🍰 血糖値は、食べ物だけで決まるわけではない
「体にいい食事って何だろう?」
健康を気にする人なら、一度は考えたことがあるかもしれません。糖質を控える、野菜を多めにする──そんな一般的なアドバイスはよく目にしますが、「一般的」なアドバイスが必ずしも正しくないとしたら──
最近の研究で「同じ食事でも、ある人には合っていて、別の人にはそうでもない」という事実が見えてきました。
たとえば、同じ量の白米を食べても、血糖値の上がり方が人によってまったく異なる──そんな現象が、800人規模の研究から明らかになったのです。
研究チームは、参加者の食事内容と血糖の変化を1週間にわたって記録し、そこから個人ごとの反応の違いを精密に分析しました。
この研究の特徴は、単に食事だけでなく、年齢や体格、運動習慣、血液のデータ、さらには腸内細菌の構成まで取り入れて、「どんな食事がその人に合っているか」を予測できるモデルを作った点にあります。
さらに注目すべきは、腸内環境と血糖反応の間に明確な関連があったこと。
中医学では昔から、「体質に合わない食事は、内側から不調を招く」と考えられてきました。特に「脾胃(ひい)」の働き方は人によって異なるとされており、この考え方が現代科学と重なる場面も多く見られます。
そんな最先端の研究をベースに、「あなたに合った食事とは何か?」をひとつずつ探っていきます。
では、詳細を見ていきましょう。
🍽️ 同じ食事なのに違う体の反応
研究チームは、イスラエルの成人800人を対象に、1週間にわたって食事内容と血糖値の変化を細かく追跡しました。
参加者には、普段の食事に加えて、毎朝同じ内容の食事(いわば“基準食”)を摂ってもらいました。
この統一された食事によって、「同じものを食べたときに、人によってどのように反応が違うか」を調べたのです。
結果は予想以上にばらつきがありました。
まったく同じ食事をしても、ある人の血糖値はほとんど上がらない一方で、
別の人では大きく上昇していました。
さらに興味深いのは、同じ人が別の日に同じ食事をした場合でも、ほぼ同じような血糖の変化を示したことです。
つまり、反応はその日の気まぐれではなく、その人に固有のパターンとして再現されることがわかったのです。
こうした違いは、単に体重や年齢の差では説明できません。
日々の運動や睡眠、ストレス、さらには腸内細菌のバランスといった、さまざまな要因が血糖値の上がり方に関係していると考えられます。
この結果は、血糖のコントロールが「食べ物の種類」だけではなく、「体の状態」や「生活のリズム」と深く結びついていることを示していました。
🧠 血糖値をAIで予測
研究チームは、この膨大なデータをもとに「人によって違う血糖の上がり方」を事前に予測する仕組みを作り上げました。
使われたのは、AI(人工知能)の一種である機械学習。
単に「糖質が多いと血糖が上がる」といった単純な考え方ではなく、個人ごとの特徴や生活データをもとに、反応のパターンを導き出す方法です。
AIには、年齢や体格、血液検査の値、睡眠や運動の記録、さらに腸内細菌の種類や割合といった多くの情報が入力されました。
これらのデータを総合的に分析することで、「この人がこの食事をしたとき、どのくらい血糖値が上がるのか」を高い精度で予測できるようになったのです。
結果として、このAIモデルは、炭水化物の量だけで血糖変化を判断する従来の方法よりも、はるかに正確に個人の反応を言い当てました。
別の人たちに同じモデルを使って試しても、AIが予測した値と実際の血糖の変化はよく一致していたのです。
つまり、これまで「食べ物の性質」でしか語れなかった血糖の上がり方を、「その人自身の特徴」から予測できるようになったということです。
誰にとってどんな食事が合うのかを、データに基づいて見極める時代が始まりつつあります。
🧪 AIでの食事介入は効果がある?
AIが「血糖値の上がりやすさ」を正確に予測できるとしても、それを実際の食生活に生かせるのか──ここが研究の核心です。
チームはその検証のため、AIによる予測結果をもとにした「個別化食事プラン」を作り、参加者に実際に試してもらいました。
参加者は、AIが「血糖値が上がりにくい」と判断した食事を1週間、「上がりやすい」と判断した食事を別の1週間に摂る、という方法で比較されました。
すると、AIの予測どおり、「上がりにくい食事」を続けた週では、食後の血糖値の上昇が明らかに小さくなっていたのです。特に、食後の「ピークの高さ」や「変動の幅」が安定していた点は注目されました。
興味深いのは、同じ食材でも「ある人には良い食事」になり、「別の人には血糖を上げやすい食事」になる場合があったことです。
つまり、健康的だとされる食べ方が、必ずしも全員に当てはまるわけではないということ。AIの分析によって、その違いをデータとして明確に示せた点は大きな成果でした。
🔑 「腸」が鍵?
この研究では、「腸の中の細菌の違い」が血糖値の上がり方に深く関係していることがわかりました。
人の腸には数百種類の細菌がすんでおり、その組み合わせやバランスは人によって大きく異なります。
そして、その違いが食後の血糖反応にも影響していたのです。
たとえば、腸の中で食物繊維を分解し、体に良い働きをする物質をつくるタイプの菌が多い人では、食後の血糖値がゆるやかに上がる傾向がありました。
一方で、糖や脂質を速く分解してエネルギーを取り込むタイプの菌が多い人では、同じ食事でも血糖値が上がりやすくなる傾向が見られました。
つまり、腸内にどんな細菌が多いかによって、食べたあとの体の反応が変わるということです。
さらに、「血糖が上がりにくい」とAIが判断した食事を続けた人では、腸内の細菌バランスが少しずつ整い、より良い状態に変わっていきました。
食事が血糖値を変え、その変化がまた腸を整える──そんなお互いに影響し合う関係が見えてきたのです。
🌱 中医学の視点で見えてくること
中医学では昔から、「人の体はそれぞれ違い、その体質に合った食べ方がある」と考えられてきました。
この体質の違いを表すのが「証(しょう)」です。
証は、臓腑の働きや気血の巡り、体の冷えや熱の傾向などをもとに総合的に判断されます。
例えば、食べ物の消化吸収に関わる「脾胃」の働きが弱いと、食べたものをうまく処理できず、体の中に余分な「湿」がたまりやすくなるとされています。
これは、現代的に見ると、代謝が落ちて糖や脂質の処理がうまくいかない状態に近いと考えられます。
今回の研究が示した「同じ食事でも人によって反応が異なる」という結果は、この中医学の考え方とも一致しています。
「脾胃」の働きが弱い人は糖質を処理しにくく、血糖値が上がりやすい。
この関係は、現代科学の視点から見ても納得できるものでした。
さらに、腸内環境と血糖値の関係が明らかになった点も、中医学が重視してきた「脾胃の調子が体全体のバランスを左右する」という考えを裏づけています。
つまり、最新の科学が進める「個別化栄養」の考え方は、中医学が長い時間をかけて築いてきた「体質に合わせた食のあり方」と、多くの点でつながっています。
💡 私たちの「身体とのつきあい方」が変わるとき
これまで「健康に良い食べ物」は、誰にとっても同じだと考えられてきました。
けれども、この研究が示したのは、食べ物の善し悪しは「人によって違う」ということです。
同じごはんでも、ある人の体には穏やかに働き、別の人には負担になる。
それは、体の仕組みや腸内環境が一人ひとり異なるからです。
AIを使った分析によって、「この人にはどんな食事が合うのか」をデータから見極められるようになりつつあります。
そして、その結果に基づいた食事を実際に続けると、血糖の変動が落ち着き、腸内環境までも良い方向に変わることが確かめられました。
科学がようやく、人の体の多様さに真剣に目を向け始めた段階にあります。
中医学が大切にしてきた「体質に合わせた食の調整」という考え方も、こうした流れと通じるものがあります。
「何を食べるか」だけでなく、それを体が「どう受け止めるか」。
その違いを意識することが、これからの時代の、より健やかに生きるための手がかりになりそうです。
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