産後・授乳中の関節痛・腱鞘炎

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

産後はかなりの確率で腱鞘炎になることが多いです。この腱鞘炎に漢方・接骨施術で対応し改善した症例についての紹介です。

 

その方は、産後、授乳中の時期に下肢のだるさや膝の痛みがあったため、近くの整形外科を受診しました。診察時にレントゲンを撮っても特に異常が見られなかったため、非ステロイド性の消炎鎮痛剤(NSAIDs)の内服が処方されましたが、授乳中なので外用薬の方が良いと希望をしたため、外用薬に変更となり、それを使用して様子を見ることになりました。

数回の使用で膝の痛みは楽になりましたが、しばらくすると今度は右手の親指の痛みが出現しました。残っていた湿布を切って大きさを調整して使用していましたが、今度はあまり効果がなく、「漢方薬」でなんとかならないかと考え、相談に来局されました。

 

来局時された時に、実は薬の服用については、妊娠中とは異なり、授乳中避けなければいけない薬は多くないため、痛みが強ければ消炎鎮痛剤を使ってもいいんですよ、というお話もしましたが、授乳中はできるだけ西洋薬の服用を避けたいとの希望から、漢方を試すことになりました。

今回はそれに接骨施術と、体の使い方についての指導も加えた内容で行いました。

ちなみに「はり灸」は「痛そうなので・・・」という理由で、「漢方+接骨」で効果がない場合の次の選択肢になりました。

 

国立成育医療研究センター:授乳中に安全に使用できると考えられる薬

 

産後、授乳中は関節痛や腱鞘炎などが見られることが多いのですが、これは育児で手をよく使う影響のほか、ホルモンバランスも乱れも関係しています。産後はエストロゲンの低下で、関節や腱の周りにある滑膜の炎症が起こりやすくなることが知られています。

 

この方の医学的所見としては、右手の甲側の「第1腱区画」に圧痛があり、「フィンケルシュタインテスト変法」は陽性、レントゲンの結果から他の疾患(母指CM関節症、外骨腫、偽関節など)ではないため、ドケルバン病と推測されました。

 

フィンケルシュタインテスト変法

de_quervain(相模原 タナココ漢方鍼灸接骨院)

日本整形外科学会 ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」より引用

 

第1腱区画は下の図の「1」の場所です。ここを押すと圧痛がありました。

ドケルバン<相模原 漢方 鍼灸 接骨 タナココ>

「中外医学社 イラスト解剖学」より引用

 

中医学的所見としては、めまい動悸下痢むくみ冷えがあり、舌は歯痕舌白膩苔沈細脈が確認できました。

 

処方は、「養血止痛、健脾利湿」当帰芍薬散加地黄をベースに調整した処方で開始しました。

2週間分を飲んだところで痛みは軽減し、このほかにも、めまいは起こらなくなり、むくみも楽になりました。さらに2週間を飲んだところでその他の症状も軽くなったところで、現在は処方を減量し、継続しています。

このほか、子どもを抱きかかえたりするときに1カ所に負担がかかりにくくなるような体の使い方や指導・起こっている炎症を抑える施術も合わせて行なっています。

 

ドケルバン病は手関節橈側背側の手指伸筋腱第1区画にある長母指外転筋と短母指伸筋の狭窄性腱鞘炎であるため、通常は整形外科での治療が有効ですが、今回の様な妊娠関連の手指・手関節の疼痛性疾患はホルモンバランスの乱れも関係しているため、漢方薬でのアプローチが有効なケースがあります。

今回の症例でいえば、使いすぎによる負担を減らす体の使い方の指導・施術+当帰芍薬散の補血、利水作用によりホルモンバランスにアプローチすることで症状が改善したと考えられます。

ドケルバン病の場合、授乳中止後1ヶ月前後で症状が軽快することが多く、症状は永続的ではなく、ホルモンバランスが回復し、育児の負担が軽くなるにつれて軽快することが多いため「一過性」と言われていますが、漢方を併用することで早い段階で症状を軽くすることが期待できます。

 

今回は当帰芍薬散をベースに調整しましたが、このほか薏苡仁湯越婢加朮湯防已黄耆湯二朮湯大防風湯疎経活血湯などが症状、体質に合わせて用いられます。

 

妊娠中や授乳中で薬の制約がある場合、漢方での対応が求められることがあります。西洋薬の使用が難しい場合でも、漢方薬では症状・体質・体調に合わせた処方で、症状を改善することができます

 

産後、授乳中は手指・手関節の痛み以外にも様々な不調が起こりやすいため、今回の症例に様に痛み以外の不調がある場合、合わせて対応できるのが漢方の良い点でもあります。

 

西洋医学的には対応が難しい場合や、効果が不十分と感じるケースなどでは漢方が役立つ場合も多く、また西洋医学の効果を高めたり、隙間を埋めたりして、治療の満足度を上げるために有用な治療法の1つですので、「こんな症状漢方で治るの?」と思う様な場合でも、一度ご相談いただければと思います。

 

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