🌞 「外に出る時間」が、子どもの目を守る
子どもの近視が急増しています。
特にアジアの都市部では、小学校低学年からメガネが手放せない子も珍しくありません。その背景には、外で過ごす時間が年々減っていることがあると考えられています。
こうしたアプローチは、中医学の視点からも興味深いものがあります。
たとえば中医学では、「目は肝とつながる」とされ、自然の光や活動のリズムが「気」や「血」の巡りに影響すると考えられています。つまり、目の健康は体全体のバランスと深く関わっているというわけです。
外に出る時間と光の強さ。この2つが、子どもたちの目にどんな変化をもたらすのか──その結果は、なかなか興味深いものでした。
では続きを見ていきましょう👀
🏫 この研究、どうやって調べたの?
この研究が行われたのは、中国・上海にある24の小学校。
対象になったのは、6〜9歳の子どもたち約6300人。
研究チームは、子どもたちを3つのグループに分けました。
- ふだん通りのグループ(対照群)
- 1日に40分、外で遊ぶ時間を増やしたグループ(試験群I)
- 1日に80分、外で遊ぶ時間を増やしたグループ(試験群II)
外遊びの時間は、昼休みや授業の合間の休み時間にうまく取り入れられています。つまり、無理なく、ふだんの学校生活の中で続けられるように工夫されていたのです。
さらにこの研究では、ちょっとユニークな仕掛けもあります。子どもたちに光センサー付きの腕時計をつけてもらい、「どのくらい外にいて」「どれくらい明るい光を浴びたか」を、20秒ごとに記録しました。
ここまでリアルに日常を測ってくれる研究は珍しく、日々の生活の中にどんなヒントがあるのかを、科学の目でしっかり見つめた試みといえます。
👓 外に出ると目にいい?
2年間にわたり、子どもたちはそれぞれのグループで過ごしました。
ふだん通りの生活を送った子、毎日40分だけ外遊びを増やした子、そして80分外に出ることを目標にした子。それぞれの子どもたちに、どんな変化があったのか──。
研究が終わる頃には、「毎日外に出る時間が多かった子どもたち」のほうが、そうでない子たちよりも近視になる割合が低くなっていたことがわかりました。
特に、「40分外遊び」を取り入れたグループでは、近視になる子が確実に少なくなっていました。この差は単なる偶然ではなく、統計的に見ても意味のある違いとされています。
一方で、「80分の外遊び」を目標にしていたグループでは、思ったほどの効果は見られませんでした。なぜなら、実際には予定どおり外に出られていなかった子が多く、40分グループとあまり変わらない時間しか外に出ていませんでした。
さらに、目の状態も調べられました。
視力の度合いや、目の奥行きの変化など、近視が進んでいくときに見られるサインも、外に出ていた子どもたちのほうが穏やかだったのです。
外で過ごす時間は、ただの遊びの時間ではなく、「目の成長を穏やかにする時間」として、意外にも大きな役割を果たしていた可能性があります。
🌤 どれくらい外に出ればいいの?
「外に出る時間を増やすと、近視が減るかもしれない」──そうした傾向はこれまでの結果から見えてきました。
では、具体的にどれくらい外に出ればいいのでしょうか?
この研究では、子どもたちに光センサー付きの腕時計を装着してもらい、1日を通して外にいた時間や浴びた光の強さを細かく記録しました。
そのデータをもとに、「どのくらいの時間、どんな環境で過ごすと近視のリスクが下がるか」が詳細に分析されています。
注目すべきは、「40分」「80分」といったグループ分けそのものではなく、実際にどれくらい外に出て、どんな明るさの中で過ごしていたかという、日々の行動そのものに焦点が当てられていた点です。
結果として、外で過ごす時間が1日60分多くなるごとに、近視のリスクが約2割下がるという傾向が確認されました。
さらに、ただ外にいるだけでは効果が出にくく、日中の明るい時間帯に、しっかり自然光を浴びることが重要だとわかりました。
研究では、たとえば5000ルクス(屋外の日陰くらいの明るさ)の環境で、1日2時間前後過ごすことで、目を守る効果が高まると示されています。参考までに、晴れた日の屋外では1万ルクス以上になることもあり、ちょっとした外遊びでも十分な光が得られます。
つまり、長い時間でなくても、「明るい屋外でのまとまった時間」があるかどうかが、目の健康を左右するポイントなのです。
🌿 中医学の視点から見たこの研究
中医学では、「肝(かん)」と「目」は深い関わりがあるとされます。
肝は「血(けつ)」を蓄え、「気(き)」を全身に巡らせる役割を持っており、目の健康はこの「気血の流れ」に大きく関係していると考えられています。
また、中医学では自然のリズムと調和した生活をとても大切にしています。日中に太陽の光を浴びて体を動かすことは、気血の巡りを整え、肝の働きを助けるとされており、今回の研究が示した「外で過ごすことの大切さ」としっかりつながっています。
ところが今の子どもたちは、以前に比べて外に出る時間が少なく、室内でじっと過ごす時間が長くなっているのが現実です。学校や家庭での学習時間が増え、スマホやタブレットなどの使用時間も長くなり、加えて公園や広場が少ない都市環境では、気軽に外遊びができない状況もあります。
中医学では、こうした「動かない生活」を「気のめぐりが滞る=気滞(きたい)」と捉えます。気の流れが滞ることで、体のバランスが乱れやすくなり、目にも心にも負担がかかってしまうのです。
だからこそ、太陽の光を浴びて外で体を動かすことは、目の健康だけでなく、全身の気血の巡りを整える「養生」のひとつといえるのです。
🎒学校や家庭でできること、そして限界
この研究の良いところは、特別な道具や大がかりな設備がいらないという点です。
外に出る時間を少し増やすだけ。例えば、昼休みを10〜15分長くする、午前中に短い外遊びの時間を取り入れるなど、学校でも無理なく実践できる内容です。
家庭でも、夕方に公園で遊ぶ時間を作ったり、週末に自然の多い場所で過ごしたりすることは、子どもの目の健康を守るうえで意味のある行動になります。
ただし、注意すべき点もあります。
今回の研究でも、「外で○分過ごす」と決めても、実際にはそのとおりに過ごせていない子も多かったことがわかっています。つまり、時間の設定だけではなく、実際の行動につなげる仕組みが必要なのです。
また、光の強さや天気、都市の環境などによって、「外に出ること」の効果は変わる可能性があります。
都市部ではビルの影が多かったり、空気の状態が良くなかったりと、簡単には改善できない課題もあるかもしれません。
それでも、「外に出て自然光を浴びること」が近視予防につながるという知見は、学校や家庭の取り組みを後押しする材料になります。
日々の生活の中で少しずつでも、自然との時間を取り戻していくこと。その積み重ねが、子どもたちの目を守る力になりそうです。
🏃♂️ さぁ、子どもたち、外へ出よう!
この研究は、子どもたちの「目の健康」を守るために、どんな日常が大切かを教えてくれます。
結論はとてもシンプルです。
毎日少しでも外に出て、明るい自然光の中で過ごすこと。それだけで、近視になるリスクをゆるやかに減らせるかもしれないのです。
特別な道具も、難しいルールもいりません。必要なのは、ちょっとした時間と、光のある場所。
子どもたちにとってそれは、単なる遊びの時間ではなく、目や体の成長を守るための「大切な習慣」になるのかもしれません。
そしてその考え方は、中医学が大切にしてきた「自然と調和する暮らし」とも、しっかりつながっています。
東洋と西洋、現代と伝統。その橋渡しになるような研究が、こうして少しずつ積み重ねられていることは、とても希望のあることだと感じます。
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