💻 AIが便利すぎる時代、その裏側にあるリスク
ChatGPTをはじめとする生成AIが私たちの生活に突然深く入り込んできました。
特に画像生成、文章作成やアイデア出しの場面で、その便利さに驚いた方も多いと思います。ボタン一つで絵が完成する、文章が完成する、アイデアが湧いてでる──という効率の良さは、時間の節約にもつながり、いまや生活に欠かせない存在になりつつあります。
この研究は、AIを使った人と使わなかった人の脳活動を比較し、AIの影響を神経科学と自然言語処理の観点から明らかにした、非常にユニークで示唆に富んだものです。
🔬AI、検索、脳──3つのグループで比較
今回の研究では、大学生など54名の参加者を3つのグループに分けて、それぞれにエッセイを書く課題を行ってもらいました。
1つ目はChatGPTグループ、2つ目は検索エンジングループ、3つ目は脳だけを使うグループ(道具なし)です。
参加者は3回にわたってそれぞれの方法でエッセイを書き、さらに一部の人は4回目のセッションで、やり方を入れ替えて取り組みました(例:AIを使っていた人が今度は使わないなど)。
面白いのは、ただ文章を比較するだけではなく、脳波を測定して脳の活動レベルや連携パターンまで調べた点です。
加えて、エッセイの出来栄えは人間の教師とAIの審査官の両方が評価し、さらには書いた人自身へのインタビューで「記憶に残っているか」「自分の文章と感じるか」などの主観的なデータも集めています。
この多層的なアプローチによって、「AIが脳に何をもたらすのか」を客観的かつ総合的に捉えることができています。
🧬 脳の違いが歴然──つながりが強いのは「自力で書いた」人
この研究の中で最も注目すべきポイントは、「脳の神経ネットワークのつながり方」がグループによって大きく異なっていたということ。
脳波の分析では、道具を使わなかったグループ(脳のみ)が最も広範囲で強い脳のつながりを示しました。特に頭葉や頭頂葉など、思考や記憶、注意に関わる領域の活動が活発だったのです。
一方、ChatGPTを使ったグループは最もつながりが弱く、脳のネットワークが限定的な働きしかしていませんでした。
これは、脳が「外部に任せた」と判断し、自ら考えることを減らしたことを示しています。検索エンジンを使ったグループは、その中間の結果となりました。
さらにこの研究では、ChatGPTに慣れた人が突然道具なしで書かされると、脳のネットワークの再活性化がうまくいかず、α波やβ波といった脳波の活動が鈍くなったことが示されました。
つまり、AIの「楽さ」に慣れると、いざ自分の頭で考える必要がある場面で脳がうまく働かなくなりやすい──そんな傾向が示されたのです。
🧠記憶がぼやける──AIに頼ると、自分の文章すら思い出せない
エッセイを書いたあと、参加者には「自分の書いた文章を思い出せるか?」という質問がされました。
その結果、ChatGPTグループの83.3%が、自分の文章の一文すら正確に思い出せませんでした。 対照的に、検索エンジングループと脳のみグループでは、ほとんどの人がしっかりと文章を思い出すことができました。
これは記憶の観点からも非常に重要です。
脳が情報を「自分ごと」として処理しないと、短期記憶にも長期記憶にも残りにくくなります。AIが作った文に少し手を加えた程度では、脳はそれを「自分の知識」と認識しづらいのです。
さらに、所有感(自分で書いたという感覚)も、ChatGPTグループではかなり低く、多くの人が「自分の文章ではない」と感じていました。
逆に、脳のみグループは高い所有感を示し、「ちゃんと自分で書いた」という実感を持っていました。この点でも、AIに頼ることが学習効果を下げる可能性があることが示唆されています。
📄 AIっぽい!?
エッセイの中身にも大きな違いが見られました。ChatGPTグループの文章は、語彙の選び方や話の展開がとても似通っていたのです。たとえば、使われた名詞や単語の組み合わせの傾向がほぼ同じで、まるで「ChatGPTらしい文体」に統一されてしまったような状態でした。
一方で、自力で書いた脳のみグループのエッセイは、構成の独自性や話題の切り口に幅があり、それぞれの個性がしっかりと現れていました。検索グループはその中間で、少し偏りはあるものの、AIに比べると多様性がありました。
このことからも、「便利だから」とAIに任せると、学習に不可欠な「自分の考えを言葉にする力」や「創造性」が育ちにくくなることが読み取れます。そしてAIらしさに引っ張られ、自分らしさが消えてしまうのです。
🌿 中医学の視点──「精」「神」「気」のバランスがカギ
中医学では、「脳」は「髄海(ずいかい)」として、精(せい)から生じる知覚・記憶・思考の中心とされています。そして、この精は「腎」に蓄えられ、私たちの思考力や集中力、記憶力を支える基本的なエネルギーです。そのうえで「気血水」の流れが滞りなく保たれていることが、健やかな脳の働きの前提となります。
今回の研究で示された「ChatGPT使用による脳活動の低下」は、中医学でいうところの「滞り」が生じた状態に近いものと捉えることができます。
つまり、AIに頼りすぎることで自分自身の思考エネルギーを十分に使わなくなると、気血水の巡りも停滞しやすくなり、精が脳に十分に昇らなくなる状態につながると考えられます。
この視点から見ると、自分の頭で考え、言葉を紡ぐ行為そのものが、脳の「養生」です。AIはあくまで補助的な存在とし、主体的な思考や表現を意識することが、心身の健やかさや学びの質を高めることにつながるのだと思います。
🤔 AIは道具、考える力は自分の中にある
この研究から見えてくるのは、AIが便利である一方で、使い方次第では「考える力」や「記憶力」「創造性」といった脳の根幹を支える機能を弱めてしまう可能性があるという事実です。
文章を「誰が」「どうやって」書いたかという過程が、そのまま記憶や学びの質に直結することが、脳波やエッセイの分析から明らかになりました。
中医学の考えでも、自ら考えることは、気血水を巡らせ、「精」を養う養生であり、それを他者に委ねすぎると、滞りが起こり、脳の活力が鈍っていくとされています。便利な道具は上手に使いつつ、自分自身の「脳」を鍛えることを忘れてはいけません。
つまり、AIは「上手に使いこなす」ための道具であり、頼りすぎると本来の自分の力が徐々に弱まってしまいます。反対に、適切なバランスで活用すれば、学びや成長の心強いサポーターとなります。これからの時代は、自分自身の思考力を中心に据えつつ、AIを必要に応じて取り入れる──そんな賢い付き合い方がこれからの時代には求められているのかもしれません。
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