子どもの風邪に効く「しょっぱいケア」

目次

🤧 「しょっぱいケア」が子どもの風邪にできること

子どもがちょっと風邪気味かな、というとき。
そこまでひどくはないけれど、鼻がつまっていたり、なんとなく調子が悪そうだったり──そんなときは、なるべく楽にしてあげたくなるものです。

できれば薬は使いたくない。でも、何もしないのも少し心配。そんなときに、家庭でできるやさしいケアがあれば、それは多くの人にとって心強い選択肢になります。

今回紹介するのは、そんな「ちょっとした工夫」に光を当てた研究です。

使われたのは、どの家庭にもあるしょっぱい「アレ」。

しかもその使い方は、とても簡単なものでした。

研究チームは、その成分が体内の免疫の働き──特に、ウイルスと戦う仕組み──に関係していることに注目しました。

誰もが身近に感じる「鼻風邪」というテーマに対して、研究者たちはある方法を試してみることにしました。対象になったのは、まだ体の免疫が発達途中にある小さな子どもたちです。どれくらいの頻度で、どんなタイミングで使うのかなど、実生活に即した設計で慎重に検討が進められたようです。

中医学では、鼻の不調は「肺(はい)」の働きと深く関係するとされます。肺は呼吸や体液の巡り、外からの影響を防ぐ働きを担っており、その乱れは鼻づまりなどに現れやすくなると考えられています。

さらに、「しょっぱい味(鹹味)」には、固くなったものをやわらげて通す「軟堅散結(なんけんさんけつ)」という性質があるとされており、今回の「しょっぱいケア」は、そうした中医学の知見とも通じる部分があります。

この素朴で身近な方法に、どれだけの可能性があるのか──。

この研究、かなり興味深いです。

続きを見ていきましょう🧂


🧪 何をどう比べたのか?

今回の研究では、風邪をひき始めた子どもたちを、いつも通りのケアをするグループと、「しょっぱいケア」を取り入れるグループに分けて、その後の様子を比べました。

これは「ランダム化比較試験」と呼ばれる方法で、効果があるかどうかをできるだけ公平に確かめるための、医療研究ではよく使われるスタンダードなやり方です。

対象となったのは、健康な0〜6歳の子どもたち。事前に研究への登録だけをしておき、実際に風邪の症状が出てから介入を始めるという、無理のない仕組みが組まれていました。言い換えれば、「風邪をひいたときだけ試す」という日常的な流れに近い形です。

さて、「しょっぱいケア」とはどういったケアなのでしょうか。

その方法はシンプルで、2.6%の高張食塩水を、1日4回以上、各鼻に3滴ずつ点鼻するというもの。研究では症状がよくなるまで続けるルールで、保護者が自宅で行うように設計されています。特別な道具は必要なく、家庭で無理なくできる工夫がされています。

さらに、どれだけ続けたかや、症状の変化などは、保護者が28日間記録するようになっていました。ウイルスの種類を調べるために、鼻の奥を綿棒でぬぐう検査(スワブ)も、自宅で5日間にわたって行われました。

この研究はイギリスで実施され、登録されたのは400人を超える子どもたち。そのうち実際に風邪をひいて試験に進んだのは、およそ300人でした。家庭の中でも取り組みやすい内容でありながら、きちんとしたデータが集められるように工夫されているのが特徴です。


📊 ケアの手応え、どれくらい?

では「しょっぱいケア」は、実際にどのくらいの効果があったのでしょうか。

研究では、風邪の症状がどれくらいの期間続いたのかが、ひとつの大きな指標となりました。

結果は、「しょっぱいケア」、つまり塩水を点鼻したグループでは、症状が続いた日数が平均で2日ほど短くなったというデータが得られました。つまり、いつもの風邪が少し早く改善したという結果が得られました。

この違いは、ウイルスが実際に検出された子どもに限ってみても同じ傾向が見られました。なかでも一番多かったのはライノウイルス、いわゆる「普通の風邪」のウイルスでした。

また興味深いのは、同じ家に住むほかの人に風邪がうつる「二次感染」の割合です。

塩水を使ったグループでは、この二次感染も少なくなりました。家庭の中で誰かひとりが風邪をひくと、他の家族に広がるのはよくあることですが、それを防ぐ手立てになる可能性があるという結果です。

症状の緩和だけでなく、周囲への広がりまで抑えられるかもしれないという点は、子どもだけでなく家族全体にとっても意味のあることかもしれません。

そして気になる「安全性」についてですが、今回使われたのは「塩水」というとてもシンプルなもの。重いトラブルは確認されていません。
特別な薬剤や機器を使わずに、家庭で無理なく取り入れられるという点でも、安心して試せるケアだと言えそうです。


🌱 中医学の視点から見た「しょっぱいケア」

中医学では、鼻は「肺(はい)」と深くつながっていると考えられています。「肺は鼻に開竅(かいきょう)する」という言葉があり、肺の働きが乱れると鼻づまりや鼻水といった症状が現れやすくなるとされます。

「肺」は呼吸だけでなく、体を守る力(衛気)を巡らせたり、水分の代謝を調整したりする役割を担っています。こうした働きは、外からの風邪(ふうじゃ)や寒邪(かんじゃ)といった影響を受けやすく、それが肺の機能を乱すと、鼻づまりや鼻水といった症状として現れます。

今回の研究で使われた塩水の点鼻は、西洋医学の立場からは「粘膜の環境を整え、自然免疫を助ける」という目的で用いられました。

一方でこの方法は、中医学の視点から見ると、鼻の通りをよくし、肺気の巡りを助けるためのケアとしても解釈できます。

「しょっぱい味(鹹味=かんみ)」には、「軟堅散結(なんけんさんけつ)」という、堅くなったり滞ったりしたものをやわらげて通すという性質があるとされます。

つまり、塩水の点鼻というシンプルな手法は、西洋医学の説明にとどまらず、中医学においても「通して整える」視点にも通じる方法だったと捉えることができます。


🔍 身近なケアにできる「ひとつの選択肢」

今回の研究が示したのは、風邪の症状に対して、体にやさしい方法で向き合う手段があるということです。

特別な薬を使わなくても、身近なもので鼻の症状をやわらげられるかもしれない──その発見は、日々のケアに新たな選択肢を加えてくれます。

塩水を使った鼻のケアは、症状の軽減だけでなく、家族への感染を防ぐ可能性も示されました。

中医学でも、「巡りを整え、詰まりをやわらげる」方法として理解できるこの「しょっぱいケア」は、現代の研究と重なる、実践的で取り入れやすいアプローチといえます。

もちろん、すべての風邪に効果があるわけではありませんが、「何かできることを試したい」と思ったときに、頼りになる方法のひとつになるかもしれません。

薬に頼らずできるシンプルなケアが、子どもや家族の過ごしやすさにつながるなら、それだけでも大きな意味があるはずです。

この研究は、そんな可能性を教えてくれました。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ご覧いただきありがとうございます

「なんか生きづらいな」
「なんか体の調子が良くないな」
  と感じている方へ

漢方と鍼灸、心理学的アプローチを合わせた心身のケアで
日々の生活に彩りを添えるお手伝いをいたします

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

漢方薬局・鍼灸接骨院

吸い玉(カッピング)
足ツボ(リフレクソロジー)
ヘッドスパ・美容鍼
よもぎ蒸しサロン
《タナココ》

目次