こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
寒い日々が続いていますが、春の暖かい穏やかな日々が待ち遠しいです。
「春眠不覚暁」
と、ぐーぐー気持ちよく眠りたいものです。
気持ちよく眠るためには、質の良い睡眠が重要ですが、その妨げになる疾患の1つに睡眠時無呼吸症候群があります。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:以下、SAS)は、夜間の睡眠中に無呼吸と低呼吸(いびき)を繰り返す病気です。
無呼吸:睡眠中10秒以上呼吸が停止すること
低呼吸:10秒以上,呼吸が50%以下に低下すること
成人男性の約 3〜7%、女性の約 2〜5%にみられます。男性では 40 歳~50 歳代が半数以上を占める一方で、女性では閉経後に増加します。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸や低呼吸を繰り返すため体内に十分な酸素が供給されず、質の良い睡眠が得られません。
そもため日中に強い眠気や倦怠感を引き起こし集中力も低下します。ひどい場合には、仕事や生活に支障を来します。
このような状態が長期化すると高血圧、心不全、不整脈、冠動脈疾患、糖尿病などが合併するリスクが高まります。
SASは呼吸中枢の傷害により起こる「中枢型」と上気道の塞がれて起こる「閉塞型」と両者が混在する「混合型」に大きく分けられ、多くは「閉塞型」です。
SASの治療は、経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous posi- tiveairwaypressure:CPAP)が標準的治とされています。これは寝ている間に圧力をかけた空気を鼻から気道に強制的に送り込んで気道を広げる方法です。軽度の睡眠時無呼吸の場合にはマウスピースなどを用いたり、気道を塞ぐ原因とみられる扁桃や軟口蓋を切除する手術を行うこともあります。
漢方では睡眠時無呼吸症候群の病因と先天禀賦と後天の失養に関係し、後天の問題としては飲食不節、労逸過度、飲酒・喫煙などがあります。
病位は主に肺、脾ですが、心、腎、にもおよび、同時に鼻竅、喉部の病変も密切に関係します。
病性の多くは本虚標実です。
主要病因は痰湿、痰熱、血瘀、気滞ですが。主要の病機は痰湿内阻、あるいは痰熱内壅、気滞血瘀、肺脾腎虚、心陽不足などで、とりわけ脾失健運、肺気不利が重要です。
以下に弁証されます。
1 肺脾気虚、痰熱内壅
眠る時にいびきをかく、いびきが大きく大きく響く、時に途切れ時に続く、呼吸が荒く、夜はよく眠れない、朝早く目がさめる、乾いて咳が出て、痰は黄色く粘度が高い、便秘、汗が出やすく、乏力、舌質は紅、舌苔黄あるいは黄膩、脈は弦滑数。
治法は益気化痰、通腑清熱
方剤は六君子湯合小承気湯加減などを使用します
2 脾気不足、痰湿内阻
眠る時にいびきをかく、いびきが大きく大きく響く、時に途切れ時に続く、体は太っていて、朝早く目がさめる、渇きは強くなく、胸悶,咳が出て、痰は白く希薄、神疲嗜睡、寝ても疲れが取れない、健忘、お腹のつかえ、舌質は淡紅、舌辺に歯痕、舌苔白あるいは白膩あるいは白滑、脈は弦滑あるいは濡緩。
治法は運脾化湿,利気祛痰
方剤は六君子湯合三子養親湯加減などを使用します
3 肺脾腎虚,痰瘀互結
眠る時にいびきをかく、いびきが大きく大きく響く、時に途切れ時に続く、夜よく眠れない、時々いびきで目がさめる、喉が乾くが水を飲みたくはない、朝起きた時頭痛がする、胸悶、顔色が暗い、健忘、息切れ、神倦乏力、腰膝酸軟、舌質は暗紅あるいは瘀斑瘀点、舌苔は薄潤、脈は細渋。
治法は補益陽気、活血化痰
方剤は四逆加人参湯合血府逐瘀湯加減などを使用します
4 心腎両虚、陽気不足
眠る時にいびきをかく、いびきは大きくなく、時に途切れ時に続く、夜はよく眠れない、時々息がつまり起きる、嗜眠、寝ても疲れが取れない、顔色が黒い、畏寒肢冷、疲れて話すのが億劫、夜間の頻尿、健忘、胸悶、腰膝酸軟、舌質は淡胖、舌苔は白滑、脈は沈。
治法は温補心腎,振奮陽気
方剤は真武湯加減などを使用します
無呼吸症候群の治療のためには、上記の要因をもとに中医学的に根本原因を見極めていきます。実際には複数の要因が絡み合っているケースも多く、体質と合わせて今の自覚症状、舌、脈の状態など多くの情報を元に適切な処方を選んでいきます。
重症では西洋医学的治療が必要なケースも多いのですが、漢方を併用することでより効果的に治療を進めることができますし、睡眠時無呼吸症候群に伴う自覚症状を改善することもできますので、漢方治療も選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。
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