お酒と顔の赤み、そして睡眠の満足度

目次

🍶  体質と睡眠の深い関わりを探る新しい発見

眠れぬ夜と、お酒を飲むと赤くなる顔
お酒を飲むとすぐ顔が赤くなる、いわゆる「アジアンフラッシュ」。日本人に多い体質ですが、これと睡眠の「満足度」がどう関係しているのか──

今回の研究では、日本人約3,800人の大規模調査をもとに、「お酒を飲んだときの顔の赤み」と「眠りの満足度」の関係を分析した、とても興味深いものです。

しかも、現代医学だけでなく、中医学の観点でもちょっとした気づきが得られます。この解説では、論文の内容をしっかり噛み砕いてご紹介します。


🧬 顔が赤くなる人、ならない人——その体質の謎

日本人の3人に1人は、お酒を飲むと顔や首が真っ赤になります。この体質、実は遺伝子(ALDH2)が関係しています。

「アジアンフラッシュ」は、飲酒後すぐに顔が赤くなる現象のことで、東アジア人の特徴的な反応です。昔から「お酒に弱い人」と言われてきましたが、この現象自体が健康や生活習慣に何をもたらすのかは、実はあまり深く研究されていませんでした。

特に「よく眠れたと感じるか?」という「質」の部分との関連は、これまで誰も正面から調べていませんでした。


📝 ユニークな調査方法──3,800人超のリアルな声を集めて

今回の研究では、大阪府の20歳から64歳までの男女3,823人が対象です。

インターネット調査を活用し、生活の中でのリアルな実感を集めました。参加者は「お酒を飲んだとき、少量ですぐ顔が赤くなるか?」という質問に答え、さらに「最近の睡眠に満足しているか」も答えています。

一般的な医学研究では、病院やクリニックでデータを集めることが多いですが、この研究は「普通の人々の普段の生活」に注目した点が新鮮です。睡眠についても「何時間眠ったか」だけではなく、「自分で満足しているか」を重視しました。ここが医学的にも心理学的にも、今までにないアプローチと言えます。


📊 数字が語る現実──顔が赤い人ほど「眠りの満足度」が低い

調査の結果、アジアンフラッシュ(お酒ですぐ顔が赤くなる人)は、そうでない人と比べて「睡眠に満足している」と答えた割合が低いことが明らかになりました。

統計的にしっかり調整した上で、顔が赤くなる体質の人の睡眠満足度は約19%低くなるという結果です。

さらに面白いのは、アルコールを普段飲まない人だけに絞っても、やはり同じ傾向が見られたこと。つまり「お酒を飲んでいる・飲んでいない」に関係なく、この体質自体が眠りの満足度を下げてしまう可能性があるということです。

この発見は、単なる「飲みすぎた翌日は眠りが浅い」といった話とは違います。遺伝子レベルの体質が、日常の睡眠満足度に静かに影響しているという点が新鮮です。


🤔 なぜ?体質が眠りに影響するしくみを探る

顔が赤くなる体質(アジアンフラッシュ)の背景には、「ALDH2」という酵素の遺伝的な弱さがあります。

この酵素が弱いと、アルコールを分解する途中で発生するアセトアルデヒドという物質が体内に残りやすくなります。

このアセトアルデヒドは、単に「気分が悪くなる」だけでなく、体の中で炎症を起こす物質とも関係しています。さらに、ALDH2と深く結びついている「BRAP」という遺伝子のタイプによって、体の炎症反応が起こりやすくなることもわかっています。

炎症は、実は睡眠にも大きな影響を与えます。

慢性的な炎症状態だと、いくら寝ても「ぐっすり寝た気がしない」「眠りが浅い」と感じやすくなります。この研究では、「アルコールを飲まなくても」顔が赤い体質の人は短時間睡眠が多いことや、睡眠満足度が低いことも示されています。

つまり、単なる飲酒習慣だけでなく、「もともとの体質」と体の炎症傾向が、眠りの質に静かに響いている、という結論になります。


🩺 医学的・薬学的な視点で見る、この研究の価値

この研究の大きな強みは、日本人に特有の体質が「睡眠の満足度」という生活の質と結びついていることを、初めて科学的に示した点です。

しかも、飲酒の有無にかかわらず結果が一貫しているため、「単なる酒の飲み過ぎ」だけでは説明できない現象だと言えます。

また、調査人数が多く、実社会でのリアルなデータが集まっているため、信頼性も高いと考えられます。アルコール代謝遺伝子や炎症に関わる遺伝子(ALDH2、BRAP)と睡眠の関係を探る研究は増えてきましたが、睡眠の「量」だけでなく「質」に目を向けた点は特に評価できます。

ただし、インターネット調査という方法には、参加者の選択バイアスや、自己申告の限界があることは注意が必要です。また、体の炎症レベル(NF-κBなど)を実際に測定しているわけではないので、直接的な因果関係までは証明できていません。

とはいえ、医療現場で「お酒で顔が赤くなるか?」というシンプルな質問が、睡眠障害や体調不良のリスクを把握する手がかりになる可能性は高いと感じます。


🏥 毎日の暮らしに役立つ視点──あなたの体質と眠りの関係

この研究が示してくれたのは、「お酒で顔が赤くなる」だけの現象が、実はあなたの「睡眠満足度」にまで影響しているかもしれないという可能性です。

もし自分や家族、お友達で「少しのお酒ですぐ顔が赤くなる人」がいれば、その人は「体質的に」良質な睡眠を得にくい傾向があるかもしれません。

健診や日常診療で「お酒で顔が赤くなるかどうか」を確認することで、眠りの質に問題がある人を早めに見つけやすくなるかも!?

生活習慣やストレスだけでなく、体質も睡眠に大きく影響する可能性があることがこの研究で示されました。

「自分の体質」とうまく付き合いながら、無理なく健やかな睡眠を目指すヒントとして活用できる知見です。


🌿 中医学で考える「顔の赤み」と「睡眠」のつながり

中医学では、顔が赤くなるのは体のバランスが崩れているサインととらえます。特に、顔が赤くなりやすい人は「陽盛(ようせい)」――体内に熱がこもりやすい体質の人が多いとされます。

その背景には、「痰湿(たんしつ)」や「瘀血(おけつ)」と呼ばれる余分な水分や古い血が体にたまりやすい傾向があります。こうした体質の人は、そもそも体の巡りが悪く、熱がスムーズに発散されにくいため、少しのきっかけで熱が上に昇りやすくなります。

お酒は中医学で「火を含む水」と言われ、体に余分な熱と湿気をもたらします。そのため、もともと痰湿や瘀血がたまりやすい体質の人がアルコールを飲むと、体のバランスがさらに崩れて熱が発散できず、顔が一気に赤くなります。そして、体内に滞った痰湿や瘀血、余分な熱は、睡眠にも悪影響を及ぼしやすくなります。

実はこのタイプの人は、お酒を飲まなくても痰湿や瘀血がたまりやすいので、普段から眠りにくい・睡眠の質が低いと感じやすい特徴があります。

顔が赤くなりやすいと感じたら、それは「体の中に余分なものがたまりやすい体質」かもしれません。中医学の視点で、自分の体の巡りやバランスに目を向けてみると、睡眠の悩み解決のヒントが見えてくることもあります。


🌙  自分の体質を知ることが、健康への第一歩

お酒を飲んだときに顔が赤くなる体質は、単なる「お酒に弱い」とか「見た目」の話ではありませんでした。その人の体の中で何が起こっているか、どんなバランスの乱れや巡りの悪さがあるのか──そうした身体の奥深い特徴とつながっています。そして、その体質は睡眠の質や、日々のコンディションにも密接に影響しています。

現代医学では、遺伝子や炎症、生活習慣が睡眠や健康にどう関係しているのか科学的に解き明かしつつあります。一方で、中医学はもっと大きな視点で、体全体のバランスやエネルギーの巡り、そして個人ごとの体質の違いに注目しています。

どちらの知恵も活かして、自分に合った健康管理やセルフケアを考えていくことが必要です。

お酒を飲むと顔が赤くなりやすい、眠りが浅い──そんな小さな変化も、体からの大切なサインです。体質を知ることは「自分を大切にすること」の第一歩。

今の自分の体質を受け入れて、自分らしい健康との付き合い方を見つけていきましょう。

自分にやさしい選択と、心地よい眠りを大切にしていきましょう。体が教えてくれる「ヒント」を見逃さずに、健やかな毎日を楽しんでください。

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