「間質性膀胱炎」とは

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

「間質性膀胱炎」

とてもやっかいな病気です。膀胱に原因不明の炎症がおこり

・頻尿
・尿意が頻繁に起こる
・膀胱や尿道に違和感・痛みがおこる

などの症状がみられます。

 

この「間質性膀胱炎」

・ハンナ型
・非ハンナ型

の2つに分けられますが、特に症状が重いのは「ハンナ型」です。

ハンナ型の膀胱を内視鏡で見ると「ハンナ病変」と呼ばれる特有の異常がみられます。膀胱の壁の細い血管がもつれた糸のように見える病変で、ハンナ型の間質性膀胱炎は難病に指定されています。

間質性膀胱炎は日本では患者さんの数は約4500人とされていますが、半数弱をハンナ型が占めており、特に中年以降の女性に多くみられると報告されています。

 

原因は不明ですが、

 ・膀胱粘膜の細胞の異常

 ・免疫系の異常

が疑われています。

 

症状が軽ければ、トイレが近い、膀胱の違和感がある程度ですが、症状が強くなると、何度もトイレに行く、痛みが強くなる、膀胱周囲にも痛みが広がるなど、日常生活に大きな影響が出るようになります。

西洋医学的には、食事療法や鎮痛剤、抗アレルギー剤、ステロイドなどの内服薬が用いられたり、直接膀胱内に薬物を注入する治療もあります。

ハンナ病変が見られれば、電気またはレーザー焼灼術により症状を軽減できることがあります。

このほか、膀胱水圧拡張術(膀胱内に水を注入して膀胱を拡張し、数分間その状態を維持した後、膀胱内の水を抜く)を行う方法もあります。

電気またはレーザー焼灼術、膀胱水圧拡張術では約半数で効果が見られる一方で、長期的に症状が落ち着くのは一部で、多くは再治療や追加治療が必要になることが多いようです。


間質性膀胱炎は、「食事療法」により症状を軽減できることがあります。ある特定の飲食物を食べた後で症状が悪化するケースでは、それらの食材を避けるように指導されることがあります。

症状を悪化させる食材などには、コーヒー、紅茶、チョコレート、アルコール、トマト、柑橘類、香辛料、ビタミンC、酸性尿を産生する飲食物があります。

 

間質性膀胱炎は完全に症状をなくすことは難しく、上記の治療と合わせて漢方治療が行われることもあります。

 

漢方では間質性膀胱炎の症状は「淋証(りんしょう)」に該当すると考えて治療に当たります。

 

淋証は「トイレが近い、尿意が切迫、尿がポタポタ滴る、排尿痛、残尿感」などの症状を総称した病態です。

 

この病態はさらに症状により

・熱淋:尿が濃い黄色、排尿痛
・石淋:尿路結石を伴う
・気淋:下腹部が張って痛い、排尿困難
・血淋:尿道が熱く、刺すような痛み、血尿
・膏淋:尿が濁る、排尿困難
・労淋:過労によって発症

などに分けられます。

 

間質性膀胱炎の症状に共通する症状がいくつもありますが、中医学的な視点で症状を改善する方法を探ります。

 

「淋証」の病因病機(原因)には大きく分けて以下の3つが考えられています。

① 膀胱に湿熱の入り込む=膀胱湿熱
② 脾や腎が弱くなる=脾腎虧虚
③ 肝の気が滞る=肝鬱気滞

① 膀胱に湿熱の入り込んで起こる膀胱湿熱は、外感風熱毒邪や過度の飲酒、肥甘厚味の過食などで起こります。このほか不衛生なことで起こったり、小腸邪熱、心経火盛でも起こりますが、これらは膀胱の気化不利により淋証を引き起こします。熱淋、血淋、石淋、膏淋などの原因となることが多いです。漢方薬としては、竜胆瀉肝湯、猪苓湯、五淋散、八正散などで原因となっている湿熱をとり、尿を出しやすくして症状を改善するようにします。食事の影響が大きい淋証です

② 脾や腎が弱くなっても膀胱の気化作用が弱くなります。脾や腎が衰える原因としては、先天不足(虚弱体質)、加齢、過度の労働などがありますが、これらにより下元不固(=腎気不固ともいい下焦の症状が中心に見られるようになります。)となり、湿濁が留まって淋証を引き起こします。気淋の原因になることが多いです。脾や腎の機能を回復させるようにしますが、間質性膀胱炎では、膀胱にじわじわ炎症が起こり、頻回に尿意を催し、次第に膀胱が線維化(硬くなってしまう)し萎縮していくことがありますが、これは腎の固摂機能(尿をためておく機能)が低下したと考えられます。繰り返し発症、疲労感が強い、足腰が重だるいといった症状も合わせて見られることが多いです。漢方薬としては腎気丸のグループを中心に使用することが多いです。

③ 情志失調=七情(怒、喜、思、憂、悲、恐、驚)の過度の変化により肝の気が滞り、三焦が不利となって膀胱の気化作用に影響がおよび淋証を引き起こします。労淋、膏淋、血淋の原因になることが多いです。ストレスなどで自律神経が乱れてたりすると悪化するのが特徴です。淋証では直接症状を引き起こすというより、きっかけになることが多いです。残尿感、排尿困難、お腹の張りなどの症状もみられます。逍遙散、清心蓮子飲などで気の流れを整えたり、自律神経を整えたりします。

 

間質性膀胱炎は病態が複雑で、いくつかの処方を組み合わせて調整することもあります。また西洋医学的な治療と組み合わせることで効果が見られることもあります。

食生活、生活習慣の見直しでも症状が緩和することも多いですので、合わせて行ってみてください。

複雑な病態の場合は、慎重に漢方薬を選ぶ必要があります。漢方を服用する際は専門の薬局にてご相談ください。

西洋医学で原因がわからなくても症状や体質などからアプローチができるのが漢方治療の良いところです。西洋医学的な治療でよくならない場合でも漢方でできることもありますので一度ご相談ください。

 

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