🏢 光のある職場、ない職場
「一日を過ごす場所」が、私たちの体調や気分にどれほど関わっているかは、なかなか意識されにくい部分です。
たとえば、窓のないフロアで淡々と仕事をする日と、日光が差し込むデスクで過ごす日とでは、同じ作業でも集中のしやすさや体調が変わることがあります。
中医学でも、日光は「陽気(ようき)」を巡らせ、心身のリズムを調えやすい存在として扱われてきました。自然の光が、気血(きけつ)の巡りや睡眠の質に影響を与えるという考え方は古くからあります。
今回紹介する研究は、そんな「光」が働く人の睡眠や日中の調子とどのように関係しているのかを、実際の働く環境をもとに検証したものです。
身近な「光の量」が思っている以上に日々の感覚に関わっていることが見えてきます。
では、続きを見ていきましょう!
🧪 どんな研究?
この研究は、オフィスで働く人が「どれくらい日光に触れているか」によって、睡眠や日中の調子に違いが生まれるのかを調べたものです。
対象になったのは、大学キャンパスで事務やオフィス業務に携わる49名の方々。みなさん、朝8時から夕方17時まで同じ時間帯で働いています。
ただし、職場の環境には大きく2つのタイプがありました。
ひとつは窓がなく日光の入らないフロア。
もうひとつは自然光がきちんと届き、室内でも明るさを感じられるフロアです。
研究では、この2つの環境で働く人たちの「睡眠の質」や「日中の調子」に、どのような違いが現れるのかを比較しました。さらに一部の参加者には、腕時計型の小さなセンサーを装着してもらい、日々どれくらい光を浴びているのか、どんな動き方をしているのかを細かく記録しています。
こうして集められたデータをもとに、働く日常のなかにある「光の量」が、心身の調子とどう関わっているのかが少しずつ見えてきます。
🧑🤝🧑 2つのグループはどんな人たち?
研究ではまず、窓のある職場と窓のない職場で働く人たちの年齢や性別、勤務スタイルといった基本的な背景を確認しています。
大きな違いはほとんどなく、どちらのグループも似た条件で働いていました。つまり、今回の比較では「日中にどれくらい光を浴びているのか」の違いがわかりやすい状況でした。
一方で、はっきり差が出たのは「日光にどれくらい触れていると感じているか」という自己評価です。窓のない職場では日光が不足している実感が強く、窓のある職場では自然光を身近に感じている人が多い傾向が見られました。
背景がそろっていたからこそ、光環境の違いが「結果」でより鮮明になります。
💡 どれくらい「明るい毎日」だったのか?
参加者には腕時計型のセンサーをつけてもらい、どれくらい明るい環境で過ごしているのかを日常的に測定しました。
そのデータから、窓のある職場で働く人は、室内でも自然光がしっかり届く環境で過ごしていることが確認されました。一方、窓のない職場の人は、照明がついていても「少し暗めの室内」で過ごす時間が長いことがわかりました。
興味深いのは、この違いが仕事のあとや休日にも続いていた点です。
センサーの記録を見ると、窓のある職場で働く人は、夕方や休日でも「より明るい環境で過ごしている時間」が長い傾向がありました。職場で自然光に触れられるかどうかが、その日の過ごし方全体に影響している可能性があります。
そして、この「光の量の違い」は、「睡眠」にも関わっていることが分かってきます。
🌙 睡眠にはどんな違いがあったのか?
光の浴び方に差があった2つのグループですが、睡眠にも違いが見られました。
腕時計型センサーで計測した睡眠時間を比較すると、窓のある職場で働く人は、平日でおよそ「46分」、休日では「約1時間半」ほど、睡眠時間が長い傾向がありました。
この差は、日々の休息の量としては結構大きな差です。光の浴び方が睡眠の状態に影響が出ていることがわかります。
さらに、睡眠の「質」を自己評価する質問票でも、窓のない職場で働く人は「眠りが浅い」「夜中に目が覚めやすい」といった項目の点数がやや高く、睡眠の満足度が下がりやすい傾向がありました。
一方で、窓のある職場の人たちは、夜の寝つきや中途覚醒の回数などを評価した指標でも、窓のある職場の人では、睡眠の問題が少ない状態が確認されました。
日中の光の量が、そのまま夜の眠り方にまで影響していることが、この結果から読み取れます。
😊 気分や元気さにはどんな違いがあったのか?
睡眠の違いに続き、毎日の「元気」や「気分の安定」に関する評価にも、窓のある職場とない職場で差が見られました。
研究では、健康関連の「生活の質」を測る質問票が使われましたが、その中でも特に、
- 「活力(疲れにくさ・意欲の保ちやすさ)」
- 「身体的な動きやすさ」
に関する項目で、窓のある職場の人たちのほうが高い評価を示していました。
一方、窓のない職場では、これらのスコアが低めで、日中の活動に少し負担を感じる場面が多い傾向が見られました。
精神面についても、窓のある職場では、気分に関する評価がやや良い方向に傾いていました。大きな差ではありませんが「光のある環境のほうが、より安定しやすい」傾向が見られました。
こうした結果から、睡眠だけでなく、日中の元気や気分にも、日中にどれくらい光を浴びているかが関わっている可能性があります。
🌿 中医学の視点から見た「光」と心身の調子
中医学では、太陽の光は「陽気(ようき)」を動かし、体のリズムを整える重要な要素と考えられてきました。
陽気は、活動のエネルギーそのものを支える存在で、日中にしっかり巡ることで、夜に体が休む準備が整います。
今回の研究で、日中に明るい環境で過ごしている人ほど睡眠が安定し、日中の元気さにも差が見られたことは、この考え方と重なります。
特に、窓のある職場で働く人に睡眠時間の長さや睡眠の満足度が高かった点は、陽気の巡りがうまく保たれている状態と捉えられます。
逆に、暗めの環境で過ごす時間が長いと、陽気が十分に巡らず、夜の休息にも影響が出やすいという見方ができます。
現代の研究結果と合わせてみると、光を取り入れることが心身の安定に関わるという点で、両者は共通の方向性を示していると言えます。
✨ やっぱり働くなら「窓際」がいい
今回の研究では、「どんな職場で働くか」という日常の環境が、睡眠や日中の調子にまで関わる可能性が示されていました。
日中に浴びる日光の量は自分の力だけでは変えにくい部分もありますが、少し外に出る時間をつくったり、明るい場所で過ごす工夫をしたりと、毎日の中で取り入れられる方法もあります。
中医学でも、太陽の光は体の巡りを整える大切な存在とされています。
現代の研究と古くからの知恵の両方を合わせて考えると、「光をどう取り入れるか」は、思っている以上に心身の調子を支える要素になりそうです。
日々の働き方や生活のなかで、無理のない範囲で光を味方にすることが、心身の安定を支える一つの方法になり得ることを示す研究でした。
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