🪥 朝の歯みがきが、血管のご機嫌を左右する?
毎朝の習慣の1つである「歯みがき」が、実は「血圧」と関係しているかもしれない──そんな研究があります。
少し意外に感じる人もいると思いますが、さらに意外なこともこの研究では明らかにされています。
中医学の考え方では、口は「脾胃(消化器)」や「心(血脈)」とも深く関わる場所とされています。
朝は一日の陽気が立ち上がる時間帯であり、このタイミングのケアが、その日の気血の巡りに影響すると捉えられます。
この研究は、そんな中医学的な感覚とも重なりそうな「朝の口のケア」と「血圧」の関係を、現代医学のデータで丁寧に追いかけています。
見えてきた「結果」は、少しおもしろいものでした。
では、続きを見ていきましょう。
🧪 どんな研究?
この研究は、鹿児島県の垂水市で続いている「Tarumizu study」という健康調査の一部です。
2019年に参加した40歳以上の住民が対象で、健康教室や市報の案内を見て集まった、地域の人たちが協力しています。
もともと1,024名がいたのですが、歯がまったくない方(81名)と、データがそろわなかった3名を除き、最終的に940名のデータを解析しました。
年齢は平均67歳ほどで、働いている世代から高齢の方まで幅広く含まれています。
そして、血圧を測ってみると、529名(約56%)が高血圧と判定されました。住民の半分より少し多いくらいで、「血圧が気になる人がとても多い地域のリアル」がそのまま表れているデータと言えます。
📏 何をどのように調べた?
この研究では、まず参加者の血圧をきちんと測り、「高血圧かどうか」を判定しています。方法はとてもシンプルで、イスに座って5分ほど落ち着いてから専用の血圧計で測定し、140/90mmHg以上、もしくは降圧薬を飲んでいる場合を高血圧としました。
そして本題となる「歯みがき」。
これは質問票で、「どのタイミングで磨くか」 を細かく聞いています。
たとえば──
- 起床時
- 朝食前
- 朝食後
- 昼食後
- 夕食前
- 夕食後
- 就寝前
といった具合に、1日の中の7つの場面すべてです。
また、1日に何回磨くのか、1回の歯みがきにどれくらい時間をかけるかもあわせて確認されました。歯がどれくらい残っているか(残存歯数)や、舌の汚れ(舌苔スコア)もしっかり計測しています。
つまりこの研究は、「いつ磨くのか」「何回磨くのか」「口の中の状態はどうか」という生活のリアルな部分と、血圧との関係をひとつずつ丁寧に照らし合わせた調査になっています。
🪥 一人ひとり違う歯みがき習慣
調査に参加した940名が、ふだんどのタイミングで歯を磨いているのかを見ると、少し特徴が出ています。
まず目立つのは、「朝食後に磨く」人が69%と最も多いことです。
次に多いのは**就寝前(51%)と昼食後(48%)**で、仕事や生活リズムに合わせて、比較的メリハリのある磨き方をしている様子がうかがえます。
一方で、
- 起床時は33%
- 朝食前は8%
- 夕食前は4%
- 夕食後は42%
と、磨くタイミングにはかなり個人差がありました。
さらに、「どれくらいの回数磨くか」を見ると、1日に3回以上磨く人が全体の51%。
ちょうど半分くらいの人が「こまめに磨くタイプ」で、残りの半分は「必要なときに磨くタイプ」という、きれいに分かれる結果でした。
歯みがきの回数やタイミングは、なんとなく習慣で決まってしまう部分ですが、こうしてデータで見ると、自分の磨き方を振り返るきっかけにもなりそうです。
☀️ 歯みがきの「タイミング」で変わる「血圧」
歯みがきをするタイミングを、高血圧の人とそうでない人で比べると、いくつか特徴的な差が見えてきました。
まず大きく違っていたのは「朝食後の歯みがき」です。
- 高血圧の人:64%
- 高血圧でない人:75%
どちらも高い割合ですが、朝食後に磨く人は、高血圧でないグループのほうにより多く見られました。
同じ傾向は「昼食後」や「就寝前」にもみられました。
- 昼食後:高血圧 42%/非高血圧 55%
- 就寝前:高血圧 48%/非高血圧 55%
「食後」や「寝る前」といった「汚れが残りやすい」タイミングでしっかり磨いている人が多いのは、高血圧でない人のほうでした。
さらに、磨く回数にも差がみられました。
- 1日3回以上磨く人:高血圧 44%/非高血圧 59%
こうした違いを見ると、食後や寝る前に磨くこと、そして1日に複数回磨く習慣が、高血圧でない人により多いことがわかります。
そして研究では、この歯みがき習慣の中でも特に「朝食後」に磨く習慣が、ほかの生活要因をすべて考慮しても血圧との関係が残っていたことが示されました。
生活の中の小さな習慣ですが、特に朝食後の歯みがきは、データとしてもしっかり意味のある習慣として浮かび上がっていました。
🦷 なぜ「朝食後」だけ?
朝ごはんのあと口の中には、食べかすや糖分が残りやすく、細菌が一気に増える「汚れが重なる」状態になります。
このままにしておくと歯ぐきに炎症が起こりやすく、体の中の軽い炎症反応を通じて血管の働きにも影響すると考えられています。歯周病と高血圧の関連報告が多いのも、この仕組みに沿ったものです。
今回の研究では、ほかの生活習慣をすべて含めて考えても、朝食後の歯みがきだけは高血圧と逆の方向の関係が残っていました。
これは、朝という時間帯が
- 夜間に増えた細菌が最も多い
- 食事でさらにプラークが作られやすい
- 血圧が上がりやすい時間帯でもある
という複数の条件が重なるため、「磨く/磨かない」の差がもっとも表れやすいことが関係していると考えられます。
昼食後は唾液が多く細菌が増えにくく、夕食後は生活リズムの個人差が大きいため、朝ほど一貫した差が出にくかった可能性があります。
こうした背景が組み合わさり、朝食後の歯みがきだけがはっきりと関連して見えたと考えられます。
🌱 中医学から見る「朝の歯みがき」
中医学では、朝は一日の気が動き始める大切な時間とされ、体の巡りがここから整っていくと考えられています。
そのスタートのタイミングで口の中をきれいにすることは、「脾胃(消化)」の働きを助け、気血の巡りを乱しにくくするとされています。
また、口は「心」とも関わる場所とされ、心は血の巡りを広げる役割を持っています。そのため、朝の口腔ケアは「気と血の流れを整える最初の一手」 という位置づけとも言えます
今回の研究で朝食後の歯みがきだけが血圧と関連していたことは、
朝という時間帯が
- 体が動き始める
- 気が立ち上がる
- 食後で口の中の変化が大きい
という条件が重なり、中医学の考え方と重なる点です。
「朝食後に磨く」という習慣が、その日の巡りを整える支えになる──この視点は今回の研究結果ともつながります。
✨ 小さな習慣が、体をゆっくり支えていく
今回の研究から見えてきたのは、朝食後の歯みがきのような「いつもの行動」が、思っているよりも体の調子に関わっているかもしれないという点でした。
普段から続けている習慣だからこそ、日々の積み重ねとして大切にしたい行動です。
もちろん、歯みがきだけで血圧が決まるわけではありません。
それでも、体が動き始める朝のタイミングで口の中を整えておくことは、炎症を減らし、気血の流れを乱しにくくするという意味で、体にとって負担の少ない「良いスタート」になりやすいと考えられます。
無理なく続けられる日々の習慣が、体を支える方向に働くことがある──今回の研究は、そんな可能性を改めて示していました。
大きな変化を求めなくても、朝食後に歯を磨くという一つの行動が、その日の巡りや体調を整える小さな助けになるかもしれません。
すでにある習慣も、続けていくことで体を整える力につながります。
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