高齢者の便秘と酸化マグネシウムと漢方

こんにちは、相模原 タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。

 

便は健康のバロメーターとよく言われます。

朝のお通じがスムーズだと1日気分が良く過ごせるのに、具合が良くないとその日の気持ちも沈みがちになりますよね。

 

若い頃はスムーズだったのに、歳をとってからなんかイマイチ・・・、という方は多いのではないでしょうか。

 

下剤はクセになるというし、「非刺激性」だから酸化マグネシウムなら大丈夫かも・・・と考えて常用している方も多いようです。

 

高齢者の便秘

年を重ねるに従って、便秘になる方が増えてきます。

 

原因について説明する前にまず便秘の定義を見てみましょう。

 

慢性便秘症診療ガイドラインでは、

 

「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」

 

と定義されています。

 

ちょっとざっくりしていますね。言いたいことは感じはわかりますが・・・。

 

ではもう少し具体的に示している別の定義を見て見ます。

 

・週に3回未満

・強くいきむ必要がある

・ころころ便

・残っているような感じ

・つまっているような感じ

 

これらが2つ以上当てはまる場合「便秘」に該当するとしています。

 

なぜ高齢者に便秘の方が多いのか

さて、このような便秘ですが、年齢とともに便秘で悩む方が増えてきます。これは体の生理的な変化が関係しています。

 

・直腸が拡張しやすくなる。

・直腸の感覚が低下する

 

高齢者では、このような生理的な変化が見られるため、便意を感じにくくなることで「便秘」になりやすくなります。

 

そして、このような生理的な変化に加え、高齢者の場合

 

・食事の量の低下(繊維質量摂取低下)

・脱水

・虚弱

・活動性の低下

・糖尿病、甲状腺機能低下症、パーキンソン病、脳梗塞、うつなどの影響

・薬の副作用

 

などが加わることもあり、そうすると便秘はより顕著になります。

 

高齢者の便秘では上記のように複数の要因が絡み合って起こることが多いので一筋縄ではいかないことが多くあります。

 

酸化マグネシウムは体に優しい!?

便秘で受診すると、他に問題がなければ下剤が処方されます。下剤にはいろいろ種類がありますが、腸を動かすタイプの下剤でお腹が痛くなる方には便を柔らかくるタイプの下剤である「酸化マグネシウム」が処方されます。

酸化マグネシウムはお腹が痛くなりにくいこと、投与量の調整が簡単なこと、安価なことなどから、医療用でも市販薬としても広く使用されています。

酸化マグネシウムは1950年代から使用され、現在では延べ人数として年間4,500万人以上の方が使用しているといわれています。下剤以外にも過剰な胃酸を中和するため、胃・十二指腸潰瘍や胃炎などにともなう症状の改善を期待して用いられることもあります。

作用機序も構造も単純で、使用経験も豊富な酸化マグネシウムです。市販薬では「お腹が痛くなりにくく、クセになりにくい非刺激性」と紹介していますね。そのようなこともあり、「体に優しい安全な便秘薬」と多くの方が認識しているようです。

 

酸化マグネシウムの危険性

安全性が高い(と思われていた)、作用機序がはっきりしている、多くの方が使っていても重大な副作用は(今まで)報告されてはいなかった、ということもあり、その安全性などについて近年まであまり検討されていませんでした。

しかし、2008年以降酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症が報告され、その後も高マグネシウム血症を発症し重篤な転帰をたどる症例(死亡または死亡のおそれ)が報告されるようになると、酸化マグネシウムの危険性について、特に高齢者の慢性的な使用時における注意喚起がされるようになりました。高マグネシウム血症を起こした症例のほとんどが65歳以上です。

高齢者の便秘で酸化マグネシウムが漫然と繰り返し投与されてきたことが原因と考えられます。

 

副作用が少ないから、お腹が痛くなりにくいから・・・という理由で長い間処方されてきましたが、やはりそこは「薬」ですので、リスク管理は必要です。

 

酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症について

酸化マグネシウム製剤 適正使用に関するお願い

酸化マグネシウム製剤を服用中の患者さん・ご家族の方へ

 

漢方という選択

そうはいっても、酸化マグネシウム以外の下剤だとうまく調整できない・・・という方もいると思います。

特に高齢者の場合は、「便秘」以外の不調を抱えていることが多く、他の病気やその治療で薬を飲んでいることも多いため、西洋薬の種類を増やすのはできれば避けたいところです。

このような場合、漢方薬がおすすめです。

副作用や、相互作用が西洋薬に比較すると少ない漢方薬は慢性化しやすい便秘の治療に向いていますし、なによりからだ全体の状態を多面的に改善することを目標としているため、便秘だけでなく、その他の不調を改善することもできます。

単に腸を動かす、便を柔らかくするというものではなく、「証(しょう)」(身体の状態)を判断し、おもに「気」「血」「水」の過不足、五臓(肝・心・脾・肺・腎)の働きに異常がないかどうかを判断して処方を組み立てていきます。

便秘で悩む人はとても多く、治療も一時しのぎになりがちです。特に高齢者では慢性的になりやすいので、漢方で根本から「本当に治す」ことをおすすめします。

 

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