──学生アスリートの午後の昼寝が夜間の睡眠にどう影響するのか
現代の学生アスリートは、トレーニングに学業、さらにはプライベートまで大忙し。そんな彼らにとって、「眠り」は体も心も整える大事な時間です。
ですが、昼寝が夜の睡眠に影響を与えないのか…、気になるところです。
今回紹介する研究は、「学生アスリートの25分や90分の昼寝が、その夜の睡眠に本当に影響を与えるのか?」を科学的に調べた最新研究。
さて、その結果は…?
読み解いていきましょう。
🌞 午後の昼寝、その実験の舞台裏
今回の研究では、大学生のアスリート14人(男女各7名)が参加しています。彼らは普段から週に4回、合計8時間ほど運動をしている「トレーニング慣れ」した若者たちです。
条件は3つ。まったく昼寝をしない日、25分だけ昼寝をする日、そしてたっぷり90分昼寝をする日。それぞれランダムな順番で、昼寝の直後は実験室で「脳波計」を使ってしっかり睡眠をチェック。
夜はアクチグラフで自宅の睡眠も記録しました。なお、昼寝のタイミングは全て午後3時までに終了するよう調整され、他の習慣や生活リズムはできるだけ普段通りにしてもらいました。
実験の設計としては、かなり信頼性が高いアプローチです。
🛏️ 昼寝の中身を丸裸に
脳波形で調べたところ、25分の昼寝の平均実睡眠時間は10分ほど、90分昼寝だと56分と、睡眠時間に違いがみられました。そして、90分昼寝の方が浅い睡眠、深い睡眠、レム睡眠のすべてで多く眠れていたのです(浅い睡眠:40分、深い睡眠:9分、レム睡眠:7分)。一方、25分の昼寝では、深い睡眠やレム睡眠はほとんど現れていませんでした。昼寝の長さによって睡眠段階に違いがあることが、客観的データで明らかになりました。
🔎 補足:睡眠の段階は3つに分かれています
- 浅い睡眠(ノンレム睡眠N1・N2)
これは「うとうと」「軽く眠っている」状態です。体も脳もまだしっかり休息していない段階です。 - 深い睡眠(ノンレム睡眠N3)
いわゆる“ぐっすり眠っている”時間です。体も脳もしっかり休んで回復するのが、この深い睡眠の時間です。翌朝のスッキリ感や、体の修復とも関係しています。 - レム睡眠(REM睡眠)
夢を見ることが多い時間帯です。脳はむしろ起きている時のように活発に働いています。この時間に、記憶を整理したり、心のバランスを整えたりしています。
つまり、「深い休息」は主に「深い睡眠(N3)」で起こり、「レム睡眠」は「脳の情報整理や夢」の時間です。それぞれ役割が違うので、どれも健康な睡眠には大切なステージです。
🌙 夜の眠りは本当に乱れるのか?
気になるのは、「昼寝をすると夜眠れなくなるのでは?」という素朴な疑問です。
実験結果では、昼寝をしなかった日(NN)、25分昼寝した日(N25)、90分昼寝した日(N90)で、夜間の総睡眠時間・ベッドタイム・睡眠の質(WASOや各睡眠段階)に統計的な差は見られませんでした。
たとえば夜間の総睡眠時間は、昼寝なし7時間13分、25分昼寝7時間5分、90分昼寝7時間1分と、ほとんど変化がありません。
この結果は「午後3時までに昼寝を済ませていれば、夜の眠りを邪魔することはほぼない」と強く示唆しています。
日中のリカバリーとして昼寝を取り入れたいアスリートには、かなり安心できるデータです。
💡 医学・薬学的に見た意義と評価
医学的に見ても、この研究は昼寝のタイミングと長さが夜間の睡眠に与える影響を、客観的な生体データでしっかり検証している点が高く評価できます。
従来は「昼寝=夜の睡眠の敵」と言われがちでしたが、早めに終わる短時間・長時間の昼寝でも夜間睡眠の質や量に悪影響がなかったというのは、現場でも活かせる実用的な知見です。
特にアスリートや忙しい学生にとって「自分に必要なタイミングで昼寝を取り入れる」ことが安心してできる後押しになります。
また、統計解析も適切で、性別がREM睡眠に影響するという副次的な発見もあり、細やかな設計が感じられます。
🔍 どこまで信じていい? この研究の不足や注意点
この研究は信頼性が高い設計ですが、注意したい点もあります。まず、対象が「大学生アスリート」であるため、より高いレベルのエリートアスリートや運動をしていない一般の方に結果をそのまま当てはめるのは難しい部分があります。
また、参加者はもともと昼寝を習慣としていた人に限られており、「普段まったく昼寝しない人」への影響は評価されていません。
さらに、今回使用したウェアラブルデバイスは睡眠段階の精度が脳波計より劣る点もあります。
最後に、単回の昼寝による「その日の夜」への影響しか見ていないので、日常的な昼寝習慣が長期的にどう影響するかは今後の課題です。
このような点を踏まえつつも、日常に活かせる情報としては十分に価値があります。
🌿 中医学の視点で読み解く「昼寝」
中医学の世界では、一日の時間ごとに体の中の「気」や「血」が、さまざまな臓腑(内臓)をめぐると考えられています。特に昼前後は、体と心の健康にとって特別な意味をもつ時間帯です。
11時~13時は「心」の時間。「心」は血液を全身に送り、精神を安定させる中枢。12時は「陽」のエネルギーが頂点に達し、心臓もフル稼働の状態です。この時間帯には激しい運動や過度な刺激を避け、昼寝や休憩で心をいたわることが勧められます。このひとときの休息が、午後からの活動を支える土台となります。
13時~15時は「小腸」の時間。小腸は、食事で摂った栄養を体に取り込む大切な役割を担っています。この時間帯はストレスや過度な動きを避けて、ゆったりと過ごすことで、小腸の働きが高まり、栄養が全身へと巡ります。健康を意識する方には、まさに「体を養う時間」といえます。
中医学でいう昼寝は、大事な臓腑をいたわり、全身の「気」や「血」の流れを整える、セルフケアのひとつです。「昼寝」取り入れることで、午後の活力が戻り、心も体も穏やかになります。
古くから伝わるこの知恵は、現代の科学が示す「昼寝の効果」とも通じる部分がたくさんあります。
日々忙しく過ごしていると、つい昼寝を「サボり」や「ぜいたく」と感じがちですが、中医学の考え方に触れると、実は体と心の健康のためにとても理にかなった習慣だと気づかされます。
自分自身を大切にする時間として、無理のない範囲で、昼寝を生活に取り入れてみてください。あなたの体も心もきっと喜びます。
🚀 昼寝は「敵」ではなく「味方」
この研究の結果は、忙しい現代人やアスリートにはとても心強いものとなります。午後3時までに終わる25分や90分の昼寝は、その晩の睡眠を妨げないという事実が明らかになりました。
つまり、「午後にちょっと眠くなったら、罪悪感なく昼寝して大丈夫」と自信をもって勧められます。
一方で、昼寝が万能薬というわけではなく、自分自身の体調やライフスタイルに合わせて、無理なく生活に取り入れるのが大切です。
特に中医学の知恵も取り入れつつ、体も心も「巡りのいい状態」を意識したいものです。忙しい日々の中で、昼寝を「セルフケア」として上手に使っていきましょう。
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