こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
採卵できない、採卵できても変性卵ばかり…
せっかく頑張って育てたのに、とれたのが「変性卵」ばかりだと悲しくて、妊活のモチベーションも低下してしまいます。
採卵の時に変性卵かどうか分かれば良いのですが、採卵して顕微鏡で見てみないと変性卵かどうかわかりません。
採卵してとれる卵にはいくつか種類があります。
・成熟卵:正常卵で受精できる卵。
・未熟卵:正常卵だが成熟していない卵。そのままだと受精できないが、時間が経てば成熟卵になる可能性がある卵。
・変性卵:卵の細胞が変性しているため、受精できない卵。
変性卵の原因には年齢の影響や卵巣機能の低下などが考えられています。日常生活の改善、サプリメントの服用などが試されることもありますが、変性卵を改善するための確実な方法は見つかっておらず、解決に苦慮することも多いです。
また、どのタイミングで変性したのかがわかれば、そこから改善策が見えてくることもしありますので、あきらめずに続けることが大切です。
採卵しても変性卵ばかりで妊活・不妊治療がすすまず、困っている方からの相談も多いです。その際に漢方が奏功することもあります。
病院での治療で、採卵できても変性卵ばかりでうまくいかなかった方の漢方での治療例についてご紹介します。
41才、病院での不妊治療歴5年の方のご相談です。
婦人科系の疾患では卵巣嚢腫(手術済)、子宮腺筋症(軽度)、月経周期は21〜25日です。病院での治療は、採卵しても変性卵ばかりで移植にすすめず、現在は治療初期に当帰結できた初期胚2個あります。
病院を受診したときの血液検査で、AMHが0.1と低く、卵巣嚢腫の手術歴もあったことからすぐにステップアップしたほうがいいと言われ、体外受精にのぞむも、治療をはじめてまもなく初期胚で凍結できた卵が2つあるだけで、その後の採卵では変性卵が続き、以降一度も成熟卵がとれていないという状況でした。
ホルモンの検査値では、FSHが40以上と高、エストロゲン製剤を使用しなんとかFSHが少し下がったタイミングで刺激をして1〜2個育つものの、毎回変性卵ばかりで、リセットとして卵巣刺激の繰り返しでした。刺激法も高刺激から低刺激までいろいろ試しており、病院でも難しいかもといわれていました。
卵子の時間の経過による影響、休みなく排卵誘発を繰り返していることの卵巣の疲労に加え、中医学的には年齢の影響による「腎の働きの低下」に加えて、卵巣嚢腫、子宮腺筋症といった「瘀血」が原因とされる症状もあります。このほか不妊治療がうまく行かないことによる「気滞」や「気虚」などの症状も強く見られました。
FSHが高いのはエストロゲン製剤を服用すると低下することもありますが、下がらないことも多く西洋医学的にはまずこの状態をなんとかする必要がありました。
低AMH、高FSHの場合、高いFSHをなんとか低下させないと採卵の環境を整えることができません。
この方は、時々FSHが下がることもあるため、卵胞が育ち、成熟卵が採卵できるチャンスがありました。
漢方は煎じ薬を用いてFSHが下がりやすい体内環境を整えつつ、中医学的に体質判断をした内容に加え、妊活を続ける際に非常に重要となる「卵巣に残った卵を守る」生薬を加えて処方を考えました。
服用後の経過については以下の通りです。
<6ヶ月目>
FSHが低下し30台になるものの成熟卵の採卵にはいたらず。
<10ヶ月目>
FSHが20台になり、成熟卵がとれたものの、1つだったため初期胚で凍結。
本人の希望で採卵継続することになるも、久しぶりに卵が凍結できたため、採卵を一時おやすみ。
漢方は継続。
<15ヶ月目>
採卵周期再開。FSHは20台を維持。採卵周期再開して2回目の採卵で成熟卵が3個採卵、良好な初期胚であったため、胚盤胞を目指して培養。5日目胚盤胞4AB×2、6日目胚盤胞4AB×1で凍結。
<18ヶ月目>
初期胚と5日目胚盤胞を用いて2段階移植→陰性
<20ヶ月目>
初期胚と5日目胚盤胞を用いて2段階移植 → 陽性
漢方での治療を始めて15ヶ月目の採卵で「A」が入った「胚盤胞」となり、だいぶ驚かれておりましたが、妊活・不妊治療をいつ終わらせるかということも話し合っておられていたところでもありましたので、「一度も移植できずに終わったらあきらめきれなかったが、これでダメなら仕方がないと思えるところまで来た」と話されていました。
気持ちも安定しており、1回目の移植で陰性でも落ち込まず、体調を整えて2回目の移植を行い、その後は無事陽性確認、胎嚢確認、心音確認ができ、その後は大きな問題もなく妊娠期間を終え、出産をしております。
難しい状況ではありましたが、とてもうまくいったご相談例です。
低AMH、抗FSHの場合の治療は難しく、時間がかかることが多いです。
そもそも卵の発育では、排卵に向けて準備が始まってから排卵するまで約半年の時間を要するため、卵の状態を整えるためには少なくとも半年以上かかります。
妊活・不妊治療では、治療中の時間の経過も卵には負担となります。処方を考える際には体調・体質に合わせた「補腎」や「補血」「活血」などももちろん重要ですが、「卵を守り続ける」ことを考えた内容である必要があります。
妊活を成功に導く重要な視点です。
病院、クリニックでの治療がなかなかうまくいかないとき、タナココの煎じ薬で妊活のお手伝いを致します。
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