こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
「睡眠時間はどれくらいが良いのか?」
という研究や議論は長い間行われて来ました。
最近の研究では睡眠時間は長くても短くても死亡リスクと関連することが男女ともに知られていますが、どのようなメカニズムでそうなるのかはまだ解明されていません。
日本は日本は、国際的にも平均睡眠時間が短い国と報告されています。もう少ししっかりと睡眠時間は撮りたいものです。
睡眠は長さだけでなく「質」も重要です。
睡眠には深い眠りもあれば、浅い眠りもあります。
比較的短くても「よく寝た」と感じることもありますし、長く寝ても「眠れていなかった」と感じることもあります。「満足感」という点での評価ですね。
中医学では時間、質、満足感を合わせて評価します。
中医学での睡眠とは
中医学では人の体も陰陽の消長(リズム)があると考えます。日中は活動を担う「陽」が盛んなんため活動することができますが、夜になるとこの陽が少なくなり、代わりに休息を担う「陰」が盛んになると考えいて、その結果眠くなると考えています。
この陰陽のリズムが乱れると休息するはずの夜に眠れない=不眠が起こります。
不眠の病因病機と処方について
陰陽のバランスを乱す原因には以下のようなものが考えられています。
①心火熾盛
感情の変化が過度になり、体の中で内火が生じ、心火が盛んになり心神をみだして不眠を引き起こします。
心火熾盛で見られる症状としては、不眠以外に、心煩が激しく、舌に潰瘍ができるなども見られます。
舌尖が紅、舌苔は薄黄。
治法:清心瀉火・寧心安神
処方:朱砂安神丸など
②肝鬱化火
ストレスやイライラにより、肝気が鬱結、化火し心神を乱して不眠を引き起こします。
肝鬱化火で見られる症状としては、不眠以外にイライラしやすい、精神の状態によって症状に波がある、頭が張ってめまいがする、目が赤く口が苦いなども見られます。
舌は紅で舌苔は黄。脈は弦数。
治法:清肝瀉火・鎮心安神
処方:竜胆瀉肝湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、加味逍遙散など
③痰熱擾心
水分代謝障害、季節の影響(湿度が高い梅雨などの季節)、臓腑の機能失調により、痰が長時間停滞し熱となり、その熱が上昇し、心神を乱して不眠を引き起こします。
痰熱擾心で見られる症状としては、不眠以外に胸悶、頭重、噫気・呑酸、多夢・悪夢、軟便・下痢なども見られます。
舌は紅で舌苔は黄膩。脈は滑数。
治法:清熱化痰、和中安神
処方:黄連温胆湯、竹茹温胆湯、半夏秫米湯、保和丸など
④心虚胆怯
体が虚弱であると、心や胆が外からの刺激に耐える力も弱いため心気不足、胆気不足となり心神が乱されやすく、不眠を引き起こします。
心虚胆怯で見られる症状としては、不眠以外に驚きやすい、眠りが浅い、多夢、動悸、倦怠感、息切れなども見られます。
舌は淡で脈は弦細。
治法:益気鎮驚・安神定志
処方:安神定志丸、酸棗仁湯など
⑤心脾両虚
脾は考えすぎると機能が低下し気血が作られなくなります。血が不足すると、血により栄養されている心は養分を失い神は安定することができず不眠を引き起こします。
心脾両虚で見られる症状としては、不眠以外に眠りが浅い、目が覚めやすい、多夢、めまい、健忘、少食、軟便・下痢、動悸なども見られます。
舌は淡で、舌苔は薄、脈は細弱。
治法:補益心脾・養心安神
処方:帰脾湯、加味帰脾湯など
⑥陰虚火旺
心と腎の関係で生じるもので、心は上にあって火を主り、腎は下にあって水を主り、心火が亢進し過ぎないように腎水が制御し、腎水が冷え過ぎないように心火が温める関係があります。腎が虚となるとこの関係がくずれて「心腎不交」になります。そのため陰虚火旺となり心神を乱して不眠を引き起こします。
陰虚火旺で見られる症状としては、不眠以外にめまい、耳鳴り、腰痛、下肢に力が入りにくい、手足のほてり、動機・不安、口渇、寝汗、健忘なども見られます。
舌は紅で、脈は細数。
治法:滋陰降火・清心安神
処方:黄連阿膠湯、天王補心丹、六味丸など
⑦胃気不和
食生活の不摂生により胃が損傷し、胃の機能が低下し胃に未消化物が停滞、食滞となり胃気が下降せずに上逆し不眠を引き起こします。
胃気不和で見られる症状しては、不眠以外になかなか寝付けない、多夢、すぐ目が覚める、お腹が張る、噫気、腹痛なども見られます。
舌苔黄膩で、脈は弦滑数。
治法:消食和胃
処方:調胃承気湯、防風通聖散、保和丸、半夏など
補足:不眠と情緒の関係について
中医学では情緒を「七情」といって怒・喜・思・憂・悲・恐・驚がありますが、この情志が不眠と関係の深い「心」「肝」「脾」の機能の低下させ、不眠を引き起こします。
心:「心は神を蔵す」といわれますが、この場合の「神」は精神活動を意味し、心による栄養により「神」は安定できるとします。心は血脈を集めて血液の運行を調節していますので、これがうまくいかなくなると、「神」は安定することができず、不眠が見られるようになります。
肝:「肝は血を蔵す」といわれ、心とともに「血」に関係が深い臓です。また「血は魂を舍す」とされるため、結果として「肝は蔵血する、血は魂を舍す → 肝に魂がやどる」ことになります。
この場合の「魂」は判断力や計画性などの精神活動を支配するものです。同様に血により栄養されることで精神活動が安定します。肝は情緒失調の影響を受けることで傷つき、血を蔵することもできず、魂も栄養できず、その結果不眠がみられるようになります。
脾:脾も精神活動に関係し、考えすぎると脾の機能が低下します。脾は消化器系をつかさどりその機能が低下すると気血も作られなくなります。血が不足すると、血により栄養されている心は養分を失い神は安定することができず、結果として不眠になります。
中医学では眠れない原因にアプローチして改善のお手伝いをします。ご相談ください。
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