10年追跡で判明した認知症になりにくい人の共通点とは

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📣 「誰かと話す」は、健康にいいかもしれない

仕事を引退したり、子どもが巣立ったり、コロナ以降あまり人と会わなくなったり──
年齢や生活環境が変わる中で、「誰かと話す時間」って意外と減っていくものです。

でも、それを「煩わしさが減っただけ」と感じて、特に問題視していない人も多いかもしれません。

最近、日本の研究チームが3万人以上を対象に、「会話の頻度」とある健康リスクとの関係を10年以上追跡した結果を発表しました。

そのテーマは──認知症です。

「えっ、話す頻度と関係あるの?」と思うかもしれません。でもこの研究、ただ「おしゃべりな人は大丈夫」といった単純な話では終わっていませんでした。どのくらい話すかだけでなく、性別やひとり暮らしかどうかでも違いがあって、ちょっと意外な結果も出ています。

さらに興味深いのは、中医学の視点から見たときに、この結果が理解できる部分が多いというです。「話すこと」と「脳(=神)」との関係性──中医学では、すでに語られていた理論と重なる部分があるのです。

今回は、この研究の内容とそこから見えてくる「話すことの本当の意味」を、現代医学と中医学の両方から、じっくりと紐解いていきます。

では、続きを…


🧪 全国の中高年3万人を10年追跡

研究の対象になったのは、日本全国に住む50〜79歳の男女、約3万5千人。

かなりの規模です。

この人たちに「ふだん、どれくらい人と話してますか?」と質問し、その後10年にわたって認知症を発症したかどうかを調べました。

話す頻度は、「毎日たくさんの人と話す」「毎日少しだけ話す」「週に数回」などに分けて分類されていて、最も少ないグループは「月に1回も話さない」人たち。

そして認知症の発症状況は、介護保険の認定記録をもとに確認されました。

もちろん、年齢や持病、生活習慣なども合わせて分析されているので、ただ単に「元気な人ほど話す機会が多い」みたいな結果ではなく、会話そのものがどんな影響を与えているかが丁寧に見られています。


📊 話す量が少ないとどうなる?

結果はハッキリしていました。

会話の頻度が少ないグループほど、認知症を発症する可能性が高くなっていたのです。特に「月に1回も話さない」人たちは、「毎日たくさん話す」人たちに比べて、発症リスクが明らかに高いというデータが出ています。

もちろん「話してさえいれば安心」という話ではありませんが、日常的な会話が脳に刺激を与えている可能性は、今回の結果を見ると十分に納得できるものです。

実際、話すことには記憶、注意、理解、判断といった多くの脳の機能が必要です。そう考えると、会話は日常のなかで無意識にできる「脳トレ」とも言えそうです。


👥 特に気をつけたいのはどういう人?

もうひとつ、興味深いことがわかりました。

それは「ひとり暮らし」と「性別」によって、会話の影響が変わってくるという点です。

具体的には、「ひとり暮らしの男性」は、会話の頻度が少ないと認知症リスクがぐっと高まる傾向があり、リスクが2倍以上という結果も出ています。

一方、女性や同居している人たちでは、ここまで極端な差は出ていません。
この背景には、生活スタイルの違いや、社会的なつながりの持ち方が影響している可能性があると研究チームは見ています。

たとえば、女性のほうが地域との関わりを持ちやすいとか、友人と話す機会が多いといったことです。


🔍 脳にとって話すこととは?

「会話が大事」といっても、ただ言葉を口にすればいいというものではありません。相手の話を聞き取り、意味を理解し、それに応じて自分の言葉を組み立てる──そんな一連のやりとりには、脳のさまざまな働きが必要です。

それに加えて、人とのやりとりは「感情」や「共感」も動かします。笑ったり驚いたり、相手の気持ちに反応したり。そういう刺激もまた、脳にとっては大事な要素です。会話は、単に「言葉のやりとり」以上の役割を果たしているのだと思います。


🌿 中医学でも「話すこと」は重要な営み

中医学では、「話すこと」は身体と心の機能に幅広く関わると考えられています。まず、声を出すと肺が働き、呼吸を通じて気が巡ります。これにより、頭や感覚が明瞭になりやすくなります。

会話の中で、相手の言葉を理解し、適切に応じる過程には、気の流れを調整する肝と、判断や切り替えを助ける胆が関与します。全体のバランスは心が担い、話すためのエネルギーや脳の働きは、脾が食物から生み出す栄養と、腎が支える体の基礎的な力により保たれます。

さらに、背中を通る督脈という経絡は脳とつながっており、その巡りが良いと、思考や集中力にも影響するとされています。

このような視点から見ると、会話が少ない生活では、気の巡りが滞り、集中力の低下や気分の不安定さにつながる可能性があります。

中医学ではこの状態を「気滞」と呼び、長く続けば精神活動のバランス、つまり「神志」にも影響が及ぶとされています。

一方で、あいさつや短いやりとりでも、気の流れを促すことはできます。肺で巡らせ、肝胆で調整し、心でまとめ、脾腎で支えるという一連の働きが整えば、思考や感情の安定にもつながります。

会話は単なるやりとりではなく、身体と心の機能を支える一つの要素として、中医学でも重要視されています。


✅  少しだけ「話すこと」を意識してみる

今回の研究からわかったのは、「話すこと」は思っている以上に脳にとって意味のある行動だということです。

身近な人と交わす何気ないひと言が、脳を働かせ、気分を整え、未来の自分を守る小さな力になっているかもしれません。

あいさつを返してみる。誰かに「元気?」と声をかけてみる。それだけでも、心や体にやさしい刺激が加わります。

たくさん話さなくても大丈夫です。今日、誰かと少し話せたか。今週、誰かの声を聞いたか。そんなふうに、会話の時間を少し意識してみる。
それが、無理なく続けられる脳の養生になるはずです。

あなたの毎日に、小さな会話の時間が増えるきっかけになればうれしいです。

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