血圧が気になる季節に──

朝と夕の「寒さ」が血圧に与える影響とは? 室温がカギになる最新研究

目次

🌡️ 室温が血圧に影響するかもしれないという話

寒くなると血圧が高くなる──多くの人に共通の傾向ですが、それは屋外の気温の話。

家の中で過ごす時間が長い今、実際に血圧を測る場所──つまり「室温」が血圧にどう関わっているかについては、あまり調べられてきませんでした。

今回紹介するのは、朝や夕方、そして睡眠中の血圧と室温との関係を調べた研究です。日々の暮らしの中で、時間帯ごとに室温がどんな影響をもたらしているのかが検証されています。

中医学では、寒さは「寒邪(かんじゃ)」として体に入り込み、気や血の流れを妨げると考えられています。体が冷えることで起こる変化が、現代の科学でどのように捉えられるのか。

読み進めると、そこに少しずつ輪郭が見えてきます。

では続きを見ていきます。


☀️ 朝の「寒さ」が血圧に忍び寄る

研究によると、室温が1℃下がると、朝の血圧がわずかに上昇する傾向が見られました。

特に収縮期血圧(いわゆる「上の血圧」)が上がる度合いが顕著で、1℃下がるごとに約0.9mmHg上昇するという結果が示されました。これはごく小さな数値に見えるかもしれませんが、冬場の室温が5〜10℃も低くなることを考えると、積み重ねの影響は無視できません。

しかも、この朝の血圧上昇は、外の気温ではなく、部屋の中の気温によって左右されていたことが解析により確認されています。つまり、外が寒くても室内が暖かければ血圧への影響は軽減される可能性があるということです。

これは、朝の時間帯が自律神経やホルモンの変動で特に血圧が高くなりやすいこと、さらにその時間帯に体が冷えていると、より影響を受けやすくなる可能性を示しています。


🌇 夕方の体温と血圧のゆらぎ──寒さの第ニ波

夕方になると、体温は日中の活動によって一度上昇した後、少しずつ下がり始めます。この時間帯もまた、室温の影響を受けやすいと考えられます。実際、本研究では、室温が1℃低下すると、夕方の収縮期血圧が約0.7mmHg、拡張期血圧が約0.3mmHg上昇するという結果が出ています。

朝に比べるとその影響の程度はやや小さいですが、統計的にはしっかりと有意な差があり、日常的に冷えた部屋で過ごす夕方の時間帯にも注意が必要であることがわかります。


💤 睡眠中はなぜ影響されにくい?その理由とは

朝や夕方の血圧が室温の影響を受けやすい一方で、睡眠中の血圧にはほとんど変化が見られませんでした。

収縮期・拡張期いずれも、1℃の室温低下に対する血圧の上昇幅はごくわずかで、特に収縮期血圧は統計的にも有意とは言えないレベルでした。

これは、睡眠中の身体が日中とは異なる調整モードに入っていることと関係していると考えられます。副交感神経が優位になり、心拍数や血圧が自然と下がっていく時間帯。加えて、布団や寝具によって体温が一定に保たれているため、室温の変化が直接的に体に伝わりにくくなっている可能性もあります。


👵 高齢者はなぜ影響を受けやすい?

今回の研究では、室温の低下による血圧の変動に影響を与える要因として、「年齢」だけが明確に関連していることが示されました。

つまり、年齢が高くなるほど、室温の変化による血圧の影響を受けやすいという傾向が見られたのです。

これは加齢に伴う自律神経機能や血管の柔軟性の低下、体温調節機能の衰えなどが関係していると考えられます。特に高齢者では、冷えに対する身体の反応が鈍くなりやすく、血圧の変動が大きく出やすくなるのかもしれません。


💊 降圧薬の使用者と非使用者の違い──薬の壁を超える冷気

血圧が正常範囲内だった参加者の中にも、寒い日には一時的に「高血圧」と判断される人が一定数いました。その多くは、もともと正常範囲の中でもやや高めの血圧であり、降圧薬を使用している可能性も高かったことが示されています。

ここで興味深いのは、薬を服用していても、室温の低下によって血圧が上昇する可能性があるという点です。つまり、「薬」で血圧を安定させていても、環境の変化──特に「寒さ」──によってその効果が一時的に弱められてしまうことがあるということです。


💡 室温管理が血圧コントロールに及ぼす新提案

この研究で明らかになったのは、私たちが普段過ごしている「部屋の温度」も、血圧を左右する大きな要素になり得るという事実です。

特に朝や夕方の血圧が室温の影響を受けやすいという結果は、単に測定時の誤差にとどまらず、日常的な血圧コントロールにも関わってくる可能性があります。

これまで血圧の管理といえば、薬の服用や調整、運動、食事といった生活習慣が主でした。しかし今後は、それに加えて「室温の調整」も血圧対策の一つとなります。特に冬場の冷え込む時期には、暖房や加湿器の使い方、部屋ごとの温度差に気を配ることが、薬と同じくらい大切な管理要素になる可能性があります。

朝や夕の血圧測定時に室温を記録することで、測定値のブレを把握しやすくなり、より精度の高い自己管理が可能になることも期待されます。


🌿 中医学的に見る「寒」と「血圧」──陰陽と気血のバランスからの考察

中医学では、寒さによる体への影響を「寒邪」と呼び、これは「気」や「血」の流れを滞らせる原因とされています。

特に「寒邪」は「陽気」を損なう性質を持ち、血管の収縮や血流の停滞を引き起こすと考えられています。

今回の研究結果と照らし合わせると、室温の低下によって血圧が上昇するという現象は、まさに「寒」が「陽気」を傷つけ、「血」の流れに負担をかけた状態とも捉えることができます。

高齢者に影響が出やすかった点も、「腎陽」の不足や「気虚」の状態にあるとされる体質と一致しており、中医学の理論と現代医学がつながる興味深いポイントと言えます。

さらに、中医学では「未病」──まだ病気には至らないが、体のバランスが崩れかけている状態の改善を重視します。

寒さによって血圧が一時的に高くなっている人は、まさにこの「未病」の段階にあるとも考えられ、温かい環境を保つことは、そうした状態を本格的な病に進行させないための手立てとして意味を持つかもしれません。


📝 血圧管理に「温度」という視点を

薬や食事、運動だけではなく、私たちが暮らす「部屋の温度」もまた、血圧に影響を与える要素のひとつです。今回の研究は、その関係を具体的に示してくれました。

なかでも朝と夕方は、血圧が変動しやすい時間帯。冷え込んだ室内では、その変動がさらに大きくなる可能性があります。

中医学では、寒さが体内の流れを妨げる要因とされてきました。そうした伝統的な考えと、現代のデータが交わることで、日々の体調管理に新たな見方が生まれます。

寒い日の朝や夕方には、まず部屋を暖める。

それだけで、体の負担をやわらげ、血圧を安定させる手助けになるかもしれません。

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