出産前後の母の心が、子の発達に与える影響

― 8万人を超える親子から見えた、こころと成長のつながり ―

目次

💓 心のゆらぎが未来に映るとき

子どもを授かり、命が育つ──その喜びと同時に、妊娠や出産は心にも身体にも大きな変化をもたらします。

胸の奥に芽生える小さな不安、眠れない夜、ふとしたことで涙がこぼれる瞬間──そんな経験をした人も少なくないと思います。

その一つひとつの揺らぎは、母として新しい世界を歩みはじめたしるしでもあります。

そんな心のゆらぎが、近年の研究では、子どもの成長と静かに結びついていることがわかってきました。

日本全国の8万人を超える母子を対象に行われた最新の調査が、その関係を丁寧に追いかけました。

この研究は、「出産前後の母親の心理的ストレス」と「幼い子どもの発達」との関わりを長期間にわたって検証したものです。

その研究で見えてきたのは、母の心の状態が子どもの発達に影響を及ぼしている可能性でした。

こうした「心と成長のつながり」は、じつは古くから人々のあいだで語り継がれてきた考えでもあります。

中医学の世界では、出産後は「気血(きけつ)」が大きく揺らぐ時期とされ、母の心が安らげば子の「気」も整うといわれます。

この古くからの知恵が、現代の科学によって少しずつ照らし出されつつある──そんな印象を受ける研究です。

では、続きを見ていきましょう🤱


🌼 母のストレスと子の発達──日本最大級の調査から見えてきたこと

この研究は、日本環境と子どもの研究(JECS)という全国規模のプロジェクトに基づいています。

2011年から2014年にかけて登録された8万人以上の母子を対象に、妊娠中と産後1年の母親の心理的ストレスを評価し、その後、子どもの発達(言葉・運動・社会性など)を3歳まで追跡しました。

解析の結果、産後に強いストレスを感じていた母親の子どもほど、発達に遅れが見られる割合がやや高いことが示されました。母の心の状態が、子どもの成長と関わっている可能性があることがわかりました。

注目すべきは、この研究が単なる「関係のありそうな傾向」にとどまらず、その背景にある因果の向きに踏み込んでいる点です。

母のストレスが子に影響を与えているのか、それとも子の状態が母のストレスに影響しているのか──その「どちらが先か」を丁寧に切り分けるために、「時間の流れと影響の方向性を加味できる統計手法(周辺構造モデル)」が用いられました。

関係の強さだけでなく、関係の構造そのものに目を向けた点に、この研究の大きな意義があります。


👶 妊娠中と産後、どちらの影響が大きいのか

妊娠中も産後も、どちらも心身にとって大きな負担がかかる時期です。

体調の変化、将来への不安、育児への備えなど、ストレスを感じる場面は少なくありません。

今回の研究でも、妊娠中と産後1年、それぞれの時点でのストレスが子どもの発達と関係していることが示されました。

なかでも注目されたのが、産後1年のストレスの方が、より強く子どもの発達に影響していたという結果です。

出産後は、身体の回復もままならないうちに育児が始まり、生活のリズムが一変します。睡眠不足や孤立感、不安や焦りが重なるなかで、母親のストレスは高まりやすくなります。

特にサポートが不足している環境では、その状態が長く続くことも珍しくありません。

また、子どもの成長に対する期待や心配が増えやすい時期でもあり、「思うようにいかない」と感じることが、母親自身の不安につながることもあります。

こうした要因が重なり合い、「産後1年」というタイミングが、特に影響の出やすい時期として浮かび上がってきたと考えられます。


🌸 支える仕組みをどうつくるか

今回の研究から見えてくるのは、母親の心のケアを妊娠中だけで終わらせず、産後も継続して行うことの大切さです。

とくに産後1年は、心身ともに揺らぎやすく、支えを必要とする場面が多くなります。

そうした時期に、孤立しないような仕組みがあるかどうかは、母親の心の状態に大きく関わります。

例えば、助産師や保健師による定期的な面談、家族や地域のサポート体制、育児にまつわる悩みを相談できる窓口など──気軽に頼れる場や人がそばにいることで、ストレスが慢性化するのを防ぐことができます。

また、精神的な不調が深刻になる前に、早めに気づける仕組みも重要です。
メンタルヘルスのスクリーニングや、必要に応じた専門職との連携など、医療と地域の支援がつながる体制づくりが求められます。

母親の心が少しでも軽くなれば、それは子どもの育ちやすさにもつながっていきます。

その視点を起点に、社会全体で育児を支えるしくみをどう整えていくかが、今後の大きな課題になりそうです。


🌱 中医学が示す「母と子の調和」の考え方

科学的なデータが示す「母の心の状態と子の発達との関係」──それは、中医学の世界でも古くから語られてきたテーマのひとつです。

中医学では、母と子は「気(き)」と「血(けつ)」によって深くつながっていると考えられます。

出産後はこの「気血」が大きく消耗し、心と身体のバランスが乱れやすい時期とされます。そのため、母のこころを整えることが、子どもにとっても大切だとされてきました。

たとえば、母がよく眠れていて、穏やかな気持ちで過ごせているときには、子どもも落ち着いて過ごしやすくなる。そうした身近な実感が、中医学では「気の調和」として捉えられてきました。

もちろん、現代の医学とはアプローチが異なりますが、母と子を影響し合うものとして見る視点は、今でも私たちの暮らしに通じるものがあります。

心と身体をまるごと見つめながら、支えていくという考え方は、いまの子育てや支援の現場にも少しずつ広がりはじめています。


🤱 小さなこころと向き合うために、できること

妊娠・出産は、命の誕生という大きな喜びとともに、母の心にも深い揺らぎをもたらすことがあります。

その「心のゆらぎ」が、子どもの成長に影響を与えているかもしれない──その可能性を指摘する研究があります。

日本全国の8万人を超える母子を対象にした大規模調査では、出産後に強いストレスを抱えていた母親の子どもに、発達の遅れが見られる傾向が明らかになっています。

特に「産後1年」という時期が、ひとつの節目として注目されています。

子育て中は、不安な気持ちや眠れぬ夜が続くこともあり、心のバランスを保つのは簡単ではありません。だからこそ、支え合える環境や仕組みがあることが、とても大切になります。

中医学では、母の「気」が整えば、子の「気」も安定すると考えられてきました。こうした伝統の考え方と、現代の科学的な知見が重なることで母と子の支援のあり方を見直すきっかけになりつつあります。

母の笑顔が増えることが、子どもの笑顔も増えていく──そんなつながりが、やがて社会全体のあたたかさにもつながっていきます。

今回の研究は、「母」を支える仕組みづくりの重要性を改めて教えてくれるものです。日々を懸命に過ごす母親たちが、もっと安心して暮らせるような環境が広がっていけば、その先にある子どもたちの未来も、きっとやさしいものになっていくはずです。

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