🍼 父親になる準備は、いつ始まっているのか
妊娠中、父親はどのように赤ちゃんへの気持ちを育てていくのか。
母親よりも、身体の変化を通じた実感を得にくいと言われる父親ですが、実際には妊娠の早い段階から、赤ちゃんへの関心や思いが少しずつ形になっていくことがあります。
今回の研究は、日本の父親たちを対象に、「どの時期のどんな要素が、赤ちゃんへの気持ちと関係しているのか」という点を調べたものです。
家族としてのつながりや、自分が子どもの頃にどんな関わりを受けてきたかなど、日常的で身近な出来事が、父親としての心の準備にどのように影響するのかが検討されていました。
中医学でも「気(き)」が整うことで、人はより安定しやすくなるとされます。家族の調和や安心感が、父親の心にどのような変化をもたらすのかという視点にもつながるテーマです。
明らかになった内容には、少し意外に感じる点もあります。
どの要素が最も強く関係していたのか、またその背景にある理由や家族のかたちとの関係など、読み進めるほど浮かび上がってくるものがあります。
では、続きを見ていきましょう。
📘 どんな研究?
この研究では、日本の都市部にある医療センターを受診していた夫婦が参加しました。
妊娠の早い時期に研究の説明が行われ、同意した夫婦に質問票が渡されています。その後、妊娠が順調に続いているかを確認したうえで、妊娠後期にも再び質問票が送られ、自宅で回答して返送する流れでした。
最初に回答した夫婦のうち、妊娠後期まで参加したのはおよそ三分の二ほどです。
質問票では、父親が「お腹の赤ちゃんをどれくらい意識しているか」、家族としてどれくらい協力し合えているか、そして父親自身が子どもの頃にどのように育てられてきたかなどが尋ねられています。
母親にも家族に関する項目が用意され、夫婦それぞれが答える形式でした。
妊娠初期と後期という、気持ちが動きやすい2つの時期を比べているため、「父親の心の変化を時間の流れの中で見られる」構造になっています。
この点がこの研究の大きな特徴です。
👶 赤ちゃんへの思いはをどう確かめた?
父親が「お腹の赤ちゃんをどれくらい意識しているか」は、いくつかの質問に答えてもらう形で確かめられました。たとえば、赤ちゃんのことを考える時間があるか、どれくらい親しみを感じているかといった、日常に近い内容です。
家族の様子については、普段の会話のしやすさや、役割分担に無理がないかなど、「家庭の雰囲気」を捉えるような質問が並んでいます。
また、父親自身が子どもの頃にどのように育てられてきたかについても、「どれくらい安心できていたか」「どれくらい干渉を受けていたか」といった項目を振り返りながら答えてもらいました。
これらの質問に、妊娠初期と後期の二度答えてもらうことで、赤ちゃんへの気持ちが時間の中でどう変化するのかが見えてきます。妊娠が進むにつれて、赤ちゃんを思い浮かべる場面がゆっくり増え、父親の意識が生活の中で少しずつ形になっていく様子が表れていました。
🏠 家庭の雰囲気は、父親の気持ちにどんな影響を与えた?
この研究では、父親が赤ちゃんに向ける気持ちだけでなく、家庭の雰囲気についても詳しく尋ねられていました。
たとえば、夫婦の会話がしやすいか、日々の役割分担が無理なく続けられているか、家の中で協力しやすい状況かどうかなどです。こうした日常のやり取りは、父親の気持ちを支える環境として重要だと考えられています。
👨 父親の気持ちに影響していたのは何?
研究の分析では、妊娠後期の父親がどれくらい赤ちゃんを意識できているかには、いくつかの要素が関係していることが示されていました。
まず大きかったのは、妊娠初期の段階で、すでにどれくらい赤ちゃんのことを身近に感じていたか という点です。
妊娠が進んでから急に意識が高まるというより、早い時期に芽生えた気持ちが、その後も続いていくような様子が見られました。
また、父親自身が家庭の雰囲気をどう感じていたかも関係していました。
夫婦の会話や家事の分担など、家庭の日常がスムーズに進んでいると感じているほど、妊娠後期の赤ちゃんへの思いも高まりやすい傾向が見られます。
さらに、父親自身が子どもの頃にどんな関わりを受けて育ったかも、間接的に気持ちとつながっていました。
幼い頃に安心感を持てていたかどうか、親との距離感をどう感じていたかといった記憶が、「赤ちゃんへの思い」の背景として影響していました。
これらの要素は、どれか一つだけが影響するわけではなく、むしろ、日常の家庭環境と、これまでの人生で積み重なってきた経験が組み合わさり、父親の中でゆっくりと「赤ちゃんへの気持ち」が形づくられていくようです。
🩺 医学・心理学の視点から見た、この結果の意味
父親としての気持ちが妊娠の早い段階から少しずつ形づくられていくことは、医学や心理学の研究でもこれまでに示されてきました。
人は新しい役割を前にしたとき、周囲の環境が整っているほど心の準備がしやすいとされています。赤ちゃんのことを考える余裕があるかどうかは、体調や仕事だけでなく、家庭の状況にも左右されやすいという点は、これまでの研究とも一致します。
また、子どもの頃の経験が現在の感じ方に影響することも、心理学ではよく知られています。「自分はどう育てられたと思っているか」という記憶は、家族との関わり方や安心感に結びつきやすく、今回の研究でもその傾向が確認されていました。
妊娠という大きな変化の中で、父親としての気持ちは急に育つものではなく、普段の生活や家庭の雰囲気、これまでの人生経験に支えられながら少しずつ形になっていく──今回の研究で示された結果も、こうしたゆっくりとした変化と重なっていました。
🌱 中医学の視点
中医学では、人の心の落ち着きや気持ちの動きは「気(き)」のめぐりと関係していると考えられています。
気がスムーズに巡っていると、気持ちが安定しやすく、家族との関わりにも余裕が生まれやすいとされます。
今回の研究で示された「家庭の雰囲気が父親の気持ちと関係していた」という点は、中医学の考え方にも通じます。家の中が落ち着いていて、会話や協力がしやすい状況は、気が乱れにくい安定した状態とされ、父親が赤ちゃんのことを受け止めたり、気持ちに向き合ったりする力を支える要素になります。
また、子どもの頃の経験が心の反応に影響しやすいという点も、中医学では重要とされています。幼い頃の環境は、その後の「気のめぐり方」に影響すると考えられ、今回の研究で示された「過去の経験と父親としての気持ちのつながり」とも一致する視点です。
中医学の見方を取り入れると、家庭の空気、気持ちの余裕、昔の経験といった要素が、父親の心を支える土台になっている姿がよりわかりやすく理解できます。
✨ 父親の気持ちは、生活の中でゆっくり育つ
今回の研究では、父親の気持ちが妊娠期の中でどのように変化していくのかが示されました。
妊娠初期に芽生えた思いが、生活のリズムや家庭の空気、これまでの経験に支えられながら、妊娠後期にかけて少しずつ形になっていくという変化です。
「父親」としての気持ちは、日々の生活の環境が意識をゆっくり育てていくことが示されていました。
そして、この過程には家族の関わりが大きく関係しています。家庭の雰囲気が落ち着いていることや、夫婦の会話がしやすい状況は、父親が赤ちゃんへの意識を形づくるための土台になります。これまでの経験も含め、父親を支える要素は一つに限らず、複数の環境が少しずつ「変化」を支えていました。
妊娠期の父親は、「気持ちを形づくる途中」にあります。家庭の中に安心できる時間が増えるだけでも、父親としての心構えを整えやすくなります。
小さな積み重ねが未来につながっていく──その過程が丁寧に描かれた研究でした。
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