ちょっと「釣り気」味のタイトルで、新年決意の失敗を心理的に分析した内容が共感を呼び、投稿が爆発的拡散(27万いいね、1.6億ビュー)を見せました。
タイトルに対してその内容は堅実です。
今回はこのポストを読み解いていきたいと思います。以下の記事と合わせてお読みいただければと思います。

このポストの結論
結論から言うと、
「習慣を変えようとしても、根っこにある自己イメージが変わっていないと、結局変わらない」
という話です。
ではその「自己イメージ」とは何か。
簡単に言うと、「自分についての前提(思い込み)」です。
普段は意識していないのに、行動の「ブレーキ」や「アクセル」になります。
「自己イメージ」って何?
たとえば、頭の中にある「自分はこういう人」という理解です。
- 私は朝が弱い
- 私は続かないタイプ
- 私は人付き合いが苦手
- 私は完璧にできないと意味がない
- 私は忙しい人間
- 私は我慢する側
これは「事実」というより、自分が作った「自分像」です。
「自己イメージ」はなぜ大事なの?
それは「自己イメージ」は行動を決める「ルール」になるからです。
人は無意識に、こう動きます。
- 「私は朝が弱い」→ 「早起き」は自分には「例外」なので続かない
- 「私は続かない」→ 続かなくなった瞬間に「やっぱり続かない」と決意前に戻る
- 「私は忙しい」→ 休むことに罪悪感が出てさらに生活が乱れる
- 「私は完璧じゃないとダメ」→ 手をつけられず先延ばしが増える
つまり自己イメージは
「ここまでは自分にできる」
「ここから先は自分らしくない(できない)」
という「境界線」を作ります。
ここまでで「自己イメージが行動に影響する」ことはイメージできたかと思います。
では、どうしたらいいのか。
なぜ人は変われないのか(7つの要因)、そして「1日」で何をすれば「変化の起点」を作れるのかを見ていきたいと思います。
なぜ人は変われないのか──7つの要因
結論はとてもシンプルで、「変われない」のではなく、変わらない仕組みがすでにあるからです。
1)「行き先」を変えようとしても自分の「レール」がそのまま
早起き、運動、勉強、家事、片付けetc. ──やること自体は分かっているのに続かないとき、問題は「行動」の「前」にあります。
行動(頑張り)だけ変えても、「レール=(自分の前提、土台)」が変わらなければ元の状態に戻りやすいです。
「行動より先に『どうなりたいか』が先」です。
2)悪い習慣は必ずしも「悪」ではない?
ここが、いちばん現実的で大事なところですが、「やめたい」と思っている「習慣」は、だいたい自分を守る「応急処置」になっていることがあります。
- 先延ばし:失敗や批判から守る
- 夜更かし:日中「我慢」していた時間を取り戻す
- 食べ過ぎ・飲み過ぎ:ストレスを解消させる
- SNS:不安や孤独を和らげる
「応急処置」を何の対策もせずに急にやめてしまうと、心身が反発して元に戻ります。
3)「変化」は「損」と感じやすい──だから戻ろうとする
「変化」には「コスト」が必要です。
- 新しいことを始める=慣れない/不安/失敗の可能性
- 今までのやり方=慣れている/安心/予測できる
人間の脳は、基本的に「慣れている方」を選びます。
なので、「変われない」は能力の問題や努力が足りないわけではなく、脳の「省エネ機能」が働いているだけのことがあります。
4)ゴールが「生活」になっていない
「痩せたい」「健康になりたい」「余裕がほしい」は、具体的にどうしたら良いのか「日常生活の中でできること」まで落とし込んでいないと継続しません。
- ×「健康になりたい」
- ○「平日の夜、22:30にはスマホから離れて、23:00には寝ている」
だからゴールは「願い」ではなく「生活のルール」にします。
5)「一発で変える」前提が、毎回失敗する原因
「決意」や「努力」が持続しない典型的なケースです。
例えば
「早起き+運動+食事改善+勉強+SNS断ち」
を全部やろうとすると、すぐに限界が来ます。
できなくなった、続かなくなった瞬間に「ほら、やっぱり自分には無理なんだ」と「できない」自己イメージが強化されてしまいます。
「全部」変えるのではなく、「1つだけ」変えるところからです。
6)「気合い」ではなく「立ち止まる合図」
私たちの生活は、多くが「自動運転」です。
ここでいう自動運転とは、「疲れたらスマホに手が伸びる」「面倒だと先延ばしにする」といった、考える前に自然にやってしまっている「いつもの行動」です。
だから日中に「立ち止まる合図」を入れて、一度「自動運転」を止め、「手動」に戻します。
やることは次の2つだけです。
① まず、いまの行動を言葉にします。
例:「スマホで疲れをごまかしてる」「先延ばしで不安を避けてる」
言葉にするだけで、自動運転の勢いが少し落ちます。
② 次に、明日だけ「なりたい自分」に近づく、いちばん小さな行動を決めます。
- 「先延ばししない人」→ まず5分だけ手をつける
- 「健康な人」→ 23:00には布団に入る
- 「整っている人」→ 「やらないこと」を1つだけ決めて守る
そして、明日やることを2〜3個に絞り、やる時間も先に確保して実行します。
7)続くかどうかを分けるのは「フィードバックの仕方」
習慣が続かないとき、私たちはつい「意志が弱い」と考えがちです。
でも実際に続いている人は、「根性」や「気合い」ではなく「立て直し」が上手です。
うまくいかない場合、「フィードバック」は、だいたい「評価」になっています。
- できなかった → 私はダメ
- 続かない → 向いてない
- やる気が続かない → 意志が弱い
これだと、気持ちは削られるだけで、同じところでつまずきます。
一方、継続できる人の「フィードバック」は「調整」するためのものです。自分を採点するのではなく、やり方を調整するための「データ」にします。
- できなかった → どこでつまづいた?
- 原因は?(睡眠不/予定/環境/気分)
- 次は何を「小さく」する?(時間/回数/ハードル)
たとえば運動ができなかった日も、「できなかった」で終わりにせず、
「今日は疲れてた。じゃあ3分のストレッチにする」
「それも無理なら、深呼吸を3回だけしてまずは心を整える」
のように、失敗を「調整材料」にします。
「できなかった」ことを「データ」にして次に繋げる──この「評価」から「調整」への切り替えが、「習慣」を現実にしていきます。
では、「1日」で何をすれば「変化の起点」を作れるのか
ここからが実用編です。
1日で生活を立て直すスケジュールです。できればこの作業は「空き時間にちょっと」ではなく、1日確保してやるのがおすすめです。
通知を切り、予定を入れず、集中できる環境を先に作ります。
ここを曖昧にすると、結局いつもの流れに飲み込まれてしまいます。
午前=心理の掘り起こし → 日中=「立ち止まり」で自動運転を断つ → 夜=統合して明日の行動へ、という計画です。
では具体的にどうするのか、見ていきましょう。
午前
まずは「痛みの所在」を探るための掘り起こしから始めます(15分)。
- ずっと我慢してきた「鈍い不満」は何か
- 何度も愚痴るのに、変えていないことは何か
- 行動だけを見る人は「あなたは本当は何を望んでいる」と結論づけるか
- 尊敬する人には言えない、今の生活の「言いづらい真実」は何か
ここで「自分の現状に、どんな痛みが埋まっているか」をはっきりさせます。
頭の中で考えるだけだと、同じところをぐるぐるしやすいので、短くでいいので書き出すのがコツです。上記の4つの問いに 各3行だけ 書きます。長文は不要です。
次に「望まない未来」を具体化します(15〜30分)。
「このまま何も変えなかったら」どうなるのかを、平均的な火曜日としてイメージします。
「火曜日」なのは、憂鬱な月曜やワクワクする週末ではなく、「普通の日」を想定するためです。
つまり「こうはなりたくない」をはっきりさせます。
これは迷ったときにどっちを選ぶかを決める「物差し」を作るためです。
さらに、5年・10年・人生の終わりと段階を分けると、現実感と優先順位がはっきりします。
- 5年後:何も変わらなかった場合、平均的な火曜日はどうなる?
- 10年後:それが積み上がった火曜日は、さらにどうなる?
- 人生の終わり:その延長線上で、何が残りそう?何を後悔しそう?
ポイントは、気分や抽象的ではなく、生活の場面(朝・昼・夜/体/仕事/人間関係など)で書くことです。
例(5年後の火曜日のイメージ)
- 朝:寝不足、コーヒーで誤魔化す
- 昼:返信が面倒で未読が溜まる
- 夜:スマホ→間食→自己嫌悪→寝落ち
- 体:胃もたれ、首肩こり、肌荒れ、不眠
- 家:会話が減る、余裕がなく常にイライラ
そして、もう少し深掘りをします。
- その未来をすでに生きていそうな人は誰か
- 変わるために手放すべき「私はこういう人」があるとしたら何か
- 一番恥ずかしい「変われない理由」は何か
- もし今の行動が自己防衛なら、何を守っていて、その代償は何か
ここまで書くと、「変わりたい」気持ちに現実味が出てきます。
次に「理想の火曜日」を描きます(15〜30分)。
「もし3年後に別の人生を送れているなら、平均的な火曜日はどうなっている?」をイメージします。キラキラした目標より、具体的な日常を。
例(3年後の火曜日のイメージ)
- 朝:7:00にすっきり起床→白湯を飲む→顔を洗う→外に出て日を浴びる
- 昼:昼休みに「今日の3つ」を確認
- 夜:21:30以降はスマホから離れて、23:00には布団へ
- 体:胃が軽い/肩首がラク
- 家:楽しい会話がある/イライラしない時間が増える
そして最後に「自己像」を言語化します。
- その生活が「頑張り」ではなく「自然」に感じられるために、どんな自分である必要がある?
- 「私は___するタイプの人だ」という一文にする
- さらに「今週やるなら何を1つする?」と行動レベルにまで
ここまでが、行き先の「地図」になります。
*「昼休みに『今日の3つ』を確認」は、「今日やること全部」じゃなくて、今日することで最も重要なことを「3つ」だけを見て、順番を整えるという小さな習慣の例です。「昼」は午前で予定がズレたり、連絡が増えたりして、予定が崩れやすい時間でなので、そこで一回だけ立ち止まって、今日は何を終えればOKと思えるか、何を後回しにするか、次に何をやるかを決め直して。午後の暴走(自動運転)を止めるための「整え直し」です。
*5年は「積み重ねの結果が見える距離」、3年は「手が届くビジョンに落ちる距離」。だから年数が違います。
昼
変えたい習慣を1つ選び、「何を避けるためにしているか」を見つけます(15〜20分)。
ここが核心です。
変えたい習慣を選びますが、選ぶのは 1つだけ(先延ばし、夜更かし、SNS、間食、飲酒、イライラなど)。
そしてその習慣は、何を避けるためにやっているかを自分自身に問います(失敗?批判?責任?孤独?疲労?空白?)。
例
先延ばし → 失敗して恥をかくのを避ける
夜更かし → 日中確保できなかった自分の時間を確保する
SNS → 不安や孤独を紛らわす
「やめる」前に、その習慣の「役割」を理解します。ここを理解しないまま習慣を止めようとすると失敗しやすくなります。
そして、やめたい「習慣」の「代わり」を考えます(10〜15分)
現実の生活では、代わりの選択肢がないとやめにくいものです。「同じ役割を、害が少ない形で満たす」ための「代替」を用意します。
例
先延ばし(失敗回避)→「返信する前に下書き」「相談だけする」
夜更かし(自由の確保)→「自由時間を15分確保して、終わりの合図を作る」
SNS(不安の軽減)→「5分散歩」「温かい飲み物」「ストレッチ」
重要なのは「立派な習慣」にすることではなく、以前の「習慣」に戻らないための代替です。
午後〜夜
次は「立ち止まる合図」を決めます。
立ち止まる合図を入れて、「自動運転」にならないようにします。(2〜4回/各30秒)
これはスマホのアラームで十分です(例:11:30/15:00/19:00)。鳴ったら、長く考えずに短く確認します。
まず、いま 何かを避けようとしていないか。
避けるために、何をしているか(スマホ/先延ばし/間食…)を言葉にします。
そのうえで、次の3つを 1文ずつ 書きます(メモでOK、30秒で十分です)。
- ① 本当の敵:状況や他人ではなく、自分の内側の癖・思い込みは何か(例:完璧主義/疲れのごまかし/評価への恐れ)
- ② 戻りたくない未来(1文):読むだけでブレーキがかかる一文(例:「またスマホで時間を溶かして自己嫌悪」)
- ③ 辿り着きたい未来(1文):いま選び直すための最短の一文(例:「今日は「逃げる」より「整える」を選ぶ」/「不安をごまかすより、前に一歩進む」)
最後に、ここで10分だけ進めるなら何をするかを一つ決めて、すぐ着手します。
目的は「反省」ではなく、「方向修正」です。
夜
最後です。
日の行動を 2〜3個だけ決めて、やる時間も先に取っておきます(10分)。
ここで大事なのは、「達成できたかどうか」で自分を採点しないこと。
この目標は迷ったときに、これまでのレールから別のレールに乗り換えるための「見方」を作る作業です。「明日はどんな自分として動くか」に焦点を合わせます。
例(先延ばし対策)
- 10:00〜10:10:資料を開いて見出しだけ書く
- 15:00〜15:10:一段落だけ埋める
ポイントは 完成ではなく「着手」 を毎日作ること。
小さく始められる形にしておくほど、先延ばしの力が弱まります。
落とし穴に注意!
望まない未来が「自己否定」になると逆効果
→目的は自分を責めることではなく、判断の基準を作ることです。
いきなり全部変えようとする
→変えるのは 1個。1個が変わると、他の変化が続きやすくなります。
意志じゃなく「仕組み」を変える
最後にもう一度だけ、大事なところをまとめます。
変わらないのは、あなたの意志が弱いからではありません。
多くの場合、生活にはすでに「変わらない仕組み」ができあがっています。
そして厄介なのは、やめたい習慣ほど、実はあなたを守っていることがあります。
先延ばしも夜更かしも、だらしなさではなく、疲れや不安から身を守る「応急処置」になっていることがあります。
だから必要なのは、気合いでやめることではなく、まず 「何を避けているのか」 を言葉にすること。
それが分かると、対策は「根性」ではなく「設計」に変わります。
そして1日でやるべきことはシンプルです。
日中に一度立ち止まる合図を入れて、自動運転から外れる。
夜に、明日の行動を2〜3個だけ決めて、やる時間も先に確保する。
それだけで、流れは現実に変わり始めます。
もし「これ自分だ」と思った習慣があるなら、今日のうちに一行だけ書いてみてください。
- 先延ばしは「____」を避けるため
- 夜更かしは「____」を確保するため
- SNSは「____」を薄めるため
たった一言で、対策の方向が変わります。
迷わないために、最後に「1枚」にまとめる
最後に、ここまで出てきた材料を6つに整理して、1枚にまとめます。
これは、「気分」や「気合い」で頑張るのではなく、迷ったときに立ち戻れる「設計図」を持つということです。
簡単なメモでもOKなので、次の6項目を一行で書き出してみてください。
- 戻りたくない未来:もう二度と戻りたくない日常(望まない火曜日の要約)
- 行きたい未来:進みたい方向の日常(理想の火曜日の要約)
- 今年の到達点:1年後、どうなっていたいか(大枠)
- 今月の重点:この1ヶ月でまず整えるテーマ(1つに絞る)
- 毎日の最小行動:毎日やる2〜3つのこと(小さく、時間を先に確保)
- 守るルール:ブレない約束(「これはやらない/これは守る」)
この1枚があると、揺らいだ日からの立て直しが早くなります。
「気合い」ではなく「仕組み」で戻れるからです。
元のポストでは上記の6項目は、ただのチェックリストではなく、「ゲーム化」をすると良いと説明しています。なぜ「ゲーム化」するかというとゲームは「夢中・楽しさ・没頭」の見本みたいなもので、「ゲームの構造」を「人生」に移植すると集中と明確さが出ることが期待できるからです。
・「行きたい未来」は勝ち条件
・「戻りたくない未来」は代償(賭け金など)
・「今年の到達点」は最優先のミッション
・「今月の重点」はボス戦(大量経験値)
・「毎日の最小行動」はデイリークエスト、ログインボーナス
・「守るルール」はゲームの境界線(制約があるからこそ楽しい)
この6つが同心円のように自分を取り囲み、気を散らすものから守る「防御壁」「防御力」になる──そして続けるほどそれがより強固となり、やがて「それが自分になる」のです。
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