🍽️ 「食べもの」と「こころ」のあいだ
最近は、手間をかけずに食事を済ませられる食品が増えてきました。
電子レンジで温めるだけのお弁当や、すぐに食べられるスナックなど、日常の中で便利さを実感する場面も多いのではないでしょうか。こうした「超加工食品」は、忙しい現代人にとって頼もしい存在です。
ただ、その便利さと引き換えに、私たちの体やこころに何かしらの影響が出ているとしたら──少し気になるところです。
実際、加工度の高い食品が健康に与える影響については、これまでもいくつかの研究で注目されてきました。
中医学では、食べものは「気」や「血」の源とされ、心の働きにも深く関わると考えられています。食生活の偏りはこれらのバランスを崩し、気分の不安定さとして現れることもあるとされます。
この研究が見ようとしたのは、そんな食とこころのつながりです。
食の便利さと、こころの健やかさ──そのあいだにある小さな変化を、ひも解いていきます。
では、続きを見ていきます。
😔 増え続ける「こころの不調」
気分が沈む、よく眠れない、不安が続く──こうした不調を抱える人は今や少なくありません。
うつ病や不安障害、睡眠の問題は世界中で増えており、生活の質にも大きく関わっています。医療だけでなく、日常の過ごし方や食習慣の見直しが注目されるようになってきました。
なかでも近年関心が高まっているのが、「食べもの」と「こころ」の関係です。
栄養の偏りが気分に影響することは知られていますが、特に「超加工食品」と呼ばれる食品群がメンタルヘルスにどう関係するのかが注目されています。
超加工食品とは、スナック菓子や清涼飲料、冷凍食品など、複数の加工工程を経て作られた食品を指します。
保存性や味を高めるために、食品添加物や精製された成分が多く使われており、手軽に食べられる一方で、健康への影響が懸念される場面もあります。
今回の研究では、こうした超加工食品の摂取と、気分の落ち込み、不安、睡眠の状態との関係が調べられました。
対象となったのは、イランの成人およそ5,500人。食事とこころの関係をデータから読み解く、実証的な取り組みです。
🧪 誰をどう調べたの?
この研究では、イランの都市部に住む35歳から65歳の男女、およそ5,500人を対象に、食生活とこころの状態について調査が行われました。
元になったのは「MASHADコホート」と呼ばれる大規模な健康調査で、生活習慣や健康状態を定期的に記録している信頼性の高いデータです。
まず、日々の食事内容を質問票で確認し、どれくらい超加工食品を摂っているかを分類しました。分類には、加工の程度によって食品を分ける「NOVA分類」が使われています。
こころの状態は、気分の落ち込みや不安の程度を測る質問票で評価されました。睡眠については、ふだん何時間眠っているかを自己申告で記録しました。
そのうえで、超加工食品の摂取量が多い人と少ない人で、気分や睡眠の違いがあるかどうかを統計的に比較しました。年齢や運動、喫煙などの生活習慣も加味して分析されています。
📊 何がわかったの?
超加工食品とこころの状態には、どのような関係があったのでしょうか。
研究チームは、摂取量に応じて参加者を4つのグループに分け、それぞれの「気分の落ち込み」「不安感」「睡眠」の傾向を比較しました。
その結果、超加工食品の摂取量が多い人ほど、気分の落ち込みが強い傾向が見られました。
特に、最も多く摂取していたグループでは、落ち込みの程度がやや重くなる傾向が示されました。
また、男女別に見てみると、違いがはっきりと表れました。女性では、超加工食品の摂取量が多い人ほど、気分の落ち込みが重くなる傾向が明確で、統計的にも有意な差が確認されました。
一方、不安感や睡眠時間については、摂取量の違いによる差は見られませんでした。
👀 どう読み取る?
この研究では、超加工食品を多く摂る人に、気分の落ち込みがやや強く見られる傾向があることがわかりました。特に女性では、この傾向がより明確でした。
ただし、この研究は因果関係を示すものではありません。気分の変化が先にあって、手軽な食事を選ぶようになっていた可能性もあります。
また、男性と女性で違いが見られた点も重要です。性別や体質、生活スタイルによって、食事との関わり方は人それぞれ異なることが示唆されます。
とはいえ、毎日の食事がこころの状態に影響しているかもしれないという視点を提示したこの研究には、大きな意味があります。
選ぶものを少し見直すだけでも、こころにとってプラスになる可能性がある──そんな前向きな気づきにつながる内容といえます。
これからの研究では、性別や時間の要素を詳しく追うことで、どんな人にどんな影響が出やすいのかが見えてきそうです。
🌿 中医学ではどう考える?
中医学では、食べものは「体をつくる」だけでなく、「こころの調子」を整える働きもあると考えられています。
中でも大切なのが「脾(ひ)」という消化のはたらきを担う臓器です。脾がしっかり働いていると、食べたものから体に必要なエネルギーや栄養をきちんと取り出せるため、気分や集中力の安定にもつながるとされます。
一方、「心(しん)」は感情や思考をコントロールする場所で、脾と心は互いに支え合う関係にあります。どちらかのバランスが崩れると、もう一方にも影響が出やすくなるのが特徴です。
加工食品は体を冷やしやすかったり、湿(しつ)と呼ばれる余分なものを体にためやすい性質を持つものも多く、これが「脾」の働きを弱める要因になると考えられています。
結果として気分が落ち込みやすくなったり、眠りの質が下がったりすることがあると考えられています。
こうした考え方は、今回の研究で示された傾向とも通じる部分があります。
「こころの元気」を保つには、体に負担の少ない食材や食べ方を意識すること──中医学では、そうした日々の積み重ねが、心身のバランスを整える土台になるとされています。
📝 こころにやさしい食べ方を見つけていく
今回の研究は、普段の食事とこころの状態とのあいだに、もしかするとつながりがあるのかもしれない──そんな気づきを与えてくれるものでした。
特に女性では、超加工食品の摂り方と気分の落ち込みとのあいだに、はっきりした傾向が見られた点が印象的でした。
もちろん、食事だけですべてが変わるわけではありません。
でも、少しだけ意識して選ぶものを変えてみることは、こころの調子を整えるひとつの手がかりになるかもしれません。
体に合ったものを選ぶこと。
冷たいものや油っぽいものを控えること。
お腹が苦しくなるほど食べすぎないこと。
そんなちょっとした食べ方の工夫でも、積み重ねればきっと、自分の調子を整える力になっていくはずです。
中医学でも、日々の食事は「こころと体のめぐり」を支える基本とされています。
気分が揺らぎやすいときこそ、食卓をととのえることが、自分をいたわる時間になるのかもしれません。
食べるものを少し見直してみる──その小さな選択が、こころの余裕を生むきっかけになっていく──そんなヒントを、この研究は伝えてくれているように思います。
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