こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
関節リウマチは、免疫機能に異常を来して、主に手足の関節に腫れや痛みが起こる膠原病の一種です。
進行すると骨や軟骨が破壊されることで関節の動きが制限され、日常生活が大きく制限されます。
また、炎症は関節以外にも全身に及ぶこともあります。
西洋医学ではほぼ治療法が確立されており、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイド、抗リウマチ薬、免疫抑制剤、生物学的製剤などの薬を用いて、生活に支障が出ないようにコントロールすることがほぼ可能になっていますが、初期の段階で治療を開始することが重要です。
中医学では関節リウマチは「痺病」に含まれる疾患として認識されています。
痺病とは、正気不足による風、寒、湿、熱などの外邪により経絡(気、血、津液の通り道)が阻まれ、その流れがうまくいかなくなり起こる病気です。(正気:病邪に対する抵抗力)
筋肉、骨、関節に痛みが起こり、しびれや重だるさ、関節の動きが制限されたり、ひどくなると関節が腫れ、強い熱感がみられるようになります。
痹病はその症状の特徴により
行痺
痛痺
着痺
熱痺
に分けられます。
さて、これらの中医学での治療ですが・・・
行痺
行痺は痛みがあちこち移動する(遊走性)という特徴があります。風邪による影響が大きいため風痺とも言います。症状は上肢に多くみられる傾向がありますが、痛みや熱感は軽微であることが多いです。
舌苔は薄白あるいは薄膩、脈は多くは浮あるいは浮緊です。
治法は袪風通絡、散寒除湿、
方薬は宣痺達経湯を用いて治療します。
方中の蜂房、烏蛇、土鼈虫は通経活絡で痺に用います。
威霊仙、羗活、防風、秦艽、豨薟草は疏風袪邪、
当帰は養血活血、
穿山甲は捜剔絡脈瘀滞します。
で行います。
肩や肘など上肢の関節に症状が強い場合は風の影響がより強いので、羗活、白芷、桑枝、威霊仙、姜黄、川芎などの袪風通絡止痛の薬物を増量したり追加したりします。
下肢の関節の症状が強ければ、湿の影響が強く出ているため、独活、牛膝、防已、萆薢、松節などの袪湿止痛などを用います。
腰や背部の痛みがある場合は、腎気不足と関係が深いので、杜仲、桑寄生、淫羊藿、巴戟天、続断など温補腎気などの薬物を用います。
関節が腫れて、舌苔が薄黄の場合は邪が化熱した状態ですので、寒熱併扇で桂枝芍薬知母湯加減で治療します。
あるいは、防風湯加減を用います。防風湯の防風、麻黄、秦艽、葛根で袪風除湿、肉桂、当帰で温経活絡、茯苓で健脾滲湿、生姜、大棗、甘草で和中調営します。
痛痺
痛痺は関節痛が強く、ひどいばあいは関節の曲げ伸ばしもできなくなります。冷えることで症状が悪化し温めると楽になるのが特徴です。寒邪により気血の運行が妨げられるので固定性の痛みがみられます。皮膚には発赤や熱感はありません。舌苔は薄白、脈は弦緊です。
治法は温経散寒、袪風除湿、
方薬は烏頭湯を用いて治療します。
烏頭、麻黄は温経散寒、宣痺止痛、
芍薬、炙甘草は緩急止痛、
黄耆は益気固表と合わせて利血痛痺、
蜂蜜は甘緩で、益血養筋、烏頭の燥熱の行き過ぎを抑えます。
必要に応じて、羗活、独活、防風、秦艽、威霊仙で袪風除湿、姜黄、当帰で活血通絡します。寒がひどい場合は制附片、桂枝、細辛で温経散寒します。
あるいは温経通痺湯を用います。方中の附子、干姜、炒川椒で温陽し袪寒、烏梢蛇、蜂房、土鼈虫で活絡通経、当帰、丹参で和営、活血通絡、豨薟草、羗活で袪風除湿しともに散寒通絡、宜痺止痛の働きがあります。
着痹
着痺は湿痺ともいわれ、手足の関節が重だるく痛んだり、痺れたりするのが特徴です。起床時痛みがあり動かしにくいことが多く、関節に水が溜まり腫れることもあります。痛みは固定性です。湿邪が主な原因で起こるため、梅雨時期や気圧の変化で症状が悪化しやすいです。
舌苔は白腻で脈は濡緩です。
治法は除湿通絡、袪風散寒、
方薬は薏苡仁湯加減を用いて治療します。
処方中の薏苡仁、蒼朮は健脾滲湿、羗活、独活、防風は袪風勝湿、川烏、麻黄、桂枝は温経散寒、当帰、川芎は養血活血、生姜、甘草は健脾和中します。
関節の腫脹が強い場合は、秦艽、萆薢、防已、木通、姜黄で除湿通絡します。
しびれが強い場合は、海桐皮、豨薟草で袪風通絡、あるいは黄耆、紅花益気通痺します。
痛みが強い場合は、蠲痺湯を使用します。
熱痺
関節痛があり、発熱、熱寒、腫脹が強い場合は熱痺です。冷やすと症状は和らぎます。筋肉が引きつり、日中は比較的症状は軽いのですが、夜に悪化し、多くは発熱や口渇、煩悶不安を伴います。
舌質は紅、舌苔は黄膩あるいは黄燥、脈は滑数です。
治法は清熱通絡、袪風除湿、
方薬は白虎加桂枝湯を用いて治療します。
白虎湯は清熱除煩、桂枝は疏風通絡します。銀花藤、連翹、黄柏は清熱解毒、海桐皮、姜黄、木防已、威霊仙などの活血通絡、袪風除湿を必要に応じて加えます。もし皮膚瘀斑があれば牡丹皮、生地黄、地膚子での清熱涼血散瘀を考慮します。
湿熱が強い場合は宣痺湯加減で治療します。
熱痺化火傷津で関節が紅腫し、疼痛が激烈で夜にひどくなり、壮熱煩渇、舌紅少津、脈弦数がみられる場合は、清熱解毒、涼血止痛の犀角散加減で治療します。
患部の発赤、熱感、腫脹などが顕著なら、「熱痺(ねっぴ)」証です。熱邪による痺証であり、熱邪が強いため、発赤や熱感などの熱証が表れます。症状は冷やすと軽減します(これらは熱邪の特徴です)。熱邪を除去する漢方薬で、関節リウマチを治療します。
関節リウマチは中医学では、約2000年前の中国の古い文献『黄帝内経』に記載されており、その後時間をかけて有効な処方を作り出してきました。
関節リウマチの西洋医学的治療は生物学的製剤などの抗リウマチ薬の進歩により飛躍的に発展しましたが、全般的評価(PGA)の改善には漢方が有効との報告があります。
炎症が強く、活動性が高い場合は西洋薬での治療の強化が必要ですが、疾患活動性が比較的良好な場合については漢方薬の併用によりPGAが改善し、寛解基準で一番厳しい基準であるBoolean寛解が得られるケースが増えることが期待できます。
関節リウマチの治療で漢方を併用されたことがない方は、より良い寛解状態を目指して漢方を始めてみませんか?
漢方相談・妊活相談・鍼灸接骨院 & よもぎ蒸し カフェ
タナココ