20年の追跡調査が示した心血管疾患との関連
🌟 心と体をつなぐ「見えない重荷」
日々の生活で受ける精神的な負担は、心臓や血管にまで影響することがあります。
ただ、その影響がどのような経験から生じ、どのくらいの差を生むのかは、これまで明確に示されてきませんでした。
アメリカの看護師を対象にした長期追跡研究で、ある種のつらい経験と心血管疾患の発症リスクとの関連が浮かび上がりました。
中医学でも、感情の乱れは「気」と「血」の流れを妨げ、「心」と「肝」の調和を崩すと考えられています。精神的な負担が長く続けば、体に不調が現れる──今回の研究は、そのつながりを裏づけるものでもありました。
重要なのは、示された数値の差そのものではなく、気づかないうちに長い時間をかけて広がっていくリスクです。
つまり、心身に強いストレスを残す出来事は一時的に終わるのではなく、年月をかけて心臓や血管にじわじわと影響を積み重ねていく可能性があるのです。
では、研究で対象となったのはどのような出来事だったのか。
そして、その「見えないリスク」が実際にどのように測られ、どんな結果が示されたのか──見ていきましょう。
📖 女性の健康に潜む「見えない暴力」
心筋梗塞や脳卒中は、女性にとっても大きな死因のひとつです。高血圧や糖尿病といった生活習慣による危険因子はよく知られていますが、暴力のような経験が心臓や血管の病気に影響を及ぼすのかについては、あまり研究されてきませんでした。
アメリカでは、女性の約3人に1人が一生のうちにストーカー被害を経験すると言われています。さらに深刻な場合には、裁判所に「接近禁止命令」を申し立てることもあります。これは、被害者が直面している危険の大きさを示すものでもあります。
今回の研究は、この「ストーカー被害」や「接近禁止命令」といった経験が、女性の心血管疾患の発症とどのようにつながっているのかを、長期間にわたって追いかけたものです。
🔬 66,000人を20年追いかけて
この研究に使われたのは、アメリカの大規模な健康調査「看護師健康研究II」です。対象は2001年の時点で心臓や脳の病気がなかった、約6万6千人の女性たち。
同じ年のアンケートで「ストーカー被害を受けたことがあるか」「接近禁止命令を取ったことがあるか」を尋ね、その後の健康状態を追いかけました。追跡は2001年から2019年まで、なんと約20年にわたって続けられています。
心臓病や脳卒中の発症は、基本的には本人の申告で確認し、必要に応じて医療記録や死亡診断書で裏づけを取りました。こうして集めたデータをもとに、研究チームは「この経験が病気のリスクにどう関係するのか」を丁寧に分析したのです。
📊 数字が映し出す「見えないリスク」
およそ20年間の追跡のあいだに、約1,900人の女性が心臓病や脳卒中を新たに発症しました。割合にすると全体の3%ほどですが、人数で見ると決して少なくありません。
その中で、ストーカー被害を経験した女性は、そうでない女性に比べてリスクが約1.4倍に高まっていました。さらに、ストーカー行為をした相手に対して裁判所から接近禁止命令を認められた経験のある女性は、リスクが約1.7倍に上昇していました。
そして、両方を経験した女性では、リスクが 2倍以上に高まっていました。つらい経験が重なるほど、心臓や血管への負担も大きくなり、リスクがさらに高まることが示されたのです。
💡 暴力経験は「見えない危険因子」
この研究で特に浮かび上がったのは、ストーカー被害や接近禁止命令といった経験が、心臓や血管の病気と深く結びついているという事実です。生活習慣や基礎疾患を考慮してもなお、リスクは大きく上昇していました。
つまり、こうした暴力経験は、喫煙や高血圧と並ぶ「見えない危険因子」として無視できない存在なのです。さらに今回の結果は、ストーカー被害に限らず、暴力経験そのものが心身に長期的なダメージを与える可能性を示唆しているともいえます。
強いストレスが続けば、自律神経やホルモンの働きが乱れ、血管に炎症や負担が積み重なります。安心できない状態が長く続くこと自体が、体にとって深刻なダメージになることを、この結果は示しています。
研究チームは「血圧やコレステロールの管理と同じくらい、暴力被害の有無にも目を向ける必要がある」と訴えています。これは医療現場にとって新しい視点であり、「健康」を考える上で重要な示唆となります。
注意点として、この研究は観察研究であり、因果関係を直接示すものではありません。さらに、対象は主に中年期の看護師で、白人が多くを占めていたため、職業や人種に偏りがある点にも留意が必要です。
🌿 心と肝の乱れが生む「気血の滞り」
中医学では、心は血の流れを司り、肝は気の流れや感情を調えるとされています。
強い不安や恐怖が続くと「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼ばれる状態になり、気の流れが滞ります。
その結果、心に十分な血が届かなくなり「心血不足(しんけつぶそく)」となって、動悸や胸の痛み、めまいといった不調が出やすくなると考えられています。
今回の研究で示された「強いストレスが長期にわたって心臓や血管に負担をかける」という現象は、中医学的に見ると「気血の乱れ」や「心と肝の不調和」と重なります。
中医学の考えと現代の研究結果が、同じ方向を指し示している内容といえます。
📝 心の安全が体の健康を守る
この研究は、ストーカー被害や接近禁止命令といった暴力経験が、その後の女性の健康に長く影響を残すことを示しました。
数値で見ると「1.4倍」「1.7倍」、そして「2倍以上」と差が明確に表れています。しかし、ここで大事なのは数字そのものではありません。その背景には、強いストレスが年月をかけて心と体に積み重なり、病気の芽を育ててしまう現実があるのです。
中医学でも、心と体の調和が乱れると不調が現れると考えられてきました。今回の研究は、現代医学のデータと伝統的な知恵の双方が「心の平穏こそ健康の基盤である」という点で響き合っていることを示しています。
暴力被害は一時的な出来事ではなく、長期にわたり心臓や血管に負担を与える「見えない危険因子」となり得ます。だからこそ、医療の場だけでなく社会全体がこの問題を直視し、被害を受けた人の心の安全を守ることが求められます。
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