こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
「私、血の不足があると思うんです。ネットや雑誌の体質診断でも当てはまることが多くて・・・。そう思って色々なことを試したんですがなかなか良くならないんです・・・。」
一生懸命、血を増やすために様々な漢方を試されていました。
当帰芍薬散、帰脾湯、十全大補湯・・・
血を補う処方はいろいろあります。
でも、頑張って血を補っても、それを巡らせる「力」がなければ、増やした血を流すことはできません。
この力は何かと言えば「気」です。
「気」の働きには様々あるので少し説明します。
代表的な働きは以下の5つです。
1 推動作用
体の様々なものを「推し動かす」働きです。推し動かす働きは、代謝と成長・発育にも関係します。この働きが弱ると成長・発育に影響を与えたり、老化のスピードが早まったりします。
2 温煦作用
温煦=体温を一定に温める働きです。臓腑・組織を温めることでその機能を保ちます。機能が低下すると冷えにつながります。
3 固摂作用
体液や臓腑を体の正しい場所に保持する働きです。血が血管から漏れ出ないようにする働きもそうですし、内臓が体の正しい位置にあるようにするのも気の働きの1つです。この働きが低下すると発汗や排尿のトラブル、あざができやすい、内臓下垂などにつながります。
4 防御作用
現代医学でいう免疫機能に相当する働きです。この機能が低下すると、風邪を引いたり治りにくくなったりします。
5 気化作用
「気化」というとわかりにくいですが、「気」の働きで「変化」させることです。血、津液、精などを相互に転化します。「代謝」に相当する作用です。
さて、「気」の働きで少し寄り道しましたが、この5つの作用のうち1の作用である推動作用が、「血」を体に巡らせます。
この働きがなければいくら「血」を補っても、血の不足による症状は解消されません。
血の不足で血を補う漢方を服用しても症状が改善しない場合、血を巡らす「気」の働きも低下している可能性があります。
そして、その「気」はおもに「食べ物」と「大気(呼吸)」から作られます。五臓で言えば「肺」と「脾」の働きですが、この働きが正常に働いていないと、「気」は作られません。
単に「血」の不足と言っても原因にはいろいろあります。単に「血」が不足しているから補えば良いというわけでないのですね。
原因に合わせて処方を組み合わせたり、バランスを整える順番を考えたりする必要があります。
症状と処方が一見結びついていそうに見えても、症状が改善されない場合は深いところで原因が解決されていないことがあります。
血の不足の原因は上記の理由だけではなく多岐に渡りますので、症状が改善しない場合はぜひ相談していただきと思います。