食欲リミッターが崩壊する理由を科学と中医学で考える

🍔 「どうしても食べたくなる…」それ、本当に自分のせい?

普段は軽い朝ごはんで十分だったはずなのに、夜ふかしした翌朝は、なぜか脂っこい食べ物や甘いお菓子に心が動いてしまう。そんなとき、「自分に甘いだけなのかな」と思ってしまいがちですが、実は体の奥で「あるホルモン」がひっそりと暴れだしているのです。

この現象、決して意志の弱さのせいではありません。

最新の研究によって、「たった一晩の睡眠不足」が、私たちの「食欲の感覚」や「食べ物の好み」にまで変化をもたらすことが明らかになってきました。

そしてこの変化は中医学の知恵をあわせて見てみると、睡眠と食欲は思った以上に深く、しかも複雑につながっていることがわかってきました。

「現代医学のデータ」と「中医学の叡智」、その両方から体のしくみを紐解きながら、なぜ寝不足の翌日に体に「変化」が起こるのか──その理由を一つひとつ探っていきます。

ページをめくるたびに「体と心の不思議」が見えてくるかもしれません。


目次

🛏️ 睡眠と食欲、見えない糸でつながっていた

「寝不足になると、なぜかお腹がすくような気がする」──そんな体験をしたことがある人もいるかもしれません。

実はこの現象、医学的にもきちんと証明されつつあります。

今回紹介する研究では、「普段通り7時間寝る」「4.5時間だけ寝る」「一晩中起きている」という3つのパターンをランダムに体験してもらい調査をしました。

それぞれの朝に「どのくらいお腹がすいているか?」を自分で点数をつけてもらい、同時に血液中のホルモンも詳しく調べています。

すると、一晩中寝なかった翌朝は、しっかり7時間寝たときと比べて「空腹感が約2倍」に高まり、「朝からガツンと食べたい!」という衝動が強くなりました。

睡眠の質ひとつで、体の「食欲センサー」はここまで変わる。睡眠と食欲──この2つは、普段意識しないうちに静かに影響し合っているのです。


🧪 少しの変化にも体は敏感に反応する

今回の研究では、限られた人数の参加者でも、睡眠時間の違いが体にどう影響するかがはっきりと現れました。ほんの一晩、眠る時間が減っただけで、体の中で目に見えない「食欲スイッチ」が大きく切り替わる様子が確認されたのです。

徹夜や寝不足の翌朝、「空腹ホルモン」と呼ばれる「グレリン」の数値が普段より22%も高くなっていました。「グレリン」は、お腹が空いたことを知らせるサイン。その値が上がると、ついつい何か食べたくなる気持ちが強くなります。

さらに興味深いのは、「もうお腹いっぱい」と伝えてくれる「レプチン」というホルモンには大きな変化が見られなかったこと。食欲を刺激する側だけが活発になるので、ちょっとした寝不足が「どうしても食べたい!」という衝動につながるのも自然なことなのです。


🍽️ お腹をすかせる「グレリン」、眠らない夜に暴走

グレリンは、まさに「空腹」を伝えるメッセンジャー。このホルモンが増えると、「もっと食べたい」「何か食べなきゃ」という気持ちが自然と強まります。

今回の研究では、一晩眠らなかっただけでグレリンの分泌量が大きく増加し、朝からガッツリ系の食事やファストフードなど高カロリーな食べ物に心が惹かれやすくなることがわかりました。

しかも、グレリンが増えれば増えるほど空腹感も強くなる、という傾向がはっきりと示されています。自分の意思に反して手が伸びてしまう──その背後には、体内で静かに働く「ホルモンの声」があったのです。

このグレリンの「暴走」は、その日一日だけの影響にとどまらないかもしれません。睡眠不足が積み重なると、常に食欲が高まったままの状態が続き、体重増加や将来の肥満リスクにもつながりやすくなります。「ちょっとした寝不足」が、健康の土台を揺るがすことにもつながる可能性があるのです。


🔬 一方で「レプチン」は静かに眠っていた

「満腹ホルモン」と呼ばれるレプチンは、普段なら「もう十分食べましたよ」と脳に伝えてくれる存在です。ですが、今回の研究では、睡眠時間が短くなってもレプチンの量にはほとんど変化が見られませんでした。

つまり、「お腹がすいた」というサインは強くなっても、「もう満足」というブレーキ役は変わらず静かなまま。空腹だけが前に出てくる、アンバランスな状態が生まれてしまうのです。

この組み合わせは、どうしても食べすぎを招きやすくなります。「いつもより食べたくなるけど、止めるきっかけがない」──そんな状況に陥りやすいのは、この2つのホルモンの働き方が大きく関係しているのです。


💡 夜更かしと空腹、ホルモンの仕掛け

睡眠不足になると、食欲ホルモンだけではなく、体の中でさまざまな変化が起こりはじめます。

例えば、ストレスを感じたときに分泌される「コルチゾール」というホルモンもそのひとつです。コルチゾールは、体を守るためにエネルギーを確保しようと働くため、「高カロリー」な食べ物がほしくなります。

加えて、寝不足のときは脳の「理性的な判断」をつかさどる部分(前頭前皮質)の働きが弱くなり、「ご褒美」に反応する脳の部位(扁桃体や側坐核)が敏感になります。つまり、いつもならスルーできるお菓子やファストフードに対して、「どうしても食べたい!」と感じてしまう状態がつくられてしまうのです。

さらに、睡眠が不足した状態が続くと、血糖値をコントロールする「インスリン」の働きも低下します。

その結果、余った糖が脂肪になりやすく、特にお腹周りに蓄積されやすくなります。こうした変化が重なることで、寝不足が「食欲の暴走」や「体重の増加」につながっていくのです。


🌱 中医学から見た「睡眠不足」と「脾」の関係

中医学では、「心」は精神の安定や血のめぐりを、「脾」は食べたものをエネルギーや栄養に変える役割を担っていると考えられています。どちらも健康に欠かせない大切な存在ですが、この「心」と「脾」は、実は深くつながっていて、お互いのバランスがとても重要です。

しっかり眠れていると、「心」は穏やかさを保ち、エネルギーも十分に満ちてきます。ですが、寝不足や心の疲れが続くと、「心」がしっかり休めず、気持ちが落ち着かなかったり、イライラしたりしやすくなります。

中医学では、こうした「心」の乱れが、そのまま「脾」にも影響しやすいと考えられています。精神的なストレスや睡眠不足が重なることで、消化や食欲が不安定になったり、エネルギー不足を感じたりしやすくなるのです。

このように、「心」が穏やかでよく休めていると、「脾」も元気に働き、食欲や消化のバランスが自然に整います。反対に、心身の疲れやストレス、寝不足が積み重なると、心と脾のバランスが崩れ、食欲や消化のコントロールも難しくなってしまうのです。

中医学では、こうした「心と体のつながり」をとても大切にしてきました。
つまり、「よく眠ること」は、心を落ち着かせるだけでなく、食欲や消化のリズムを整えるためにも欠かせないこととされています。古くから伝わるこの知恵は、食欲や消化のバランスを保つためにも欠かせない要素とされているのです。


📝 「よく眠ること」が食欲と健康を守るカギ

一晩の寝不足が、体の中のホルモンバランスや脳の働きにまで影響を及ぼし、無意識のうちに食欲を強くしたり、食べ物の好みを変えてしまう──そんな驚きの事実が最新の研究や中医学の知恵から見えてきました。

「食べすぎてしまった」「なぜかファストフードがやめられない」と悩んでいるとき、その原因は意思の弱さではなく、もしかすると睡眠に隠れているのかもしれません。

眠ることは、体と心のバランスを整えるだけでなく、脳も内臓も、そして「自分自身をコントロールする力」も回復させてくれる大切な時間です。

現代医学も中医学も、どちらも「よく眠ること」の大切さを教えてくれています。もし「最近どうも食欲が止まらない」と感じたときは、一度自分の睡眠を見直してみてださい。

それが、健やかな体と心を取り戻すための「新しいスタート」になるはずです。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ご覧いただきありがとうございます

「なんか生きづらいな」
「なんか体の調子が良くないな」
  と感じている方へ

漢方と鍼灸、心理学的アプローチを合わせた心身のケアで
日々の生活に彩りを添えるお手伝いをいたします

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

漢方薬局・鍼灸接骨院

吸い玉(カッピング)
足ツボ(リフレクソロジー)
ヘッドスパ・美容鍼
よもぎ蒸しサロン
《タナココ》

目次