母指CM関節症と漢方・鍼灸

母指CM関節症とは|診断基準・原因・治療の限界と漢方・鍼灸によるサポート|相模原 タナココ
母指CM関節症 × 漢方・鍼灸 / 相模原 タナココ

母指CM関節症とは──
診断基準・仕組み・治療の限界と、漢方・鍼灸によるサポート

親指の付け根が痛む。ペットボトルの蓋が開けられない。包丁やハサミ、鍵を回す動作がつらい。母指CM関節症は、こうした日常動作の不便が続く、手の変形性関節症のひとつです。

装具・運動・薬・注射・手術と、西洋医学の治療は整っています。一方で、関節の変化そのものを止める治療は、まだ確立していません。

タナココでは、西洋医学の病態理解を土台に、中医学の視点(肝・腎・気血・風寒湿)から体質を整え、痛みを減らして手を使いやすい状態に近づけることを目標に、一人ひとりに向き合います。

最終更新日:2026年11月6日

母指CM関節症の理解と、体質へのアプローチ

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母指CM関節症とは何か

母指CM関節症(母指手根中手関節症、thumb carpometacarpal osteoarthritis)は、親指の付け根にあるCM関節(手根中手関節)の軟骨がすり減り、痛み・腫れ・変形・つまむ力の低下が生じる変形性関節症です。CM関節は、親指の中手骨と、手首側にある小さな骨(大菱形骨)がつくる鞍(くら)状の関節で、親指を大きく動かし、物を「つまむ」「握る」ための要になっています。

ヘバーデン結節(指の第1関節)、ブシャール結節(第2関節)とともに、手に生じる代表的な変形性関節症で、中高年の女性に多いのが特徴です。レントゲン上の変化が強くても症状が軽い方もいれば、変化が軽くても痛みが強い方もいて、画像と症状は必ずしも一致しません。また、時間とともに症状が落ち着く方もいます(日本医事新報社『母指CM関節症の診断と治療』序文)。

「年のせいだから仕方がない」とは限りません:装具・運動・薬・注射・手術と、段階に応じた選択肢があり、手術に進まずに経過する方が多いことも、研究で示されています(第7章)。
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診断基準と診断の進め方

診断は、症状の聞き取り、身体所見、X線画像を組み合わせて行います。整形外科・手外科での診断が基本です。

1)ACR臨床分類基準

米国リウマチ学会(ACR)の手の変形性関節症の分類基準(Altmanら, Arthritis & Rheumatism 1990)では、手の痛み・うずき・こわばりがあり、次の4項目のうち3項目以上を満たす場合に手の変形性関節症と分類します(感度94%、特異度87%)。

  • 10関節のうち2か所以上に、骨性の硬い腫大がある
  • 遠位指節間(DIP)関節の2か所以上に、硬い腫大がある
  • 中手指節(MCP)関節の腫脹が3か所未満である
  • 10関節のうち1か所以上に変形がある

「10関節」とは、両手の第2・第3DIP関節、第2・第3PIP関節、第1CM関節(母指CM関節)です。この基準は手全体の分類基準であり、母指CM関節だけを対象にしたものではないため、実際の診察では、次の身体所見とX線を合わせて判断します。

2)身体所見

  • 親指付け根(特に背側・橈側)の圧痛
  • グラインドテスト:CM関節を軸方向に押しながら回し、痛みやきしみ(軋轢音)が出るかを確認する
  • 骨性の膨らみにより、付け根が四角く見える変形(スクエアリング)
  • 親指の動く範囲と、つまむ力の確認

3)X線とEaton-Littler分類

X線では、Eaton-Littler分類(1973年に提唱され、のちに舟状骨側の変化を加えて修正)がよく使われます。母指CM関節を見やすい角度(Roberts像など)で撮影します。ただし病期は症状の強さと必ずしも一致しないため、画像だけで治療を決めず、症状や生活への支障と合わせて判断します(Myburghら, SA Orthop J 2025)。

病期X線所見の目安
Ⅰ期関節面の形は正常で、滑膜炎などにより関節の隙間がやや広がる。亜脱臼は1/3未満
Ⅱ期関節の隙間がやや狭くなる。2mm未満の骨棘や遊離体がある
Ⅲ期関節の隙間が明らかに狭くなる。2mm以上の骨棘、骨の硬化や嚢胞がある
Ⅳ期Ⅲ期の変化に加え、舟状骨と大菱形骨の間(STT関節)にも変化が及ぶ

4)鑑別が必要な病気

親指周囲の痛みには、ド・ケルバン病(手首の親指側の腱鞘炎)、手根管症候群、母指のばね指、STT関節症、関節リウマチなどがあります。合併も少なくないため、最初に整形外科・手外科で診断を受けることをお勧めします。

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症状

よくある症状

  • 蓋を開ける、鍵を回す、雑巾を絞る、ボタンを留めるなどの動作で、親指の付け根が痛む
  • 付け根の腫れ、骨の出っ張り
  • 親指を大きく開きにくい
  • つまむ力・握る力が落ち、物を落としやすい
  • 朝や使い始めのこわばり

進行したときの変化

  • 付け根が突出し、親指が手のひらの内側に寄って開きにくくなる
  • 親指の第2関節(MP関節)が反る変形が加わることがある
  • 安静時や夜間にも痛みが出る
  • 細かな作業や家事・仕事に支障が出る
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頻度とリスク

母指CM関節症は手の関節症のなかでも頻度が高く、症状のある方は50歳以上で女性約7%、男性約2%と報告されています(Esteban Lopezら, J Bone Joint Surg Am 2023)。X線上の変化は年齢とともに増え、50歳で男性約6%・女性約7%、80歳で男性約33%・女性約39%と推定されています(van der Oestら, Osteoarthritis Cartilage 2021のメタ解析)。特に閉経後の女性に多い病気です。

リスクとして、女性であること、閉経後であること、関節の緩み、過去のけが、強いつまみ動作の反復などが挙げられています。

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発症のメカニズム

以前は「使いすぎによるすり減り」と説明されることが多い病気でしたが、現在は、靱帯・ホルモン・力学的負荷・炎症が重なって進む、段階的な過程と考えられています(Bircan&Orhan, 2026)。

1)靱帯の緩みと関節の不安定性

CM関節は骨の形だけでは安定せず、周囲の靱帯に支えられています。代表的なのは前斜靱帯(くちばし靱帯)と背橈側靱帯で、最近は背橈側靱帯が背側へのずれを抑える主な靱帯と考えられています。靱帯が緩むと、中手骨が関節の上でずれやすくなり、軟骨に偏った力がかかって、すり減りが進みます(Bircan&Orhan, 2026)。

2)力学的な負荷

親指の付け根は、つまむ動作のたびに強い力を受ける関節です。遺体を用いた計算モデルでは、1kgの力でつまんだとき、CM関節には約12kgの圧迫力がかかると算出されています(Cooney&Chao, J Bone Joint Surg Am 1977)。強く握る動作では、さらに大きな力がかかります。

3)ホルモンの関与(仮説)

閉経後の女性に多いことから、エストロゲンの低下が関わると考えられています。また、月経周期に増えるホルモン(リラキシン)が、親指の付け根の靱帯を緩めるという仮説も報告されています(Parkerら, Biol Sex Differ 2022)。この仮説は証明された段階ではなく、研究が続いています。

4)炎症(滑膜炎)と痛み

関節を包む滑膜の炎症も痛みに関わります。日本でも、軟骨の状態と滑膜炎に注目した分類とEaton分類との関係を調べる研究が進められています(日本手外科学会雑誌 2026)。

考えられている悪循環の流れ

① 靱帯の緩み:加齢・ホルモン・負荷により、関節を支える靱帯が緩む。

② 不安定性:中手骨が関節上でずれやすくなる。

③ 偏った負荷:軟骨の一部に強い力がかかる。

④ 軟骨のすり減りと滑膜炎:骨棘ができ、関節が腫れて痛む。

⑤ 使い控えと筋力低下:痛みで親指を使わなくなり、支える筋肉が弱くなる。

⑥ さらに不安定に:①〜④が進みやすくなる。

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現在の治療とその限界

国際ガイドライン(EULAR 2018、ACR/アーサリティス財団 2019)は、教育・運動・装具などの非薬物療法を土台に、薬や注射を加え、十分な効果が得られない場合に手術を検討する段階的な治療を示しています。

治療位置づけ・根拠限界・課題
装具(親指の固定具)ACR/AF 2019は第1CM関節症への装具を強く推奨。EULAR 2018も長期使用を推奨OTTER II試験(Adamsら, Rheumatology 2021、349例)では、全群で痛みが改善した一方、セラピスト支援のセルフマネジメントに装具を加えても追加の改善は示されなかった。装着の継続が難しい方もいる
運動療法・関節保護EULAR 2018は全例で検討を推奨Woutersら(Osteoarthritis Cartilage 2026、166例)では、装具に運動を加えても3か月後の痛みに差はなかった(両群で痛みは軽減)。継続が必要で、個人差もある
外用・内服の消炎鎮痛薬EULARは安全性から外用薬を優先、内服は短期間痛みを抑える対症療法で、関節の変化は止められない。内服は胃腸・腎臓などへの影響に注意が必要
関節内注射ステロイド注射はACR/AF 2019が手の関節症に条件付きで推奨、EULAR 2018は一般には用いないとし、見解が分かれるDayら(J Hand Surg Am 2004、30例)では、Eaton Ⅰ期で長期の効果があった一方、Ⅱ・Ⅲ期で長期の効果が得られたのは17関節中半数以下、Ⅳ期では効果が得られない例が多かった。麻生(日本関節病学会誌 2017、136関節の後ろ向き検討)でも、注射の成績が良かったのはEaton Ⅰ期だった。ヒアルロン酸注射は、ACR/AF 2019が母指CM関節症に対して条件付きで推奨していない
手術EULAR 2018は、他の治療で痛みが取れない場合に大菱形骨切除術を検討するとしているKumarら(J Hand Surg Glob Online 2025)は、靱帯再建などが単純切除より優れるという強い根拠はないとした。人工関節は、非手術と比較したランダム化試験がない(Acta Orthop 2024のメタ解析)。回復期間と合併症の可能性がある

現在の治療の限界

  • 関節の構造変化の進行を止める治療は、確立していません。EULAR 2018の根拠整理でも、X線上の進行を遅らせた治療はありませんでした(Kroonら, RMD Open 2018)。
  • 多くの治療は、痛みや使いにくさを和らげることが目的です。
  • 決定打となる単独の治療はなく、症状・病期・生活に合わせた選択が必要です。
  • 冷え、疲れやすさ、睡眠、更年期の症状といった全身の状態は、標準的な治療の中心には含まれていません。
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手術に進まない経過も多い──最新研究から

近年の研究は、保存的な治療で痛みと使いやすさが改善し、その状態が続く方が少なくないことを示しています。

  • 長期経過:運動療法と装具による治療を受けた方を平均約6.6年(5.1〜8.7年)追跡した研究では、12か月以降に痛みや日常生活の制限は悪化せず、手術に移行したのは約7年で22%でした(Esteban Lopezら, J Bone Joint Surg Am 2023)。
  • 日本の報告:シリコン装具で治療した58例72指の追跡(平均18.5か月)では、痛みは48指で改善、23指で不変、悪化は0指で、手術は3例3指(4.2%)でした(岩倉ら, 日本手外科学会雑誌 2025。対照群のない症例の追跡報告)。
  • 運動療法:18施設・166例の試験で、装具のみの群も装具+運動の群も、臨床的に意味のある痛みの軽減がありました。副次評価の結果から、装具に運動を加えることが推奨されています(Woutersら, 2026)。
  • 固有感覚トレーニング:5件のランダム化試験(260例)の系統的レビューで、従来のリハビリに追加すると痛み・機能・筋力で優れるとされました。3か月を超えた持続は今後の課題です(J Hand Ther 2026)。
「治る」を、どこに置くか:すり減った軟骨が元に戻るとは言えません。一方で、痛みが減り、蓋を開ける・包丁を使う・文字を書くといった動作が楽になることは、十分に目指せる目標です。タナココはその目標を、手術の前後を問わず、最後まで支えます。
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西洋医学 vs 中医学 アプローチ比較

両者は対立するものではなく、役割が異なります。組み合わせることで、より広い範囲をサポートできます。

観点西洋医学的アプローチ中医学的アプローチ
病態の捉え方軟骨・靱帯・滑膜の変化を、画像と身体所見で評価する局所の痛みに加え、肝腎・気血の状態や、冷え・湿気の影響など、全身の体質として捉える
治療の目標痛みの軽減、機能の維持、必要時の手術痛みを和らげ、気血のめぐりと体の土台を整え、手を使いやすい状態を支える
主な手段装具・運動・消炎鎮痛薬・注射・手術弁証に基づく漢方薬、鍼灸、温灸、日常の養生
長所診断基準と根拠が明確。構造の問題には手術で対応できる全身状態(冷え・疲労・睡眠・更年期症状)も併せて整えられる。副作用の少ない選択肢を組み合わせやすい
限界・課題関節の変化そのものは止められない。全身の体質面は扱いにくい母指CM関節症に特化した質の高い比較試験は少ない。個人差が大きい
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中医学からの病態分析

中医学では、関節の痛みを「痹証(ひしょう)」の範囲で捉えます。古典『素問』痹論には、風・寒・湿の邪が合わさって痹が生じると記されています。また、肝は筋を、腎は骨を養うと考え、加齢や閉経前後に肝腎が弱ることで、関節を支える力が落ちると捉えます。母指CM関節症が閉経前後の女性に多いことは、『素問』上古天真論が女性の49歳前後に天癸(成長・生殖を支える物質)が尽きると述べていることとも重なります。

脈診・舌診・腹診・問診を総合する弁証(べんしょう)で体質の偏りを把握し、処方と施術を決めます。母指CM関節症でみられる主な型は次のとおりで、複数が重なることもあります。

ふうかんしつひ
風寒湿痹(冷え・天候で悪化する型)

冷えや雨の前、朝に痛みとこわばりが強まり、温めると楽になる。桂枝加朮附湯、薏苡仁湯などが検討される。

しつねつひ
湿熱痹(腫れ・熱感のある炎症期)

付け根が腫れて熱をもち、動かすと痛む。越婢加朮湯などが検討される。

おけつ・たんしつ
瘀血・痰湿(慢性・固定した痛みの型)

痛む場所が決まっており、夜間にも痛む。骨の出っ張りが目立つ。疎経活血湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁などが検討される。関節の腫れやむくみ(水滞)が目立つ場合は、防已黄耆湯なども検討される。

かんじんふそく
肝腎不足(閉経前後・加齢の型)

腰や膝のだるさ、ほてりや冷え、疲れやすさを伴う。牛車腎気丸、八味地黄丸などが検討される。

きけつりょうきょ
気血両虚(力が入りにくい型)

疲れやすく握る力が弱い。顔色がさえない。補中益気湯、十全大補湯、当帰芍薬散などが検討される。

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漢方・鍼灸に関する研究報告の現状

研究の現状と限界:母指CM関節症を対象とした漢方の質の高い比較試験は、今回の調査では見当たりませんでした。鍼灸では、ランダム化比較試験が1件あります。以下は、関連する研究の紹介であり、効果を保証するものではありません。

鍼灸

Barnardら(J Hand Surg Eur Vol 2020)は、母指CM関節症の70例を、実際の鍼と、皮膚に刺さない偽の鍼に分けて比較しました。両群とも1週間後に痛みが統計学的にも臨床的にも有意に改善しましたが、群間の差は示されませんでした。著者は、改善の程度が報告されている一部の標準的な治療と同程度であり、痛みの軽減には非特異的な仕組みも関わると考察しています。手の変形性関節症に対する鍼の多施設シャム対照試験も計画されており(Wangら, J Orthop Surg Res 2023、試験計画の報告)、結果が待たれます。

漢方

中国で行われた、膝・手の変形性関節症534例の多施設ランダム化試験(Wangら, Evid Based Complement Alternat Med 2018)では、伝統的な処方(仙霊骨葆)を6か月用いた群が、無治療の経過観察群より痛みと機能のスコアで改善しました。ただし盲検化のないオープンラベル試験です。日本では、防已黄耆湯や桂枝加朮附湯などの膝の変形性関節症に関する研究の紹介(Kampo for the Treatment of Pain in Japan, 2020)や、手指の変形性関節症(ヘバーデン結節)に越婢加朮湯や桂枝茯苓丸加薏苡仁を用いる臨床解説(櫛田, 日本医事新報 2023)があります。

これらは母指CM関節症に直接あてはまる根拠ではなく、参考情報です。タナココでは、この前提を踏まえ、経過を数か月単位で評価しながら、体質に合う方法を調整します。

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タナココにおける漢方・鍼灸のサポート

漢方薬による体質へのアプローチ

痛みの出方、腫れや熱感の有無、冷えやすさ、疲れやすさ、閉経前後の症状などから弁証を行い、処方を選びます。第9章に挙げた処方のほか、更年期の症状が目立つ場合は加味逍遙散なども検討します。

確認する点:越婢加朮湯・薏苡仁湯には麻黄、桂枝加朮附湯・牛車腎気丸・八味地黄丸には附子、多くの処方には甘草が含まれます。血圧・動悸・胃腸の状態、甘草の重複による電解質への影響、現在のお薬との飲み合わせは、薬剤師が確認します。

鍼灸施術によるアプローチ

局所:親指付け根の圧痛部位(阿是穴)、太淵・魚際・列缺・陽谿・合谷など、手首から親指にかけてのツボを使い、血流と筋の緊張を整えます。

全身:足三里・三陰交(気血を補う)、太谿・腎兪(腎を補う)、陽陵泉・懸鐘(筋や骨に関わる)など、体質に合わせて選びます。冷えが強い場合は温灸を用います。

鍼は使い捨てで、細い鍼から始め、お体の反応を見ながら刺激量を調整します。「鍼灸ははじめて」という方もご相談ください。

整形外科での診断、装具や運動療法を優先したうえで、それらと並行できる形で漢方・鍼灸を組み合わせます。蓋を開ける際は広い持ち手の道具を使う、両手で持つなど、親指への負担を減らす生活の工夫も、一緒に確認します。

改善までの経過には個人差があり、効果をお約束するものではありません。そのうえで、痛みが減り、手が使いやすくなるまで、状態に合わせて処方と施術を組み直しながら、最後まで取り組みます。

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よくある質問(FAQ)

母指CM関節症は自然に治りますか?
時間とともに症状が落ち着く方がいる一方で、症状が続く方もいます。レントゲン上の変化と症状の強さは必ずしも一致しません。保存的な治療を受けた方を約7年追跡した研究では、手術に移行したのは22%でした。痛みが続く場合は、整形外科で診断を受け、装具・運動・薬などを組み合わせることをお勧めします。
漢方や鍼灸で、変形した関節は元に戻りますか?
すり減った軟骨や骨棘が元に戻るとは言えません。これは西洋医学の治療でも同じです。一方で、痛みの軽減、冷えや疲れやすさなど全身の状態の改善、手の使いやすさを目標にした取り組みはできます。母指CM関節症に特化した漢方の比較試験は少なく、鍼では実鍼と偽の鍼で差が示されなかった報告もあります。そのため、経過を見ながら方法を調整します。
整形外科の治療と並行して、漢方・鍼灸を受けられますか?
受けられます。装具や運動療法、処方薬を続けながら、体質面のサポートを加える形で進めます。現在のお薬の内容をお知らせいただければ、薬剤師が飲み合わせを確認します。併用していることは、主治医にもお伝えください。
装具はずっと着けていないといけませんか?
EULAR 2018は長期使用を推奨し、ACR/AF 2019も装具を強く推奨しています。一方、装具を加えても追加の改善が示されなかった試験もあります。着ける時間や種類は、症状と生活に合わせて整形外科や作業療法士と相談してください。
日常生活で気をつけることはありますか?
親指の付け根への負担を減らす工夫が基本です。EULAR 2018は自己管理の教育を重視しており、関節保護や補助具の使用が有用だったとする試験もあります(Kroonら, RMD Open 2018)。蓋を開けるときは広い持ち手の道具や滑り止めを使う、重い物は片手でつままず両手で支える、細かい作業は途中で休むといった工夫が役立ちます。装具や運動は、整形外科や作業療法士に相談してください。
手術を勧められています。漢方・鍼灸を試す意味はありますか?
痛みが強く、他の治療で生活に支障が続く場合、手術は有力な選択肢です。迷っている段階で、手術までの間の痛みの管理や、体質面のサポートとして漢方・鍼灸を併用される方もいます。手術を受ける場合も、術後の回復期を体質面から支えることができます。手術の判断は、主治医とよくご相談ください。
ヘバーデン結節・ばね指・ド・ケルバン病との違いは何ですか?
ヘバーデン結節は指の第1関節、母指CM関節症は親指の付け根の関節の変形性関節症です。ばね指は指を曲げ伸ばしする腱の、ド・ケルバン病は手首の親指側の腱の腱鞘炎です。痛む場所が近く、合併もあるため、整形外科・手外科で診断を受けてください。
鍼灸は何回くらい通えばよいですか?
個人差が大きく、一概には言えません。数か月単位で痛みの程度や手の使いやすさを確認しながら、間隔や内容を調整します。早い段階で変化を感じる方もいれば、ゆっくり整えていく方もいます。

母指CM関節症──「年のせい」「手術しかない」で終わらせない選択肢があります

親指の付け根の痛みは、毎日の動作に直接関わります。蓋を開ける、包丁を使う、字を書く、孫を抱く。そうした動作が楽になることを目標に、タナココは取り組みます。

西洋医学の診断と治療を土台にしながら、冷え、疲れやすさ、更年期の症状、睡眠といった体質面を、漢方と鍼灸で整えます。痛みの出方に合わせて処方も施術も組み直し、手が使いやすくなるまで、方針の調整を続けます。

「装具をしても痛みが続く」「手術を勧められて迷っている」「手術はなるべく避けたい」「ヘバーデン結節も一緒につらい」──どのような状況でも、まず現状をお聞きするところから始めます。薬剤師・鍼灸師・心理士の資格を持つ担当者が、西洋医学と中医学の両面から、一人ひとりに合った提案をいたします。

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