アッシャーマン症候群の治療の選択肢

タナココ

子宮内膜がなかなか厚くならない人に対する治療の選択肢が増えてきています

アッシャーマン症候群は、子宮内膜の組織同士がくっついてしまった状態のことを言います。人工妊娠中絶手術や流産手術などの子宮内操作や、感染症などの後に組織の修復過程で子宮内膜の一部または全体が癒着することが原因で起こります。
その結果、無月経や不妊症などがみられることがあります。

「妊娠」に影響がある場合には、癒着を起こしている子宮内膜同士を剝がす必要がありますが、剥がした後も再癒着に注意が必要ですし、剥がした後に内膜が厚くなるかどうか経過観察が必要です。

内膜が厚くならない場合の治療法はこれまであまりなかったのですが、近年有効性を示す報告が増えています。

1つはPRP(Platelet-Rich Plasma:多血小板血漿)、もう一つはG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を用いた治療です。

PRPは自分の血液から抽出した「多血小板血漿=PRP」を子宮内に注入する治療法です。
子宮に注入することで、子宮内膜の再生を促す治療です。
自分の血液を使用するのでアレルギーがないのが利点ですが高額です。
またPRPをフリーズドライ加工したのが「PFC-FD」となりますが同じ効果です。
PRPによる子宮内膜改善効果について報告が増えており、取り入れる専門のクリニックも増えていますが、効果がある条件についてはまだ研究段階です。PRPについては、2018年6月にも大谷翔平選手が右肘靱帯の部分断裂の治療のために使用したことでも知られるようになりました。

G-CSFは着床に関わっている因子ですが、このG-CSFには二つの効果が考えられています。一つは薄くなった子宮内膜を厚くする効果で、もう一つは子宮内膜の機能自体を改善する効果です。
G-CSFを使うことで子宮内膜を厚くするという有効性を示す報告もありますが、G-CSFの特徴として子宮内膜が厚くならない場合でも着床率が改善されるとする報告もあり、子宮内膜がどうしても厚くならない場合でも試す価値がありそうです。
G-CSFは分解・代謝が早いため、投与数日後に移植する胚への影響はないと考えられています。

自費治療にはなりますが、アッシャーマン症候群など子宮内膜が厚くならないなどの症状に対しての治療の選択肢が増えてきています。漢方でも内膜を厚くするための処方があり、改善例も多いのでぜひ合わせて取り入れてみてください。

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