正常胚移植の理想的な内膜の厚さに関する研究

不妊治療では、子宮内膜が薄い(一般的に 7mm 未満)と妊娠率が下がると言われ、移植延期になることもあります。

しかし研究によって結果がバラつき、明確な基準がありません。

そこで、染色体が正常の胚だけに絞り、年齢や卵の質の影響をできる限り排除したうえで、内膜厚との関係を検証したのが今回紹介する研究です。


目次

🧪 どんな研究?

対象:30,676周期(2017–2022)/米国・スペイン・UAEの25施設
全例:単一の「正常胚」を移植(自分の卵)
凍結融解胚移植の種類
 ・ホルモン補充周期:78.6%
 ・修正自然周期:19.0%
 ・自然周期:2.5%
内膜厚は
 ・自然・修正自然:排卵(自然 or hCG トリガー)前後に測定
 ・ホルモン補充:エストロゲンで厚さを確認後、P開始0–4日前に測定


🔬 結果は?

 📊 7mm未満の内膜と妊娠率の関係

◉ ホルモン補充周期
 7 mm 未満で生児獲得率が下がる
◉ 修正自然周期
 7 mm 未満でさらに強く下がる
 ◉ 自然周期
 7 mm 未満でも明確な低下なし

報告では「自然周期」では、内膜厚の影響がほとんど見られず、内膜が薄くても妊娠する例は普通にありました。

<5mm の薄い内膜でも 38%(42例中16例)が生児を獲得しており、内膜が薄いからと言って一律にキャンセルすべきではないことを示しています。


❓ なぜ「自然周期だけ」内膜の厚さの影響が出なかったのか?

自然周期では、エストロゲンやプロゲステロンが自分の体のリズムで増減します。そのため「ホルモンの変動パターンとタイミングが合っている」ことで、着床に必要な条件を満たしている可能性があります。

言い換えると、厚さよりも重要な要素があるということです。

通常、アメリカやスペインでは、内膜が薄いと多くのクリニックが「移植を中止」してしまうので薄い内膜で移植を継続したデータが残らず、その結果情報が偏ってしまいます。

しかしUAEでは、内膜が薄くても移植を中止しない文化があり、内膜が薄い場合でもそのまま移植をするため、「薄い内膜のまま移植したら実際どうなるの?」という問いに答えられる本来の姿に近いデータが取れています。


🧩 今回の「自然周期」の問題点

全体の3万周期のうち、自然周期は たった759周期(2.5%) しかありません。

  • ホルモン補充:24,088周期
  • 修正自然:5,829周期
  • 自然周期:759周期

自然周期のみのデータが圧倒的に少ないため、実際に差があってもたまたま「違いがない」と判断される可能性もあります。それがこの研究の問題点です。

研究者はこの点を限界として指摘しています。


📈 「内膜厚」を統計に組み込んでみたら

研究では、統計モデルに「内膜厚」を入れても、生児獲得率は改善せず「内膜厚は単独では強い指標にならない」ことを示しています。

❗️ 内膜厚よりも影響が大きかった要因

研究では内膜厚のほか、多くの因子をまとめて解析し、どれが独立して成績に影響するかを確認しました。

▶️ 移植の方法の違い

  • ホルモン補充周期は自然周期より約31%低い成績
  • 修正自然周期は自然周期と同程度

▶️ BMI

  • 過体重で 8%低下
  • 肥満(Ⅰ度)で 13%低下
  • 肥満(Ⅱ度)で 22%低下

▶️ 胚の質

  • ICM(内部細胞塊)・TE(栄養外胚葉)がB → 7~9%低下
  • C → 38~52%低下

▶️ 年齢

  • 42歳以上で17%低下
  • それ以下では差はほぼなし

👉  つまり、「内膜の厚さ」は、年齢、BMI、胚の質と比べると「妊娠できるかどうか」についての予測力は弱いということになります。


👶 どう捉えればいい?

◎ ホルモン補充・修正自然周期では
→ 7mm未満で妊娠率が下がる傾向は確かにある

◎ 自然周期では
→ 内膜の厚さと妊娠率はほぼ無関係

◎ 内膜の厚さは
薄くても、「妊娠」する可能性は十分にあり「内膜の厚さ」だけで移植中止を決めることには問題がある
研究チームも「厚さ」での移植中止は再考すべきと述べている

◎ 総合すると
・「内膜の厚さ」は「参考情報」にすぎない
・胚の質、BMI、移植の方法、のほうが影響が大きい
・「移植」は、特に自然 or 修正自然周期のほうが成績が良い可能性を示す

ということになります。


これまでは、子宮内膜が薄いことが妊娠(着床)を妨げる要因と考えられていました。子宮内膜が薄い事を理由に移植が中止になった方もいると思います。

しかし、子宮内膜が薄いことが、妊娠率に悪影響を及ぼすというエビデンスは限られており、内膜が何mmを下回ると妊娠率が下がるのか、明確な基準は今も確立されていません。

実際に子宮内膜の厚さが4〜6mmでの出産も報告されています(サポートさせていただいた方で4〜5mmでの妊娠、出産例もあります)。

今回の研究は、「正常胚」を用いた大規模な検討です。

3mm台のような非常に薄い内膜でも移植が行われており、薄い症例が除外されていない点で、従来より実態に近いデータと言えます。

その結果、子宮内膜の厚さは妊娠率を左右する主要な要因とは言い切れず、影響は限定的であることが示されました。

また、「内膜の厚さ」の下限値は施設やプロトコールでばらつきがあり、統一した基準は存在しません。

そのため、一定の厚さのみを理由に移植周期を一律にキャンセルする判断については、慎重であるべきだと研究者は述べています。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ご覧いただきありがとうございます

「なかなか妊娠しない」
「病院での治療で結果が出ない」
「何をしたらよいのかわからない」
「何が正しいのかわからない」

一人ひとりの体質・背景・治療の内容を考慮しながら
中医学や心理学的アプローチによる心身のケアで
不妊カウンセラー、心理士、薬剤師、
鍼灸師、柔道整復師など多くの専門家が
全力で妊活・不妊治療をサポートします

⁡ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

漢方薬局・鍼灸接骨院

吸い玉(カッピング)
足ツボ(リフレクソロジー)
ヘッドスパ・美容鍼
よもぎ蒸しサロン
《タナココ》

目次