月の満ち欠けと体の変化

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

《黄帝内经 (こうていだいけい)》は、《神农本草经(しんのうほんぞうきょう)》、《伤寒杂病论(しょうかんざつびょうろん)》とともに中国医学における三大古典の1つといわれています。

 

原著は紀元前200年頃(前漢)から220年(後漢)の頃にかけて編纂されたものと推定されています。

 

黄帝内経、素問、霊枢

せかいの歴史まっぷ 世界史対照略年表(前400〜600)

日本では弥生時代真っ只中ですね。


さて、その《黄帝内经》ですが、《素问 八正神明论篇 第二十六》という項目に、自然が人体に与える影響について書いてあります。

 

特に「月」の満ち欠けによる体の変化についてです。

そこにはこう書いてあります。

 

月始生,则血气始精,卫气始行

月郭满,则血气实,肌肉坚

月郭空,则肌肉减,经络虚,卫气去,形独居

 

よくわかりませんね。日本語での意味は、

 

月が明るくなり始めると、気血の流れがスムーズになり始め、衛気も伸びやかになる

満月には人の体の中の気血は充実し、肌肉はしっかりとしてくる

月が暗くなるときは、肌肉の働きも弱くなり、経絡も空虚となり、体を守る衛気も衰え、肉体だけのようになる

 

詳細に自然と体を詳細に観察していたからこそわかることですね。

 

また、同様に《黄帝内经》の「灵枢・岁露论第七十九」にも似たような記載があります。

 

月满则海水西盛,人血气积;肌肉充,皮肤致,毛发坚,腠理郄,烟垢著

当是之时,虽遇贼风,其入浅不深

至其月郭空,则海水东盛,人气血虚,其卫气去,形独居,肌肉减,皮肤纵,腠理开,毛发残,焦理薄,烟垢落

则其入深,其病人也卒暴

 

月が満ちるとき、人の血気は少しずつ充実し始め、肌肉は堅実、皮膚は緻密になり、毛髪もしっかりして、毛穴も引き締まり、皮脂の分泌も多くなる

この時、賊風(体に有害なもの・邪気)に遭遇しても深く入り込むことはない

月が欠けていく時、人の血気は虚弱となり、体表を守る衛気も弱くなり、肉体としては存在しているもの、筋肉は減り、皮膚にはしわが寄り、毛穴はゆるみ、毛髪は危うくなり、皮膚の木目はなくなり、皮脂の分泌も減る

この時、賊風に遭遇すると、深く入り込むため、病を急激に発症させる。

 

昔の人は、自然を大宇宙、人体は小宇宙と考え、自然をつぶさに観察して、それを身体の変化に当てはめて、体の状態を知り、治療に役立てようとしました。

 

上記の法則で言えば、満月のときは様々なものが満ち溢れていますので、不足を補うようなものより、流したり、巡らせたりする方法が体に合う時期です。

このような時に例えば補いすぎると、気血が充満しすぎて滞りが生じやすくなります。

逆に新月の時は流したり、巡らせたりする方法をすると、気血が消耗しすぎて、臓腑が弱ってしまいます。

 

特に女性の体調は自然界のリズムに影響を受けやすいため、上記のような中医学的な認識は女性の治療においては重要な内容になります。

ただし、上記のような法則を絶対的法則として運用しようとすると、治療を誤ることもありますので注意が必要です。

 

人と自然の関りは不思議ではありますが、人も自然の一部と考えれば納得です。

 

満月の夜は、気血が充実し、気持ちも気持ちも高まりやすく、とくにきれいになれる時です。

月を眺めながら体の変化を感じてみてはいかがでしょうか。

 

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