「認知症」になる前に脳が出す「SOS」とは?

タナココ

認知症予防と脳科学の最新研究を、中医学の視点も交えてやさしく解説します。

「最近ちょっと忘れっぽい…疲れているのかもなぁ…」

そんなふうに流してしまいがちな変化。

でも、実は「脳の中」ではもっと前から「異変のサイン」が出ていることが、最新の研究で明らかになってきました。

しかも、何も症状がないうちから、「将来の認知症リスク」が脳のネットワークに現れているというんです。

今回ご紹介するのは、脳の活動をのぞき見できる「fMRI」とAIを組み合わせて、将来の発症や時期まで予測してしまう、ちょっと未来っぽい研究。

「知っておいてよかった!」と思える内容を、楽しく、やさしくお届けします。

脳の声に、耳をすませてみませんか?


目次

🧩 DMNって何? 〜脳が「休んでいるとき」のネットワーク〜

私たちが何もしていないとき、つまり「ぼーっとしている」時でも、脳の中では活発に動いている部分があります。

それが「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる領域で、記憶の整理や自分自身のことを考える時などに関わると考えられています。

このDMNが、認知症の初期段階でうまく働かなくなることが知られており、研究者たちはここに注目しています。


🧠 今は元気でも、「脳の中」には未来のヒントがある

この研究のいちばんのポイントは、「今はまったく症状がない人」の脳の動きから、将来の認知症リスクを予測できるかどうかを調べたところにあります。

使われたのは、イギリスの「UK Biobank(バイオバンク)」という巨大な健康データベース。ここに登録されている人の中から、脳の検査(fMRI)を受けた約1,100人が対象となりました。その中には、画像を撮ってから数年後に認知症を発症した人が81人(平均で3.7年後)含まれていました。

研究チームが注目したのは、「DMN(デフォルトモードネットワーク)」という、ぼーっとしているときに働く脳のネットワーク。ふだん意識していなくても、私たちの脳は内側でしっかり「おしゃべり」しています。そのネットワークが、どこの部分とどこがつながっていて、どんなふうに情報をやりとりしているのかを詳しく調べました。

しかも使われたのは、ちょっと特別な分析方法。「動的因果モデリング(DCM)」という技術で、「脳のどの部分が主に話していて、どこが聞き手になっているのか」という、やりとりの流れまで見えてくるんです。

ふつうの検査だと「なんとなく一緒に動いてる」ことくらいしかわかりませんが、この方法なら、「この部分が指示を出して、あっちが反応してる」みたいな、脳の中の指令のやりとりまで読み取れるんです。

これによって、まだ症状が出る前の、ごくごく初期の「違和感」のような変化もキャッチできるかもしれない。そんな希望を感じさせる、新しいアプローチなのです。

ほんと、すごい研究です。


📈 未来を映す「脳のつながり」が見えてきた

研究チームは、脳の中でもとくに重要な10か所に注目して、それぞれがどのくらい強く、どんなふうにつながっているのかを詳しく調べました。すると、将来認知症を発症した人たちには、いくつかの「つながり方の違い」がはっきりと表れていたのです。

特に目立ったのは、「考える力」を担う前頭前野から、「記憶の司令塔」である海馬へ向かう信号が強くなっていたこと。

逆に、海馬から前頭前野へのつながりは弱くなっていて、まるで脳の中でスムーズなやりとりができなくなりつつあるような状態でした。

この「違和感のある繋がり方」を手がかりに、AIにパターンを学ばせてみたところ、将来認知症になる可能性が高い人を、かなりの確率で見分けることができたんです。

これまでの方法では、脳のかたちや活動の強さを見て予測していましたが、今回の研究でわかったのは、「どうつながっているか」こそが、より確かなサインになるということ。

まるで、見えない通信回線の乱れが、未来の変化を先に教えてくれているようです。

AI、すごい…。


⏳「なるかどうか」だけじゃない。「いつなるか」も見えてきた

今回の研究がすごいのは、「将来、認知症になるかも」だけでなく、「それがいつ頃なのか」まで予測できたところです。

研究チームは、実際に認知症を発症した人たちのデータをもとに、「画像を撮ったときの脳の状態」と「その後、何年後に診断されたか」の関係をくわしく調べました。すると、脳の中のある決まったつながり方が、「発症のタイミング」と深く関係していることがわかったのです。

このつながりの情報をもとに予測モデルをつくってみたところ、その人が実際に認知症になる年と、予測された年がかなりよく一致していたそうです。

これまでの脳のかたちの変化や認知テストでは、ここまで正確には読めなかったことを考えると、脳の「つながり方の変化」は、見た目にはわからないけれど、とても早くから未来のサインを出しているのかもしれません。


🧬 遺伝と孤立が、脳のネットワークに影響!?

研究ではさらに、「脳のつながりの乱れ」とどんな生活習慣や体質が関係しているのかも調べられました。そこで注目されたのが、遺伝の影響社会的な孤立です。

まず、「アルツハイマー病になりやすい体質(遺伝的なリスク)」を持っている人ほど、脳のつながりに認知症に近いパターンが表れていることがわかりました。

つまり、「見た目はまだ健康」でも、脳の中では「リスクの芽」が静かに育ち始めていることがあるということです。

そしてもうひとつ大きなポイントが「孤独」。

自分ではあまり気にしていなくても、人とのつながりが少ない人ほど、認知症に特徴的な脳のつながりの乱れが現れやすいということが見えてきました。

さらに調べてみると、この「孤独な脳のパターン」が、実際の認知症発症にじわじわと影響している可能性があるという結果も出ています。

つまり、遺伝と孤立、この2つが脳のネットワークにダブルで影響しているということなんです。


🌿 中医学の視点でも、やっぱり「つながり」が大事だった

今回の研究結果は、中医学の考え方とも深くリンクしています。中医学では、「脳の調子が悪いとき、それは脳だけの問題じゃない」ととらえます。体や心のバランス、特に「腎」のエネルギーと関係があると考えます。

中医学では、「腎」は体のエネルギー源としてとても重要な場所。そこに蓄えられている「精(せい)」というエネルギーが、骨や脳を満たす「髄(ずい)」を生み出すとされています。

特に脳は「髄海(ずいかい)」とも呼ばれ、腎が元気で精が満ちていれば、脳も元気に働くと考えるんですね。

でも、加齢や疲労などで腎の力が落ちてくると、髄も不足してきて、物忘れが増えたり、集中できなかったりするといわれています。

また、心の状態も大事です。中医学では「心(しん)」は感情や意識を司る場所とされ、人とのつながりが減って孤独を感じると、心のエネルギーも弱まってしまいます。そうなると、気の流れが悪くなり、脳にも元気が届きにくくなるのです。

つまり、「腎の力で脳を育て、心の安定で脳を守る」というのが中医学の視点。今回の研究で、「孤独が脳のネットワークに影響して認知症リスクが高まるかもしれない」と示されたのは、中医学がずっと伝えてきた「こころと脳と体はつながっている」という考え方とまさに一致しているのです。

さぁ、中医学でのケアを始めるときです!


🌸 あなたの脳と心、いたわってあげませんか?

この研究は、「まだ何も症状がないうちから、脳は静かにサインを出しているかもしれない」ということを教えてくれました。しかもそれは、脳の中の「つながり」に目を向けることで見えてくる。とても静かで、でも確かな変化なんです。

そしてこのサインは、遺伝や年齢だけじゃなく、毎日の過ごし方や人との関係、心の状態にも影響されていることが分かってきました。

つまり、「心地よく暮らすこと」「人と関わり続けること」が、未来の脳を守るカギになるということです。

中医学でも、体・心・脳はぜんぶつながっていると考えます。だからこそ、ちょっと疲れているときや、なんとなく元気が出ないときは、無理をせずに自分をいたわってあげてください。

そして、もし「最近ちょっと忘れっぽいかも」「気持ちが沈みがちかも」と感じていたら、それは脳や心からのメッセージかもしれません。そんなときは、一人で抱え込まずに、中医学の専門家に気軽に相談してみるのもひとつの選択肢です。

脳も、心も、あなた自身も。

大切にしてあげることが、いちばんの予防になります。


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