🛏️ 「眠り」が、未来の脳を左右する?
毎日の睡眠が、将来の脳の健康と関係していることが、長年の研究から少しずつ明らかになってきました。
今回紹介するのは、イギリスで約30年間続けられた調査です。対象は中年期の約8,000人。50歳、60歳、70歳の各年代で睡眠時間を記録し、その後に認知症を発症したかどうかを追跡しています。
特徴的なのは、睡眠の評価方法です。自己申告に加えて、腕に装着するセンサーを使って、実際の睡眠時間も測定しています。これにより、睡眠時間の変化や傾向を、より正確に捉えることができました。
中医学では、睡眠は心身のバランスを保つために欠かせないと考えられています。とくに中年期は、体のエネルギーが少しずつ変化しはじめる時期とされ、睡眠の質や量が、その後の健康に影響すると見られています。
この研究では、睡眠パターンによって、その後の認知症の発症リスクに違いがあることがわかりました。次は、この調査がどのように行われたのかを見ていきます。
🧭 8,000人を30年追った研究
研究に使われたのは、「ホワイトホールⅡ研究」と呼ばれる大規模な追跡データです。対象はイギリスの公務員などで、登録時の健康状態が比較的安定している人々です。
調査は1985年に始まり、約8,000人のうち7,959人が今回の分析対象となりました。追跡期間は最長で30年近くにおよび、認知症の診断は医療記録を通じて確認されています。
睡眠時間は、50歳・60歳・70歳それぞれの時点で記録され、「6時間以下」「7時間」「8時間以上」の3つに分類されました。さらに、年齢ごとの変化を追うことで、睡眠のパターンも分類されています。
また、一部の参加者には腕にセンサー(加速度計)を装着してもらい、実際の睡眠時間を測定。これにより、自己申告ではわかりにくい部分も補えるよう工夫されています。
このように、自己報告と機器による客観的な測定を組み合わせ、長期にわたって認知症との関係を調べた設計は、シンプルでありながら実用的な研究の良い例といえます。
📊 「短めの睡眠」が示したリスクの傾向
解析の結果、50歳や60歳の時点で「6時間以下」の睡眠だった人は、「7時間」眠っていた人に比べて、認知症になる割合が高くなる傾向がありました。特に60歳ではその違いが明確に見られました。
さらに、50歳から70歳の間ずっと「短時間睡眠」が続いていた人は、3つの時点で「7時間睡眠」を保っていた人に比べて、認知症のリスクが高くなっていました。つまり、「一時的に短かったか」ではなく、「長期間続いていたか」が重要なポイントになっていたということです。
また、センサーで実際の睡眠時間を測定したデータでも同じ傾向が確認されました。平均の睡眠時間が短かった人ほど、認知症と診断された割合が高くなっていたのです。
これらの結果は、睡眠の量やパターンが、将来の脳の状態に影響している可能性を示しています。
🧩 中医学で読む──「眠りの変化」は「腎」の変化
西洋医学的な視点からは、「短い睡眠時間が続くこと」が将来の認知症リスクと関係している可能性が示されました。では、この結果を中医学の立場から見るとどうなるでしょうか。
中医学では、睡眠は「陰陽の切り替え」を支える重要な時間とされ、夜にしっかりと休むことで体が調い、日中の活動がスムーズになると考えられています。
特に中年期以降は、「腎」の力が徐々に弱まり始める時期。体の基本的なエネルギー源である「腎精(じんせい)」をどう保つかが、老化の進み方に大きく影響します。
長く続く睡眠不足は、こうした体の土台に負担をかけ、バランスを崩しやすくなります。研究で示されたリスクの上昇は、中医学でいう「腎」が消耗していく変化と重なる部分があります。
つまり、中年期の眠り方は、単なる休息だけでなく、その後の心身の状態や加齢のスピードにも関わる、大事な養生のひとつと捉えることができます。
💡 将来の健康を支えるヒント
今回の研究からは、中年期の睡眠のとり方が、その後の認知症リスクに関係している可能性があることがわかりました。
特に、短い睡眠が長く続いていた人では、将来の脳の健康に影響が出やすい傾向が見られた点は注目すべき結果です。
一方で、睡眠は日々の生活の中で見直しやすい習慣のひとつ。時間や質を少しずつ整えていくことで、体や心に良い変化をもたらすことが期待できます。
中年期は心身ともに変化が多い時期ですが、生活習慣に意識を向けて整えていくことは、これからの自分の健康を支える大切な一歩。
睡眠はすぐに整えるのが難しいことも多いですが、それでも少し意識するだけでも変化につながりやすい生活習慣のひとつです。
今回の研究をひとつのきっかけとして、毎日の眠りを見直してみる──それが将来の自分を守る小さな備えになります。
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