卵子凍結での出生率

こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

今までに何度か「良い状態の卵子を凍結をしたいので漢方を飲みたい」という相談を受けたことがあります。

 

卵子凍結はもともと、抗がん剤治療、放射線療法を受ける方に対し、卵子を事前に凍結保存しておくことで妊娠への道筋を確保するために行われていました。これを「医学的適応による卵子凍結」と言います。

一方、健康な状態でありながら卵子凍結を行うことを「社会的適応による卵子凍結」と言います。加齢などで生殖機能の低下に備え、あらかじめ凍結しておく方法です。

日本では2013年に日本生殖医学会がガイドラインを定め、「社会的適応による卵子凍結」が認められました。

 

ここで混乱しやすいのが、凍結するのが「受精卵」か「未受精卵」かということです。

 

未受精卵は、受精卵に比べて染色体が不安定で、未受精卵を凍結して体外受精を行う場合は、受精卵よりも妊娠の可能性が低くなるのではないかと考えられています。

 

しかし、以前より凍結、保存、融解の技術は進歩していますので、凍結卵子を使った妊娠・出産に至る確率にも変化があるのではないかと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか。

 

自分自身の凍結卵子による培養、妊娠成績について検討した研究があります。

合計 543名、800周期の卵子凍結保存、605周期の卵子融解、436周期の移植についての報告です。

 

大規模です。

 

年齢の中央値は38.3 歳、最初の凍結保存から融解までの期間の中央値は4.2 年、融解卵子の中央値は14個と融解MII卵子の中央値は12個、融解卵子の全生存率は 79% 、全患者のうち61%が1回以上の移植を受けており、正倍数体移植での出産率は 55%、未確認移植での出産率は31%、一人あたりの出産率は 39% でした。

報告では、今後より大きな規模でのコホート研究が必要ではあるが、一人あたりの出産率は 39% という数値は、受精卵での結果と大きく違うものではないことが示されたとコメントしています。

 

卵子凍結へのニーズは高まり、新たな選択肢が増えて喜ぶ声がある一方で、実際にそれを使う人は少なく、卵子凍結を始めたクリニックがその後卵子凍結を中止するといった状況も存在します。

キャリアパスを考えると「産み時」を考える必要があり卵子凍結をせざるを得ない社会背景も問題です。

 

実際に「卵子凍結」をされた方から「卵子が『赤ちゃん』になる保証はなくても、可能性を手に入れたということが重要なのかもしれない」とお聞きしたこともあります。

 

「凍結卵子」の技術は向上してきていますが、本当の問題、解決すべき問題も忘れてはいけないと思います。

 

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