胚移植後の過ごし方

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

体外受精などの高度生殖医療では、受精卵を子宮に戻す「胚移植」を行いますが、移植後の過ごし方については、具体的に説明されることがなく「どう過ごしたら良いかわからないのですが・・・。」との相談を非常にたくさんいただきます。

 

胚移植後の過ごし方

胚移植後は、あとは妊娠判定を待つだけになります。この期間はとても長く感じ、ストレスに感じる方も多いようです。

 

待っている間、少しでも着床率を上げるためにできることはないか、何かしておいた方がよいのではないか、やっちゃいけないことはないのか、検索してしまいがちですが、そこで得られる情報は、結局何が良いのかはっきりとした情報はなく、不安になってしまうこともしばしばあるようです。

 

というのも、これをすれば着床率が上がる、これはしてはいけないというエビデンスがあるものが少ないからです。

今まで通りの生活をして、特別なことをせずに、穏やかに過ごすことがおすすめということになります。

 

自転車に乗って良いか

問い合わせの多い内容に「自転車にのってもよいか」というがあります。

 

車、バイク、自転車の地面からの「振動」で卵が着床せずに落ちてしまうのではないかと心配されているようです。

 

まず特に気をつけて欲しいのは移植後の長時間の微細な振動です。イメージとしては振動の大きいバイクでの長距離のツーリングでしょうか。未舗装路をマウンテンバイクで走破!というのも避けたほうが良いと思います。

といっても、おそらくこのようなことを移植後にされる方は少ないと思います。どの人に聞いても「やめておいた方がよい」と言われると思います。しかし、明確なエビデンスはありません

 

何かエビデンスがないか少し探してみると、激しい運動が化学流産率を上げる可能性があるという報告がありました。しかしこの報告は、過去に流産歴があって、低用量アスピリンの投与を受けている方を対象としている研究であるため、判断には少し注意が必要です。

 

そして「安静が妊娠率を高める」という報告もありません。

 

感覚的には移植後は安静にしていたほうが着床してくれそうな気がしますが、実はそうではないことがわかっています。

以前は移植後は安静時間を2~3時間とる施設もありましたが、現在はそのような施設はありません。これは移植後の安静は妊娠率に差はないとする報告があったためです。

また「日常生活での動きや運動強度は妊娠率に影響がなく、過去および妊娠中の体外受精直後の身体活動は妊娠率を向上させる」とする報告もあります。

 

これまでの報告を総合して考えると、激しい運動はもしかすると影響があるかもしれないけれど、ウォーキングや舗装路を自電車で走ることは問題なさそうで、もちろん日常生活での振動が影響することはないため、基本的に「普通の生活」を送っていれば何も心配ないということが言えると思います。

 

そもそも臓腑は体の中ではある程度衝撃を吸収できるので、極端で長期的な振動でなければ心配は必要ないと思います。

 

そのほかで気をつけること

このほかの注意点としては「着床前後の性交は受精能を低下させる」という報告がありますのでご注意ください。体外受精でのデータではないため注意する必要がありますが、気をつけておいた方が良さそうです。

 

移植後に用いられる漢方

移植以降には「安胎(あんたい)」といって赤ちゃんを守り、胎盤を作るのを助ける漢方があります。また着床不全流産を繰り返す場合にもよく使用されます。

 

また、産後に胎盤が体内に残ってしまうことを「胎盤遺残(たいばんいざん)」といい、癒着等が原因で分娩後も子宮内に胎盤が排出されずに残ってしまうことが稀にありますが、胎盤が綺麗に剥がれて体内に残らないようにする目的で漢方を服用することもあります。

胎盤を上手に作る手助けをすることは、胎児の成長を助け産後のトラブルを予防することにもつながります。妊娠中も漢方でケアをすることでリスクを減らすお手伝いが可能になります。

 

移植後の過ごし方では「これをしなくちゃないけない!」というものはありませんので、穏やかに過ごしてください

ただ、これまで「なかなか着床しない」「流産を繰り返す」「以前の妊娠でトラブルがあった」などに該当する場合は、着床、妊娠中、産後のサポートのために漢方を取り入れることでそれらの問題解決のお手伝いができることがあります。

妊活だけでなく、妊娠中、産後と多くの場面で漢方は役立ちます。ぜひご活用ください。

 

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