麻疹(はしか)の流行について

タナココ

麻疹(はしか)が世界的に流行しています

今月(2024年3月)に入り麻疹(はしか)の感染が報告されています。

世界的にも流行している麻疹(はしか)。
欧州の感染者が1年で60倍にもなっており、国内での感染拡大に警戒感が高まっています。
現在のところ、3月までに11人の患者が報告されています。

麻疹の流行状況

・何に気をつければいいの?
・なんでそんなに大騒ぎしているの?

問い合わせも多いです。

まずは「麻疹(はしか)って何?」というところからですが…

・麻しんウイルスによって引き起こされる感染症で発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状があり、治ったかなと思う頃に高熱と発疹が同時にやってくる「二峰性」が特徴
・接触感染や飛沫感染だけでなく、空気感染し、免疫がなければ、例えば同じ車両、同じ機内に乗っていれば離れていても感染するくらい感染力が強い
・潜伏期間が10〜12日程度と長く、感染初期に気づきにくく、症状がでる前が感染力が最も強い
・発疹が出る1~2日前に口の中の頬の裏側に見られるやや隆起した小さな白い斑点(Koplik斑)が特徴的とされていますが、風疹や他のウイルス感染症でも出現することがあるので、これが見られたからといって「麻疹」と判断はできない
・全身の免疫機能が低下し、肺炎や中耳炎を合併しやすく、重症化すると脳炎などを発症することがある
・感染者の1000人に1人の割合で死亡することがある
・感染者の10万人に1人の割合で、感染7~10年後に知能障害、運動障害がおこり、症状は徐々に進行し、発症から平均6~9ヶ月で死に至る亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を発症することがある

こんな感じにまとめられると思います。

「麻疹」は最近の感染症ではなく、昔から大きな問題になる感染症で、例えば江戸時代においても麻疹の流行は悩みの種でした。ある書物によると江戸時代の260年間で麻疹の流行は計13回もありました。流行するたびに問題になっていて「生類憐れみの令」で有名な5代将軍、徳川綱吉は麻疹で亡くなっています。

また感染症といえば「手洗い」や「マスク」ですが、「空気感染」する感染症は「手洗い」や「マスク」だけでは防ぎきれません。「麻疹」への感染リスクが高い人は、流行時にはなるべく外出を避け、人込みに近づかないようにするなどの注意が必要です。

そんな「麻疹」ですが、厄介な点はその感染力の高さと有効な治療薬がないこと。
そのため人々を守るために感染者の「足取り」の「詳細」が公開して、注意を促す対策をとるしかない訳です。

効果的な対策は現在のところ「ワクチン」。

ワクチン以外では、WHOは重症化防止として「ビタミンA」を推奨していますが、これは低栄養状態で、特にビタミンAの欠乏症や適切な医療処置が受けられない環境に暮らす人の場合においてです。また、そのメカニズムに対する一定の見解が得られているわけではなく、日本では臨床で用いられることはほとんどありません。

麻疹は、生涯に2回ワクチンを接種できていればほぼ感染することはないと言われています。1回の接種で95%以上の人が、2回目の接種で1回目で免疫を獲得できなかった人も含め97~99%の人が免疫を獲得できると言われています。

かつては小児のうちに麻疹に感染し、自然免疫を獲得していた時代もありましたが、ワクチン接種率が上がったことにより、自然感染例は少なくなり流行回数が減ったため、2006年度からは「1歳」と「5~6歳」の2回のタイミングで摂取できるようになっています。小学校に上がる前には麻疹に対する免疫がついていることになります。

しかし、世の中の人全員が等しくワクチンを打てているわけではなく、また、2回接種以前に生まれた人はワクチン接種が不十分な可能性がある「空白世代」です。

この「空白世代」が問題になったのが、2007年の麻疹の流行です。

予防接種を受けたが免疫が獲得できなかった可能性があること、予防接種を受けた人が長期間感染していないことで麻疹ウイルスに対する免疫が低下してしまった可能性もありますが、主な原因はワクチン接種が不十分な「空白世代」と考えられています。

「空白世代」は2つに分けられます。

① 1977年度以前生まれ
ワクチン接種が定期接種になる前の世代です。ワクチン接種していなくても、自然感染する機会が多かったので、免疫を獲得している可能性も高い世代です。だからと言って大丈夫ではなく、接種していなければ抗体価を測定することがすすめられます。

② 1978年度~2005年度生まれ
1回の定期接種だった世代です。人によっては免疫が十分についていない可能性があります。しかし2007年に麻疹が流行したことをきっかけに1990~1999年度生まれの人は追加接種の機会が設けられましたので、2回目を受けている人もいると思います。

2006年度以降は現在の体制(1歳と5~6歳で接種)が整った世代ですので、基本的には2回接種を受けていると思います。

ワクチン接種したかどうか分からない…という人はまずは「母子手帳」を確認してみてください。
基本的には母子手帳にワクチン接種歴が記載されています。

2回接種したかどうかがわからない場は抗体価を調べたり、ワクチン接種を検討しましょう。

ただし、今年1月に麻疹ワクチンが自主回収されており、一時的ではありますが供給の滞りが発生しています。自主回収と麻疹の感染が確認されて関心が高まったことでが2月以降供給の滞りが発生しています。

来月には解消される予測がなされていますが、「在庫」がないという事態も起こり得ますので、希望される方は医療機関に問い合わせておくと良いと思います。

また、「麻疹」は妊婦さんにとって危険な感染症の1つで、妊娠を希望している人は特に気をつける必要があります。妊娠中に麻疹に感染すると、母体死亡率や産科合併症(流産、早産、死産など)のリスクが上がることがわかっています。

すでに妊娠している場合は、原則的に、全妊娠期間を通じて「生ワクチン接種」はできません。その理由は、生ワクチンは経胎盤的に胎児に感染して異常なことをひきおこす「理論的な可能性」がゼロではないからです。

ワクチン接種した場合は理論上、リスクを避けるために、接種後8週間は避妊をする必要があります(不妊治療としての採卵―受精卵凍結は可能)。ただし、妊娠に気づかずワクチンを接種した場合では、妊娠中絶をする理由とはならないとされています。

もちろん、妊活中の方だけではなく、パートナー、そして同居家族の方も、感染予防することが大切です。また家族だけでなく、社会全体で妊婦さんたちを守っていくという意識が重要ですので、特に「空白世代」の人は一度確認してみてください。

国立感染症研究所
厚生労働省. 麻しんについて

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