🪷 眠る時間を少し変えるだけで、何が変わるのか
仕事や家のことでバタバタしているうちに、気づけばもうこんな時間──「また今日も寝るのが遅くなった…。」
そんな日々が続くと、不思議と甘いものや脂っこい食事が食べたくなることがあります。
「寝不足の日ほど、つい食べすぎてしまうんだよねぇ…」
そう感じている人も少なくないはずです。
実際、こうした変化は体の中で起きている「調整機能の乱れ」と関係している可能性があります。これまでの研究でも、睡眠時間が短いと摂取カロリーが増えやすくなる傾向が報告されています。
ただ、そうした研究の多くは実験室でのもの。実際の生活の中で同じことが起きているかどうかは、はっきりしていませんでした。
その疑問を出発点に、アメリカの大学である臨床試験が行われました。
食事制限も、運動指導もありません。
「少しだけ長く眠ってもらう。」
ただこれだけ。
そして体にどんな変化が起きるのかを調べたのです。
なぜそんなシンプルな方法に注目したのかというと、これまでの知見で、睡眠不足が「食欲を増やす」「体重を増やす」方向に働く可能性が示されていたからです。でも、普段の生活でもそうなるのかは、誰も確かめていなかったのです。
一方、中医学では昔から、睡眠は「陰(いん)」を養い、「気(き)」の巡りを整える大切な営みとされています。睡眠不足が続くと、消化を司る「脾(ひ)」の働きが弱まり、食欲のバランスが崩れるとも考えられています。
この研究結果が、現代の科学と中医学のどこでどう重なっていくのか──さて、続きを見ていきましょう。
🧠 何をどう調べた?
この研究では、普段の生活を送りながら、眠る時間だけを少し延ばすことで、体重や食行動にどのような変化が見られるのかを検証しました。
対象となったのは、睡眠時間が6.5時間未満で、BMIが25.0〜29.9の範囲にある成人です。いずれも、医学的には「やや過体重」とされる体格です。参加者には、生活リズムや食事、運動の習慣を変えずに、就床時間だけを少し早めてもらうようアドバイスが行われました。
介入期間中のエネルギー摂取量は、重水を使って測定したエネルギー消費量と、体重の変化から推定されました。自己申告の食事記録ではなく、より客観的な方法を採用している点が特徴です。
また、睡眠の状態は腕時計型の機器を使って計測され、実際の睡眠時間もきちんと把握されています。
🍽 食事はどう変わった?
睡眠時間を延ばすよう指導されたグループでは、そうでないグループと比べて、1日に摂取していたエネルギーの量が明らかに少なくなっていました。食事内容の制限や、特別な指導はどちらのグループにも行われていません。
食事や運動など、それ以外の生活はいつも通りに続けてもらっていたため、今回見られた変化は、睡眠時間を延ばしたことが大きく関係していると考えられます。
どのような食品が減ったのかなど、詳しい内容までは分析されていませんが、摂取エネルギーそのものに差が生じていたという点は注目されます。
また、睡眠時間が増えた人ほど、食べる量が減っていた傾向も見られました。睡眠と食行動のあいだに、一定の関係がある可能性が示された結果です。
⚖️ 睡眠は体重に影響した?
睡眠を延ばしたグループでは、体重にも変化が見られました。
変化の幅は大きくはありませんが、体重が減少していたのに対し、対照群では逆に少し増えていました。
特に注目すべきなのは、この変化がわずか2週間の間に起きていたという点です。体重というのは通常、短期間では大きく変わらないため、食事制限や運動といった特別な努力をしていない状況でのこの結果には、意味があります。
一部の参加者では、睡眠時間の延びがそれほど大きくなかったり、体重にほとんど変化がなかったケースもありますが、全体としては「よく眠れた人ほど体重が減る傾向がある」ことが確認されました。
🔬 睡眠「だけ」を変えた──その結果
この研究では、食事の内容も運動の量も変えていません。唯一変えたのは「眠る時間」だけです。それにもかかわらず、摂取エネルギー量や体重に違いが見られたという点は、非常に興味深い結果です。
多くの生活習慣改善の研究では、食事・運動・睡眠など複数の要素を同時に変えることが多いため、どれがどの効果をもたらしたのかが見えにくくなります。
今回のように、睡眠だけに焦点を絞って変化を確認したことで、「眠る時間をきちんと確保すること」自体に意味があることが、よりはっきりと示されたといえます。
自然な生活の中で取り入れられるシンプルな方法として、「睡眠」が持つ可能性に改めて注目が集まる結果となりました。
🌿 中医学の視点から見た「睡眠と食欲」
中医学では、睡眠は「陰(いん)」を養い、「気(き)」の巡りを整えるために欠かせない営みとされています。夜にしっかりと休むことで、体の内側が静まり、日中に必要なエネルギーが蓄えられると考えられています。
中でも、飲食物の消化吸収を担う「脾(ひ)」の働きは、睡眠と深い関わりがあります。睡眠が不足すると脾が弱まり、食欲のコントロールや栄養の巡りが乱れることがあります。一方で、脾が弱っていると眠りが浅くなることもあり、両者は互いに影響し合う関係にあります。
今回の研究で、睡眠を延ばすことで摂取エネルギーが減少したという結果は、こうした中医学の見方とも一致しています。睡眠によって体のバランスが整うことで、食欲や代謝が安定する。そのことを、今回の研究は改めて示しています。
📌 睡眠は「日常にある処方箋」
この研究で分かったこと──それは、眠る時間を少し長くするだけで、食事の量や体重に変化が見られたということです。
生活のリズムはそのままに、睡眠というひとつの要素だけを整えたことによる変化です。
中医学では、睡眠は体の調和を保つために欠かせないものとされてきました。今回の結果は、その考えと重なるところがあり、毎日の眠りが思っている以上に、体にとって大切な時間であることがわかります。
忙しい日々の中で、睡眠を優先するのは簡単ではないかもしれません。
ただ、無理のない範囲で少しだけ意識を向けてみることで、体の状態が変わっていく可能性もある。
そんなことを教えてくれる研究でした。
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