こんにちは、相模原タナココ漢方薬局・鍼灸接骨院です。
漢方相談で多い内容の１つに「腎不全」があります。
腎不全
腎臓は、体の水分調節、老廃物を排泄しますが、何らかの原因により腎臓の機能が低下すると、老廃物の排泄ができなくなります。
この結果、体内に不必要なものや体にとって害になるものが溜まります。
腎臓の機能が低下＝「慢性腎不全」と言いますが、初期の段階では自覚症状がないことも多く、健康診断や他の病気の検査で発見されることがあります。
腎臓の機能障害が進行すると、今まで見られなかった自覚症状も見られるようになります。
症状には
・むくみ
・排尿回数の異常（量、回数、色など）
・だるさ
・貧血
・動悸や息苦しさ
・吐き気
・血圧の上昇
・かゆみ
などがあります。
腎臓の機能が低下し、さらに進行すると腎臓がその役割を果たせなくなるため、透析や腎移植などが必要になります。
以前は、腎臓の機能が慢性に低下していることを「慢性腎不全」と言っていましたが、近年が腎臓の障害を早期に発見するために「慢性腎臓病（CKD）」の概念が取り入れられています。
慢性腎臓病は、腎臓の働き（GFR）が健康な人の60％以下に低下する（GFRが60mℓ/分/1.73㎡未満）か、あるいは蛋白尿が出る状態が続く状態のことを言い、腎臓病が進行して腎臓の機能が低下すると「腎不全」といわれる状態になります。
腎不全には、数時間～数日の間に急激に腎機能が低下する「急性腎不全」と数ヶ月〜数十年の間に腎機能がゆっくりと悪くなる慢性腎不全があります。
慢性腎臓病の病期（ステージ）
慢性腎臓病には病期（ステージ）があります。
「冊子 『あなたの腎臓を守るために』」p6より引用
腎臓の働きを、GFRによって、G1、G2、G3a、G3b、G4、G5の6つのステージと、さらに慢性腎臓病の原因疾患、尿蛋白 or 尿アルブミン量の値によって、A１、A２、A３の３つのステージに分け、病期に応じた治療がおこなわれますが、病期の早いうちに治療すれば、正常レベルまで回復させたり、進行を遅らせることも可能です。
腎機能低下と漢方
腎機能が低下で、機能の回復や進行の抑制のために、漢方がその効果を発揮できることがあります。
古典的な漢方では腎機能が低下し慢性腎臓病の状態を五臓の「腎」の低下と考え、腎を補う処方である「八味地黄丸」、「牛車腎気丸」、「六味丸」、「杞菊地黄丸」、「知柏地黄丸」などが用いられてきました。
しかし、実際に腎機能低下で上記のような漢方を服用された方がいらっしゃればお分かりかと思いますが、これらの処方だけでは回復しないケースが多いのも事実です。
慢性腎臓病や慢性腎不全を回復させるためには、古典的な中医学や処方以外に、現代中医学の経験や知識が必要になってきます。
実際に慢性腎臓病、慢性腎不全に特殊な処方や生薬の組み合わせでGFRやクレアチニン値の改善が見られたとする報告が多々あります。長期の経過も良好で１年以上にわたり、慢性腎臓病が進行せず、GFRが保たれているケースも多いです。
慢性腎臓病の病期で「腎臓に障害はあるが、働きは正常」であるG1、「軽度の機能低下」であるG2では、日常生活の管理を合わせて行うことで、進行を抑えることも可能です。
もし、糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、肥満などを抱えているのであれば、これらの状態は腎臓に負担となるため、きちんとコントロールする必要があります。また、食事ではエネルギーコントロール、塩分コントロールが重要で、蛋白尿が多い場合は摂取制限が必要になることもあります。喫煙習慣があれば禁煙が必要です。
G1、G2であれば、腎機能の回復が可能なことも多いですが、G3以降になると、日常生活の注意や努力、病院での薬物治療だけでは回復が難しいことも多く、できるだけ進行を遅らせ、透析や移植を回避するかが目標になってきます。
ある程度進行した状態では従来の古典的な漢方だけでは効果が不足することも多いため、現代中医学的に研究された生薬を組み合わせて症状の進行を遅らせる処方を組み立てます。
腎臓の機能を回復させるために、どのような生薬の組み合わせにするか、またその比率や量を調整することが重要になります。また腎臓の機能の低下に伴い血管のトラブルも増えるため、血管保護や血流維持の目的で「丹参（たんじん）」という生薬を使うこともあります。
また、慢性腎臓病や慢性腎不全では腎臓だけの問題ではないため、からだ全体のことを考えて処方を組み立てる必要があるため処方は複雑にはなりますが、病院の治療だけで進行を遅らせることが難しかった場合でも漢方を併用することで進行を遅らせることができる可能性があります。
回復が難しいと言われる腎機能ですが、漢方を試してみる価値はあると思います。
ご相談ください。
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