忙しい一日の終わりに、ふと頭に浮かぶのは、うまくいったことよりも、引っかかった一言や小さな失敗。
「今日はけっこうちゃんとやれたはずなのに、どうして少しうまくいかなかったことばかり思い出すんだろう」
そんな経験に、心当たりのある人は多いと思います。
ネガティブな内容が相対的に記憶に残りやすい傾向は「記憶バイアス」と呼ばれ、例えば「10回うまくいった経験」があっても、「1回の失敗」ばかりが頭に浮かぶ、といった形で日常の中によく見られます。
では、このなかなか切り替えにくい思い出し方の偏りは、そのまま受け入れるしかないのでしょうか。
「嫌なことばかり思い出してしまう」という状態に対して、どのような工夫が役立つのかを検討した研究があります。日本の研究です。
今回の研究では、この思い出し方の偏りを軽減する方法として、参加者が自宅でできる短い練習プログラムに取り組みました。
週に2回、1か月で合計8回、パソコンやスマートフォンを使って行います。参加者は2つのグループに分かれ、共通の練習に加えて、さらに片方のグループだけが「追加の練習プログラム」を行いました。
追加の練習プログラムでは、画面に前向きな言葉が表示された直後に、その言葉に合う自分の体験を、できるだけ具体的に思い出します。
例えば「有能」という言葉が出たら、仕事や家事でうまくできた場面や、人の役に立てたと感じた出来事を思い浮かべます。
研究では、追加の練習プログラムの有無による「変化」を調べました。
「変化」は、「気分」をはじめ、疲れやすさ、物事を思い出すときの偏り、唾液中のストレスホルモン、さらに脳の働きまで、幅広い指標が調べられました。
その結果、不安や落ち込みやすさといった気分の傾向は、どちらのグループでも下がっていました。
一方で、追加の練習プログラムを行ったグループでは、「疲れやすさ」が軽減し、「悪ことばかり思い出してしまう」という思考になりにくくなっていました。
さらに唾液中のストレスホルモンも低くなっていました。脳の検査では、感情に関わる部分と、考えを整理する部分の連動が強まっており、感情を調整する仕組みがきちんと働いていることを示しています。
中医学の視点では、思考の偏りが続くと「気」が乱れたり消耗したりして、疲れやすくなったり、物事を悲観的に捉えやすくなると考えます。
今回の練習プログラムは、悪い出来事だけが浮かびやすい状態に対して、良かった出来事も思い出すことで「気」を整える、ひとつの「養生法」と捉えることもできます。
実際に今回の研究では、疲れやすさの軽減やストレス反応の指標の低下、感情に関わる脳の働きの調整などが示されました。
この研究が示しているのは、「考え方を正す」ことではありません。
良かった出来事を具体的に思い出す練習が、心だけでなく体の反応にも働きかけて、「嫌なことばかり思い出す」傾向をやわらげる可能性があるという点です。
練習プログラムは専門的に作られたものですが、日常の中でも応用できます。例えば、1日の終わりに「今日は助かったこと」や「少しでもうまくできたこと」をひとつだけ思い出してみる。
もちろん、気分の落ち込みが強い時期には、こうした作業が負担に感じられることもあります。そうしたときは無理せず、できそうなときにだけ取り組む。それだけでも効果は期待できます。
記憶の偏りは、変えられないものではありません。
小さな積み重ねで、少しずつ修正していくことができる──今回の研究は、その現実的な可能性を示したものでした。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ご覧いただきありがとうございます
「なんか生きづらいな」
「なんか体の調子が良くないな」
と感じている方へ
漢方と鍼灸、心理学的アプローチを合わせた心身のケアで
日々の生活に彩りを添えるお手伝いをいたします
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
漢方薬局・鍼灸接骨院
&
吸い玉(カッピング)
足ツボ(リフレクソロジー)
ヘッドスパ・美容鍼
よもぎ蒸しサロン
《タナココ》
