ママの心を支える「つながり」の力を科学と中医学で考える

目次

🚼 はじまり

こどもを授かるという体験は、多くの人にとって人生の一大イベントです。その一方で、初めて母親になる女性の心には、期待や喜びだけでなく、見えない不安や重圧が静かに押し寄せます。

「産後うつ」という言葉があるように、赤ちゃんを迎えたばかりの女性の心のケアは、とても繊細で大切なテーマです。

「でも、誰がどのくらい寄り添ってくれていれば、心はラクになるの?」

──そんな素朴な疑問に科学で迫ったのが、今回の東京都MINTコホート研究です。

この研究では、妊娠初期から産後1ヶ月まで、初妊娠の女性たちを経過を追いかけ「支援してくれる人の数」と「産後うつ症状」との関係を徹底的に調べました。

中医学の視点も取り入れながら、人の心や体を「支え合い」「つながり」を読み解き、現代医学の視点とどのようにつながるか、産後の過ごし方を考えてみたいと思います。


👩‍👧‍👦 「支えの手」はどれくらい?

今回の研究では、東京都内の4つの地域で、これから初めて赤ちゃんを産む429人のお母さんたちが参加しました。

調査は、妊娠が分かったときから産後1ヶ月までの間、全部で5回行われています。その中で特に注目されたのは、「いざというとき、本当に頼れる人が何人いるか」という質問です。

産後のお母さんの「心の元気」の度合いは「EPDS」という専門のチェックリストで点数化されました。

「頼れる人が何人いるか」というリアルな数字を見ることで、現代のお母さんたちがどれだけ人との「つながり」に支えられているか、はっきり見えてきました。


📊 数字で見る「安心感」

この研究で明らかになったのは、「頼れる人が何人いるか」で、産後の心の調子が大きく変わるということです。

妊娠中に「3人以下」しか支えてくれる人がいないとした女性は、産後に気分が落ち込みやすくなる傾向がありました。

逆に「4人以上」頼れる人がいると、産後の心の重さがぐっと軽くなるという結果が出ています。

たとえば、頼れる人が4人以上いるグループでは、産後うつの点数(EPDSスコア)が平均で約1.3ポイントも低くなっていました。これは、産後うつになるリスクがかなり下がることを意味します。

さらに、25歳以下の若いお母さんの場合は、必要な支援者の数がもっと多いことが分かりました。

具体的には「6人以上」の支援者がいないと、産後の心の不調が強く出やすくなっていました。

しかし、25歳以下の女性で「6人以上」の支援者がいる人は、たったの5人に1人ほどしかいませんでした。

つまり、若いお母さんほど、たくさんの「支え」が心の健康に欠かせないとする一方、実際には十分なつながりを持てていない現実も浮かび上がっています。


🏠 どんな人が支えになっている?  「質」より「数」の新たな視点

この研究では「どんな人が支援者なのか?」には踏み込まず、あくまで「人数」に注目しています。

これまでは家族の関係性やサポートの「質」がよく議論されてきましたが、実は「数」がこれほどまでに心の状態に影響しているというのは新たな発見です。

たとえば、親しい友人やご近所さん、パートナー、家族……どんな関係でも「頼れる人が多いほど、心が守られやすい」ことがわかりました。

人によって「支え」と感じる相手は違っても、「数」のパワーは誰にとっても大きな意味を持つようです。


📉 「孤立感」に注意──若いお母さんのハードルとは?

数字を見ていくと、妊娠中から産後にかけて支援者の数が少し減っていく傾向がありました。とくに若いお母さんは、もともと頼れる人が少ないうえに、出産をきっかけにさらに「孤立感」を感じやすくなっていることが浮かび上がります。

例えば、25歳以下の女性のうち、産後も6人以上の支援者がいる人は5人に1人程度。

つまり、大多数の若いお母さんは「本当はもっと支えてほしいけど、周りに頼れる人がなかなか見つからない」という現状です。この「孤立」が、産後うつのリスクをじわじわ高める大きな要因になっています。


🩺 科学的な視点──「支え」が心と体を守る理由

科学の視点から見ても、「支援者が多いこと」は産後の心の健康を守るうえで非常に意味があります。

人は悩みをひとりで抱え込むと、ストレスホルモンが増えてしまい、心だけでなく体にもさまざまな不調が現れやすくなります。

逆に、ちょっとした相談や励まし、手伝いをしてくれる人が複数いるだけで、「ホッと一息」つけたり、自分を責めすぎなくなったりするものです。

また、科学的に「4人以上の支援者がいると、産後うつのリスクがぐっと下がる」という今回の発見は、実際の保健指導や子育て支援にもすぐに役立つ情報です。

特に若い世代に支援者が多く必要というのは、発達段階や社会的な経験値の違いが関係しているとも考えられます。


🌿 中医学の知恵──「気」と「血」、つながりが生む「自分ケア」

中医学では、心と体の健康を保つためには「気(き)」と「血(けつ)」が充実していることがとても大切だと考えられています。

特に出産や育児の時期は「血」が大きく消耗しやすく、その不足が不安感や気分の揺らぎ、心の不調につながりやすくなります。

さらに、「血は気の母」「気は血の帥(すい)」ともいわれ、気と血はお互いに支え合いながら働いています。血が足りなくなると、気も不足しやすくなり、やる気がなくなったり、気分が沈みやすくなったり、体も疲れやすくなってしまいます。

こうしたとき、多くの支援者がそばにいてくれると、産後でも自分自身をいたわる「余裕」が生まれます。誰かに相談できたり、少し手伝ってもらえるだけでも、心が軽くなり、自分のケアの時間を持つことができるようになります。

この「つながり」が、消耗した「気」や「血」をしっかりと補い、心と体の回復させる力になります。

つまり、人とつながることは、単に誰かに助けてもらうというだけではなく、自分自身のケアや回復に努める「土台」を作ってくれるものです。

こうして心と体を整えておくことが、産後うつの予防にもつながっていきます。中医学にも現代医学にも共通する、大切な視点です。


🌈 「ひとりじゃない」を社会で作る時代へ

この研究は、「支えてくれる人がいる」という安心感が、母親の心にどれほど大きな支えとなるのかを明確に示しています。

特に初めての出産を迎える女性にとっては、4人以上(若い世代なら6人以上)の支援者がいることが、心の安定や安心につながっていました。

しかし現実には、十分な支援を得られていない母親が少なくありません。この事実は、「ひとりで頑張らせない」ための仕組みを、社会全体で本気でつくっていく必要性を強く浮き彫りにしています。

身近な人とのつながりを増やすことはもちろん、地域や制度がしっかりと母親を包み込む存在になれるよう、社会として取り組むべき課題をはっきりと示した研究です。

これから子育てを支える社会の一員として、誰もが「ひとりじゃない」と感じられる温かな未来をつくっていきたいと思います。

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