こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
" 急性帯状潜在性網膜外層症 "という病気があります。
急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)とは
急性帯状潜在性網膜外層症(acute zonal occult outer retinopathy:AZOOR、アズール)は、若い女性に見られることが多く、主に光視症(視野の一部に光が走る症状)を伴い、急激な視力の低下や視野の欠損が見られます。
網膜の外層に問題があって起こりますが、原因についてはよくわかっていません。
<病気がみえる vol.12 眼科>より引用
眼底を検査しても正常のように見えます。
以前は限られた施設でしか診断できなかったのですが、最近では一般の病院でも診断が可能になってきています。(「急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)の診断ガイドライン」)
急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)の症状
AZOORは発症の報告年齢は 13 歳〜79歳と幅広いのですが、平均は 30 〜 40 代 で7割前後が女性です。
AZOORは急激に発症する視野欠損あるいは視力低下が重要な症状です。
特徴的な症状としては光視症(光がチカチカ見える)がありますが、訴えがあるのは60〜88%程度で、全ての人に見られるわけではありません。光視症は初期に出現して徐々に消失することもあれば、持続することもあります。
AZOORの「発症前」にしばしば風邪のような症状を伴うことが知られていますが、頻度は多くはありません。
またAZOORは自己免疫疾患を合併することがあります。自己免疫疾患の合併の頻度は 28% であり、橋本病(12%)や多発性硬化症(8%)などが多かったという報告があります。
AZOORを発症する前に風邪の様な症状がみられることがあったり、自己免疫疾患の合併が多かったりすることから、発症機序としてウイルス説や自己免疫説などが報告されています。
このほかAZOORの発症に何らかの遺伝的素因が関連している可能性も報告されています。
また、AZOORは数ヶ月から数年後に視神経を中心とした帯状の網脈絡膜膜萎縮が出現することがありますが、必発の症状ではなく日本人には少ないとも言われています。網膜外層の視細胞が変性することで急性に視力低下や視野欠損を起こしますが、一方で急速な回復がみられることもあります。
急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)の治療について
治療では重症例の場合は「ステロイドのパルス療法」が行われることがありますが、確立された治療法はありません。軽症例では無治療で経過観察の場合もあります。
ステロイドが効果があったとする報告もありますが、一方で効果がなかったとする報告もあります。
AZOORの長期的な予後についての報告は多くないのですが、ある報告では、視野欠損は 72% で 半年以内に症状が固定し、4% で段階的に進行し、24%で部分的に回復したとあります。
確立された治療法があるわけではないので、漢方でなんとかできることはないかとお問い合わせをいただくことがあります。
急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)の漢方治療
漢方では全身の調整を行いながら、網膜への負担を減らして進行を抑制したり、回復を促したりするように処方を組み立てます。
炎症性の病態が中心ではないため、清熱剤を積極的に使用することはなく、補剤と活血剤の組み合わせを中心に調整をします。
このほか、鍼灸で対応することもあります。筋緊張緩和と血流増加により、眼周囲の環境改善を目標に施術をします。
また、自己免疫性疾患を合併することも多いため、免疫バランスの調整も重要になります。中医学だけの知識で対応するのは難しいこともあるので注意が必要です。
まだ、ガイドラインが作られてまもない疾患ですし、漢方治療の効果がどこまで得られるのかはまだわかりませんが、体の状態を良い状態に保つことは、特に軽症例では症状を進行させないために役立つと考えられます。
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