「酒は百薬の長」を科学的に再検証

目次

🍷 「1日1杯で健康」は本当? 根拠を再点検する

「酒は百薬の長」
「赤ワインを1日1杯飲むと健康に良い」

そんな言葉を耳にしたことがある人は多いと思います。 

毎日の晩酌を「体にいい習慣」と考えている人も多いと思います。こうした考え方の背景には、少量の飲酒が死亡リスクを下げるとされる「J字カーブ型」の関係が、長く定説として語られてきたことがあります。

しかし近年、その見解には問題があると指摘されるようになっています。

たとえば「まったく飲まない人」の中には、体調や持病を理由に飲酒をやめた元飲酒者や、月に数回しか飲まない「時折飲酒者」も含まれており、分類上の問題が、少量飲酒者のリスクを過小評価させていたのではないかと指摘されています。

また、少量の飲酒者には、健康意識が高い人が多いという傾向もあり、実際のところは飲酒ではなく、そうした生活習慣が健康に貢献していた可能性も否定できません。

では、実際にお酒は健康にどう影響するのか。

今回紹介するのは、約480万人を対象とした大規模な再検証研究です。

さらにこの研究を現代医学だけでなく、中医学の視点からもアルコールと体との関係を考えてみたいと思います。

では、詳しくみていきましょう!


目次

  1. 🍷 「1日1杯で健康」は本当? 根拠を再点検する
  2. 🧪 480万人分の記録から見えた、飲酒と死亡リスクの関係
  3. 📈 飲む量が増えると、リスクはどう変わるのか
  4. 👩‍⚕️ 女性と若年層は要注意
  5. ⚖️ 研究の価値と限界
  6. 🌿 中医学が教える「飲酒とのつきあい方」
  7. 🍷 飲む? 飲まない? 自分の体と向き合う選択を

🧪 480万人分の記録から見えた、飲酒と死亡リスクの関係

今回の研究では、1980年から2021年にかけて発表された107本の疫学研究を統合し、総計480万人以上のデータを解析しました。期間中に約42万人が亡くなっており、全死亡リスクとの関連を詳細に評価しています。

アルコールの摂取量は1日あたりのグラム数で区分され、まったく飲まない人、週1杯未満の時折飲酒者、そして1日1杯前後の低用量飲酒者などに分類されています。

さらに、性別、年齢、飲酒パターン、生活習慣など多数の要因を統計モデルに取り込むことで、アルコールの純粋な影響を抽出しようとする工夫がなされています。


📈 飲む量が増えると、リスクはどう変わるのか

結論から言えば、「少量の飲酒が非飲酒より健康的である」という明確な証拠は見つかりませんでした。

時折飲酒者(週1杯未満)と比べても、低用量飲酒者(1日1〜2杯程度)の死亡リスクは有意には下がっていません。

一方で、飲酒量が25g/日を超えたあたりからリスクが上昇し、45g/日以上では明らかな増加が確認されています。

この量は、ビール大瓶で言えば約2本弱に相当します。

つまり、飲酒による死亡リスクは「直線的に増加する」傾向があり、従来の「J字カーブ」では説明できないというのが本研究の結論です。


👩‍⚕️ 女性と若年層は要注意

飲酒によるリスクの現れ方は、性別や年齢によっても違いがありました。

女性は、男性よりも少ない量の飲酒でリスクが上昇する傾向が見られ、例えば1日25g程度、ビール大瓶1本程度の量でも、死亡リスクの上昇が統計的に確認されています。

1日65gを超えると、その影響はさらに大きくなります。

男性でも1日45gを超えると有意なリスクの増加が見られましたが、女性に比べると上昇の始まるラインはやや高めでした。

また、年齢が若い人ほど飲酒による影響を受けやすい傾向もありました。

研究時に50歳未満だった人たちでは、少量の飲酒であってもリスクが下がる傾向はなく、かえってリスクが上がっているケースも確認されています。


⚖️ 研究の価値と限界

この研究が評価される大きな理由は、これまでの研究で問題とされてきた「飲まない人の分類ミス」や、「生活習慣の違いによる影響」を丁寧に修正しようとした点にあります。

つまり、「本当にお酒が体にどう影響しているのか」を、できるだけ正確に見ようとした取り組みだということです。

ただし、限界もあります。

お酒の量は参加者が自分で申告しており、記録されたのは基本的に1回きりです。そのため、飲酒のスタイル──たとえば「平日は飲まないけれど週末にまとめて飲む」ような習慣までは詳しく反映されていません。

また、この研究が調べているのは「全体としての死亡リスク」であって、がんや心臓病など特定の病気ごとのリスクではありません。

病気ごとの詳しい影響を知るには、別の研究で調べる必要があります。


🌿 中医学が教える「飲酒とのつきあい方」

中医学では、お酒は体を温め、血の巡りを良くする性質があるとされ、少量であれば薬の効きを全身に運ぶ働きを期待して、薬酒として使われてきた歴史があります。

ただし、飲みすぎると体に熱や湿気がたまりやすくなり、顔のほてり、のぼせ、イライラ、不眠などの「熱っぽい」不調が出やすくなります。潤いが不足しがちな体質や、体に湿気や熱がこもりやすい人、出血しやすい人は、特に注意が必要です。

さらに中医学では、お酒の影響が現れやすい部位のひとつが「肝」とされています。「肝は血を蔵す」という考えがあり、血の調整を担う肝は、月経や情緒とも深く関係しています。

そのため、女性の体はアルコールの熱性や刺激により、月経不順や体調不良が起きやすくなることがあります。

また、成長期の若い世代は「腎気」がまだ満ちていないとされており、アルコールの強い刺激は生命エネルギー(精)の消耗につながりやすいと考えられています。

つまり、お酒は体質や体調をよく見極めたうえで、少量・適度にとどめることが大切です。無理をせず、体が負担を感じるときは控えること。これが中医学的な「飲酒とのつきあい方」です。


🍷 飲む? 飲まない? 自分の体と向き合う選択を

「お酒は少しなら体にいい」──そんなふうに信じられてきた背景には、実は見落とされていた要因がいくつもあります。

たとえば、飲まない人の中に体調を崩して酒をやめた人が含まれていたり、飲む人が他の面でも健康に気をつかっていたり。そうした違いが、飲酒の「効果」を実際よりも大きく見せていた可能性があるのです。

今回の研究は、こうした複雑な要素をひとつひとつ丁寧に整理しながら、「本当のリスクはどこにあるのか」を明らかにしようとしました。

中医学でも、お酒は「良い・悪い」の二択で語られるものではありません。
体質や年齢、季節、そのときの体調とのバランスを見て、必要なら少し飲む、合わなければ避ける。そうした柔軟な考え方が基本にあります。

現代の研究と中医学──まったく異なるアプローチでありながら、いまその結論が重なりつつあります。

大事なの「自分の体をどう感じているか」に目を向けて、今日、飲むかどうかを決めるのは、体の声を聞いたその先にある選択です。

その積み重ねが、自分自身の健康を守る力になっていきます。

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