脳のカタチは、意識がつくる?

健康を「気にする気持ち」と脳のつながりを探った、最新の研究を中医学の視点から読み解きます。

目次

🤔 「ちょっと気になる」がカラダを変える?

日々の暮らしの中で、「最近ちょっと体調が気になるな」と思うことはありませんか。そんな「気にかける気持ち」が、実は脳の中にも関係しているかもしれない──そんな視点から始まったのが今回ご紹介する研究です。

この研究では、「実際にどれだけ健康的な行動をしているか」ではなく、「健康のことをどれだけ気にしているか」に注目しました。つまり、行動の中身よりも、その手前にある「意識の高さ」を測って、脳の構造との関係を調べたのです。

中医学では、「未病(みびょう)」という言葉があります。まだ病気ではないけれど、身体のバランスが崩れ始めた状態にいち早く気づくことが、健康を保つ上で大切だとされてきました。

今回の研究が焦点を当てた「健康への意識」は、まさに中医学の「養生」の考え方にも通じるものがあります。

それにしても、研究者の視点ってすごいです。

驚きの研究結果と、中医学的な視点についても見ていきたいと思います。


🔍 「どんな行動をしているか」ではなく「どれだけ気にしているか」

健康に関する研究といえば、「運動をたくさんする人は脳が健康」や「睡眠時間が長い人は記憶力がいい」といった、行動そのものに注目したものが多い印象です。

けれど今回の研究では、ちょっと違うアプローチが取られました。

着目されたのは、「健康そのものを、どれくらい意識しているか」という「気持ちのあり方」です。

実際に行動に移しているかどうかではなく、「健康について気にかけている」「情報を集めている」「自分の体調をモニターしている」──そんな意識の傾向を、簡易的なスコアで数値化しています。

4つの質問項目には「改善のために何かしているか」という行動も含まれますが、具体的な行動頻度や運動量までは測っていません。

つまりこのスコアは、詳しい生活習慣を調べるというより、「自分の健康に対してどれだけ自発的に向き合っているか」をざっくりと捉えるものです。

行動の内容ではなく、「その人の中にある意識のレベル」に焦点を当てる──その独自の視点こそが、この研究の面白いところです。


🧪 「脳のカタチ」を比べる

この研究には、25歳から83歳までの健康な男女184人が参加しました。

全員が、MRIという検査で脳の写真を撮り、「灰白質(かいはくしつ)」という部分の体積を調べました。

灰白質は、考えたり感じたり、記憶したりする働きに関係する、とても大事な場所です。

人によって頭の大きさは違います。

そのまま比べると、単に「頭が大きいから灰白質も多い」といった見かけの差が出てしまいます。

そこで研究チームは、脳のデータを「偏差値のような数値」に変換しました。

たとえば、テストの点数も、生徒によって得意・不得意があるので、偏差値で比べることで「どのくらい平均から離れているか」が分かります。

それと同じように、脳の大きさも調整して、「みんなが同じものさしで比べられるようにした」というわけです。

さらに、年齢・性別・学歴・体格といった違いの影響もあらかじめ取り除いたうえで、「健康意識の高さ」と「灰白質の量」の関係を詳しく調べていきました。

こうした丁寧な分析によって、より正確な傾向が見えてくるようになります。


📊 健康を気にしている人で見つかった「違い」

分析の結果、「健康を意識するスコア」が高い人は、脳の灰白質が少し多い傾向にあることがわかりました。

とくに違いが見られたのは、「後頭葉(こうとうよう)」と「側頭葉(そくとうよう)」という2つの部位です。

後頭葉は、目から入ってくる情報──つまり視覚に関係する部分です。
健康についての情報を本やスマホで「見る」ときに、ここが働いていると考えられます。

側頭葉は、音を聞いたり、人の話を理解したり、記憶に関わったりする場所です。

「健康について話を聞く」「それを覚える」といった行動と関係しているかもしれません。

ただし、これらはあくまで「関係があるように見えた」という話で、「健康意識が高いから灰白質が増えた」などの原因と結果はわかりません。

逆に「灰白質が多いから健康意識が高い」という可能性もあるし、お互いに影響し合っている可能性もあります。

いずれにしても、「ちょっと健康を気にしている人」の脳には、他の人とは少し違った特徴があるようだ──そんな結果が見えてきたのです。


🧠 健康を意識する人の脳に見えた「サイン」

調査の結果、「健康を意識している」スコアが高い人のほうが、脳のある部分の灰白質がやや多い傾向があることがわかりました。

とくにその傾向が見られたのは、「後頭葉(こうとうよう)」と「側頭葉(そくとうよう)」です。

後頭葉は、視覚に関わる場所。
日々の中で健康に関する情報を見たり、自分の体の変化に気づいたりするときに関係していると考えられます。

側頭葉は、音を聞いて理解したり、記憶に関わる部分。
人の話を聞いて学んだり、自分の経験をふり返ったりするような場面で使われています。

この研究では、「健康意識があると脳が良くなる」ことの因果関係を証明したものではありませんが、「意識する力」を持っている人の脳に、ポジティブな特徴が見えてきた──という点は、とても希望が持てる結果です。

ちょっと気にかけること、ちょっと意識すること。それだけでも、脳の中では何かが少しずつ育まれているのかもしれません。


🌿 「気にかける力」は、からだを整える力

中医学では、「病気になる前の、なんとなくの不調」に気づくことをとても大切にしています。

この考え方は「未病(みびょう)」と呼ばれ、日ごろから体調の小さな変化に目を向けておくことが、健康を保つための基本とされています。

今回の研究で注目された「健康を気にかける力」は、この「未病に気づく感覚」とよく似ています。

自分の身体に関心を持ち、変化を見逃さないという姿勢は、中医学の「養生」の中心にある考え方でもあります。

また中医学では、脳のことを「髄海(ずいかい)」と呼びます。これは、「精(せい)」という生命エネルギーが満ちる場所とされていて、精が十分にあると脳の働きも健やかになると考えられています。

自分の身体や生活を意識して整えることが、脳の状態にも良い影響を与えている可能性がある──その点で、今回の研究結果は、中医学が重んじてきた「養生」や「未病予防」の視点と繋がっていると言えます。


💡 「健康」への思いは今日からできる脳へのケア

この研究は、健康そのものよりも、「健康を気にしているかどうか」という視点に着目した点がユニークでした。

行動の量や質を詳しく測ったわけではなく、もっと日常的な「気づき」に目を向けたのです。

そして、そうした小さな意識が、脳の健康と関係している可能性があること示した研究は、私たちにとってケアの選択肢を増やすものです。

まずは「意識」を変えること。

そして、そうした小さな意識が、脳の健康と関係している可能性を示唆したこの研究は、私たちにとって「自分をケアする新たな選択肢」を示してくれています。

そのために、まずは「意識」から整えてみること。
それが、これからの健康づくりの土台になるかもしれません。

中医学では、そうした「自分を見つめる力」を育てることを「養生」と呼び、未病を防ぐ知恵として古くから重視してきました。

今回の研究は、そうした伝統的な視点と現代の脳科学がつながる興味深い接点を見つけ出しました。

特別なことをしなくても、まずは「ちょっと気にかけてみる」。

その小さな意識の積み重ねが、自分自身を守るひとつの力になるのかもしれません。

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