🖐️ あなたを「選択」を支配しているものは?
気づくと同じものを手に取っていたり、いつも通りの行動をそのまま続けていたりすることがあります。
自分で選んでいるように見えても、身の回りの環境が行動に影響している場面は意外と多いものです。
その「小さなきっかけ」が人の行動にどの程度影響するのか。世界中の研究をまとめて徹底的に調べた、大規模な分析があります。
数多くの実験結果を丁寧に読み解くと、「行動」と「環境」の関係が見えてきました。
中医学でも、身体や心の状態は環境とのバランスに左右されると考えますが、その視点と今回の研究には共通するところがあります。
研究を読み進めていくと、「あの行動には、こんな仕組みが関わっていたのか」と思える場面がいくつもあり、日々の行動に別の視点が加わります。
それでは、続きを見ていきましょう!
🧠 「ナッジ」って何だろう?
私たちは普段、無数の選択をしていますが、そのすべてを深く考えて決めているわけではありません。
忙しいときや、なんとなく決めているような場面では、「周囲の環境」に行動が影響を受けてしまうことがあります。
この「環境に左右される性質」を前提に、行動がより望ましい方向へ進みやすいように設計する考え方が「ナッジ」です。
選択を強制するわけではなく、選びやすい形に整えることで、自然と行動が変化していきます。たとえば、健康的な食品を取りやすい位置に置く、初期設定を工夫する、といった小さな仕組みがその代表です。
🌍 世界中から集まった「行動データ」を分析する
この研究の特徴は、扱っているデータの大きさにあります。
214本の研究から、合計455件の効果量が集められ、参加した人はおよそ214万9,683人にのぼります。ひとつの都市の人口に匹敵する規模で、これだけの人数の行動をまとめて分析した研究は多くありません。
集められた研究には、食品の選び方、健康行動、環境への配慮、金融に関する判断など、日常生活のさまざまな場面が含まれています。
場面が違っても「環境の工夫が行動にどう作用するか」という共通の視点で比較できるように整えられており、「ナッジ」の全体像をとらえる助けになっています。
📊 「ナッジ」の効果はどれくらい?
この研究で世界中のナッジ研究の結果をまとめて分析したところ、「環境の工夫によって行動が変わる」ことが確認されました。
強引に行動を変えるわけではありませんが、何も工夫しない場合と比べると、行動が変わる人が着実に増えるという傾向が見られています。
ただ、どの場面でも同じように変わるわけではありません。
たとえば「食べ物を選ぶ」時は、周りの環境に影響されやすく、行動が変化しやすいことが多くの研究で示されています。食品の並べ方や量の見え方を少し変えるだけで、選ばれる行動が大きく変わりやすくなるようです。
一方で、お金が関わる判断は慎重になりやすく、行動の変化は控えめになる傾向があります。選びやすい状況をつくる工夫そのものは可能ですが、その方向に行動が動くかどうかは場面によって違いがあり、この場合、変化の幅は比較的小さくなりやすいと示されています。
さらに、この研究で集められたデータには、効果が出た研究のほうが発表されやすいという「バイアス(偏り)」が含まれていることも指摘されています。こうした点を踏まえて分析しても、環境の工夫が行動に影響するという傾向そのものは変わらず、ナッジが実際に作用する仕組みであることが確認されています。
🧩 どんな「ナッジ」が効きやすい?
ナッジにはいくつかの種類がありますが、今回の研究では
「情報の伝え方を変えるタイプ」
「選択肢の構造を変えるタイプ」
「行動を手助けするタイプ」
の三つに整理されています。
この中でも、特に効果が大きくなりやすいと示されているのが「選択肢の構造を変えるタイプ」です。
例えば、手に取りやすい位置に商品を置いたり、初期設定(デフォルト)をどうするか決めておいたりする方法がこれに当たります。
人が自然に選びやすい状態をつくるため、こうした工夫がそのまま行動に反映されやすいことが特徴です。
一方で、「情報の伝え方を変えるタイプ」は一定の効果があるものの、状況によって差が出やすいとされています。
「行動を手助けするタイプ」も役立つ場面はありますが、選択肢の構造そのものを変えるタイプほど、大きな行動の変化につながることは多くありません。
「ナッジ」といっても一つの決まった形があるわけではなく、どのタイプの工夫を選ぶかによって、行動の変わり方が大きく変わることがこの研究から示されています。
🌱 中医学の視点でみる「ナッジ」
中医学では、人の行動や心の動きは「からだの状態」と「外からの刺激」の組み合わせで変化すると考えます。気(き)の巡りが滞らず、からだと環境のバランスがとれていると判断がしやすく、自然に行動が選びやすい状態になります。今回の研究が示した“環境によって行動が変わる”という考え方は、この中医学の視点と重なる部分があります。
たとえば、選択肢の構造を変えるナッジは、外側の環境を整えることで行動をスムーズにしようとする方法です。これは、中医学でいうところの「気の流れを妨げるものを取り除き、通り道を整える」という考え方に近いものがあります。判断に迷いや負担があると、気が滞りやすくなるように、選びにくい環境は行動を鈍らせます。環境を調えることで行動が自然に動きやすくなるという点は、両者に共通する感覚といえます。
もちろんナッジは医療行為ではありませんが、「人の行動は環境と状態の組み合わせで変化する」という視点は、中医学が長く大切にしてきた考え方とも親和性が高く、日常の中でも応用しやすい考え方です。
💡 行動は「性格」より「環境」で変わる
行動は、その人の考え方や性格だけで決まるものではなく、置かれている環境の影響を受けることがあります。
今回の研究は、その点を多くのデータを通して示しています。
何かを選ぶとき、どんな選択肢が並んでいるのか、どんな状況で選ぶことになっているのか──条件が少し違うだけで、「行動」は変わってきます。
特別な意識をしなくても、「環境」が「行動」をつくっている場面は、日常の中にいくつもあります。
「ナッジ」という考え方は、行動を評価したり、正そうとしたりするものではありません。「行動」がどのような条件のもとで形作られていくのかを知るための一つの視点です。
日常の中で行動を振り返るとき、その人の意志や性格だけを見るのではなく、どんな場面で、どんな条件のもとで行動しているのかに目を向けてみる──そうした見方をすると、行動の理由が別の形で見えてくることがあります。
そうした視点を持ってみるだけでも、日常の行動の見え方は少し変わってくるはずです。
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