9/23の朝日新聞・アピタルに
「着床前検査で「流産率低下」 産科婦人科学会が発表、課題指摘の声も 」
という記事がありました。
記事の内容は日本産科婦人科学会(日産婦)の「着床前検査」の研究の中間報告について説明したものです。
「着床前検査」は体外受精で得られた受精卵のすべての染色体の数を調べ、異常のないものを子宮に戻すことで通常の体外受精に比べて流産率が下がったというものです。
受精卵の染色体に異常があると、着床しにくくなったり、流産したりする可能性が高くなります。染色体の異常は年齢を重ねるほど起こりやすくなるとされています。
日産婦は「着床前検査」について臨床研究を2020年からはじめました。
対象は
① 流産を2回以上経験
② 体外受精に2回以上連続して失敗
③ 夫婦いずれかに染色体の構造異常がある
のいずれかに該当する場合です
この臨床研究には4,348名が参加していますが、染色体が正常と判断された場合の移植による妊娠率は66.2%で、流産率は9.9%でした。年齢による大きな差は見られなかったとしています。2019年集計では、妊娠率は33%で、流産率は25%です。
日産婦は「着床前検査」は「産を繰り返すことによる精神的・身体的負担を減らす効果が期待できる」としています。
上記の数字だけで言えば、とても効果がありそうと思いますが、参加した4,348名のうち63.4%は倍数体異常などの理由で移植ができていません。
移植できたのは35.7%で、そのうち66.2%が妊娠したという内容ということになります。
この数字をどう判断すれば良いのかとても難しいです。
不妊治療では移植の際に成功率を高めるために、様々な「+α」のオプションがあり高額であることも多いです。ERA(エラ)、EMMA(エマ)、ALICE(アリス)、Th1/Th2比、シート法などたくさんあります。
果たしてこの+αのことがどこまで効果的だったのか、この数字を見ると少し落ち込んでしまいます。
西洋医学的に卵胞にアプローチする期間は卵胞成長の最後の期間です。卵胞の成長は約半年ちょっとかかりますので、大半の期間の成長には西洋医学的にアプローチができていません。
もちろん、最後の2週間で成熟させるので重要な期間ではありますが、それまでの半年間も同様に大切です。この半年間をどう育てるかが不妊治療、妊活では重要なポイントになると考えています。
漢方での妊活の1つの目安が約半年といわれています。これは卵胞の成長にかかる期間がこのくらいの期間だからです。
また、漢方では短期的な西洋医学的な治療のサポートをする処方と半年間かけて卵胞を育てる処方を組み合わせることができます。効率的に妊活のサポートをができるのが漢方の良いところです。
西洋医学と中医学を合わせて妊活を行うことで、卵を育てる環境をよくしていくことができますので、もし西洋医学だけで妊活をされているのでしたら、漢方との併用もぜひ検討してみてください。
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