な認識

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

高齢者が眠れない理由は中医学的にはどのような理由によるものでしょうか。

ずっとずっと昔に書かれた中医学の古典を少し紐解いてみたいと思います。

 

《黄帝内経・霊枢》と《難経》という書物に以下のような記載があります。

《黄帝内経・霊枢》は紀元前200年頃(前漢)から220年(後漢)の頃にかけて編纂されたと推定される中国最古の医学書です。《難経》は黄帝内経の内容をまとめたもので、後漢以降のものとされます。

 


《黄帝内经・灵枢》 营卫生会

黄帝曰:老人之不夜瞑者,何气使然? 少壮之人,不昼瞑者,何气使然?

歧伯答曰:壮者之气血盛,其肌肉滑,气道通,营卫之行不失其常,故昼精而夜瞑。老者之气血衰,其肌肉枯,气道涩,五藏之气相搏,其营气衰少而卫气内伐,故昼不精,夜不瞑。

 

《黄帝内経・霊枢》 営衛生会

黄帝が言う:老人は夜間に熟睡できないものが多いが、これはどのような「気」の作用によるものか。また、若い人は昼間は眠くならないがこれはどのような「気」の作用によるものか。

岐伯が答えて言う:若い人は気血が充実し盛んで、肌肉は滑らかであり、営気と衛気の道すじもよく通じており、営衛の循環も正常であるため、昼間は陽気が充実しているため眠くならず、夜間は陽気が規則正しく内部に入り陽経が乱れることがないため熟睡できる。老人は血気が衰え、肌肉が枯痩し、営血や衛気の運行の道すじが渋滞しているため、五臓の機能が不調となり、営気が衰え全身を栄養できず、衛気は外の防衛がおろそかになり、内部に入り込み、体内の調和を乱します。そのため、昼間は頭が働かず、夜間は熟睡できなくなります。

 

 

《难经》论脏腑 四十六难

曰:老人卧而不寐,少壮寐而不寤者,何也?

然:经言少壮者,血气盛,肌肉滑,气道通,营卫之行不失于常,故昼日精,夜不寤也。老人血气衰,肌肉不滑,营卫之道涩,故昼日不能精,夜不得寐也。故知老人不得寐也。

 

《難経》論臓腑 四十六難

問うて言う。老人は寝ても眠れず、よく目がさめる。一方で若い人は寝れば熟睡し、途中で目がさめることがない。これはどうしてなのか?

答えて言う。若い人は血気盛んで、肌肉も滑らであり、営血、衛気の道すじもよく通じており、営衛の循環も正常である。そのために昼間は陽気が充実しているため眠くならないが、夜間は陽気が内部に入るため熟睡できる。老人は血気が衰え、肌肉が滑らかではなく、営血や衛気の運行の道すじも渋滞しているため、昼間は頭が働かず、夜間は熟睡できない。これが老人が眠れない理由です。


 

このような時代から高齢者の不眠についての認識があり、今現在もこれらの認識は治療の考えの基礎となっています。

ちょっと驚きですね。

 

これらの内容からは、高齢者の不眠では気血を補いつつ、その流れを調節すれば不眠は解消されることになります。

実際の治療でももう少し、中医学的な理論を用いて気血の調整をしつつ、さらに現代中医学的な認識も加えて治療をします。

 

 

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