🍽 「食べる」を支える、「給食」のちから
子どもが毎日しっかり食事をとれるかどうかは、その日の学びや体の成長に直結します。
けれど、家庭の経済的な事情などで、朝ごはんを抜いたり、昼食の量が足りなかったりする子どもは少なくありません。日本でも聞き覚えのある話ですが、アメリカでもその課題は深刻です。
そこで注目されているのが、「すべての子どもに、無償で給食を提供する」という政策です。
この制度は、誰かを選ばず、クラス全員に無料の食事を届けることで、子どもたちの健康や生活にどんな変化をもたらすのか──医療データを活用して、その影響を科学的に調べた研究があります。
研究で焦点が当てられているのは「血圧」です。「高血圧」は大人の病気という印象があり、意外に感じるかもしれませんが、実は子どもの血圧にも目を向ける意味があります。
大人になってからの生活習慣病は、子どもの頃から少しずつ始まっていることもあるからです。
中医学では、成長期の子どもは「気(き)」や「血(けつ)」のバランスがまだ未成熟とされ、日々の食事が体の基盤を作ると考えられています。
特に「脾胃(ひい)」の働きが安定していることが、子どもの発育や心身の安定にとって重要とされています。
では、アメリカで進められているこの「全員給食」の取り組みが、どのような影響を子どもたちにもたらしたのか──続きを見ていきましょう。
🧪 どんな研究だったの?
「全員が、無償で給食を受けられる」──そんな制度が本当に子どもの健康を変えるのか。
今回の研究は、その問いにデータで答えようとしたものです。
アメリカでは「CEP(Community Eligibility Provision)」という制度があり、一定の条件を満たす学校では、すべての子どもに朝食と昼食を無料で提供できます。申請や証明の必要はなく、全員が平等に受けられる仕組みです。
研究チームは、この制度が子どもの血圧にどのような影響を与えるのかを調べました。
対象になったのは、アメリカ12州の1052校に通う子どもたち。地域の医療機関に蓄積された診療データをもとに、4歳から18歳までの約15万人分の情報が分析されています。
子どもの住所と学校の位置を照らし合わせて、「どの学校に通っていたか」と「給食制度が導入されていたか」を結びつけたうえで、血圧との関係を比較しています。
また、学校によって制度の導入時期が違っていたため、その違いを活かして、「制度が始まったことで何が変わったのか」を時間の流れに沿って丁寧に追いかけています。
こうした工夫によって、ただの偶然や他の要因ではない、制度そのものの影響を見極めようとしている点が、この研究の特徴です。
📊 どんな結果だったの?
今回の研究で注目されたのは「血圧の状態」です。
子どもたちの血圧は、年齢や体格によって違いがあります。そのため研究では、そうした違いを踏まえたうえで「血圧が高めかどうか」を評価しました。
結果は、給食制度を導入した学校では、そうでない学校と比べて、子どもたちの「血圧が高め」とされる割合が目に見えて下がっていました。
特に目立ったのは、制度を導入してから数年が経過した後の変化です。
最初の年よりも、時間が経つにつれて血圧の値が徐々に安定していく傾向が見られました。これは、食生活が継続的に改善された可能性を示唆しています。
また、平均的な血圧の値もわずかですが下がっており、制度全体が子どもたちの健康に穏やかな変化をもたらしていることがうかがえます。
さらに詳しく見ると、小学校に通う子どもたちにとって、とくに効果が大きかったことも分かりました。成長期の中でも初期段階にある子どもほど、食事環境の改善が体に与える影響が大きいのかもしれません。
🔍 研究から見えてくること
給食制度導入により、子どもたちの血圧が少しずつ下がっていた──この結果から見えてくるのは、毎日の食事が体に与える影響の大きさです。
しかも、それは一部の子どもだけでなく、「全員に同じように食事を届ける」という仕組みの中で起きた変化でした。
もちろん、全員が給食をしっかり食べていたかどうかまでは分かりませんし、食事の内容や家庭での生活の影響など、他の要因が関係している可能性もあります。
それでも、制度として無償の給食を続けることが、健康にとって穏やかな良い変化につながっていたことは確かです。
毎日決まった時間に、栄養のある食事をみんなで食べること。
その当たり前のような営みが、子どもの身体を支える土台になっている。そう思うと、給食という仕組みの意味が、これまでより少し大きく見えてくるかもしれません。
🌿 中医学の視点から見る「子ども」と「食」
中医学では、子どもは「脾胃(ひい)」──つまり消化や吸収を担う働きがまだ十分に育っていない存在とされています。
体の内側の機能が未成熟で、外からの影響を受けやすい状態にあると考えられているのです。
だからこそ、日々の食事がとても重要だとされます。「脾胃」は、食べたものから「気」や「血」を作り出し、体のすみずみにまで巡らせる源です。この働きが弱まれば、発育や免疫、情緒の安定にも影響が出ると考えられてきました。
今回の研究で、学校給食という毎日の食事が、子どもたちの血圧に穏やかな変化をもたらしていたという結果は、中医学の見方とも重なる部分があります。
栄養が不足すれば、「気血」が不足し、体の巡りも滞ります。逆に、安定してバランスの良い食事がとれるようになれば、体の内側から整い、健やかな成長を支えることができる──中医学では古くからそう考えられてきました。
特に成長期の子どもにとって、「食べること」は「育つこと」。その視点は現代医学、中医学とも共通しています。
✨ 毎日の「食」が未来をつくる
この研究でわかったのは、毎日の給食という仕組みが、子どもたちの血圧に少しずつ影響を与えていたということです。
誰もが同じ条件で食事をとれる環境が整ったことで、健康の土台がつくられやすくなっていたと考えられます。制度としての「無償の給食」が、体の状態に反映されていたという点は注目に値します。
中医学では、食事は体を整える基本とされており、「食べたものが体をつくる」──それは毎日の積み重ねによって実現されるものです。
日々の食事が安定することで、少しずつ体の調子も整っていく──今回の結果は、そんな見方とも一致します。
毎日の食事がきちんと確保されていること──そのことが、子どもたちの成長を支える確かな力になります。
この研究は、「給食」という仕組みが持つ意味を、改めて考えるきっかけを与えてくれる内容でした。
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