円形脱毛症と漢方・鍼灸

円形脱毛症とは|診断・症状・原因と治療の現状、漢方・鍼灸によるサポート|相模原 タナココ
円形脱毛症 × 漢方・鍼灸 / 相模原 タナココ

円形脱毛症とは
診断・治療の現状と、体質から整える方法

ある日、髪が抜けていることに気づき、不安な気持ちで情報を探している方へ。円形脱毛症は、皮膚科で診断と治療の方法が整理されている病気で、生涯のうちに約2%の方が経験すると推計されています。

経過には個人差があり、自然に回復する方もいれば、時間のかかる方もいます。近年は治療の選択肢が増え、回復を目指せる場面が広がっています。

タナココは、皮膚科での診断と治療を土台に、漢方と鍼灸で睡眠・消化・巡り・疲れやすさといった体質面を整え、髪が育ちやすい状態を目指します。回復に向けて、できることを一つずつ、最後まで一緒に取り組みます。

最終更新日:2026年10月31日

円形脱毛症の理解と体質へのアプローチ

この記事の要点
  • 円形脱毛症は、成長期の毛包を標的とする自己免疫によって起こる脱毛症です。毛包そのものは壊されないため、炎症が落ち着けば毛が再び育つことがあります。
  • 診断は、問診・視診・ヘアプルテスト・トリコスコピー(頭皮の拡大観察)で行い、重症度はS0〜S5・B0〜B2の分類とSALTスコアで評価します。
  • 少数の小さな脱毛斑では、約8割が1年以内に回復したとの国内報告があります。一方、脱毛範囲が広い場合は回復しにくい傾向があり、再発も少なくありません。
  • 現在の治療は対症療法が中心です。2022年と2023年に、重症例を対象としたJAK阻害薬が保険診療で使えるようになりましたが、再発や適応の制限といった課題が残っています。
  • 漢方薬は、日本皮膚科学会ガイドライン2024で推奨度3(根拠が十分でないため推奨しない)とされています。一方で、鍼灸(梅花針)や漢方薬を通常の治療に加えた研究では、上乗せの効果を示唆する結果が複数報告されています。
  • タナココは、皮膚科での診断と治療を土台に、漢方・鍼灸で体質面を整えるサポートを行います。
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円形脱毛症とは何か

円形脱毛症(Alopecia Areata、以下AA)は、典型的には円形から類円形の脱毛斑が現れる、後天性で非瘢痕性(皮膚に傷あとを残さない)の脱毛症です。これまでの研究から、毛を作り出す時期である成長期の毛包を主な標的とする自己免疫性疾患であることが明らかになっています。(日本皮膚科学会 円形脱毛症診療ガイドライン2024)

脱毛は頭部だけでなく、眉毛・まつ毛・ひげ・体毛など、毛のある部位のどこにでも生じます。病変は毛包と爪に限られ、生命予後は良好な病気です。一方で、外見の変化が大きいため、学校・仕事・人間関係に影響し、生活の質(QOL)が下がることがあります。皮膚科を受診する脱毛疾患の中では、最も頻度の高い病気とされています。

「ストレスが原因」と言われることの多い病気ですが、現在の理解では、遺伝的な素因を背景に、感染症や疲労、心身のストレスなどが引き金になりうると考えられています。明らかな誘因がないまま発症する方も多く、脱毛はご本人の性格や努力不足によるものではありません。(ガイドライン2024)

毛が再び生える可能性が残されている理由:

円形脱毛症で免疫細胞の攻撃を受けるのは、毛を作る下部の毛包(毛球部)です。毛包の上部にある幹細胞は傷つけられないため、炎症が落ち着く(寛解する)と、毛は再び育つことがあります。「一度抜けたら二度と生えない」という病気ではありません。ただし、再び脱毛する(再発する)ことも多く、経過は一人ひとり異なります。(円形脱毛症診療ガイドライン2017)
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診断の進め方と、病型・重症度の分類

円形脱毛症の診断は、問診・視診・ヘアプルテスト・トリコスコピー(頭皮のダーモスコピー)を組み合わせて行います。生検(組織検査)を要さず、肉眼所見とトリコスコピー所見から診断できることが多い病気です。ほかの脱毛症との区別が難しい場合や、毛包周囲の炎症の程度を評価したい場合には、頭皮生検を行います。(ガイドライン2024)

1)診察で確認する内容

問診

  • 脱毛に気づいた時期と、その後の経過(増えているか、止まっているか)
  • これまでの治療歴、使用中の薬
  • 家族歴、既往歴
  • 甲状腺疾患・アトピー性疾患・白斑などの合併症の有無

視診・触診

  • 境界がはっきりした、円形から類円形の脱毛斑
  • 皮膚に萎縮や瘢痕を残さない
  • 活動期には、軽いかゆみ・刺激感・淡い赤みを伴うことがある
  • 慢性期には、脱毛部がわずかにくぼむことや、爪に点状のくぼみが出ることがある

ヘアプルテスト

  • 50〜60本ほどの毛束を、やさしく引いて抜け具合を調べる検査
  • 健康な頭皮で抜ける毛は2本以下で、 10%以上 抜ける場合を陽性とする
  • 脱毛斑とその周辺で陽性になることが多く、急速に進行するタイプで顕著
  • 慢性期は陰性のこともあり、陰性でも円形脱毛症を除外できるわけではない

トリコスコピー

  • 活動期には、根元が細い「感嘆符毛」、先細りの「漸減毛」、途中で切れた「断裂毛」、毛穴に毛の根元だけが残る「黒点」がみられやすい
  • 黄色点(イエロードット)や短い軟毛も高率にみられる
  • 黄色点は男性型脱毛症、黒点や断裂毛は頭部白癬や抜毛症でもみられるため、感嘆符毛・漸減毛など特異度の高い所見も合わせて診断する

2)病型の分類

日本皮膚科学会のガイドラインでは、脱毛斑の数・範囲・形によって次のように分類します。経過の中で病型が変わることや、複数の病型が重なることもあります。

病型 特徴
単発型 脱毛斑が1つのもの
多発型 複数の脱毛斑があるもの。脱毛斑が融合・拡大・縮小・再発を繰り返し、慢性に経過することがある
蛇行型(ophiasis) 頭髪の生え際が帯状に脱毛するもの
逆蛇行型 側頭部と後頭部を避け、前頭部と頭頂部に帯状の脱毛があるもの
びまん型 境界のはっきりした脱毛斑がなく、頭部全体の毛が薄くなるもの
全頭型 脱毛が頭部全体に拡大したもの
汎発型 頭部全体の脱毛に加え、脱毛が全身に拡大したもの
急速進行型 経過に基づく呼称で、頭部の広範囲に急速に脱毛が進むもの。慢性化する例がある一方、急速に回復して予後が良好な亜型もあり、一部は無治療で自然に回復する

3)重症度の分類

重症度は、頭部全体に占める脱毛面積の割合(S)と、頭部以外の脱毛の程度(B)で表します。ガイドラインでは、Bに関係なくS2以上を重症としています。(ガイドライン2024)

区分 内容
S0 脱毛がみられない
S1 脱毛巣が頭部全体の25%未満
S2 脱毛巣が25〜49%
S3 脱毛巣が50〜74%
S4 脱毛巣が75〜99%
S5 100%(全頭)脱毛
B0 頭部以外の脱毛なし
B1 頭部以外に部分的な脱毛がある
B2 全身すべての脱毛
SALTスコアと、面積だけで決まらない重症度:

臨床試験では、頭部を頭頂部(40%)・後頭部(24%)・右側頭部(18%)・左側頭部(18%)に分けて脱毛面積を合算する「SALTスコア」が使われ、SALTスコア50以上が重症の基準です。また、実際の診療では、脱毛面積だけでなく、精神面への影響、眉毛・まつ毛の脱毛、進行の速さなども合わせて重症度を考えます。

4)区別が必要な脱毛症

脱毛の原因は円形脱毛症とは限りません。ガイドラインでは、先天性三角形脱毛症、抜毛症(トリコチロマニア)、男性型・女性型脱毛症、休止期脱毛症、頭部白癬、瘢痕性脱毛症(慢性皮膚エリテマトーデス、毛孔性扁平苔癬など)、脂腺母斑、牽引性脱毛、梅毒性脱毛、全身性エリテマトーデスなどとの区別が必要とされています。特に小児では、円形脱毛症に抜毛症が合併することがあります。

最初に、皮膚科での診断を:

見た目が似ていても、原因が異なれば治療も異なります。脱毛に気づいたら、まず皮膚科で診断を受けてください。漢方・鍼灸は、診断を受けたうえで、皮膚科の治療と並行して取り入れることをお勧めしています。
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症状:頭髪にとどまらない影響

円形脱毛症は、脱毛が主な症状ですが、爪や心理面、日常生活にも影響が及ぶことがあります。症状の程度は、数個の小さな脱毛斑にとどまる方から、全身の毛が抜ける方まで幅があります。

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頭髪の症状

境界のはっきりした脱毛斑。通常は自覚症状がなく、活動期に軽いかゆみ・違和感・淡い赤みを伴うことがあります。脱毛斑が増えたり、融合して大きくなったりすることがあります。

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頭髪以外の症状

眉毛・まつ毛・ひげ・体毛の脱毛。慢性の重症例では、爪の点状のくぼみなどの変形が多くみられ、発症時や再燃時に横一列に並ぶこともあります。

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心理・生活への影響

外見の変化による不安、気分の落ち込み、人前に出ることへのためらい。学校や職場での生活に影響し、生活の質が下がることがあります。

日本の患者さんを対象にした調査では、皮膚疾患の生活への影響を測る質問票(DLQI)で「中等度から非常に大きい」と答えた方が32.1%、不安・抑うつの尺度(HADS)で疾患が疑われる水準以上だった方が、不安で46.0%、抑うつで41.8%でした。(Ito ら、J Dermatol 2022。ガイドライン2024に引用) 脱毛による心の負担は、脱毛面積の大きさだけでは測れないことが、この調査からも示されています。

合併しやすい病気:

円形脱毛症には、橋本病などの甲状腺疾患、尋常性白斑、アトピー性疾患などの合併が知られています。87論文に基づくシステマティックレビューでは、アトピー性疾患が20.6%(アレルギー性鼻炎17.7%、アトピー性皮膚炎9.6%)、精神疾患が49.4%にみられたと報告されています。重症の群ほどアトピー素因の合併率が高い傾向があります。合併症の確認のため、血液検査を行うこともあります。(Lee ら、J Am Acad Dermatol 2019。ガイドライン2024に引用)
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有病率・経過と回復の見通し

円形脱毛症は、年齢・性別・人種を問わずみられる、決してまれではない病気です。報告によって数値に幅がありますが、主なデータは次のとおりです。

項目 数値の目安 補足
生涯発症リスク 約1.7〜2.1% 米国の地域研究による推計(Safavi 1995:1.7%、Mirzoyev 2014:2.1%)
日本の有病率 2012年 0.16% → 2019年 0.27% 診療報酬請求データによる調査(Campos-Alberto ら 2023)。受診者を対象としており、増加傾向がみられる。Web調査では1.45〜2.18%との推計もあるが、調査方法の限界で実際より高い可能性がある(Aranishi ら 2023)
皮膚疾患に占める割合 2.5% 日本の多施設横断研究で、皮膚疾患の患者さんの2.5%が円形脱毛症(Furue ら 2011)
発症年齢・性別 全年齢。男女差はほとんどない 患者さんの約4分の1は15歳以下で発症するとされる(皮膚科専門医による解説)
家族内での発症 患者の8.4%(中国の調査) 1親等内の発症リスクは、欧米の調査で一般の約10倍。一卵性双生児での一致率は55%

回復の見通し

経過は、脱毛の範囲や病型によって大きく異なります。ガイドラインに掲載されている報告を整理すると、次のようになります。

状況 回復の目安
少数の小さな脱毛斑で、アトピー性疾患や内分泌疾患の既往がなく、個々の脱毛斑の存続が1年以内 国内の報告で、約80%が1年以内に毛髪が回復(Ikeda 1965)。ただし再発する例も多い
欧米の複数施設の報告 34〜50%が1年以内に回復。14〜25%は全頭型・汎発型に移行し、その場合の回復率は10%以下とされる
成人を平均17.7年追跡した報告 脱毛面積が25%未満で68%、50%未満で32%が回復。より広範囲では5%(Tosti 2006)
15歳以下の発症、蛇行型 回復率が低い傾向がある
急速に進行した場合 全頭型・汎発型に移行する例がある一方、急速に回復する亜型(acute diffuse and total alopecia)もあり、一部は無治療で自然に回復する
数字の受け止め方:

これらは集団での傾向を示す数字で、一人ひとりの経過を予測するものではありません。脱毛範囲が広い方、長く続いている方は回復しにくい傾向がありますが、治療の選択肢は増えています。また、前章のとおり毛包の幹細胞は残っているため、回復の可能性が閉ざされているわけではありません。一方で、ガイドラインは、少数の小さな脱毛斑であれば発症後1年以内は経過をみるだけでもよいとしており、状況に応じて「治療をしない」という選択肢も示されています。
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発症のメカニズム

円形脱毛症は、遺伝的な素因と環境要因が重なって起こる多因子の病気です。「なぜ毛が抜けるのか」は、毛包を守る免疫の仕組みが崩れることで説明されています。

1)毛包の免疫寛容の破綻

成長期の毛包は、通常、免疫細胞から攻撃されにくい状態(免疫寛容、immune privilege)に保たれています。円形脱毛症では、何らかの引き金によってこの免疫寛容が破綻し、毛包由来の成分が自己抗原として免疫細胞に認識されます。

脱毛部では、活性化したCD8陽性・NKG2D陽性の細胞傷害性T細胞がインターフェロンγ(IFN-γ)を分泌して毛包の上皮細胞を刺激し、刺激された上皮細胞がインターロイキン15(IL-15)を分泌してT細胞をさらに活性化する、という正のフィードバックループが形成されていると考えられています。病理組織では、毛球部の周囲にリンパ球が密に集まる「swarm of bees(ハチの群れ)」と呼ばれる所見がみられます。(ガイドライン2024、Xing ら Nat Med 2014、Bertolini ら Exp Dermatol 2020)

毛が抜けるまでの流れ

① 成長期の毛包: 免疫寛容によって、免疫細胞の攻撃から守られている。

② 免疫寛容の破綻: 遺伝的素因を背景に、感染症・疲労・ストレスなどが引き金になると推察される。

③ 自己免疫反応の開始: 毛包由来の自己抗原を標的に、CD8陽性・NKG2D陽性T細胞が活性化し、IFN-γを分泌する。

④ 炎症の増幅: 毛包の上皮細胞がIL-15を分泌し、T細胞がさらに活性化する(正のフィードバック)。

⑤ 脱毛: 成長期の毛が正常に作られず、抜け落ちる。

⑥ 炎症が落ち着いた場合: 毛包の幹細胞は傷害されていないため、毛周期が再開し、毛が再び育つことがある。

この経路の下流にはJAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素があり、JAK阻害薬が円形脱毛症の治療に使われる理由になっています。

2)遺伝的な背景

円形脱毛症は、複数の遺伝子が関わる多因子遺伝の病気と考えられています。HLAなどの免疫に関わる遺伝子の型に加え、ゲノムワイド関連解析で、CTLA4、IL-2/IL-21、ULBP6などの遺伝子領域が疾患の起こりやすさと関連することが報告されています(Petukhova ら Nature 2010、Betz ら Nat Commun 2015)。また、タイプ2炎症に関わるIL4・IL13遺伝子の多型も、円形脱毛症との関連が報告されています。

ただし、一卵性双生児での一致率は55%で、同じ遺伝情報を持っていても発症しない方がいます。遺伝は発症しやすさの一因であり、親が円形脱毛症だからといって、お子さんが必ず発症するわけではありません。

3)引き金となりうる環境要因

ガイドラインでは、疲労、ウイルス感染症、ワクチン接種、出産、精神的・身体的ストレスなどが引き金になると推察されています。これらは因果関係が確定したものではなく、明らかな誘因がないまま発症する方も多くいらっしゃいます。新型コロナウイルス感染症の後に発症した例の報告が近年相次いだことも、ガイドラインで触れられています。(ガイドライン2024)

4)ストレスとの関係

円形脱毛症とストレスの関係については、以前から議論があります。2017年版のガイドラインは、精神的ストレスと発症との直接の関連を示す科学的根拠は乏しいとし、安易にストレスの関与を唱えるべきではないとしています。2024年版では、サブスタンスPや副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)などのストレス関連物質が発症・悪化に影響する可能性が示唆されている一方、その程度や詳しい仕組みは不明とされています。

一方で、円形脱毛症の患者さんに不安や抑うつなどの精神疾患の合併が多いことは、多くの研究で指摘されています。脱毛そのものが大きな精神的負担になるためで、心身の状態を整えることは、病気と付き合っていくうえで大切な要素です。睡眠・食事・疲労のケアといった日々の体調管理も、心身を整える手段のひとつです。

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現在の治療とその限界

円形脱毛症の治療は、原則として対症療法です。年齢・重症度・病期(発症から約半年までの急性期か、それ以降の症状固定期か)の3つを軸に、患者さんの希望や社会的背景も踏まえて選択します。日本皮膚科学会のガイドライン2024には25の臨床疑問(CQ)が設けられ、推奨の強さは「1:強い推奨」「2:弱い推奨」「3:推奨しない」で示されています。「3」は、効果が否定されたという意味ではなく、判断の根拠となる情報が乏しい、あるいは日本の医療体制にそぐわないなどの理由で、現時点では勧められないという意味です。

治療法 ガイドライン2024の位置づけ 主な対象・注意点
ステロイド外用 推奨度1 単発型から、融合傾向のない多発型。強いクラス以上を1日1〜2回。長期の漫然とした使用は、皮膚の萎縮や血管拡張に注意
ステロイド局所注射 推奨度1 脱毛が限られた範囲(S1以下程度)の成人。痛み・皮膚萎縮に注意。小児には基本的に行わない
局所免疫療法(SADBE・DPCP) 推奨度2 S2以上の多発型・全頭型・汎発型の症状固定期。保険適用がない。系統的レビューで有効率65.5%、完全発毛32.3%、メタアナリシスでの再発率は48〜62%
ステロイド内服・点滴静注パルス 推奨度2 発症初期に急速に進行しているS2以上の成人。短期的には有効だが再発が多く、副作用にも注意。小児には行わない方がよい
紫外線療法 推奨度2 エキシマライト/レーザー・narrow-band UVBは主に通常型の成人、PUVAは主に全頭型・汎発型の成人。2020年度の診療報酬改定で保険適用に
JAK阻害薬(バリシチニブ・リトレシチニブ) 推奨度1(エビデンスA)。ただし条件付き 難治の重症例。頭部全体の概ね50%以上に脱毛があり、過去6か月程度、自然な発毛がないこと等が条件。バリシチニブは15歳以上、リトレシチニブは12歳以上
併用療法として用いられる薬(ミノキシジル外用、グリチロン配合錠、セファランチン、カルプロニウム外用、抗ヒスタミン薬など) 推奨度2 主に軽症例で併用する位置づけ。単独で整容的に十分な効果が得られるとは言えないとされる
ウィッグ 推奨度1 使用を希望する方に勧める。生活の質の改善が報告されている
漢方薬内服 推奨度3 根拠が十分でないため、推奨しないとされる。詳しくは第9章
心理療法・催眠療法 推奨度3 脱毛の改善への根拠は不十分。一方、精神的な葛藤や生活の質の低下には低いレベルで有用性が示されており、実施を妨げるものではない

JAK阻害薬という新しい選択肢

2022年6月にバリシチニブ(JAK1/2阻害薬)、2023年9月にリトレシチニブ(JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬)が、重症の円形脱毛症に対して保険診療で使えるようになりました。バリシチニブの国際共同第3相試験(BRAVE-AA2)では、36週後にSALTスコア20以下(脱毛範囲が頭部全体の20%以下)に達した割合が、4mg群で35.9%、2mg群で19.4%、プラセボ群で3.3%でした。リトレシチニブの試験(ALLEGRO)では、24週後に達した割合が、50mg群で23.0%、プラセボ群で1.6%でした。(King ら N Engl J Med 2022、King ら Lancet 2023。ガイドライン2024に引用)

近年の海外の動向として、アジア太平洋地域の専門家による合意(修正デルファイ法、Int J Dermatol 2026)でも、12歳以上の重症例にはJAK阻害薬を最後の手段ではなく、第一選択の全身療法として位置づけることが支持されています。重症の円形脱毛症に対して、治療の幅が広がってきたことは確かです。

現在の治療が抱える課題

西洋医学的治療を補う視点が求められる点

根治を目指す治療ではないこと: ガイドラインは、円形脱毛症の治療の原則を対症療法としています。軽快と増悪を繰り返す病気で、治療効果の判定が難しく、質の高いエビデンスに基づく治療法は、これまで限られていました。

治療をやめると再発しやすいこと: バリシチニブでは、52週間の治療で毛髪が回復した後に投与を中止すると、ほとんどの方で再び脱毛が進んだと報告されています(King ら JAMA Dermatol 2024)。ステロイドの内服・パルスでも再発が多く、局所免疫療法の再発率は48〜62%と報告されています。

全員が十分に回復するわけではないこと: JAK阻害薬でも、前述のとおり、試験の評価時点でSALTスコア20以下に達しなかった方が多くいます。36週(バリシチニブ)または48週(リトレシチニブ)までに反応が得られない場合は、投与の中止が検討されます。

適応・費用・安全性の制約: JAK阻害薬は、適応条件を満たす重症例に限られ、高価で、効果の判定に半年程度かかります。感染症などの副作用への注意が必要で、妊娠中は使用できず、長期の安全性はまだ定まっていません。また、使用できるのは、ガイドラインが定める要件を満たした施設に限られます。

小児・思春期の選択肢が限られること: ステロイドの局所注射・内服・パルスは、小児には基本的に行わないとされています。JAK阻害薬にも年齢の制限があり、15歳以下で発症した場合は回復率が低い傾向もあります。

心の負担と生活面への対応: 脱毛による不安や抑うつ、睡眠・疲労といった日常の状態は、薬だけでは十分に支えきれないことがあります。心理的なサポートと、体調全体を整える視点が重要です。

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西洋医学 vs 中医学 アプローチ比較

円形脱毛症に対する西洋医学と中医学のアプローチの違いを整理します。両者は対立するものではなく、役割が異なります。皮膚科での診断と治療を中心に置き、体質面を支える中医学を組み合わせることで、より幅広いサポートが可能になります。

観点 西洋医学的アプローチ 中医学的アプローチ
病態の捉え方 毛包に対する自己免疫として評価する。免疫寛容の破綻、CD8陽性・NKG2D陽性T細胞、IFN-γ・IL-15といった免疫の経路が中心 「油風(ゆふう)」「斑禿(はんとく)」として、血(栄養物質)の不足、気血の巡りの滞り、肝・脾・腎の働きの偏りなど、体質のバランスの乱れとして包括的に捉える
治療の目標 毛包への免疫の攻撃を抑え、脱毛の進行を止めて発毛を促す 髪を育てる土台(気・血・精)を整え、巡りを良くし、睡眠・消化・冷え・緊張といった全身の状態を整える
主な治療手段 ステロイド(外用・局注・内服・パルス)、局所免疫療法、紫外線療法、JAK阻害薬、ウィッグ、心理的サポート 弁証に基づく漢方薬、鍼灸(頭部・全身のツボ)、日常の養生指導
長所 診断の方法と病勢の評価法が整っている。JAK阻害薬など、臨床試験で有効性が示された治療がある。急性期や重症例に対応できる 体質全体に働きかけられる。睡眠・胃腸・冷え・月経・気分の波など、併存する不調も合わせて診られる。皮膚科の治療と並行しやすい
限界・課題 根治を目指す治療ではなく対症療法が中心。中止後の再発、適応の制限、副作用や費用、小児での選択肢の少なさがある。体質や生活面への働きかけは限られる ガイドラインでは漢方薬が推奨度3で、質の高い比較試験が限られる。効果には個人差があり、判定に数か月を要する。単独で重症例の発毛を保証できる段階ではない
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中医学からの円形脱毛症の病態分析

中医学では、円形脱毛症を「油風」「斑禿」と呼び、俗に「鬼剃頭」とも呼ばれます。中国・明代の外科書『外科正宗』(陳実功、1617年)の「油風」の項には、血が不足して毛髪を養えなくなり、毛根が空になって斑状に抜けること、そこに風熱が加わること、皮膚につやが出てかゆみを伴うことなどが記されています。円形脱毛症にあたる病気が、400年以上前から観察され、体質の面から考えられてきたことがわかります。

中医学の基本的な考え方に、「髪は血の余り(髪為血之余)」「腎は髪に華やぐ(腎其華在髪)」があります。髪の状態は、血を蓄え巡りを調整する「肝」、気血を生み出す「脾胃」、生命の根本である精を蔵する「腎」の働きと関わると考え、脈診・舌診・腹診・問診を総合して体質の偏り(弁証)を把握し、方針を決めます。円形脱毛症で見られる主な証(体質のパターン)は、次のとおりです。

けっきょふうそう
血虚風燥(血が不足し、乾燥する型)

血が不足して毛根や皮膚を潤し養えず、乾燥してかゆみなどが出る状態。『外科正宗』の油風の記述に近い型です。顔色や唇・爪の色が薄い、肌や髪の乾燥、立ちくらみ、女性では月経量の減少などを伴います。血を養い、潤し、風を鎮める方向で、四物湯・当帰飲子などが検討されます。

けつねつふうそう
血熱風燥(熱がこもる型)

精神的な緊張や睡眠不足などで体に熱がこもり、脱毛が急に進む状態。のぼせ、口の渇き、便秘、いらいら、舌が赤いといった所見を伴います。発症が急で、進行が速い初期に見られやすいとされます。血の熱を冷まし、風を鎮める方向で、温清飲などが検討されます。

きたいけつお
気滞血瘀(巡りが滞る型)

長引くストレスや緊張で気の巡りが滞り、血の流れも悪くなった状態。経過が長く、毛の再生がゆっくりな場合に目立ちます。頭痛、寝つきの悪さ、肩こり、顔色や唇の暗さ、月経痛などを伴います。気血の巡りを促す方向で、桂枝茯苓丸などが検討されます。

かんじんふそく
肝腎不足(根本の力が不足する型)

先天的な体質や、長期の消耗によって、肝の血と腎の精が不足した状態。慢性の経過や、脱毛範囲が広い場合の土台として見られます。腰やひざのだるさ、耳鳴り、めまい、白髪、疲れやすさなどを伴います。肝と腎を補う方向で、六味丸・八味地黄丸などが検討されます。

きけつりょうきょ
気血両虚(エネルギーと栄養が不足する型)

胃腸が弱く、気と血を十分に作れない状態。病後・産後や、長期の疲れの後に見られます。顔色が悪い、息切れ、動悸、疲れやすい、細く切れやすい毛といった特徴があります。気と血を補う方向で、十全大補湯・人参養栄湯・補中益気湯・帰脾湯などが検討されます。

かんきうっけつ
肝気鬱結(ストレスで気が滞る型)

精神的な緊張や我慢が続き、肝の気の巡りが滞った状態。いらいら、胸やわき腹の張り、寝つきの悪さ、月経不順などを伴います。気の巡りを整え、心を落ち着ける方向で、加味逍遙散・柴胡加竜骨牡蛎湯・抑肝散などが検討されます。

実際には、これらの証が重なって現れることが多く、時期によっても変わります。中医学の臨床では、一般に、発症初期は血熱風燥や肝気鬱結、慢性期や固定期は血虚・気滞血瘀・肝腎不足・気血両虚が目立つ傾向があるとされます。ここに挙げた処方は検討される例であり、実際の選択は、年齢・体質・現在の症状・服薬状況に応じて個別に判断します。

中医学的な見方と、西洋医学的な見方の関係:

ここで述べた証は、中医学の理論に基づく体質の捉え方です。毛包に対する自己免疫そのものを直接説明するものではなく、西洋医学の診断や治療と矛盾するものでもありません。西洋医学が「毛包で何が起きているか」を見るのに対し、中医学は「その方の体が、髪を育てやすい状態にあるか」を見ます。見る場所が異なるため、組み合わせることができます。
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漢方・鍼灸に関する研究報告の現状

円形脱毛症に対する漢方・鍼灸の研究は、近年、系統的レビューやメタアナリシスが複数報告されるようになりました。一方で、日本皮膚科学会のガイドラインは、現時点では慎重な立場をとっています。その内容と、最新の研究を、正確にお伝えします。

日本皮膚科学会ガイドラインでの位置づけ:

ガイドライン2024では、漢方薬の内服療法は推奨度3で、現時点では根拠が十分でないとして推奨されていません。理由として、症例集積報告が4報にとどまること、脱毛面積・評価基準・再発の有無が不明確なこと、自然治癒率を上回る効果があるか判断できないこと、複数の薬剤をまとめて「漢方薬」として評価しており、各処方の効果が判断できないことが挙げられています。鍼灸については、2017年版で推奨度C2とされ、発毛効果の有用性を論じる段階にはないとされました。一方で、無効または有害であることを示す良質な根拠も存在しないと記されています。さらに、実施方法と評価方法を統一した臨床試験での検証が、今後必要であると明記されています。

鍼灸:梅花針を中心とした研究

梅花針は、5〜7本の短い針が付いた槌状の道具で、皮膚を軽く叩く刺激を与える方法です。中国では円形脱毛症に対して、通常の治療と組み合わせて広く用いられてきました。

2021年のメタアナリシス(Dai ら、Annals of Palliative Medicine):梅花針を通常の治療(外用薬、内服、ステロイド局注など)に追加した効果を調べた、11件のランダム化比較試験(計1,192人)の解析です。梅花針を追加した群で、大部分の発毛(RR 1.40、95%CI 1.18〜1.67)、完全な発毛(RR 1.33、95%CI 1.10〜1.61)の割合が高いという結果でした。重篤な有害事象は報告されていません。ただし、外用治療を併用していない場合には有意な差はみられず、試験の質は中程度から低い、参加者の盲検化ができない、試験間のばらつきが大きいといった限界が、著者らによって指摘されています。

2026年の系統的レビュー(Jun ら、Medicine):13のデータベースを2024年12月まで検索し、11件のランダム化比較試験(1,144人)を解析しました。うち7件(756人)で、梅花針を西洋医学に併用した群は、西洋医学単独の群よりも症状が改善した割合が高い結果でした(RR 1.09、95%CI 1.03〜1.16)。著者らは、エビデンスの確実性は低く、今後、より厳密な大規模研究が必要であると結論しています。

梅花針が働く仕組みは、外用薬の浸透が高まること、創傷治癒の過程で毛包の成長が刺激されること、局所の血流が増えること、神経・内分泌・免疫の調整に関わることなどが仮説として挙げられていますが、いずれも確定していません。これらの研究は、鍼灸単独の効果を示すものではなく、通常の治療に加えた上乗せ効果を検討したものです。

漢方薬:通常治療への上乗せを検討した研究

2024年のメタアナリシス(Park ら、European Journal of Integrative Medicine):ステロイド療法に東アジアの漢方薬を併用した効果を調べた15件の研究(1,119人)の解析です。併用群では、ステロイド単独の群と比べて、治癒率が高く(RR 1.50、95%CI 1.31〜1.71)、再発率が低い(RR 0.28、95%CI 0.16〜0.48)という結果でした。

2024年の系統的レビュー(韓国小児韓方学会誌):日本語・中国語・韓国語・英語の10のデータベースを検索し、ランダム化比較試験を解析しました。漢方薬は円形脱毛症に有意に有効であるとの結果でしたが、含まれた研究の質が低いため、今後の臨床研究が必要と結論されています。

2023年の系統的レビュー(Tkachenko ら、J Am Acad Dermatol):補完代替医療のうち、発毛への根拠と効果が比較的よく示されたものとして、精油によるアロマセラピー、ニンニクの外用、ペオニー由来の配糖体と複方グリチルリチン(甘草の成分)の内服が挙げられました。有害事象はまれで軽度でしたが、研究方法のばらつきが大きく、結論には限界があります。

日本の診療でも、グリチルリチン・グリシン・メチオニン配合錠(グリチロン)が、併用療法の一つとして推奨度2に位置づけられています。グリチルリチンは、多くの漢方処方に含まれる甘草の主成分です。ただし、漢方薬に含まれる甘草の量と錠剤の量は異なり、同じ効果が得られるとは限りません。また、甘草を含む処方を重ねて用いると、血圧の上昇、むくみ、血液中のカリウム値の低下(偽アルドステロン症)が起こりうるため、薬剤師による確認が欠かせません。国内でも、柴胡加竜骨牡蛎湯などの使用経験が症例集積として報告されています。

研究から読み取れること

  • 鍼灸・漢方薬ともに、通常の治療に加える形での検討が中心で、上乗せの効果を示唆する結果が複数報告されています。
  • 効果の大きさは確定しておらず、研究の質・規模・盲検化に限界があります。大規模で厳密な検証は、今後の課題です。
  • 報告された範囲では、重篤な有害事象は目立ちません。ただし、漢方薬は体質や併用薬によって注意すべき点が異なるため、専門家による確認が必要です。
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タナココにおける漢方・鍼灸のサポート

円形脱毛症の治療の中心は、皮膚科での診断と治療です。タナココの漢方・鍼灸は、それに代わるものではなく、皮膚科の治療と並行して、髪が育ちやすい体の土台を整える役割を担います。そのうえで、回復の可能性を少しでも高めるために、漢方と鍼灸でできることを全力で尽くします。

漢方薬による体質へのアプローチ

タナココの漢方では、「気・血・精という髪を育てる土台を整え、巡りと睡眠・消化の状態を整えることで、毛包が本来の働きを取り戻しやすい状態を目指す」ことを目的とします。弁証に基づき、次のような方向性から処方を選択します。

血を養う(養血): 四物湯・当帰飲子・十全大補湯など。顔色が薄い、肌や髪が乾燥する、立ちくらみがある、女性で月経量が少ないといった血虚の傾向に。


気を補い、胃腸を整える(補気健脾): 補中益気湯・人参養栄湯・帰脾湯など。疲れやすい、食欲が出ない、病後や産後の消耗が続いているといった傾向に。気血を作る土台である脾胃を整えます。


気の巡りを整え、心を落ち着ける(疏肝解鬱): 加味逍遙散・柴胡加竜骨牡蛎湯・抑肝散など。緊張や我慢が続いている、いらいらする、寝つきが悪いといった肝気鬱結の傾向に。


熱を冷まし、風を鎮める(涼血祛風): 温清飲など。発症が急で、のぼせや口の渇き、便秘を伴う血熱風燥の傾向に。


巡りを促す(活血化瘀): 桂枝茯苓丸など。経過が長い、頭痛や肩こり、月経痛を伴う気滞血瘀の傾向に。


肝と腎を補う(補益肝腎): 六味丸・八味地黄丸など。慢性の経過で、腰のだるさ、耳鳴り、白髪、疲れやすさを伴う肝腎不足の傾向に。


これらは単独ではなく、弁証に基づいて組み合わせます。処方の選択と用量は、年齢・体格・体質・現在の症状・服薬状況に応じて個別に判断します。甘草を含む処方が重なる場合の血圧・血液中のカリウム値への影響や、皮膚科で処方されている薬との組み合わせは、薬剤師が確認します。

鍼灸施術による体質・巡りへのアプローチ

鍼灸では、気・血の巡りを整える経穴(けいけつ:ツボ)への刺激を通じて、頭部の巡り、自律神経のバランス、睡眠、胃腸の働きなどを整えることを目指します。円形脱毛症で選択することのあるツボの例は、次のとおりです。

百会(ひゃくえ): 頭頂部のツボ。頭部の気血の巡りを促し、頭の重さや寝つきの悪さの調整に用います。

風池(ふうち): 後頭部の首の付け根のくぼみにあるツボ。頭部の巡りを良くし、肩こりや頭痛の調整に用います。

足三里(あしさんり): 脾胃を整え、気血を生み出す土台を支える代表的なツボ。疲れやすさや胃腸の弱さに用います。

三陰交(さんいんこう): 脾・肝・腎の3つに関わるツボ。血を養い、冷えや月経に関わる不調の調整に用います。

肝兪(かんゆ)・腎兪(じんゆ): 背中にあるツボ。肝の血と腎の精を補う方向で用います。

内関(ないかん)・神門(しんもん): 緊張や不安、寝つきの悪さなど、心身の緊張を和らげる目的で選びます。

脱毛部とその周囲への刺激の有無や強さは、皮膚の状態と皮膚科での治療内容に合わせて調整します。局所免疫療法や外用治療の最中は、頭部への施術の可否を、治療内容に合わせて判断します。お灸は、冷えが強い方や疲れやすい方に用います。初回は体の反応を確認しながら丁寧に進めますので、「鍼灸ははじめて」「お子さんが怖がっている」という場合も、まずご相談ください。お子さんには、細い鍼による軽い刺激や、刺さない小児鍼から始めます。

タナココでのサポートの進め方

初回から経過の確認までの流れ

① 現状の確認: 皮膚科での診断名、病型・重症度、これまでの経過と治療内容、使用中の薬をお聞きします。皮膚科を受診していない場合は、まず受診をお勧めします。

② 弁証: 問診・脈診・舌診・腹診により、体質の偏りを把握します。睡眠、食事、胃腸、冷え、月経、気分の波なども確認します。

③ 方針のご提案: 漢方処方と鍼灸の方針、通院の頻度の目安をご説明し、ご希望を伺いながら決めます。

④ 経過の確認と調整: 産毛の出現を含む脱毛部の変化、睡眠・胃腸・冷え・気分などの状態を、数か月単位で確認し、処方と施術を調整します。

⑤ 皮膚科との連携: 漢方・鍼灸を併用していることを、皮膚科の主治医にもお伝えください。必要に応じて、情報の共有をお手伝いします。

「皮膚科の治療を続けているが再発が心配」「治療を受けていても、なかなか変化が出ない」「薬を使えない時期なので、できることを探したい」「お子さんの脱毛で、ご家族も気持ちが落ち着かない」「体質から整えたい」——どのような状況でも、まず現状をお聞きすることから始めます。薬剤師・鍼灸師・心理士の資格を持つ担当者が、西洋医学と中医学、心理的な側面から、一人ひとりに合った提案をいたします。

ご利用にあたって:

本ページは一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。漢方・鍼灸の効果には個人差があり、発毛を保証するものではありません。現在受けている皮膚科の治療を、自己判断で中止しないでください。
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よくある質問(FAQ)

円形脱毛症は自然に治りますか?
自然に回復する方はいます。アトピー性疾患や内分泌疾患の既往がなく、小さな脱毛斑が少数で、それぞれの存続が1年以内の場合、約8割で1年以内に毛髪が回復したとの国内報告があります。一方、欧米の複数施設の報告では、1年以内に回復するのは34〜50%で、14〜25%は全頭型や汎発型へ移行し、その場合の回復率は10%以下とされています。再発する方も少なくありません。少数の小さな脱毛斑であれば経過をみる選択肢もありますが、脱毛範囲が広い場合や進行している場合は、皮膚科で治療を相談し、体質面を整える漢方・鍼灸も併せて検討することをお勧めします。
円形脱毛症の原因はストレスですか?
ストレスだけで発症する病気ではありません。毛包を標的とする自己免疫が中心で、遺伝的な素因を背景に、感染症・疲労・心身のストレスなどが引き金になりうると推察されています。日本皮膚科学会のガイドラインでは、精神的ストレスと発症の直接の関連を示す科学的根拠は十分ではなく、ストレス関連物質の影響が研究されている段階とされています。一方、脱毛そのものが大きな精神的負担となり、不安や抑うつを伴う方も多いため、心身の状態を整えることは大切です。脱毛はご本人の性格や努力不足によるものではありません。
漢方・鍼灸で円形脱毛症は改善しますか?
「必ず改善する」とは言えない段階です。日本皮膚科学会のガイドライン2024では、漢方薬の内服は推奨度3(現時点では十分な根拠がない)とされ、鍼灸は2017年版で推奨度C2(有用性を論じる段階にはないが、無効や有害を示す良質な根拠もない)とされています。一方、近年のメタアナリシスでは、通常の治療に梅花針(2021年、2026年)や漢方薬(2024年)を加えた群で、発毛や再発の面で上乗せの効果を示唆する結果が報告されています。ただし、研究の質や規模には限界があります。タナココでは、皮膚科の治療を中心に置き、体質面を支える補完的な方法としてご提案します。
皮膚科の治療(ステロイド・JAK阻害薬など)と、漢方・鍼灸は併用できますか?
多くの場合、並行して行えます。タナココでは、薬剤師・鍼灸師が、現在の治療内容(ステロイド、局所免疫療法、紫外線療法、JAK阻害薬など)と服薬状況を確認したうえで、甘草を含む処方の重複や薬の組み合わせに注意しながら、漢方処方と鍼灸の方針をご提案します。局所免疫療法や外用治療の最中は、頭部への施術の可否を治療内容に合わせて判断します。皮膚科の治療を自己判断で中止することは推奨しません。漢方・鍼灸を併用していることは、皮膚科の主治医にもお伝えください。
子どもの円形脱毛症にも、漢方・鍼灸は受けられますか?
受けられます。円形脱毛症は、患者さんの約4分の1が15歳以下で発症するとされ、15歳以下で発症した場合は回復率が低い傾向があります。ステロイドの局所注射・内服・パルス療法は小児には基本的に行わず、JAK阻害薬にも年齢の制限があるため、選択肢が限られます。そのため、生活面・体質面から支える方法を併せて検討する意義があります。鍼灸は、細い鍼による軽い刺激や、刺さない小児鍼から始めます。まず皮膚科で診断を受け、抜毛症など他の原因がないかを確認してください。
円形脱毛症は再発しますか? 遺伝しますか?
再発はまれではありません。特に多発型では、脱毛斑が融合・拡大・縮小・再発を繰り返し、慢性に経過する傾向があります。遺伝については、複数の遺伝子が関わる多因子遺伝と考えられています。中国の調査では患者さんの8.4%に家族内発症があり、1親等内の発症リスクは一般の約10倍と報告されています。ただし、一卵性双生児での一致率は55%で、同じ遺伝情報を持っていても発症しない方がいます。親が円形脱毛症だからといって、お子さんが必ず発症するわけではありません。
改善までどれくらいかかりますか?
個人差が大きく、一概には言えません。毛が生え変わるには時間がかかるため、効果の判定には、一般に3〜6か月以上を要します。JAK阻害薬の臨床試験でも、24〜36週後に評価されています。漢方・鍼灸でも、産毛の出現を含む脱毛部の変化や、睡眠・胃腸・冷え・気分の状態を、数か月単位で確認しながら進めるのが基本です。即効性よりも継続が大切なため、タナココでは定期的に経過を確認し、体質の変化に応じて処方・施術内容を調整しながら、無理のないペースで取り組めるようサポートします。
市販の育毛剤やサプリメントで、円形脱毛症は改善しますか?
市販の育毛剤は、男性型脱毛症などを対象とした製品が多く、自己免疫が関わる円形脱毛症に、育毛剤だけで改善を期待することは難しいと考えられます。ミノキシジル外用は、ガイドライン2024で併用療法の一つ(推奨度2)とされていますが、整容的に十分な効果は得られなかったと報告されています。サプリメントや民間療法を始める前に、まず皮膚科で診断を受け、治療の選択肢を確認してください。そのうえで、体質面を整える方法として漢方・鍼灸をご相談いただけます。

円形脱毛症は、皮膚科の治療に加えて、体質の面からも支えることができます

髪が抜けたことは、ご本人の努力や性格が原因ではありません。免疫の働きが関わる病気で、診断と治療の方法が整ってきています。

円形脱毛症は、毛包が瘢痕化して失われる病気ではなく、毛包の幹細胞が残っているため、炎症が落ち着けば毛が再び育つことがあります。睡眠・胃腸・冷え・月経・気分の波といった体質面を整えることが、その回復を後押しすると、中医学では考えます。研究はまだ途上ですが、鍼灸(梅花針)や漢方薬を通常の治療に加えた研究では、発毛や再発の面で、上乗せの効果を示唆する結果が報告されています。

タナココは、回復の可能性を少しでも高めるために、持てる知識と技術を尽くします。脱毛が広範囲に及んでいる方、長く続いている方、再発を繰り返している方、お子さんの脱毛でご家族が悩んでいる方も、まず現在の状況をお聞かせください。薬剤師・鍼灸師・心理士の資格を持つ担当者が、皮膚科の治療内容を確認しながら、西洋医学と中医学の両面から、一人ひとりに合った方法を提案し、最後まで一緒に取り組みます。

ご相談だけでも構いません。回復に向けた選択肢が増えていることを、まずお知りいただければと思います。

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